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Q&A RC断面計算・3D配筋(部分係数法・H29道示対応) Q&A ('24.11.28)
>> 旧基準製品Q&A


NEW! 更新内容

Q3−23.矩形断面で鉄筋が同量で在ればM-φに方向性は在りませんが、断面において変形な形状もしくは鉄筋量の違う断面においてはM-φに方向性がありこの場合どの方向のM-φを求めているのか?('24.11.28)




目  次
 1.適用範囲、制限事項

Q1−1.RC断面計算Ver8のデータ読み込みは可能か?

Q1−2.平成24年以前の道路橋示方書に準拠した照査は可能か?

Q1−3.鋼板及び炭素繊維シートを用いた照査は可能か?

Q1−4.斜角のある橋脚(小判形)の計算は可能か?

Q1−5.開口部を設けた凹型の断面形状は作成できるか。
 2.入力

Q2−1.材料基準値に新規の材料を追加しても反映されない

Q2−2.プレストレスはどのように入力したらよいのか?

Q2−3.PC鋼材入力項目中の「シース径」は、何の計算において使用されるのか?

Q2−4.鉄筋径と本数を入力したが、Asの値が計算されない

Q2−5.分布長の入力はどのように考えるのか?

Q2−6.円弧部と直線部の交点にある鉄筋は直線部または曲線部どちらに含めて考えればよいか?

Q2−7.BLOCK入力の際のウェブ厚とはなにをさすか?

Q2−8.BLOCK入力の際のねじり係数とはなにをさすか?

Q2−9.有効高の算出方法の違いは?

Q2−10.せん断力を算出する際、Sh:部材の有効高の変化の影響を考慮したせん断力照査の設計はどうすれば良いか?

Q2−11.PC鋼材が配置されている時の作用断面力について教えて欲しい

Q2−12.M-φ曲線においてプレストレス1次力による曲率φp計算スイッチの状態でどのように結果が異なるか?

Q2−13.ひずみ曲線に関する横拘束筋Ah=0の場合のEdesの扱いは?

Q2−14.箱形の形状で、隔壁が入ったものでも設計できるか?

Q2−15.計算実行後、入力データの編集が行えない

Q2−16.入力する値の単位や最大値の制限を変更したい

Q2−17.引張鉄筋範囲で「断面内鉄筋(側方無視)」を指定した場合の側方鉄筋はどのように判定されているか?

Q2−18.主鉄筋の入力で、左右かぶりを別々に設定することは可能か?

Q2−19.断面力に入力する値は、荷重係数を考慮する前と後どちらの値か?

Q2−20.主鉄筋に丸鋼を使用するにはどうすればよいか?

Q2−21.せん断補強鉄筋の鉄筋量Awの入力値はどのように計算すればよいか

Q2−22.釣合い鉄筋量を算出するにはどのように入力すればよいか

Q2−23.準拠基準として道示V、道示Wを選択できるようになっているが、道示Xの応力度−ひずみ曲線を使用するにはどうすればよいか

Q2−24.部材の種類(一般部材/気中部材/水中部材)の設定は可能か

Q2−25.「主鉄筋」の入力時に必要鉄筋量を確認することはできるか

Q2−26.円形断面の主鉄筋を全周ではなく引張側と圧縮側だけに配筋することは可能か

Q2−27.破壊抵抗曲げモーメントの発生位置の入力の目的はなにか。
 3.計算

Q3−1.耐荷性能照査の照査が行われない

Q3−2.「降伏曲げモーメント計算 軸力Nが適用範囲外です。」というメッセージがでる

Q3−3.「破壊曲げモーメント計算 軸力Nが適用範囲外です。」というメッセージがでる

Q3−4.「降伏曲げモーメント計算 コンクリートの圧縮応力度が設計基準強度の2/3を超えています。」というメッセージがでる

Q3−5.耐久性能照査の照査が行われない

Q3−6.耐久性能照査-内部鋼材の防食-「せん断力」「ねじりモーメント」に対する照査が行われない

Q3−7.軸方向鉄筋を考慮した断面諸量の計算式はどのように行っているのか?

Q3−8.小判形での断面諸量のねじり定数をどのように計算しているのか?

Q3−9.矩形断面(充実)と矩形断面(中空)の計算結果がほぼ同一となったが、なぜか?

Q3−10.複鉄筋にて鉄筋を配置する場合、鉄筋の応力は最外縁の応力を表示しているか?

Q3−11.ヤング係数比の取り扱いはどのようにしているのでしょうか?

Q3−12.応力度の結果にて中立軸に「R」表記(単鉄筋でかつ断面力を反転しただけなのに有効高さが反転し応力度が極端に大きくなる現象)されているのですが結果は正しいのでしょうか?

Q3−13.最小鉄筋量は、必要鉄筋量がこれを包括できなければならないものなのか?

Q3−14.円形状の有効高dの内部計算方法はどのように計算しているのか?

Q3−15.RC断面で、鉄筋またはPC鋼材のどちらかが先に降伏したかをアウトプットとして知ることができないか?

Q3−16.RC構造物の初降伏モーメントを計算する際、上縁と下縁のそれぞれについて計算を行いたいが、プレストレスによる軸力と曲げを外力で考えている場合の留意点はありますか?

Q3−17.断面力に得られている初降伏モーメントを入力すると、鉄筋、鋼材、コンクリートの応力度のいずれかが降伏応力になると思いますが、実際はそうなら無いのはなぜか?

Q3−18.降伏モーメントとして、最外縁の鉄筋でなく、PC鋼材が降伏した場合を算出したいのですが?

Q3−19.初降伏モーメントは、PC鋼材のみを入力した場合はPC鋼材降伏時のモーメントか?

Q3−20.初降伏曲げモーメント算出で「厳密に積分」とあるが具体的にどのように計算しているか?

Q3−21.RC断面計算結果の「破壊抵抗、初降伏モーメント」の2つの状態がどの様な状態か、教えてもらいたい

Q3−22.PC箱桁の断面計算で正、負、それぞれの破壊抵抗モーメント、初降伏モーメントを求める事は可能か?

Q3−23.矩形断面で鉄筋が同量で在ればM-φに方向性は在りませんが、断面において変形な形状もしくは鉄筋量の違う断面においてはM-φに方向性がありこの場合どの方向のM-φを求めているのか?

Q3−24.PC断面のM-Φ曲線を求める際のプレストレスの取り扱いはどのようにしているのでしょうか?

Q3−25.部分係数法の計算にて必要鉄筋量の計算がありNGとなるのですが、限界状態1・3は共に制限値に対して余裕があります。鉄筋量を増やす必要があるのでしょうか?

Q3−26.応力度計算に用いるヤング係数比について、限界状態設計法では実ヤング係数比を使用しているのはなぜか?

Q3−27.コンクリートが負担できるせん断応力度の基本値τcはどのように算出されているか?

