3.解析関連 |
Q3−1. |
静的解析、動的解析時の荷重条件はどのような組み合わせで設計可能か? |
A3−1. |
静的解析の場合;dead+static、staticの計算が可能です。
動的解析の場合;dead+static+dynamic、dead+dynamic、static+dynamic、dynamicの計算が可能です。
但し、deadを考慮しない場合、モデル自重による鉛直死荷重が無視されることになりますので注意願います。
尚、ver1.01.00から日本語プラットフォームに対応しておりますので、荷重タイプの定義では
□自重(dead) □静的荷重(static) □動的荷重(dynamic)
の組み合わせ選択を頂くことで可能となります。 |
|
|
Q3−2. |
地震波は最大振幅の前後を取れば良いか? |
A3−2. |
実際に解析に利用する波形としては、地震時の波形全てを利用してもあまり意味はありません。
そのことから、最大となる振幅波形を見極めその前後を利用することで問題はありません。
また、タイムステップを粗く取って地震波データを流して応答値の変動を掴んだ後、地震波データの範囲を選定されるのがよいと考えます。 |
|
|
Q3−3. |
コンクリートの応力ーひずみ関係を示す関数は、どのようにしているのか? |
A3−3. |
ひび割れ発生前のコンクリートの構成則は前川・岡村の弾塑性破壊モデルを採用しており、
これにおいては等価応力と等価ひずみの関係が定式化されています。
(構成則)
σe = E0・K0・εe
= E0・K0・(ε-εp)
σe:等価応力=( ( a・σm )^2 + ( b・τd )2 )^1/2
a = 0.6/fc’ , b = 1,3/fc’ , fc’:最大応力 , σm:平均応力 , τd:偏差応力
εe:等価ひずみ
ε:等価全ひずみ=( ( c・εm )^2 + ( d・γd )2 )^1/2
c = 0.62/εc0’, d = 0.98/εc0’,
εc0’:最大圧縮応力に対応するひずみ , εm:平均ひずみ , γd:偏差ひずみ
εp:等価塑性ひずみ(応力が0と成ったときの等価塑性ひずみ)
E0 = 2, K0:破壊パラメータ
※等価ひずみがそれまでに経験した最大値を越えない限り等価塑性ひずみと破壊パラメータは変化しない。
εp:等価塑性ひずみ K0:破壊パラメータは実験結果に基づき定式化
εp = c・(1-exp(-0.35・ε))
K0 = exp(-0.73・ε・(1-exp(-1.25・ε))) |
|
|
Q3−4. |
地盤種別に応じたせん断剛性G0とせん断強度Suの関係
Su=G0/600 For clay Su=G0/1100 For sand
はどのように決められた値なのか? |
A3−4. |
論文「Ohsaki, Y. : Some notes on Masing's law and nonlinear response and
soil deposits,Journal of the Faculity of Eng.(B), The University of Tokyo,
Vol.XXXV,No.4, 1980」のページ523ページに以下の記述があります。
"In Figs. 8 and 9, a large number of laboratory test results on strain-dependent,
shear modulus ratios for clays and sands, respectively are summarized,
and Figs 10 and 11 show the test results on damping factors which are also
strain-dependent.
On the other hand, the curves in these figures are obtained from eqs. (19)
and (23) by assuming G0/Su=600and 1100 for clays and sands, respectively.
The agreement of laboratory test results and calculated curves is excellent
over the entire level of strains fron=m approximately 0.001up to 1 per
cent."
