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 誌上セミナー ●情報化講座 (8)
監修 :
田中 成典 教授
関西大学
総合情報学部
Vol.8 ISO最新講座

●ISO(International Organization for Standardization)とは
 国際的に通用させる規格や標準類を策定するための国際機関である、国際標準化機構の略。商品とサービスの技術分野の規格を統一することにより国際的な交換を促進し、知識・科学・技術・経済に関する活動の国際的な交流を促進することを目的としています。
 TBT協定(工業製品の規格等が国際規格を基礎とした国内規格を規定すること、規格作成の透明性を確保することを目的としたWTO(世界貿易機関)の協定)により、国内規格はISO規格に準拠しなければなりません。
 ISO規格は、分科委員会(SC)と作業グループ部会(WG)を置く技術的な規格の検討を行う専門委員会(TC:Technical Committee)により策定されています。

●国際規格と技術文書
 正式な国際規格が発行されるまでに、早急に文書化する必要がある事項を記載して発行されるのが技術文書であり、下記の4種類があります。

PAS Publicly Available Specification : 一般仕様書
TCで技術的に合意された内容
TS Technical Specification:技術仕様書
WGで合意された内容
TR Technical Report :技術報告書
通常発行される文書とは異なる情報を含んだ内容
ITA Industry Technical Agreement
指定されたISO会員団体からの管理サポートを受け、ISO外部の国際workshopで作成された技術文書
※技術文書はあくまでも暫定的な規格であり、WTO協定の対象とはなりません。


●ISO規格の現状
(1)建設分野のCAD
 国際標準としてSTEP/AP202(製品形状と関連した製図)が策定されており、図面表現には、EXPRESS、EXPRESS-G(共に製品データ記述のための言語)が用いられます。STEP(Standard for the Exchange Product Model)とは製品モデルデータ交換の規格のことです。
その他の規格には、下記のようなものがあります。

DXF Drawing eXchange Format
現在の土木業界ではデファクトスタンダードになっているデータ互換目的のCADフォーマット。
国際標準規格で無い等の問題を抱えている。 (Autodesk社)
IFC Industry Foundation Classes
建物を構成する全てのオブジェクトのシステム的な表現方法を定義した仕様。
考え方はISOと同じであり、ISOの準標準といえるPASを取得。
(IAI : International Alliance for Interoperability)
SXF Scadec eXchange data Format
ISO/AP202に準拠したCAD製図基準(案)における標準フォーマット。
SXF レベル2(2次元CAD製図の要求を満たす) Ver.3.0が開発・公開されている。 (SCADEC)


(2)建設分野のGIS
 ISO/TC211(数値的な地理情報分野の国際標規格を策定する専門委員会)で、電子的データ変換を行うための地理情報、方法等に関する仕様(40項目弱)を策定、現在も他項目について検討されています。
その他の規格には、下記のようなものがあります。

G-XML Geographical-eXtensional Markup Language
XMLを拡張し、GIS等で利用するコンテンツを記述するためのプロトコル。
(データベース振興センター)
GML Geography Markup Language
XMLを拡張したGISコンテンツの相互流通プログラム。GML3.1よりISOにより標準化され、G-XMLとも仕様が共通化された。
(Open GIS Consortium)
地理情報標準 地理情報標準
国と地方自治体と民間の地理情報の相互利用を目的とし、地理情報の国際標準(ISO/TC211)に準拠した規格。
(国土地理院)
POIX Point Of Interest eXchange Language
カーナビ等で利用する位置情報を管理するXMLベースの仕様。
(モバイル標準委員会)


(3)建設分野のITS
 ISO/TC204(ITSに関する国際的な標準化を行う専門委員会)で、自動車業界のほか、国際物流に関わる分野の仕様を策定、現在も他項目について検討されています。
その他の規格には、下記のようなものがあります。

RWML Road Web Markup Language
XMLを用いて開発され道路管理を目的とした言語。インターネットを通じて利用者へのデータ配信を定義する。
(北海道開発土木研究所)
NVML NaVigation Markup Language
XMLをベースとした経路・位置情報等を記述できる道路案内用の言語。
(富士通)


●ISO規格の今後
 ISO/TC211に関する国内の動きとしては、政府機関である国土地理院の下、測位・地理情報システム等推進会議が設置され、

 ・ISOの規格案を基に国内規格として地理情報標準(JSGI)を作成
   →ISO規格の決定後、整合と修正を行った標準をJIS(日本工業規格)化
   →実用版として再構成した地理情報標準プロファイル(JPGIS)を作成

といった政府レベルでの標準化の普及活動も活発になってきています。
 さらに、JACIC((財)日本建設情報総合センター)の建設情報標準化委員会では、第三次建設情報標準化推進三箇年計画(平成19年7月から平成22年6月が対象期間)を策定し、その中で、ライフサイクルの各段階・事業分野等を連携し、情報共有を目的とした標準整備を行うとの目標を掲げています。これに伴い、各分野で管理され分散している情報の交換のため、互換性の高いXMLで記述するためのルールを検討しており、ISO規格を踏まえた更なる建設情報標準化の活発な動向が予想されます。


参考 :JACIC CALS/EC 
ケンセツ21 CALS/JAPAN 
     

  
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(Up&Coming '08 早春の号掲載)
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