Q3−28.コンクリートが負担できるせん断力にτcmaxの上限値を考慮せず計算することは可能か?

Q3−29.限界状態設計法にて、せん断耐力計算のβn算出に用いる純曲げ耐力Mudはどのように算出されているか

Q3−30.軸方向鉄筋を鋼板のみ、準拠基準を道示Xとしたデータで「終局モーメント計算 軸力Nが適用範囲外です」というエラーが発生する。
 4.出力

Q4−1.プリントイメージをワード等のワープロ文書に張り付ける方法

Q4−2.限界状態1の結果のみを出力することは可能か?
 5.その他

Q5−1.FRAMEからの連動ファイルを利用する方法は?

Q5−2.登録断面を利用する方法は?




 1.適用範囲、制限事項

Q1−1.

RC断面計算Ver8のデータ読み込みは可能か?
A1−1. RC断面計算Ver.8のデータファイル(*.rc8)を、読込むことが可能です。
旧版データであるRC断面計算Ver.8のデータファイル(*.rc8)を読み込む際には、次のデータの確認および修正が必要な場合があります。
[材料]
 ・旧版で追加された材料やH29道示に記載のない材料は削除されます。
[照査設定]
 ・許容応力度法及び両計算で作成されたデータは部分係数法として読み込みます。
 ・部分係数法として読み込む場合、断面力は全て永続作用支配としてセットします。
※本製品で非対応の断面形状(登録断面)の読み込みには対応しておりません。
但し、RC断面計算(部分係数法・H29道示対応)のデータファイル(.prf)をRC断面計算Ver.8で読込むことは出来ません。
 

Q1−2.

平成24年以前の道路橋示方書に準拠した照査は可能か?
A1−2. RC断面計算(部分係数法・H29道示対応)は、道路橋示方書(H29年)に準拠した計算を行うアプリケーションとなります。
道路橋示方書(H24年)以前の許容応力度計算を行っていただくことはできません。 ご了承ください。
 

Q1−3.

鋼板及び炭素繊維シートを用いた照査は可能か?
A1−3. 本製品は、平成29年道路橋示方書の記載に沿ったプログラム内容となります。
そのため、示方書での記載を確認できない「炭素繊維」につきましては、弊社でも取り扱いが不明のため、対応できない状態となっております。
ご了承ください。
 

Q1−4.

斜角のある橋脚(小判形)の計算は可能か?
A1−4. 本製品では、基本的に左右対称断面について断面計算を行っております。
斜角のある小判形のように左右非対称の断面形状を作成する場合は、任意二軸をご利用ください。

ただし、任意二軸は曲げ応力度計算のみサポートしております。
部分係数法、限界状態設計法に基づいた照査を行うことはできません。
また、任意二軸は入力した座標値を直線で結んで形状を作成するため、円弧部は分割して入力する必要がございます。
 

Q1−5.

開口部を設けた凹型の断面形状は作成できるか。
A1−5. 断面形状を「BLOCK入力」とすることで作成可能です。
任意の台形または円形のブロックを組み合わせて断面を作成したい場合はこちらをご利用ください。
ただし、左右非対称の断面形状を作成することはできません。


 2.入力

Q2−1.

材料基準値に新規の材料を追加しても反映されない
A2−1. 材料基準値にてデータ追加を行っていただいた後、RC断面計算を一度終了していただくことで登録が完了となります。
再度、立ち上げていただいた際には、材料の選択項目から追加した材料を選択できる仕様となります。
 
Q2−2. プレストレスはどのように入力したらよいのか?
A2−2. 「材料タブ-材料種類」で配置するPC鋼材1(PC鋼材2)を選択し、有効応力度を0以上で入力してください。
 
Q2−3. PC鋼材入力項目中の「シース径」は、何の計算において使用されるのか?
A2−3. 断面諸量についての計算結果の換算断面を算出するときに使用しています。
 
Q2−4. 鉄筋径と本数を入力したが、Asの値が計算されない
A2−4. 鉄筋径と本数の入力時のCR(確定)キーにて計算を行っています。
主鉄筋入力画面にAs自動計算を行うかのチェックボタンを設けています。このチェックボタンがチェックされているか調べてください。
 
Q2−5. 分布長の入力はどのように考えるのか?
A2−5. 分布長(幅)は、指定された材料(鉄筋、PC鋼材)を描画する場合の鉄筋の長さとして入力して下さい。この分布長が0.0時には、配筋された鉄筋は正しく描画されません。
配置タイプに従って以下のように分布長を入力下さい。

上縁〜高さ


上下かぶり


左右かぶり


尚、矩形断面の左右かぶり配筋時のみ分布長を計算に使用します。
 
Q2−6. 円弧部と直線部の交点にある鉄筋は直線部または曲線部どちらに含めて考えればよいか?
A2−6. 小判型断面の鉄筋配置は、直線部として入力された鉄筋面積は直線上に一様分布しているとして、また円弧部に入力された鉄筋面積は円弧上に一様分布しているとして取り扱っています。
従って、交差部で鉄筋を重複して扱うことはありませんが、実配筋で交差部に鉄筋が配筋されている場合には、直線部に含めて入力されることをお勧めします。
 
Q2−7. BLOCK入力の際のウェブ厚とはなにをさすか?
A2−7. ウェブ厚とは、平均せん断応力度を計算するために必要なもので、矩形の際には有効幅になります。
ブロック入力などの際には、せん断に有効な幅がどの断面における幅となるか特定できませんので、設計者による入力としております。形状など考慮の上指定下さい。
また、併せてhelpの「平均せん断応力度」を併せてご確認下さい。
平均せん断応力度は、以下の式で計算します。 



ここに、
  τm:部材断面に生じるコンクリートの平均せん断応力度
  Sh:部材の有効高の変化の影響を考慮した部材断面に生じるせん断力
  Sp:PC鋼材によるプレストレスのせん断力作用方向の分力
  b:部材断面幅
  d:部材断面の有効高
従って、ブロック形状(台形断面など)では、寸法入力画面のウェブ厚を入力されていないとbが与えられていないことになり、せん断計算が出来ませんのでご注意下さい。
 
Q2−8. BLOCK入力の際のねじり係数とはなにをさすか?
A2−8. ねじりモーメントに対する検討に用いる値、ねじりモーメントによるせん断応力度に関する係数を設定します。
ウェブ又はフランジコンクリートの圧壊に対するねじり耐力は以下の式で算出します。



ここに、
  τmax:コンクリートの平均せん断応力度の最大値の特性値
  Kt:ねじりモーメントによるせん断応力度に関する係数
BLOCK入力では、「ねじりモーメントによるせん断応力度に関する係数」を内部計算では求められないため直接入力していただく必要がございます。
 
