前田建設工業(株)様で開発された鉄筋の代わりにH型鋼を用いたSC構造とプレキャスト埋設型枠を併用した橋脚柱の施工法(REED工法)と川鉄橋梁鉄構(株)様で開発された桁高を低く抑えられる「突起付きT形鋼による合成床版(リバーブリッジ)」とを併用することにより、都市内立体交差部での施工延長短縮にも優れる「ハイパーブリッジ」の説明と、「ハイパーブリッジ」の動的解析について、UC-win/FRAME(3D)のM−φ要素を用いた解析方法について説明をいただきました。発表では、断面内にH型鋼が複数配置された特殊な断面構成に対してもUC-win/FRAME(3D)では、簡単に断面のM-φ特性が求められるという利点
を強調していただきました。 |
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高耐力マイクロパイルを用いた既設建築構造の基礎の補強事例2例について説明いただきました。異種基礎構造では杭基礎部と直接基礎部で耐力機構が異なるため、線形解析では基礎全体の降伏、終局耐力を算定することが出来ないことから、杭自体をファイバー要素で、直接基礎部をばね要素でモデル化しUC-win/FRAME(3D)にて非線形解析を行ったとのことでした。
特に、杭への軸力を初期断面力として与えるため、底版と杭頭の間にばね要素(鉛直剛性小、水平剛性大)をはさんで、杭頭側に初期断面力としての軸力を与えてモデル化されており、UC-win/FRAME(3D)における初期断面力の与え方の方法として、参加者の方も多いに参考になったと思います。 |
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3径間連続橋における橋台側へのダンパー設置による耐震補強例と単柱式橋脚における炭素繊維巻き立て工法を用いた耐震補強例について説明いただきました。2例とも発注者に耐震工法の有益性について納得してもらう目的で、UC-win/FRAME(3D)のアニメーション機能を用い、ビジュアルでわかり易く説明するために使用したとのことでした。特に、3径間連続橋ではダンパーが有効に利いていることを発注者に理解いただく上で、有効な手段になったとのことでした。また、単柱式橋脚ではUC-1橋脚の設計との連動により容易に動的解析用データが作成でき、作業の効率性が向上することについても説明いただきました。
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橋脚本体がタイプ2地震動に対し地震時保有耐力法を満足しない状態にある既設橋脚に対し、設計段階では鋼板巻立て+基部根巻きコンクリートによる靱性向上型の補強が予定されていたが、施工段階で、渇水期の工事にも関わらず仮設工事が大掛りになってしまうことから、締切りがいらないプレキャストパネルを用いた工法(=PRISM工法)に変更になったとのことでした。
この場合、鋼板巻き立てとPRISM工法による基部補強が混在する異種工法の組合せによる補強となるため、そのような補強にもUC-win/FRAME(3D)は柔軟に対応できることが評価され、本橋脚の補強効果の検討(断面のM−φ特性や荷重変形特性の評価)に適用されたとの説明をいただきました。 |
RCアーチ橋の動的解析の事例を通して、軸力変動が及ぼす影響について、UC-win/FRAME(3D)を用いてM-φ要素とファイバーモデルの異なる非線形モデルについて比較検討を行なった結果について説明いただきました。検討の結果、以下の3つの結論が導かれました。
(1)ファイバーモデルの方が最大応答値と軸力変動幅が大きい
(2)軸力変動幅が大きい部材では両モデルの応答値の差が大きい
(3)ファイバーモデルは原点指向に近いM−φ履歴を示し非線形領域でのエネルギー吸収が少ない。
これより軸力変動を考慮しないM-Φ要素の場合、軸力変動による影響が大きく、応答値を過小評価してしまうおそれがあり、ファイバーモデル等のモデルを用いる必要があるとのことでした。 |
▲解析モデル図と構造全体図 |
●「昭和初期(昭和6年竣工)に設計されたRCラーメン橋脚の耐震補強」
株式会社未来 横尾 雄二 様 |
2層式ラーメン橋脚で両脚とも梁部と基礎部が接した形状と、1層式ラーメンの非対称脚で片脚が梁部と基礎部に接した形状のモデル化の難しい橋脚に対する耐震補強例について、ハツリ調査等の現況の強度把握と不足強度分の工法比較後、RC巻き立て工法によって補強設計を行なったとの説明をしていただきました。また、橋脚は橋軸と75度傾斜した配置であることとラーメン橋脚であることからファーバーモデルで非線形解析を実施したのことでした。現況解析では、橋脚の隅角部のほとんどが塑性化したため、2層式ラーメン橋脚の短脚側のみアンカー設置、その他脚部はアンカー無しのRC巻きたてによる補強となったと
説明していただきました。
最後に、ご多忙の中、ユーザ特別講演に快くご協力いただき、また、多くのお客様にご参加いただけたことをあらためてお礼申し上げます。 |
▲補強前後のモデル図と解析結果 |