■■■■
■ Webマガジン「新・新潮流を探る― 土木・建設、交通・環境分野の情報化」
■■■ 　　　　　　　　　　 2011年 7月14日
■ http://www.wsolutionsjp.com/
■ ライティング・ソリューションズ　
（月刊「橋梁＆都市PROJECT」（発行：橋梁編纂委員会）契約記者）


●――――――――――　[Webマガジン編集室]　─――──────●

多様な空間解析手法の中からIsovistに注目。3D Isovistを試行するた
め、UC-win/Road向けプラグインを開発。そのベースとなるレイトレー
シングを実際の建設現場に応用していこうとの構想を描くマテゥー・ス
ウォーツ氏。

パウロ・フィアマ氏はイタリアの歴史的な都市の中心市街地で駐車場の
建設が計画されたのを背景に、シミュレーション技術を駆使。当該施設
のデザインのみならず、その構築環境との相互作用をモデル化し、さま
ざまなアングルからメリットや影響などをより的確に検討しようとの取
り組みについて紹介しています。

ライティング・ソリューションズのWebマガジン（「新・新潮流を探る
」http://www.wsolutionsjp.com/index.html）最新号は、引き続き「第
4回 国際VRシンポジウム」（フォーラムエイトが「FORUM8 Design
Festival 2010-3Days」の一環として2010年11月18日開催）のWorld
16（代表：小林 佳弘・アリゾナ州立大学計算・情報・意思決定工学部
プリズム研究所研究員／FORUM8 AZ代表））による研究成果発表のリポー
ト記事を掲載しています。

●─────────────────────────────――●

＝◆ トピックス― 2011年5月号「新・新潮流を探る」 ◆＝

□「第4回国際VRシンポジウム」リポート（連載）
■＜World16＞発表6「ビジュアル空間解析（UC-win/Roadで点群の可視
化を通じて実現されるIsovist解析）」（ジョージア工科大学）
■＜World16＞発表7「イタリアの歴史的市街地における駐車場問題（イ
タリアの歴史的な都市中心部における人と構築環境との相互作用をデザ
インする）」（ピサ大学）

＝◆ トピックス ◆＝
─────────────────────────────────
□「第4回国際VRシンポジウム」リポート（連載）
■＜World16＞発表6「ビジュアル空間解析（UC-win/Roadで点群の可視
化を通じて実現されるIsovist解析）」（ジョージア工科大学）
http://www.wsolutionsjp.com/201105VRworld1605Swarts.html
─────────────────────────────────

World 16の6番目の研究発表は、ジョージア工科大学建築学部研究員の
マテゥー・スウォーツ氏による「ビジュアル空間解析（UC-win/Roadで
点群の可視化を通じて実現されるIsovist解析）」です。

同氏らは同プロジェクトに当たり、UC-win/Road SDK（開発キット）を
使い、Delphi 2007でプラグインを開発。そのプラグインを通じて、
UC-win/Roadの空間解析性能を増大させるとともに、その解析結果を可
視化しようとの目標を掲げました。

まず、建築について考える際、空間を扱うという観点から、2Dや3Dな
ど異なる次元の空間における幾何学的形状、物質的性質、あるいは空間
内を移動する時間の経過とともに生じる変化といった要素を列挙。ほと
んどのビジュアル解析では幾何学的形状にフォーカスする形になってい
ると位置づけます。

その上で、エドワード・トールマンの「Cognitive Maps in Rats and
Men」（1948年）内で言及された人とネズミの空間に関する知力の類似性
と認知地図の発想に注目。それに対応する空間解析手法として、数学的
計算を用いながらさまざまなタイプのオブジェクトがいかに関係し合う
かを分析する非言説的なテクニックについて解説。さらに、可視化技術
と連携したビジュアル解析や空間解析へと話を展開します。