Q2−9. 有効高の算出方法の違いは?
A2−9. 「照査設定-せん断関係-有効高-有効高の算出方法」のスイッチに従いそれぞれ、以下のように計算いたします。
・d=(ΣAs・σ・d)/(ΣAs・σ):曲げ応力度を計算し、その応力勾配を加味して決定します。
・引張鉄筋の図心位置:圧縮縁から引張鋼材図心までの距離とします。
・任意:任意の値を指定します。

有効高の計算に考慮する引張鉄筋の条件は「引張鉄筋範囲」のスイッチで指定します。
引張鉄筋がない場合は有効高に断面全高が設定されます。
 
Q2−10. せん断力を算出する際、Sh:部材の有効高の変化の影響を考慮したせん断力照査の設計はどうすれば良いか?
A2−10. 本プログラムでは、照査設定タグ(せん断関係タグ)に入力の際「部材圧縮が部材軸となす角度 β」及び「引張鋼材が部材軸となす角度 γ」の入力が可能です。
道示VP.163図5.8.3に従い、考慮される際には、照査設定タグ(せん断関係タグ)に「部材圧縮が部材軸となす角度 β」及び「引張鋼材が部材軸となす角度 γ」の値を入力して下さい。


 
Q2−11. PC鋼材が配置されている時の作用断面力について教えて欲しい
A2−11. 本製品では、PC鋼材が入力されていると、PRC断面として曲げ応力度の算出、あるいはひび割れモーメントの算出で、以下のように補正した断面力M'、N'が作用しているものとして考えて処理しています。



ここに、
  M:曲げモーメント(入力値)
  N:軸力(入力値)
  Pe:PC鋼材による有効圧縮力
  ep:PC鋼材図心の偏心量

一方、降伏曲げモーメントMyc、破壊抵抗曲げモーメントMucの算出では、PC鋼材有効応力度σpe(入力値)から計算される鋼材初期ひずみを考慮しているため、上記の補正した断面力ではなく入力された設計断面力を用いています。初期ひずみと補正断面力を同時に考慮することは出来ません。
Myc、Muc算出でこのように処理している理由は、PC鋼材の応力ひずみ曲線が直線でないために、中立軸を仮定するたびに正確のなひずみ値を計算しなければならないからです。一方、応力度算出では、応力ひずみ曲線が曲線のためにひずみは必ずしも必要でなく、そのためにプレストレス分を他の荷重による断面力と同等に扱い処理を単純化しています。
 
Q2−12. M-φ曲線においてプレストレス1次力による曲率φp計算スイッチの状態でどのように結果が異なるか?
A2−12. M-φ曲線においてプレストレス1次力による曲率φp計算スイッチは、プレストレス1次力における曲率φpをひび割れ曲率に「考慮する」か、「考慮しない」かを指定することができます。
なお、この入力スイッチは、「1次力による曲率φpを考慮する」の状態が、より現実的なM-φ曲線を作成することができる為、このスイッチの初期値は「考慮する」に指定しています。
以下に「考慮する」場合について解説致します。
作用断面力Nd、MdによるPC断面(プレストレスNp、Mp)の応力度は、



逆算してひび割れモーメントは、



Md=Mc時の断面の曲率は、


考慮しない場合には、このφpは考慮されません。
上式のφpによって、現行のM-φ曲線を初期曲率分だけ平行移動させることになります(下図の赤線)。


 
Q2−13. ひずみ曲線に関する横拘束筋Ah=0の場合のEdesの扱いは?
A2−13. 本製品の計算では、Ah=0時には、Edesの値を無限大の値として算出しております。
即ち、「横拘束筋を考慮しない」モデルと同じように取り扱われます。
 
Q2−14. 箱形の形状で、隔壁が入ったものでも設計できるか?
A2−14. 箱形の形状で隔壁が入ったものの計算を行いたい場合は、「ブロック入力」を使用すれば計算できます。ただし、すべての計算が可能ですが断面図の描画がうまくできません。
 
Q2−15. 計算実行後、入力データの編集が行えない
A2−15. 計算実行後は、結果確認モードとなっております。
編集モードに変更していただかないと再編集を行っていただくことが出来ません。
ホームタブを選択し、画面の一番下に「モード:断面照査結果」と表示されている場合、結果確認モードとなります。
ホームタブのリボンメニューより編集モードを選択いただき、編集モードに変更してください。
 
Q2−16. 入力する値の単位や最大値の制限を変更したい
A2−16. 「ファイル」-「オプション」-「入出力フォーマット」にて各入出力値の桁数や単位を変更することが可能です。
最大値の変更も行えますので、ご活用ください。
 
Q2−17. 引張鉄筋範囲で「断面内鉄筋(側方無視)」を指定した場合の側方鉄筋はどのように判定されているか?
A2−17. 「せん断関係-引張鉄筋範囲」にて「断面内鉄筋(側方無視)」を指定した場合は、断面内の側方鉄筋以外の鉄筋のみを引張鋼材とします。
本製品では以下の方法で入力した鉄筋が「側方鉄筋」として判断されます。
  • 配置方法:Type1のとき
    データ入力表の横項目の「配置タイプ」で「左右かぶり」を選択した鉄筋。
  • 配置方法:Type2のとき
    データ入力表の横項目の「分布角」で0度以外の値を入力した鉄筋。
 
Q2−18. 主鉄筋の入力で、左右かぶりを別々に設定することは可能か?
A2−18. 「主鉄筋」タブの配置方法をTypeUとすることで設定可能です。
TypeUでは配置する鉄筋群の中心位置(=分布長の中心位置)を指定します。
以下の手順で、左右の鋼材のかぶりをそれぞれ入力してください。

(1) 左右の鋼材を別々に追加する。
(2) 分布角を90度とする。(鉛直方向に配置されます)
(3) 位置dに断面上縁からの距離、横位置に断面中心からの距離(左側をマイナス、右側をプラス)を入力する。
 
Q2−19. 断面力に入力する値は、荷重係数を考慮する前と後どちらの値か?
A2−19. 「荷重組み合わせ係数」「荷重係数」を考慮した値を直接ご入力ください。
本製品では、入力された断面力の値をそのまま用いて照査を行います。
 
Q2−20. 主鉄筋に丸鋼を使用するにはどうすればよいか?
A2−20. 本製品では、「ファイル」−「オプション」−「材料基準値」にて、任意の材料を追加・編集することが可能です。(材料の追加は、同画面 材料種類下の青い「+」ボタンを押してください。)
材料基準値にて追加した材料は、材料タブで選択可能となります。
また、材料タブにて直接値を変更することも可能です。

ただし、本製品の材料登録では異形鉄筋と丸鋼の区別は行っておりません。
そのため、「主鉄筋」タブにて「As自動計算」にチェックが入っている場合は、径の入力値に応じて以下のように鉄筋量Asを算出しております。
  • 径=呼び径:異形鉄筋として計算
    鉄筋量As=公称断面積×本数
  • 径=呼び径以外:丸鋼として計算
    鉄筋量As=1/4×π×径2×本数
※呼び径=(6、10、13、16、19、22、25、29、32、35、38、41、51)

