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新しいまちづくりのアイデアを交流!
Virtual Design World Cup 第1回ワークショップ
「BIM & VRに興味を持つ仲間が出会い、実際に現地に出かけ、新しいまちづくりのアイディアを交流します。お互いの創作意欲を刺激しあいませんか?」。
このようなコンセプトのもと、実行委員長の池田靖史氏によるあいさつを皮切りに、第1回目となるVirtual
Design World Cup のワークショップが開催されました(2011年 5月 13日)。
今回の3DVRエンジニアリングニュースでは、その模様を紙面でレポートします。 |
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▲実行委員長の池田靖史氏よりあいさつ |
「このワークショップとUC-win/Roadの活用で、まちづくりの楽しさと重要性を感じ取ってほしいと思います」とは、実行委員でありワークショップ講師を務める傘木
宏夫氏(NPO地域づくり工房代表)が開催のあいさつの中で述べた学生たちへのメッセージ。
第1回となった今回のワークショップの参加者は全10名。傘木氏の提案により、まずは「東京出身(3名)」、「東京以外の関東5県出身(4名)」、「それ以外の地域出身(3名)」、というグル―プに分かれた上で、自己紹介を行いました。
このコンペティションは建築、土木、情報工学など幅広い分野からの参加を募っていることもあり、学生は自己紹介を通して自分とは異なる専門分野の学生と交流し、短い時間ながら興味深く情報交換を行っていたようでした。
「同じ大学や友達同士で参加してかたまっていると、どうしても偏ってしまうので、シャッフルしてみると面白いですよ」と傘木氏。参加者の人数やバックグラウンドに応じて、臨機応変にワークショップをアレンジして行きます。
同氏はさらに、渋谷への親しみ度を3段階に分けたパネルをその場で作成し、自分に当てはまる所へ集まるように提案。学生の移動が終わると、「渋谷にかなり詳しい(1名)」、まあまあ詳しい(6名)」、「ほとんど知らない。馴染みがない(3名)」という内訳になりました。
このように、結果として人数にもかなりばらつきがあったため、傘木氏の誘導により、コアメンバーにプラスして他のグループからの移動でバランスをとりつつも、最終的には渋谷に詳しい順番にA→B→Cという傾向のチーム分けとなりました。
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▲図1 各チームの歩いたエリアマップと順路 |
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1:出発にAチームの打ち合わせを傘木氏がフォロー |
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2:Bチームは渋谷駅東口のタクシープールを通り抜け、建設中の渋谷ヒカリエへ |
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3:セルリアンタワー前、公開空地の掲示について立ち止まって説明 |
「渋谷は起伏が激しく地形の変化が大きな街。視点を自由に変えられるUC-win/Roadを活用して、
実際の目線で空間の高さを感じ取りながら検討すると、イメージしやすいし面白いと思います」
(ワークショップ講師・傘木宏夫氏)
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4:渋谷のシンボル、ハチ公前にて |
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5:渋谷に馴染みのないCチームは真っ先にスクランブル交差点へ |
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6:ワークショップで使用の渋谷モデルはVR-CloudTMにて公開中 |
チーム編成が完了すると、各チームで任意に場所を選んで現地を歩いてもらうようにと傘木氏より説明が行われました。さらに、事前に移動中の電車の中で作戦を立てておくということ、現地を見てもらうときに各自の携帯電話で気になったものの写真を撮影し、コンペティションの専用アドレスに送るようにということも学生に伝えられました。「何かを作ったり計画したりするという場合には、何らかのポテンシャルやニーズを感じ取って作るものです。ペデストリアンブリッジというテーマを触発するような事象を撮影してみてください。簡単なコメントと一緒にアドレスに送ってもらって、ランチミーティングでそれを見ながらみんなで話しましょう」(傘木氏)
各チームは渋谷西口から10時45分に出発し、約1時間かけて思い思いに渋谷の街を歩きました(図1)。