即ち、多くの実験データと解析結果よりSu=G0/600(clay)、及び G0/1100(sand)の値が求められたものと弊社では理解しております。 |
|
|
Q3−5. |
解析析結果の「Activeクラック」とはどのような状態か? |
A3−5. |
UC-win/WCOMDでは、直交する2つのひび割れ座標系を用いて、合計4方向のひび割れを表現します。
その4方向のひび割れのうち、最初に生じたひび割れに対してまずひび割れ座標系が固定され、これを第1ひび割れ(座標系)と呼びます。そして、第1ひび割れ(座標系)と異なる方向にひびわれが生じると、それにあわせて第2ひび割れ(座標系)が固定されます。
そして、第1ひび割れ(座標系)と第2ひび割れ(座標系)が同時に発生している場合、ひび割れがより開いているひび割れ(座標系)のことを「Activeクラック」と呼んでいます。従って、荷重の状態に応じ、第1ひび割れ(座標系)が「Activeクラック」になったり、第2ひび割れ(座標系)が「Activeクラック」になったりすることになります。
なお、せん断変形は「Activeクラック」に対してのみ考慮されます。もう一方のひび割れ(座標系)である「Dormantクラック」に対しては、せん断変形は考慮されません。このモデル化の妥当性は数値実験結果を通して検証されています。
「第1ひび割れというのは、RCが載荷を受ける際にはじめてコンクリートの主引張歪が、引張限界歪(通常0.01〜0.03%、コンクリートの応力が破壊包絡線に到達した時の主引張歪よりも一般的に大きい)に達した時に発生するひび割れです。その角度は主引張応力の作用方向に直角です。これに対して第2ひび割れというのは、発生基準は同じではありますがその方向が第1ひび割れとの交角が15度以上となるひび割れの事をいいます。」 |
|
|
Q3−6. |
鉄筋の破断(引張強度)については、どのように考えているか? |
A3−6. |
鉄筋破断については考慮しておりません。
本プログラムの構成則では、破断ひずみ相当以上のひずみが生じた場合も、鉄筋の応力は上昇しつづけます。
ただし、アドバンスモードでも最大10%のひずみまでしか対応できません。
これは、それ以上のひずみ領域では、WCOMDの構成則の精度が悪くなる事が考えられる為、制限としております。従って、破断ひずみが10%以上と考える場合は、鉄筋の破断まで計算を行うことは出来ません。 |
|
|
Q3−7. |
要素の応力度は何を表しているか? |
A3−7. |
要素の応力度の表示は、RC要素としての応力度(鉄筋とコンクリートを含む)を表しています。
ガウス点の応力をσとすると力のつりあい式は、
σ=σc+p・σs (σc:コンクリート応力、p:鉄筋比、σs:鉄筋応力)
となります。
"応力度結果"、および"ガウス点での結果"で表示される応力は、上式のσを表示しています。 |
|
|
Q3−8. |
Peak Strain DamageのConsiderable Damaage Criteria:εcを判定するひずみの算出根拠は? |
A3−8. |
Considerable Damaage Criteriaを決めるαの係数の値はベーシックモードではデフォルトとしてα=1.5としており、アドバンスモードでは任意入力を可能としています。
デフォルト値の根拠は、例えば土木学会のコンクリート標準示方書にあるコンクリートの圧縮限界ひずみなどをお考え下さい。
この基準ではピーク時のひずみを2000μ、圧縮限界ひずみを3500μとしています。従って、圧縮限界ひずみはεpeakの1.5倍となるわけです。
ここで圧縮強度を21N/mm^2とすると、HELP”圧縮ピークひずみ”に記載のしている計算式で算出すると、εpeak≒2000μ。従って、圧縮限界ひずみは1.5倍の3500μと考えることができます。ただし、より損傷の大きい状態をお考えならば、α=2とすることもできます。
重度の損傷状態をどのような状態と想定するかをお考えの上、アドバンスモードでは入力ください。 |
|
|
Q3−9. |
ガウス点のひずみについて。 |
A3−9. |
ガウス点のもつひずみには2種類あります.
(1) 「ガウス点の結果」から得られるひずみ
(2) 「ひび割れ結果」から得られるひずみ
(1)は,全体座標系のX,Y,XY方向のひずみと応力成分を表示したものです.
(2)は,ひび割れ面に対し,平行,直交,およびずれのひずみ成分を表示したものです.
従って両者は基準となる座標系が異なります.損傷,破壊基準の判定はAのひずみで行います.
(1) ガウス点の結果から得られるひずみについて
『はじめに』→『UC-win/WCOMDガイド』→『ガウス点での結果』に説明しています.
ガウス点の結果では,全ステップでの平均応力と平均ひずみの関係σxx-εxx,σsyy-εyy,τxy-γxyを確認することができます.
(2) ひび割れ結果から得られるひずみについて
『はじめに』→『UC-win/WCOMDガイド』→『ひびわれ(開き)結果,ひび割れ(ずれ)結果』に説明しています.
ガウス点のひび割れ結果(引張ひずみ、圧縮ひずみ、せん断ひずみ)は,要素毎に,また着目したあるステップでの値しか出力することが出来ません.
「ひび割れ結果」->「着目ステップ指定」を行い,そして「要素クリック」->「数値を添付」と行えば,結果をHTMLファイル等に出力できます.
また,ガウス点のひずみの結果は出力形態にあわせ以下のように分類できます.ご参考にしてください.