上記により算出される鉄筋量と異なる値を直接入力する場合は、「As自動計算」のチェックを外していただきますようお願いいたします。
 
Q2−21. せん断補強鉄筋の鉄筋量Awの入力値はどのように計算すればよいか
A2−21. 配筋されるせん断補強鉄筋の断面積の合計をご入力ください。
主鉄筋の周囲を1組で配筋する(1周回っている)場合、鉛直方向の鉄筋は左右2本となるため、鉄筋量Awは2本分の断面積となります。
 
Q2−22. 釣合い鉄筋量を算出するにはどのように入力すればよいか
A2−22. 釣合い鉄筋量の算出に際し、特別な入力は必要ありません。
「断面照査」を実行し、「耐荷性能|個別表示」にてカテゴリを「適用範囲」としてください。
最大鉄筋量の項目として、釣合い鉄筋量の計算結果が表示されます。

ただし、複鉄筋断面の場合は、段毎に入力された鉄筋量の比率を保持したまま鉄筋量を少しずつ変化させ、降伏と終局が一致する鉄筋量を求めます。
入力された鉄筋量の比率によっては、降伏と終局がちょうど一致する鉄筋量が存在しない場合があります。
そのようなケースでは計算結果は表示されません。ご了承ください。
 
Q2−23. 準拠基準として道示V、道示Wを選択できるようになっているが、道示Xの応力度−ひずみ曲線を使用するにはどうすればよいか
A2−23. 照査に使用する応力度−ひずみ曲線は、「照査設定」−「基本設定」にて選択された準拠基準と、「中詰めコンクリートとして適用」スイッチのチェック状態により決まります。
ただし、作用組合せにEQ(地震時の影響)を含み、「塑性化」にチェックがある断面力ケースでは、選択された準拠基準に関わらず、道示Xに準拠した照査を行います。

各設定条件で使用される応力度−ひずみ曲線は以下の通りです。
・道示V
 道示V P.124記載の曲線を使用
・道示W + 中詰めコンクリートとして適用しない
 道示V P.124記載の曲線を使用
・道示W + 中詰めコンクリートとして適用する
 道示W P.301記載の曲線を使用
・EQ考慮&塑性化を期待する
 道示X P.139記載の曲線を使用
 
Q2−24. 部材の種類(一般部材/気中部材/水中部材)の設定は可能か
A2−24. 「照査設定」−「基本設定」の「部材の種類」で設定可能です。
本製品では、「一般部材」「気中部材」「床板を兼用するフランジ」「水中又は地下水位以下(※道示W選択時のみ選択可能)」から選択を行います。
上記の設定に応じて、疲労照査の制限値に「材料」タブの以下の値を使用します。
・一般部材、気中部材:引張応力度(疲労・一般)
・床板を兼用するフランジ:引張応力度(疲労・フランジ)
・水中又は地下水位以下:引張応力度(疲労・水中)

なお、耐久性能照査では、「気中部材」「床板を兼用するフランジ」は気中部材とみなし防食の照査を行います。
「一般部材」「水中又は地下水位以下」では防食の照査を省略いたします。

※RC断面計算(部分係数法・H29道示対応) Ver.4以前は「一般の部材」「床板を兼用するフランジ」「水中又は地下水位以下」から選択を行います。
耐久性能照査では、「一般の部材」「床板を兼用するフランジ」は気中部材とみなし防食の照査を行います。
「水中又は地下水位以下」では防食の照査を省略いたします。
 
Q2−25. 「主鉄筋」の入力時に必要鉄筋量を確認することはできるか
A2−25. 入力画面右の「▲必要鉄筋量▲」を押下することでご確認いただけます。
「必要鉄筋量計算」にチェックがある各鉄筋段について、必要鉄筋量を表示しております。
ただし、限界状態設計法では必要鉄筋量の計算はサポートしておりません。
 
Q2−26. 円形断面の主鉄筋を全周ではなく引張側と圧縮側だけに配筋することは可能か
A2−26. 「主鉄筋」タブにて配置方法を「Type2」、配置タイプを「周状配置」としてください。
「半径」「開始角」「終了角」を入力することで、開始角から終了角までの範囲に均等に配筋されます。
引張側と圧縮側をそれぞれご入力ください。
 
Q2−27. 破壊抵抗曲げモーメントの発生位置の入力の目的はなにか。
A2−27. 破壊抵抗曲げモーメントの発生位置は、鉄筋コンクリート橋脚において、かぶりコンクリートの剥離を考慮した計算を行う場合にご入力ください。
こちらの値は、道示W(中詰めコンクリートとして適用)、又は道示Xに準拠したコンクリートの応力度−ひずみ曲線を用いるときに使用されます。
コンクリートの終局ひずみが発生する位置(断面圧縮縁から最圧縮縁の軸方向鉄筋位置までの距離)を指定することで、発生位置より圧縮側のコンクリートは圧縮応力を分担しないと仮定した計算が可能です。

H29道示Xの以下の記載を参照しております。
P.150 「鉄筋コンクリート橋脚の場合、破壊までの挙動とは、耐荷力を喪失するまでの挙動であり、かぶりコンクリートが剥落し、軸方向鉄筋がはらみ出した後に軸方向鉄筋が破断する等」
P.192 「安全側の配慮と設計における簡便さから、限界状態2又は限界状態3に達するとき(中略)圧縮側のかぶりコンクリートは圧縮応力を分担しないと仮定されている」


 3.計算

Q3−1.

耐荷性能照査の照査が行われない
A3−1. 下記条件が設定されている場合、耐荷性能の照査を行いません。
「照査設定-断面力-作用組合せ」として「13)1.00(D+L)」が選択されている。
※作用組合せ「13)1.00(D+L)」を選択されている場合、「耐久性能照査-コンクリート部材の疲労」についての照査のみ行います。
 
Q3−2. 「降伏曲げモーメント計算 軸力Nが適用範囲外です。」というメッセージがでる
A3−2. 降伏曲げモーメントを算出する際において、入力されている軸力Nが適用範囲外のために正しく計算できない状態です。
この状態は、最引張縁の鉄筋位置(またはεsy発生位置として入力した位置)でεsyが発生するとして計算を進めますが、そのときコンクリート圧縮縁はεcu(=0.0035)を超えないことを条件にしています。超えてしまうとコンクリート破壊になるからです。この条件から計算可能な軸力の範囲が自動的に決まります。この範囲を超えているとメッセージを出してMy0の計算を中断します。
1.入力されている引張鉄筋が多すぎると、それに応じて入力軸力も大きな引張力(N<0.0)になっていないと計算できません。つまり、この配筋状態で、たとえばN=0.0あるいは圧縮力が作用していると、鉄筋が降伏する前にコンクリートが圧縮破壊してしまい、My0は数値が存在しません。
2.上記1. の配筋でMy0を算出したい場合は、圧縮鉄筋、側面鉄筋も入力して(実断面では配筋されているはず)、中立軸から圧縮側の領域に鉄筋が存在するようにすると良いでしょう。
 
