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連載 【第10回】
COVID-19にならないための
統合医療によるセルフケア |
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関西医科大学卒業、京都大学大学院博士課程修了、医学博士。マウントシナイ医科大学留学、東京慈恵会医科大学、帯津三敬塾 |
クリニック院長を経て現職。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本心療内科学会上級登録医・評議員、日本心身医学会専門医、日本森田療法学会認定医。日本統合医療学会認定医・理事。日本ホメオパシー医学会専門医・専務理事。日本人初の英国Faculty
of Homeopathy専門医(MFHom)。2014年度アリゾナ大学統合医療プログラムAssociate Fellow修了。『国際ホメオパシー医学事典』『女性のためのホメオパシー』訳。『妊娠力心と体の8つの習慣』監訳。『がんという病と生きる
森田療法による不安からの回復』共著など多数。 |
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19:coronavirus disease 2019)では無症状のまま経過する人が、ドイツの報告では2割ぐらいだとされています。私たちは日常、風邪などの感染症に罹る時には免疫力が低下しているからと理解しています。「人」の免疫力の低下はCOVID-19の発症につながっていきます。免疫には大きく分けて生まれながら持っている自然免疫と、さまざまな抗原を体内に取り込むことによる獲得免疫があります。統合医療は受け手である「人」を全体としてみる医療であり、「人」の免疫力に働きかける医療でもあるのです。今回はCOVID-19にならないために、免疫力を維持し、低下させないために統合医療の視点で、食事・運動・睡眠・メンタルケア・呼吸法・サプリメントなどのポイントをまとめてみました。
自然免疫と獲得免疫
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免疫には大きく分けて自然免疫と獲得免疫があります。病原体が体内に入ると免疫反応が起こり、好中球やマクロファージ、NK細胞などが働きます。このような抗原非特異的な反応を自然免疫といいます。抗原とは免疫系が認識できる分子です。病原体が体内に入って自然免疫で対処しきれなかった時に、入った抗原に対して特異的に反応するのが獲得免疫です。そのとき体の中で起こった免疫反応の特徴を、特定の細胞が記憶すること(免疫記憶)によって新たな免疫機能を獲得し、次に同じ抗原が体の中に侵入したときには防御する仕組みになっています。さらに獲得免疫は液性免疫と細胞性免疫があります。自然免疫と獲得免疫はともに加齢によって低下しますが、獲得免疫の機能は20代がピークで40代には半分に低下するとされています。さらに種々の疾患によって好中球の減少や、細胞性免疫障害や液性免疫障害などから免疫機能の低下が起こります。また自然免疫は、自律神経や内分泌と同じようにストレスや環境に影響を受けています。そのため免疫力を維持し、低下させないために重要なことは、日々の生活におけるストレスマネジメントにつながります。 |
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1 抗炎症食&日本食をとりいれる
- バランスの良い日本食を活用
- “いろどり”で献立を考える:野菜中心にカラフルな料理
- 自然の恵み 旬のものを取り入れる、キノコも積極的に取り入れる
- 食事中のオメガ3脂肪酸を増やす:イワシ、アジ、サバなどの青身魚をとる
- 油はサラダ油やゴマ油を減らし、エゴマ油、アマニ油やオリーブ油(オメガ9脂肪酸)を使う
- 発酵食品を毎日とる: 納豆、みそ汁、酢の物
- 薬味を使う: にんにく、ショウガ、ネギなど
2 適度の運動をつづける
- 毎日の筋トレとして10回のスクワット3クールをウォーキングの前に行うと効果的
- 1日10分程度を3回、毎日10000歩を目標
- 脚は伸ばし、歩幅はできるだけ広くとって、かかとから着地する:大股で早歩きする
- 朝出勤時に最寄り駅のひと駅手前で降りて歩く。昼休みランチを食べた10分歩くなど
- 排気ガスの多いところを歩くのはできる限り避ける
- 緑の中を歩く:5分間のグリーン・エクササイズという緑の中の運動
3 良い睡眠をこころがける
- 午後11時から翌日午前6時までの7時間の睡眠がベスト
- 就寝と起床の時間を規則正しくし、寝床は暗いところで点滅する光がないようにする
- 体内時計の周期を考え、起床時明るい光、特に太陽の光にあたる
- 夕食は抜かない、就寝時間の1時間以上前にすませる
- カフェインやアルコールを摂りすぎないようにする
- 寝る前に避けること: テレビを見ること、コンピューターで仕事をすることなど刺激すること
- リラックスできる本を読むか、静かな音楽を聴く
4 こころの緊張をほぐす
- COVID-19の情報を正しく選択すること 適切な情報の交換
- 不安や恐怖をもつのは自分だけではない、周りの人も同じであること
- 不安は心の防衛機制でもあり、強いストレスによって不安があるのはノーマルな反応
- 不安は自分で抱え込まない: 他の人に話すことや泣いたりすることで軽減する
- イライラや怒りのエネルギーは身体をうごかすなどの行動で変換する
- コミュニケーションをとる: 自分は一人でない、孤独ではないと思える
- できるだけ日常生活を続ける: 毎日のルーチンワークをする
- 規則正しい生活をする: 睡眠、食事の時間はいつも通りにする
5 4・7・8呼吸によるリラクゼーション
- 頭の中で1〜4数えながら鼻から息を吸い、1〜7数えながら息を保ち、1〜8数えながら口から息を吐く
- 吸気と呼気の長さは、数を数える速さによって異なります。吸気より呼気は2倍長いのがポイント
- どんな姿勢でもできますが座ってやる場合、背筋を伸ばす
- できれば腹式呼吸:おへその5cmほど下にある丹田を意識して、息を吸うときにおなかを膨らませて、息を吐くときにおなかをへこませて呼吸
- 1日2回定期的にやる。自律神経系を静めるために大切なのは、定期的にやること
6 おすすめのサプリメント
- ビタミンD:1,000 IU/日
- ビタミンC:1,000-2,000mg/日
- 亜鉛:13-20mg/日
※詳しい情報は日本統合医療学会(http://imj.or.jp/)『新型コロナウイルス感染拡大の中で、一人ひとりが自宅で取りくめる統合医療によるセルフケア』を参照してください。
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(Up&Coming '20 盛夏号掲載) |
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