スウォーツ氏が注目するもう一つのテクニックは「Isovist（アイソビス
ト）」。これは、M.L.ベネディクトによって定義づけられ、空間上に与え
られた視座からの可視領域を意味します。つまり、街区の一点から360
度の方向に線を放射して描かれる形状を通常、2Dで再現。そこでは時間
を反映した空間の考察も可能になります。

同氏はそのほか、Axial Mapsなどの再現手法、Depth MapやIsovistを利
用したサンプルなどを紹介。3D Studio Maxを使って自ら作成した食料品
店の3Dモデルに対し、照明や棚の配列を変えたりして商品の視認性向上
などを試みた3D Isovist解析の例を別のゲームエンジンを用いてデモ。
さらに、Heightmaps（高さマップ）を利用した2.5D Isovistの例にも触
れます。

一方、同氏らは迷路のようなバーチャル環境内で被験者が同じ場所を出
発し所定の終着点に到達するというタスクを与え、記憶と位置について
考察する実験を実施。そこでは階層的に統合された世界と分散的に統合
された世界とに分け、被験者はそれらを順次ウォークスルーし、2つの
異なるバーチャルな世界をナビゲートすることが求められました。その
結果、階層のない（分散的に統合された）世界では、被験者がなかなか
心の中に地図を描ききれない傾向が想定されました。

また、そうした取り組みを通じ、同氏らは方向転換と距離の評価手段を
取り組むべき統計対象と位置づけ。併せて、それらを制御する他のテク
ニックの開発を目指し、制御された経路ネットワークのアルゴリズムを
構成。そのようなアプローチから、同じ数の経路と同じ道路の長さを持
ち、変数の制御も可能な複数の異なる地図の作成を実現。それを基に、
Depth Mapを用いて接続性の観点から考察したり、統合図を作成して見
ることも出来るとし、その際は統合および接続性の相互の関係が重要に
なるとしています。

都市のナビゲーションをする上で階層がいかに有効かを評価するための
他のテクニックとして、同氏は3D Isovistの試行例を解説。3D Studio
Maxで作成していた3DモデルをUC-win/Roadへエクスポート。一方、
UC-win/Road SDKを使い、UC-win/Road向けプラグインを開発。ベースと
なるモデルにIsovistを生成するため、中央にキャラクターを置き、3D
のレイトレーシングを実施しています。

このプラグインにはなお改善の余地があるとしつつも、同氏はそのメリ
ットに着目。次なるステップでは、レイトレーシング（あるいはIsovist）
の発想を建設現場に応用。建設現場のさまざまな箇所で一定時点のレイ
トレーシングを行い、他の要素を考慮しながらどのエリアが安全か否か
の可視化を目指す計画と言います。

─────────────────────────────────
■＜World16＞発表7「イタリアの歴史的市街地における駐車場問題（イ
タリアの歴史的な都市中心部における人と構築環境との相互作用をデザ
インする）」（ピサ大学）
【近日掲載予定】
─────────────────────────────────

続いて現在、ピサ大学土木工学科アシスタントプロフェッサーのパウロ・
フィアマ氏による「イタリアの歴史的市街地における駐車場問題（イタ
リアの歴史的な都市中心部における人と構築環境との相互作用をデザイ
ンする）」について執筆中です。

建物や街路が密集するイタリア古代都市の中心市街地。そこに駐車場の建
設が計画されたのを受け、同氏らは当該プロジェクトのデザインそのもの
はもちろん、構築される施設とその環境との相互作用をもモデル化してシ
ミュレーション。想定されるメリット、人や車の交通流への影響などを的
確に考慮できるよう目指した取り組みの概要とポイントについて紹介して
います。

本記事は近日中に完成次第、アップ致します。

●─────────────────────────────――●
Webマガジン
「新・新潮流を探る ― 土木・建設、交通・環境分野の情報化」
http://www.wsolutionsjp.com/
ライティング・ソリューションズ　池野隆

●─────────────────────────────――●