Q3−3. 「破壊曲げモーメント計算 軸力Nが適用範囲外です。」というメッセージがでる
A3−3. 破壊曲げモーメントを算出する際において、入力されている軸力Nが適用範囲外のために正しく計算できない状態です。
道示Xの応力ひずみ曲線を使用するとき、終局ひずみεcuの発生位置(かぶりで入力)が大きすぎるとこのエラーが生じます。その場合は側面鉄筋も考慮して計算してみてください。
配筋状態を再度確認して下さい(鉄筋量が少ない場合にも発生致します)。
また、以下の場合も考えられますので、ご確認ください。
道示Xの応力ひずみ曲線を使用するとき、「照査設定−曲げ関係−限界引張ひずみ」にて、「限界引張ひずみ:塑性ヒンジ長から算出」が選択されている。
その場合、下記の値を用いて軸方向鉄筋の引張ひずみを内部計算いたします。
設定項目:
  ・横拘束鉄筋の直径 φ
  ・横拘束鉄筋のヤング係数 E0
  ・横拘束鉄筋の有効長 d’
  ・軸方向鉄筋の直径 φ’
  ・軸方向鉄筋の本数 ns
  ・軸方向鉄筋の最外面からコンクリートの表面までの距離 c0
設定項目の値が適切でない場合もこのエラーメッセージが表示されることがございます。
設定項目の値をご確認ください。
 
Q3−4. 「降伏曲げモーメント計算 コンクリートの圧縮応力度が設計基準強度の2/3を超えています。」というメッセージがでる
A3−4. コンクリートの応力度−曲げ曲線において、設計基準強度の2/3の範囲を超えた圧縮応力度となりました。
「降伏曲げモーメントの特性値にコンクリートの圧縮応力度の適用範囲(設計基準強度の2/3)を考慮する」にチェックを入れている場合は、設計基準強度の2/3となる圧縮応力度に達するときの抵抗曲げモーメントを降伏曲げモーメントとして計算しています。
※道示VP.126-5.5.1「曲げモーメント又は軸方向力を受ける部材」(3)の解説「コンクリートの圧縮応力度が設計基準強度の2/3を超えると〜中略〜コンクリートの圧縮応力度が設計基準強度の2/3に達するときの抵抗曲げモーメントを、降伏曲げモーメントの特性値とすることができる。」
 
Q3−5. 耐久性能照査の照査が行われない
A3−5. 耐久性能照査「内部鋼材の防食」、「コンクリート部材の疲労」を行う場合にはそれぞれ下記の設定を行っていただく必要がございます。
  • 「内部鋼材の腐食」:「照査設定-断面力タブ」において「作用組合せ」を「1)D」としてください。
  • 「コンクリート部材の疲労」:「照査設定-断面力タブ」において「作用組合せ」を「13)1.00(D+L)」としてください。

なお、「気中部材」「床板を兼用するフランジ」は気中部材とみなし防食の照査を行います。
「一般部材」「水中又は地下水位以下」では防食の照査を省略いたします。
 
Q3−6. 耐久性能照査-内部鋼材の防食-「せん断力」「ねじりモーメント」に対する照査が行われない
A3−6. 「せん断力」「ねじりモーメント」の照査を行うためには、下記の設定を行っていただく必要がございます。
  ・「内部鋼材の腐食」:「照査設定-断面力タブ」において「作用組合せ」を「1)D」としてください。
  ・断面力として「せん断力」「ねじりモーメント」の値を入力してください。
  ・せん断力に対する照査を行う場合には「せん断補強鉄筋タブ」にて「せん断補強鉄筋を配置する」にチェックをいれ設定項目に値を入力してください。
  ・ねじりモーメントに対する照査を行う場合には「横方向鉄筋」にて「横方向鉄筋を配置する」にチェックを入れ設定項目に値を入力してください。
 
Q3−7. 軸方向鉄筋を考慮した断面諸量の計算式はどのように行っているのか?
A3−7. RC断面の断面諸量を







上式で、nは鉄筋コンクリートのヤング係数比で、製品ではnの代わりに(n−1)を使用可能です。
 
Q3−8. 小判形での断面諸量のねじり定数をどのように計算しているのか?
A3−8. 小判形のねじり定数Jですが、公式集に記載されている楕円の式にて近似的に計算しています。



ここに、
  2a=B 
  2b=H (B>H)
  入力画面(寸法タグ)に「J算出法」スイッチに従い以下のように算出します。
   0 : 楕円式で算出します。
   1 : 長辺/短辺の比が1.24以上の場合は等積矩形に換算して算出します。
注記)
 ・「J算出法」スイッチは、充実断面時のみ有効です。
 ・等積矩形の換算方法は、短辺の高さ(長さ)を一致させ、長辺の長さで調節します。
 ・1.24未満の場合は、楕円式で算出します。
 
Q3−9. 矩形断面(充実)と矩形断面(中空)の計算結果がほぼ同一となったが、なぜか?
A3−9.

中空の矩形の場合でも中立軸が中空部にかからなければ、中実の断面と同じになります。(引張側のコンクリートは無視されるため)
 
Q3−10. 複鉄筋にて鉄筋を配置する場合、鉄筋の応力は最外縁の応力を表示しているか?
A3−10. 複数段の鉄筋モデル時も、最外縁に位置する鉄筋の応力度を算出しています。
  σsc1,2:鉄筋1,2の圧縮応力度(引張がプラス)
  σst1.2:鉄筋1,2の引張応力度(引張がプラス)
  σpc1,2:PC鋼材1,2の圧縮応力度(引張がプラス)
  σpt1,2:PC鋼材1,2の引張応力度(引張がプラス)
となっています。
「結果確認|耐荷照査結果|個別表示|詳細表示|応力度」にてご確認ください。

なお、鉄筋種類毎の最外縁の応力度を算出していますので、応力度を確認したい鉄筋段のみ「鉄筋2」を使用することで、最外縁でなくても応力度を確認することが可能です。

また、本製品の詳細出力では、応力度の検算用として鉄筋段数毎の応力度の詳細な値を出力しております。
ただし、検算書で確認できる主鉄筋の配筋タイプは上縁からの距離のみです。
 
