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■■■■
■ Webマガジン「新・新潮流を探る― 土木・建設、交通・環境分野の情報化」
■■■            2012年4月24日
http://www.wsolutionsjp.com/
■ ライティング・ソリューションズ 
(月刊「橋梁&都市PROJECT」(発行:橋梁編纂委員会)契約記者)

●―――――――――― [Webマガジン編集室] ─――──────●

国土交通省直轄事業に関してはほぼ定着した感があり、通常の行政ベー
スで運用されてきているCALS/EC(公共事業支援統合情報システム)。一
方、国から地方へとその段階的な展開が進む中で、当初想定されたほど
社会基盤情報の多様な利活用に繋がっていない反面、その割に細かな規
定がなされていることによる作業者側の負担感の問題が顕在化。今後、
とくに規模の小さな地方自治体へのCALS/EC展開が見込まれるのに向け、
それらの実情に即した標準のあり方が改めて問われてきています。

ライティング・ソリューションズのWebマガジン(「新・新潮流を探る」
http://www.wsolutionsjp.com/)最新号では、「社会基盤情報標準化委員
会」(委員長:東京大学空間情報科学研究センター・柴崎亮介教授)の事
務局を務める日本建設情報総合センター(JACIC)標準部長の秋山実氏に
取材。計画期間の半ばを経た現行の「社会基盤情報標準化推進計画2010
-2012」にフォーカスし、浮かび上がる標準化の現状と課題、クラウド・
コンピューティングなど先進のICT(情報通信技術)の活用も視野に入れ
た新たな展開方向などに迫りました。

もう一つは、自転車を中心とする交通安全や交通計画に関する研究に取
り組む徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部の山中英生教授に
取材。同氏が学内外の研究者・学生らと連携して進める研究の現状、そ
の過程で開発したVR技術を駆使する自転車シミュレータ、その先の研究
展開などについて紹介します。

●─────────────────────────────――●

=◆ トピックス― 2011年10月号「新・新潮流を探る」 ◆=

□「転換点に立つ社会基盤情報の標準化:国から地方への展開、震災復
興、新たなニーズも視野」((一財)日本建設情報総合センター)
□「視認性考慮した中速モード向け情報伝達技術の研究をリード:VR技
術活用の自転車シミュレータを導入、広がる実験の可能性」(徳島大学)

=◆ トピックス ◆=
─────────────────────────────────
□「転換点に立つ社会基盤情報の標準化:国から地方への展開、震災復
興、新たなニーズも視野」((一財)日本建設情報総合センター)
http://www.wsolutionsjp.com/201110CALSjacicAkiyama.html
─────────────────────────────────

建設省(当時)が「公共事業支援統合情報システム(建設CALS/EC)研
究会」を設置。同省直轄事業を対象とする建設CALS/ECの構築に向けて
本格的な調査・研究に着手したのは1995年。翌1996年度には「建設CALS
整備基本構想」が策定され、2010年度を最終目標年度とする「21世紀の
新しい公共事業執行システム」(CALS/EC)を確立するとの整備目標が描
かれました。

その後、同省(2001年の省庁再編後は「国土交通省」)はCALS/ECを具体
化するに当たり、期間を定めて実施計画を示すアクションプログラムを
逐次策定。そのうち「国土交通省CALS/ECアクションプログラム2008」
(計画期間2008年度〜2010年度)では、基本構想でCALS/EC実現の目
標年度とされた2010年度までがカバーされました。

これらに沿って、同省直轄事業を対象とするCALS/ECの仕組みとして必
要とされたフレームワークはある程度形成されてきました。しかし、国
に続く地方自治体におけるCALS/ECは今なおそのレベルに達しておらず、
とくに後者で使いやすい形の仕組み構築の推進が次なる課題と位置づけ
られています。

このCALS/EC確立に向けた取り組みでカギとなるのが、「建設情報に係る
標準化ビジョン」(2000年策定)を受けて同年、JACIC内に設置された「
建設情報標準化委員会」(2008年度から「社会基盤情報標準化委員会」に
改称)による活動です。