傘木氏は、比較的渋谷に詳しいメンバーで構成されたAチームに同行。Aチームはまず、西口歩道橋を渡って桜丘の坂を登り切り、渋谷らしい起伏に富んだ地形を実感。傘木氏は「今このぐらいの高さだと歩道橋の上の目線と同じくらいになりますね」と、渋谷の地形における目線の高さを学生に意識させるように伝えていました。
続いて同チームが通過したセルリアンタワーでは敷地が公開空地となっており、その掲示を発見した傘木氏が立ち止まって学生に説明。実務的な話とあって、全員興味深そうに聞いていた。「(公開空地の掲示を指して)これは建築基準法に基づいた総合設計制度によるもの。公開空地の有効面積に応じて、建物の容積率の割り増しや高さ制限の緩和が受けられるので、都市に緑地を作る手段として有効なんです」(傘木氏)
最後に再び歩道橋に戻ってきて駅の周りが見渡せるところに来た際には、それまでに見てきたものや気付いたことなどを踏まえたアドバイスが傘木氏から学生に行われました。この時点で、学生は計画の提案について大きなヒントを得ていた様子。傘木氏は、歩道橋上から見える高架の上方にあるマークシティの屋上緑化を指して、「たとえば、さっき説明した公開空地の制度を利用して、駅のまわりの高架の上を全部緑地にするなどといった大胆な計画も面白いと思いますよ」と、具体的なヒントを述べていました。
それぞれ異なる順路を回った3チームですが、建設中の「渋谷ヒカリエ」と完成後の未来の渋谷のイメージに対する強い興味は共通していたようです。
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「今回歩いてみて、買い物や遊びに来る時と違った、“つくる側からの視点”で渋谷を見ることが
できるようになったと思います。今日気づいたり考えたりしたことをヒントにして、
次回の提言づくりに生かしていってほしいですね」 (傘木氏)
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ランチミーティングで挙げられた学生からの提案
●Aチーム
- 西口の歩道橋などは普通に歩いていても揺れるので、災害対策を考えたデッキにしたい。
細い歩道橋の集まりではなく、1つの大きな広場としてデッキを作ってみてもいいかもしれない。
- 歩道橋を単純にかけると光を遮ってしまうという問題が起こるので、ガラス用いて光を取り入れてはどうか。
●Bチーム
- これから完成するHikarieなど駅の周りにガラス張りのデザインのものが多い。
歩道橋をガラス張りにすると景観を統一できるのでは。
●Cチーム
- ハチ公前のスクランブルなどは、お年寄りにとっては渡るのが大変。
真中に大きな支柱を立てて、スクランブルの上を大きなデッキにし、人と車を分離したらどうか。
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午前中の現地調査の後は、渋谷駅西口前の東急プラザにて昼食をとりながらのランチミーティングが行われました。傘木氏の進行のもと、まずは各自どのように感じたかについて感想や意見を交換。さらに、携帯電話から専用アドレス宛てに送った渋谷の街の写真を見ながら総括が行われました。
「それを作ることによって何が今と変わるか、人の流れや街の使われ方がどう変わるかを提案できると、地域の人たちとの運動と結びつくかもしれませんね」と傘木氏。また、学生からの提案で挙げられた災害対策について触れ、ハザードマップの参照や作成を行うことについてアドバイスをされていました。
「環境アセスメントでは“微気象”」というものを扱うことがあります。渋谷には大気汚染の常時測定器がありますので、そのデータを調べてみるものよいでしょう。たとえば、作成したデッキの下の排気ガスが濃くなってしまう場合もありますから、うまく風の道を通して空気が滞留しないようにする必要があります」(傘木氏)。
ミーティングの最後、傘木氏は第2回ワークショップ(6月27日)のテーマである「提言づくり」や今後の課題制作を踏まえて次のように締めくくりました。
「ここにいらっしゃる学生のみなさんの本当のライバルは、今日一緒に現地調査をした仲間達ではなく、海外からの応募者だと思います。わたしは3D・VRシミュレーションコンテストの審査員を務めていますが、UC-win/Roadを使った作品は、最近では海外の方が大胆で面白くなってきています。みなさんもぜひ思い切った提案をしてください」
●第3回 ワークショップ開催予定
「設計-VR作成方針の検討、IFCデータの活用」 ● 日時: 7月22日(金)
9:30-12:00 |
ワークショップで使用した渋谷モデルをVR-Cloud(TM)で閲覧
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(Up&Coming '11 盛夏の号掲載) |
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