Q3−11. ヤング係数比の取り扱いはどのようにしているのでしょうか?
A3−11. 本製品のヤング係数比は、「照査設定タグ|曲げ関係タグ」の「応力度計算出力時のヤング係数比」の入力値にて決定されます。この値の初期値は15ですので、もし材料の値(実ヤング係数比)を使用したい場合は、この値を0に指定して下さい。
「応力度計算出力時のヤング係数比」が0の場合は、各材料のヤング係数を使用して内部計算を行いますが、0以外の場合は、入力された「応力度計算出力時のヤング係数比」が他の材質にも考慮されます。(応力度計算出力時のヤング係数比)×PC鋼材(他の鋼材)ヤング係数/鉄筋1のヤング係数と内部計算されます。
 
Q3−12. 応力度の結果にて中立軸に「R」表記(単鉄筋でかつ断面力を反転しただけなのに有効高さが反転し応力度が極端に大きくなる現象)されているのですが結果は正しいのでしょうか?
A3−12. 本製品の中立軸に「R」が表記されると、断面を反転(天地逆転)して応力度を算出しています(天地を逆にした状態で上から測った距離になっていることが確認できます)。
主に断面の下縁側しか配筋されていない状態で大きな引張力と曲げモーメントが作用しているモデルに発生致します。
このようなモデル(力の釣り合いから求まる中立軸位置が想定外の位置となるモデル)では、断面の上縁側に実際に鉄筋が配筋されていないのであればこの単鉄筋モデルの解析結果で正解値ですが、もし配筋されていればそれを入力してください。そうすれば断面上縁側が圧縮となる結果になります。引張力が大きいときは、断面のすべての鉄筋を計算に考慮しないと正しい結果は得られません。この点にご注意ください。
■中立軸の表記説明
 1)中立軸は、コンクリート圧縮縁からの距離です。
 2)中立軸の符号は、中立軸が圧縮縁より下側にあるときは正値、逆は負値と表記されます。
 3)断面の下側がコンクリート圧縮縁となる場合に「R」を表記します。
 
Q3−13. 最小鉄筋量は、必要鉄筋量がこれを包括できなければならないものなのか?
A3−13. 最小鉄筋量は、構造細目などで決定される鉄筋量なので、作用断面力に関係なく初期ひび割れ防止などのために配筋されます。
一方、必要鉄筋量は応力度が制限値以内になるように決められる値で、作用断面力が小さければ値も小さくなります。
このように、算出の考え方がまったく異なりますので、どちらか大きい方の量を配筋すれば両者の設計条件を満足できる断面になります。
以上のようにお考えいただき、配筋設計をされるようお奨めいたします。
 
Q3−14. 円形状の有効高dの内部計算方法はどのように計算しているのか?
A3−14.

例を用いてご説明いたしますと、以下のような考え方で有効高さdを算出し内部設定します。
■条件
 直径D 1.5m  鉄筋径 D22(Aw=3.871cm2)
 かぶり 0.14m 鉄筋本数n=36本

■有効高さの算出
矩形換算後の正方形一辺の長さbは、



鉄筋を帯状換算した場合の厚さtは、断面流心から鉄筋中心位置までの距離をr'とすると



より



断面中心位置から1/4円部分の重心位置xは、上図公式を参照して



よって、



有効高さdは、

 
Q3−15. RC断面で、鉄筋またはPC鋼材のどちらかが先に降伏したかをアウトプットとして知ることができないか?
A3−15. 本製品では、最も引張縁に近い(中立軸から引張側へ遠い)鋼材が降伏したときのモーメントを初降伏モーメントとして算出します。このとき鋼材としては、鉄筋であってもPC鋼材であってもそれに見合った処理をしています。したがって「鉄筋またはPC鋼材のどちらか先に降伏した値」ではありません。このため算出される中立軸の位置を用いて、より内側の鋼材の発生ひずみを手計算で確認することが必要です。
一般的に、PC鋼材は鉄筋より内側に配置されているため、σpeがPC鋼材の降伏点σpyよりかなり余裕があれば、鉄筋が降伏するまでひずみが増加したとしてもPC鋼材はまだ降伏点に達していない可能性が高いと考えられます。その確認として、上記の手計算が必要です。もしPC鋼材が降伏に達していることがわかれば、その計算結果は採用できません。本製品を用いた次の対応策としては、鉄筋量を減らして再計算する以外に方法はありません。
 
Q3−16. RC構造物の初降伏モーメントを計算する際、上縁と下縁のそれぞれについて計算を行いたいが、プレストレスによる軸力と曲げを外力で考えている場合の留意点はありますか?
A3−16. 入力されるモーメントの方向(符号)により上縁下縁の初降伏モーメントを計算できます。
桁上縁側の鉄筋が降伏するときの曲げモーメント(マイナス値)を求めるときは、設計曲げモーメントにマイナス値を、逆に桁下縁の鉄筋が降伏するときの曲げモーメント(プラス値)を求めるときは設計曲げモーメントにプラス値を入力してください。
PC断面でプレストレスを考慮するときは、有効鋼材応力度を入力するだけで良いのですが、この値を入力し、なおかつ軸力と曲げを外力として考慮すれば、ダブルカウントになりますのでご注意ください。
 
Q3−17. 断面力に得られている初降伏モーメントを入力すると、鉄筋、鋼材、コンクリートの応力度のいずれかが降伏応力になると思いますが、実際はそうなら無いのはなぜか?
A3−17. 初降伏モーメントは、鉄筋、鋼材、コンクリートのいずれかが降伏するモーメントですが、その降伏モーメントを与えて応力度を計算しても鉄筋などは降伏応力度にはなりません。これは以下の理由によります。
初降伏モーメントは、「照査設定|曲げ関係|降伏曲げモーメント|発生位置」で指定した位置のひずみがεsyになる曲げモーメントと定義され、計算されます。このとき用いられる応力ひずみ曲線は道路橋示方書に示されている非線形のものであり、応力度計算で仮定している弾性のものではありません。この計算上の仮定が2つの計算(Myc算出とσ算出)で異なるため結果として異なる応力度になります。
 
Q3−18. 降伏モーメントとして、最外縁の鉄筋でなく、PC鋼材が降伏した場合を算出したいのですが?
A3−18. もし、鉄筋とPC鋼材が混在していてかつ、最外縁の材料がPC鋼材の場合には、「照査設定|曲げ関係|降伏曲げモーメント|発生位置」に0.0を入力します。(εsyが0,0以外の場合には断面引張縁からはかった位置(鋼材の有無に関係なく)最引張縁位置に配置された材質の降伏ひずみが生じます)
又、鉄筋が最外縁となるモデルで、PC鋼材を照査したい場合には、以下のように入力して下さい。
1.「照査設定|曲げ関係|降伏曲げモーメント|発生位置」に断面引張縁からPC鋼材配置位置までの距離を入力します。
2.「照査設定|曲げ関係|降伏曲げモーメント|降伏ひずみ εsy」に降伏ひずみの値(0.84*PC鋼材の引張強度/PC鋼材のヤング係数)を入力します。
注意)
PC鋼材1or2を使用しσpe(有効鋼材応力度)を入力してPC1or2の降伏ひずみを指定する場合には上記で算出された降伏ひずみから(σpe有効鋼材応力度/PC鋼材ヤング係数)の値を減算しなければいけません。
 