標準化委員会は、2001年以降、標準化ビジョンに基づき三箇年ごとに設
定する推進計画に従い、CALS/ECに必要な各種電子納品要領やCADデータ
交換標準、情報共有システムの機能要件などの策定に携わってきました。

ただ近年は、直轄事業向けCALS/ECで使われる標準類を国交省が自らつ
くっていく形へと移行。そこで、現行の「社会基盤情報標準化推進計画
2010-2012」(計画期間2010年7月〜2013年6月)ではCALS/ECの地方展
開を視野に、過大な面がある国のスペックに対し、地方自治体のニーズ
にマッチした柔軟かつ広範にカバーできる標準類を目指す方向へと転換
してきています。

具体的には、まず地方自治体のニーズを精査。それを基に従来の電子納
品要領を見直し、たとえば、市町村が電子納品を導入するに当たっては
PDFやCSVなど扱いやすい形式から始め、その後、データ再利用に適した
SXFやXML形式に移行する。あるいは電子納品の際、エラー修正を多く発
生し、作業者の負担感を増す要因となっているCAD製図基準を相互運用
性に影響のない範囲で見直す ― などの取り組みが意図されています。

同委員会の下には大きく、電子成果利活用小委員会とCAD/データ連携小
委員会を設置。前者では、電子納品要領の見直しを中心に、市町村レベ
ルでの導入が容易な電子納品の仕組みや納品されたデータが利活用され
る仕組みなどの検討を実施。後者では、データの再利用を確保しつつ負
担感のないCADデータの作成を可能にする仕組みを検討。併せて、各小
委内にはテーマを特化して検討するWGやSWGも組織されています。

また、従来のように標準をつくるだけではなかなか効果が現れない。標
準を適用するにはツール類をはじめ教育・普及活動、業務プロセスの変
更など、標準に関連するさまざまな取り組みも必要 ― との観点から、
標準化委員会あるいはJACIC標準部の自主的な活動として、それらに広
く対応していこうとの発想が現行計画には込められています。

たとえば、データの交換と連携に関する活動では、3次元データやプロダ
クトモデルの交換標準の検討も重要との認識を示しつつ、ややトーンダ
ウン。それらについては当面、基礎技術の開発を自主研究に委ね、標準
化委員会としては標準化課題が生じてきた段階で改めて取り組むことと
し、むしろCAD製図基準の見直しにウェートを置く形になっています。

加えて、それまで大きな枠組みの試み故に当初目指したレベルの成果に
なかなか至らなかったコード類に対しては、SWGを設置。個別のテーマ
に焦点を当てつつ、社会基盤に関わる事業のライフサイクルにわたり利
用可能な位置情報や共通コードをキーとして、電子納品データなどと連
携する仕組みの検討が進められています。

2011年3月の東日本大震災以降、標準化され、情報化された社会基盤情
報の有用性とともに、BCP(事業継続計画)の重要性が改めて注目されて
きました。そうした観点から、社会基盤情報や電子納品されたデータを
確実に保管・再利用する上で、クラウド・コンピューティングやモバイ
ル機器など先進のICT利用の可能性が期待されています。

そこでJACICでは、モバイル・コンピューティングの利用によるデータ
のバックアップ、モバイル機器を利用した電子納品データの効率的かつ
効果的な活用に着目。併せて、現行の推進計画における地方自治体を主
なターゲットとしていくとの方針を反映。それらICTを連携した実験的
なシステムについて地方自治体などに呼び掛け、共同研究していく考え
といいます。さらにその過程では、標準化委員会にも報告。助言を得な
がら進めていきたいとしています。


─────────────────────────────────
□「視認性考慮した中速モード向け情報伝達技術の研究をリード:VR技
術活用の自転車シミュレータを導入、広がる実験の可能性」(徳島大学)
【近日掲載予定】
─────────────────────────────────

現在は引き続き、徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部の山中
英生教授取材に基づき、同氏らが取り組む自転車用サインに関する研究、
その過程で開発してきた自転車シミュレータにフォーカスした記事の執
筆を進めております。

本記事は近日中に完成次第、アップ致します。

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Webマガジン
「新・新潮流を探る ― 土木・建設、交通・環境分野の情報化」
http://www.wsolutionsjp.com/
ライティング・ソリューションズ 池野隆

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