■選択した要素のあるステップでの情報を表示,出力するもの
損傷結果(残留)
損傷結果(最大)
ひび割れ(開き)結果
ひび割れ(ずれ)結果
応力度結果
降伏結果
■全ステップの情報を表示,出力するもの
ガウス点での結果 |
|
|
Q3−10. |
重度損傷はヘルプでコンクリートの破壊の補修/修復に対して利用されると書いていたが、重要損傷度の基準はα×εpeakとされるので、コンクリートの圧壊だけに対するものか(引張とせん断破壊を無視)。 |
A3−10. |
重度の損傷はコンクリートの圧縮ひずみのみで判定しており、圧縮損傷の程度を評価していることになります。引張による損傷については、軽微な損傷のみを判定しています。
通常の設計対象となる部材は、せん断破壊するかしないか、そして、しない場合には圧縮力による損傷がどの程度か評価することが重要と考えておりますので、せん断損傷の程度は評価の対象としていません。また、損傷と破壊基準の考え方について以下に解説させていただきましたので参考にしてください。
■軽微な損傷・・・ひび割れ直交方向のコンクリート引張ひずみがεt以上
基本モードでは推奨値(0.1%)が設定されています。
土木学会のひび割れ幅算定式と許容ひび割れ幅等から求めることもできます。従って、使用限界状態の照査に使用することが出来ます。
■重度の損傷・・・コンクリート圧縮ひずみがα×ε’peak以上
コンクリートの圧縮損傷の程度を表しています。 一般に、コンクリート圧縮ピークひずみ:ε’peak=0.2%程度、コンクリート終局圧縮ひずみ:ε’cu=0.2%〜0.5%程度であることから、α=ε’cu/ε’peak=1.0〜3.0程度と考えてます。基本モードでは推奨値(α=1.5)が設定されています。
※軽微・重度、両方の損傷を経験した要素は、最大損傷の表示において重度の損傷が表示されます。
■破壊基準
損傷基準とは全く別に定めるもので、圧縮破壊、引張破壊、せん断破壊、それぞれの破壊基準をひずみで定義します。損傷の有無に関係なく適用されます。ベーシックモードでは推奨値が設定されています。それぞれの破壊基準は、以下の破壊状態を想定するものです。
最大引張ひずみεt・・・引張破壊の基準:コンクリートにひび割れが大きく開く状態
最大圧縮ひずみε’c・・・圧縮破壊の基準:コンクリートが圧縮耐荷力を失う状態
最大せん断ひずみεsh・・・せん断破壊の基準:ひび割れ面のずれが大きくなる状態
これらを適切に定めることで、破壊モードの判定も可能です。また、これらの基準は計算終了の判定基準ともなります。従って、ごく一部の要素が破壊基準に達しても計算を終了してしまいますので、構造全体の限界状態を正しく判定できない場合があります。このような構造物全体系の限界状態の判定を行なう場合は、破壊基準値を推奨値より大きめに設定しておくと良い場合があります。
|
|
|
Q3−11. |
無筋要素と鉄筋比0.0のRC要素は、理論的には同じになるのか?
また、同様のモデルで両者を解析した場合、計算結果にどのような違いが見られるのか? |
A3−11. |
WCOMDでは、「鉄筋の付着作用の及ぶ領域」をRC要素、そうでない領域を無筋要素とすることで、構造物全体の解析精度を高めることができます。
RC要素と無筋要素の違いは、特にひび割れ発生後の引張応力の低下が、RC要素よりも無筋要素のほうが大きくなることです。この違いを表すパラメータとして、“引張硬化/軟化係数”を用いています。基本モードにおいて、RC要素では引張硬化/軟化係数:C=0.4、無筋要素では要素寸法と破壊エネルギーに応じて自動計算し、通常0.4よりも大きくなります。従って、RC要素では鉄筋比を0としてもC=0.4が適用されますので、無筋要素と比べるとひび割れ発生後の引張応力低下が無筋要素よりも小さくなります。 |
|
|
Q3−12. |
出力される断面力は内部処理でガウス点の応力を用いて算定しているのか?出力される断面力とガウス点応力との相関を教えてほしい。 |
A3−12. |
○断面力の算出方法について
UC-win/WCOMDでは、断面力を算出する際に節点力を集計しています。UC-win/Meshにおいて、集計の対象となる節点が茶色で表示されています。
従って、ガウス点の応力を使用して断面力を算出しているものではありませんのでご注意ください。
各断面力の符号の向きは、以下のようになっています。
軸力・・・法線ベクトルの向きが正
せん断力・・・切断面において左向きが正
曲げモーメント・・・切断面において左回りが正 |