Q3−19. 初降伏モーメントは、PC鋼材のみを入力した場合はPC鋼材降伏時のモーメントか?
A3−19. PC鋼材が、最引張縁に配置されている場合には、PC鋼材降伏時の初降伏モーメントを算出しています。
複数のPC鋼材を配筋されている場合には、最引張縁PC鋼材の位置でその鋼材の降伏ひずみが生じるとします。
なお、「照査設定|曲げ関係|降伏曲げモーメント|発生位置」の値は、0.0(初期値)指定しているか確認して下さい。
 
Q3−20. 初降伏曲げモーメント算出で「厳密に積分」とあるが具体的にどのように計算しているか?
A3−20. 2次曲線(=2次の多項式)で表される応力曲面と断面で囲まれる体積を離散的に近似することなく被積分関数を直接求め、それをプログラムで使用している」という意味です。
また、コンクリート圧縮合力の作用点位置は



ただし、
  M:中立軸から圧縮側の応力曲面について、微小体積と距離を乗じて解析的に積分した関数より算出
  N:中立軸から圧縮側の応力曲面について、微小体積を解析的に積分した関数より算出
としています。
なお、具体的な資料等については体系的に整理したものがございませんので提供することができません。
 
Q3−21. RC断面計算結果の「破壊抵抗、初降伏モーメント」の2つの状態がどの様な状態か、教えてもらいたい
A3−21. それぞれ以下のような状態です。
  1)コンクリートの圧縮縁が終局ひずみに達するときの曲げモーメント
  2)引張鉄筋が降伏に達するときの曲げモーメント
尚、コントロールするひずみの発生位置を明確にするため、断面力のMは必ず符号付きで入力して下さい。
 
Q3−22. PC箱桁の断面計算で正、負、それぞれの破壊抵抗モーメント、初降伏モーメントを求める事は可能か?
A3−22. 正曲げ、負曲げ共に求めることは可能です。
常に参考値として負曲げの計算を行っております。
「結果確認|耐荷性能照査|個別表示|詳細表示|曲げモーメント・軸力」にチェックを入れ、「曲げモーメント・軸力タブ」にてご確認ください。
 
Q3−23. 矩形断面で鉄筋が同量で在ればM-φに方向性は在りませんが、断面において変形な形状もしくは鉄筋量の違う断面においてはM-φに方向性がありこの場合どの方向のM-φを求めているのか?
A3−23. M-φ曲線は、水平軸回りの正方向(断面下縁が引張)および負方向(断面上縁が引張)の2方向について計算しています。
照査に使用する方向は入力された設計曲げモーメントMの符号を見て判断しています。
すなわち、Mが0.0以上の時は正方向の値を照査に使用し、負方向は参考値として表示しています。
 
Q3−24. PC断面のM-Φ曲線を求める際のプレストレスの取り扱いはどのようにしているのでしょうか?
A3−24. 以下のように取り扱われています。
1)各状態の定義
@ひび割れ時
コンクリートの引張縁が曲げ引張強度σbtaに達した状態
コンクリートの応力度はひずみに比例するものとする。

A降伏時
引張り側のPC鋼材が降伏ひずみεpsyに達した状態

B終局時
コンクリートの圧縮縁が終局ひずみεuに達した状態


2)検討に際しての仮定
@有効プレストレスによるコンクリートの初期ひずみは無視する。

A有効プレストレスによる鋼材の初期ひずみεp0は考慮する。

B簡単のため初期状態における外力は軸方向力、曲げモーメントとも0とする。

C断面の高さをH、上端から鋼材までの距離をdとする。


3)各状態におけるひずみと応力度の状態
下側引張りとする。
@ひび割れ時
コンクリート下端のひずみをεt、下端から中立軸までの距離をX´とする。
コンクリート下端の応力度


コンクリート上端のひずみ


コンクリート上端の応力度


鋼材のひずみ


鋼材の応力度


※プレストレスを考慮しない場合との違い
プレストレスを考慮する場合:鋼材応力度は初期ひずみを考慮した値となる。
プレストレスがない場合:鋼材応力度はひび割れ時のひずみから算出した値となる。

A鋼材降伏時
鋼材のひずみをεpsyとし、上端から中立軸までの距離をXとする。
初期ひずみを考慮すると、鋼材位置でのコンクリートのひずみは(εpsy−εp0)となる。
コンクリート上端のひずみ


※プレストレスを考慮しない場合との違い
プレストレスを考慮する場合:コンクリートのひずみは鋼材の初期ひずみを考慮して算出する。
プレストレスがない場合  :コンクリートのひずみは鋼材の降伏ひずみから算出した値をそのまま使用する。
注記1)「照査設定|曲げ関係|降伏曲げモーメント|発生位置」の入力項目を準備していますが、この入力値により以下のように算出されます。
0.0のとき : 最引張縁鋼材の位置でその鋼材の降伏ひずみが生じるとします。
プラス値のとき : 断面引張縁から測った位置(鉄筋の有無に無関係)に最引張縁位置に配置された材質の降伏ひずみが生じるとします。
注記2)上記の発生位置での降伏ひずみεsyの入力項目を準備しています。この入力値は、上記の「照査設定|曲げ関係|降伏曲げモーメント|発生位置」≠0時のみに使用されます(PC鋼材の場合は、0.84×PC鋼材の引張強度/PC鋼材のヤング係数を指定して下さい)。

B終局時
コンクリート上端の終局ひずみをεuとし、上端から中立軸までの距離をXとする。
鋼材のひずみ


※プレストレスを考慮しない場合との違い
プレストレスを考慮する場合:鋼材応力度は初期ひずみを考慮した値となる。
プレストレスがない場合  :鋼材応力度はひび割れ時のひずみから算出した値となる。
以上は、鋼材が引張側にのみある場合について記述しているが、圧縮側に配置される鋼材についても初期ひずみを考慮すればよい。
注記)「照査設定|曲げ関係|破壊抵抗曲げモーメント|発生位置」(断面上縁から最圧縮縁の軸方向鉄筋位置までの距離))の入力項目を準備していますが、この入力値により以下のように算出されます。発生位置を入力した場合は、求められる中立軸位置は、コンクリート上縁からの距離ではなく、発生位置からの距離としています。
 
Q3−25. 部分係数法の計算にて必要鉄筋量の計算がありNGとなるのですが、限界状態1・3は共に制限値に対して余裕があります。鉄筋量を増やす必要があるのでしょうか?
A3−25. 「RC断面計算(部分係数法・H29道示対応)」では、「道路橋示方書Vコンクリート橋・コンクリート部材編」P.114に記載されている引張応力度の上限(210(N/mm2))を満たす鉄筋量を必要鉄筋量として算出しております。
部分係数法で求める限界状態1,3を満たしている鉄筋量を配置している場合でも、必要鉄筋量はそれ以上となる場合がございます。
照査項目として必要かのご判断は設計者様にて行っていただきますようお願いいたします。
 
