橋百選 |
BRIDGES 100 SELECTION |
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VOL.30 「 新年号特別企画:世界の吊橋 」
〜日本の架橋技術の足跡と世界での実績やこれからの展望について〜
四国の祖谷のかずら橋の如く、吊橋の歴史は古く、基礎工が至難な場所では色々な工夫がなされ、人々の生活に供してきた。現代では、米国にて鋼製ワイヤが出来、ブルックリン橋が長大吊橋のスタートである。その技術は英国、日本に伝わり世界的に拡がるのである。そして日本の技術は本四架橋で実を結び、更に発展成熟し、中国や韓国に拡がり、世界の標準となりつつある。ブルックリン橋から130年の歴史の中で本格吊橋は世界中で150橋もない。吊橋建設には多大な資金や完成迄の時間が必要となり、完成の暁にはその地域や国の象徴的土木構造物となる。そんな歴史を刻むインフラ事業に関与出来る日本の技術や実力を誇りとし、更に挑戦を続けたいものである。
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1. ブルックリン大橋 アメリカ |
橋長 ● 1,834 m 中央径間 ● 486 m |
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イーストリバーを跨ぐ本橋は、ニューヨークの観光名所でもある。1883年に完成した本橋について、John Roeblingとその息子Washington Roeblingおよびその妻Emilieによる苦難の建設史は、近代吊橋の祖としての伝説的名声が与えられている。平行線ケーブルを有する近代吊橋は、ここから始まったと言っても過言ではない。現地には、その歴史を刻んだ銘板が設置されている。
2. |
ゴールデンゲイト橋 アメリカ |
橋長 ● 2,737 m 中央径間 ● 1,280 m |
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▲本四・瀬戸大橋の開通で
「姉妹橋」となり、その銘板である |
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米国の吊橋建設の黄金期を代表する吊橋でその優美さにおいて他を圧倒している。Bay Bridgeとともにサンフランシスコ市内と湾を跨いだ北側を結ぶ最重要道路である。堀江健一さんの「マーメイド号」での太平洋横断でこの金門橋が出迎えてくれたことは、50年前の爽やかな出来事であった。
3. タコマ橋(旧&新) アメリカ |
橋長 ● 1,822 m 中央径間 ● 853 m |
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最初のタコマ橋は、開通後4か月で強風のもと落橋。その後1950年に再建された旧橋と交通量緩和のため、2007年開通の新橋は、日本勢が建設従事し、技術パイオニアであるアメリカへ恩返し出来た呈でもある。更に交通量増加により新旧で東行、西行と分離供用は珍しい。
4. 明石大橋 日本 |
橋長 ● 3,911.1 m 中央径間 ● 1,991 m |
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世界一の吊橋。10年の歳月を費やし、1998年に供用開始。建設中の阪神淡路大地震に耐え抜いた多くの技術は、以後世界の吊橋建設の基になっている。
世界初の「三連吊橋」。強潮流の来島海峡で桁ブロックを直下吊して架設するという困難を克服し、1999年に本四Eルートのオープンに合わせて完成した。
6. 若戸橋 日本・北九州市 |
橋長 ● 627 m 中央径間 ● 367 m |
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我が国初の長大吊橋として昭和37年完成し、後の関門橋や本四架橋等のお手本となった。交通量の増加で大幅な改造工事も施工され、今後はブルックリン橋の維持保守法を参考し更なる長命化を目指す。
7. 上吉野川橋 高知県・早明浦ダム |
橋長 ● 321.6 m 中央径間 ● 250.8 m |
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本四架橋のモデルとして、ワイヤ工事は上流・AS工法、下流・PWS工法が試験的に採用された。日本橋梁建設協会も50周年のパンフでこの橋を取り上げ、<100年橋梁を目指す>との指針を掲げている。
8. 第一・第二ボスポラス橋 トルコ |
第一 橋長 ● 1,510 m 中央径間 ● 1,074 m
第二 橋長 ● 1,510 m 中央径間 ● 1,090 m |
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▲第一橋 |
▲第二橋 |
イスタンブールの欧州側とアジア側を結ぶ大道脈であり、現在、第一橋・第ニ橋ともに、建設した日本のグループがメンテナンス工事を施工中である。今後も長大吊橋の計画が多々あり、日本の活躍が期待されている。
9. マタディ橋 ザイール |
橋長 ● 722 m 中央径間 ● 520 m |
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日本のODAにて建設され、1984年に供用開始。道路鉄道併用橋として建設された。現地で活躍された日本人技術者の著書「キンシャサ日記」は当時の現地事情含め、必読をお勧めする。
10. 広安大橋 韓国 |
吊橋部 ● 900 m 中央径間 ● 500 m |
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日本の技術支援にて2003年に開通。釜山の交通渋滞の解消とともに、広安ビーチの眼前に位置し、釜山観光の目玉の一つになっている
11. 蔚山大橋 韓国 |
単径間吊橋:中央径間 ● 1,150 m |
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ウルサン港を跨ぐ本橋は、北側の工業地帯と南側の市内を結ぶバイパス道路であり、今後の蔚山市の発展に大きく寄与すると期待されている。2015年4月開通予定。
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(Up&Coming '15 新年の号掲載) |
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