Q3−26. 応力度計算に用いるヤング係数比について、限界状態設計法では実ヤング係数比を使用しているのはなぜか?
A3−26. 昭和62年、当社において「限界状態設計法に基づく断面照査プログラム」が開発されまして、その当時の計算処理が現時点の「RC断面計算」にも反映されてきております。
昭和61年土木学会コンクリート標準示方書(設計編)p.74にて、
「「「
7.2応力度の算定
使用限界状態における部材断面に生ずるコンクリートおよび鋼材の応力度の算定は、次の(i)〜(iv)の仮定に基づくものとする。
(i)維ひずみは断面中立軸からの距離に比例するものとする。
(ii)コンクリートおよび鋼材は弾性体とする。
(iii)コンクリートの引張応力を無視する。
(iv)コンクリートおよび鋼材のヤング係数は、それぞれ3章(材料の設計用値)によるものとする。
」」」
と示されており、当社プログラムでは、上記の記載に基づき限界状態設計法での応力度計算には実ヤング係数比を用いることとしました。
 
Q3−27. コンクリートが負担できるせん断応力度の基本値τcはどのように算出されているか?
A3−27. 平成29年道路橋示方書のV編P.160 表-5.8.5に記載の値を使用しております。
コンクリート設計基準強度が規定される範囲内で記載のない値の場合、表に示されるせん断応力度より線形補間して算出します。
また、範囲外の値の場合は、表に示されるせん断応力度の最小値または最大値を使用しております。


 
Q3−28. コンクリートが負担できるせん断力にτcmaxの上限値を考慮せず計算することは可能か?
A3−28. 可能です。
「照査設定」−「せん断関係」タブにて、『コンクリートの負担できるせん断力にτcmax・bw・dの上限を考慮する』のチェックを外してください。
 
Q3−29. 限界状態設計法にて、せん断耐力計算のβn算出に用いる純曲げ耐力Mudはどのように算出されているか
A3−29. 純曲げ耐力Mudは、軸力=0として曲げのみ作用した場合の曲げ耐力です。
ただし、純曲げ耐力Mudの算出時は部材係数γbを考慮せずに計算いたします。
曲げ耐力の計算につきましては、下記ヘルプをご参照ください。
・「計算理論及び照査方法」−「断面照査」−「限界状態設計法」−「曲げ・軸方向耐力」
・「計算理論及び照査方法」−「曲げ軸力による応力度」

ヘルプに記載の通り収束計算を行っているため、算出過程や計算式等をご案内することはできません。
 
Q3−30. 軸方向鉄筋を鋼板のみ、準拠基準を道示Xとしたデータで「終局モーメント計算 軸力Nが適用範囲外です」というエラーが発生する。
A3−30. 「照査設定」−「曲げ関係」−「限界引張ひずみ」にて『任意』を選択し、限界引張ひずみεst2、εst3に直接値をご入力いただきますようお願いいたします。
軸方向鉄筋の限界引張ひずみを考慮せず、コンクリート破壊のみで終局モーメントを計算したい場合は、εst2、εst3に大きい値を設定することでご対応ください。

準拠基準を『道示X』とした場合、耐震性能の限界引張ひずみが必要になります。
塑性ヒンジ長から算出する場合、「主鉄筋」タブに入力された最引張縁にある鉄筋の鉄筋径を計算に使用するため、鋼板のみの断面では計算することができずエラーとなります。


 4.出力

Q4−1.

プリントイメージをワード等のワープロ文書に張り付ける方法
A4−1. プレビュー画面の「ファイル出力」ボタンをマウスで選択すると「テキスト形式」、「HTML形式」、「PPF形式」、「Word形式」のいずれかの形式で保存できます。
注意)
・「PPF形式」のファイルは、同プレビュー画面にて再度読み込み後にプレビュー確認及び出力が可能となります。
・「Word形式」のファイルは、Microsoft(R) Word97以降がインストールされている必要があります。
 

Q4−2.

限界状態1の結果のみを出力することは可能か?
A4−2. 可能です。
出力項目は「レポート」タブにて設定いただけます。
「入力データ出力」「詳細出力」「概要出力」「一覧出力」のそれぞれにつきまして、必要な項目にチェックを入れていただきますようお願いいたします。
 5.その他

Q5−1.

FRAMEからの連動ファイルを利用する方法は?
A5−1. ■「RC断面計算」に連動させる手順について
FRAME側で連動ファイルを作成することにより、FRAME側で解析した断面力の情報を受け渡すことができます。
(1)FRAMEの計算を実行して結果画面を表示
(2)アイコン(RC連動)を押下し、RC断面計算連動設定画面を開く

設定画面では、連動する荷重ケース・部材等を指定し、連動ファイルを作成することができます。 作成した連動ファイルをRC断面計算側で読み込んでください。

■注意点
FRAMEと本製品では、軸力の符号が逆になります(連動ファイルでは自動的に符号を逆転しています)。
まとめますと
M:断面上側が圧縮になるような曲げを正
S:特になし
N:圧縮を正
となります。
 

Q5−2.

登録断面を利用する方法は?
A5−2. 本製品では、FRAME(面内)/マネージャ及びUC-BRIDGE、PC単純桁で作成された登録断面を読み込むことができます。
登録断面ファイル(*.srw)は新規の断面ケースを入力するときのターゲットファイルとしてご利用いただけます。

@ 断面形状選択画面の「登録断面」ボタンを選択すると「ファイルを開く」画面が表示されます。
A 登録断面ファイルを選択し「開く」ボタンを押すと「登録断面」画面が表示されます。
B 「登録断面」画面で、入力に利用する断面データをリストより選択し、「確定」ボタンを押します(複数選択可)。

ただし、UC-BRIDGE及びPC単純桁で作成された数値入力の形状は、寸法データが不明なためRC断面計算ではサポートしていません。
また、ホロー桁(ハンチなし)、箱桁(ハンチなし)は、RC断面計算の仕様に合わせて寸法値を強制的に変更しています。

注意事項
@UC-BRIDGEで作成された「合成T桁」は、B5(場所打ち部)寸法を無視します。
AUC-BRIDGE、PC単純桁で作成された「WT桁」(多主版桁)は、WT桁として変換します。
BPC単純桁、UC-BRIDGEで作成された「矩形(C2)、T桁(S)、横桁用断面1、2、スラブ桁、I桁コンポ」は、RC断面計算では使用できません。
CUC-BRIDGE、PC単純桁で作成された登録断面を本製品の入力データへ取得する場合、タイトル(出力タイトル)は最大20文字までとしています(21文字目以降は削除されます)。




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