フォーラムエイト デザインフェスティバル 2013-3Days(本社移転記念)
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●日時:2013年9月18〜20日 ●開催地:品川インターシティ ホール/会議室(Day2・3) |
(Up&Coming 2013年11月号) |
進化するVR関連技術とその適用、先進的なCIM対応も
地盤・土木・構造物・建築分野の多様な最新事例
フォーラムエイトは2013年9月18〜20日の3日間にわたり、「フォーラムエイト デザインフェスティバル 2013-3Days」を開催いたしました。
これに先駆け、当社は7月16日、東京本社を品川インターシティ(港区)へと移転。それまで目黒区内に分散して配置されていた本社および開発分室を統合したのに加え、セミナールームや展示スペースなどを拡張しています。
そこで、今回デザインフェスティバルは「本社移転記念」のサブタイトルを設定。新本社オフィス(品川インターシティ A棟 21F)内のセミナールーム(Day1)と、品川インターシティ ホールおよびB1F会議室(Day2・3)などを会場に運営されました。
もともと個別に実施されていた複数のイベントを2009年度に再編。以来、毎年秋に3日間にわたって実施されている「フォーラムエイト デザインフェスティバル」。今回は、「第12回 3D・VRシミュレーションコンテスト オン・クラウド」「第14回 UC-win/Road協議会」「第7回 デザインコンファランス」の3イベントを軸に、関連する展示コーナーやトレーニングセミナーの規模を拡大し構成しています。 |
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多彩なセッションに、新しい切り口や提案を展開
デザインフェスティバルのDay1は、当社セミナールームで「第12回 3D・VRシミュレーションコンテスト オン・クラウド」の最終審査と、「UC-win/Roadエキスパート・トレーニングセミナー」が行われました。
前者については、応募作品の中から事前に12作品をノミネート。次いでVR-Cloudを利用し、各作品の公開と一般投票を実施。当日は選考委員による審査と一般投票の結果を総合し、各賞が決定されています。また、後者は前日からの2日間にわたるセミナーの最終日という位置づけで、デザインフェスティバルと併催して開かれました。
翌日からは品川インターシティ ホールとそのB1F会議室を会場に、デザインフェスティバルを形成する複数セッションが並行して繰り広げられています。
Day2の午前は、品川インターシティホールにおいて「第12回 3D・VRシミュレーションコンテスト オン・クラウド」の各賞発表と表彰式を実施。午後からは3会場に分かれ、そのうち同ホールでは「VRコンファランス」として、「第14回 UC-win/Road協議会」のジェネラルセッションおよびドライビング・シム セッションにより構成。会議室1・2では「第7回 デザインコンファランス」の<地盤セッション>、会議室3では同コンファランスの<耐震・防災セッション>がそれぞれ展開されました。
各会場の全セッション終了後は、ホワイエ(ホール前)にて本社移転記念と最新刊の「新版・地盤FEM解析入門」(フォーラムエイト パブリッシング発行)出版披露を兼ねたネットワークパーティを催しています。
デザインフェスティバル最終日(Day3)の午前は前日に続き、品川インターシティ ホールで「第7回 デザインコンファランス」の<設計解析セッション>を実施。午後からは同ホールで<土木・CIMセッション>、会議室1・2で<建築・BIMセッション>をそれぞれ開催。会議室3では<VDWC/CPWCセッション>と題し、「学生BIM & VRデザインコンテスト オン・クラウド(VDWC)」および「学生クラウドプログラミングワールドカップ(CPWC)」のサポートコーナーを設置。併せて、ポスターや過去の受賞作品などが展示されました。
さらにDay2・3を通じ、ホワイエおよび当社オフィス内の展示コーナーにて各種シミュレータをはじめ最新の当社製品・サービスを多くの来場者に体験していただいています。
各イベントおよびセッションの内容については、以下にご紹介します。
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■フォーラムエイト 代表取締役社長
伊藤 裕二による挨拶 |
■東京本社での展示 |
VRの多様な適用が着実に進化
デザインフェスティバルのDay1(2013年9月18日)には、「第12回 3D・VRシミュレーションコンテスト オン・クラウド」の最終審査が行われました。これは、UC-win/Roadの「ソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー」受賞(2002年)を契機に創設されたもの。以来、関連技術の発展や普及を背景に、毎年その多様な適用の着実な進化が窺われます。
今回コンテストでは、まず予選選考会(9月4日)を通じ応募作品の中から12作品をノミネート。各作品はVR-Cloudを利用して公開され、これらに対して広くユーザーにより参加可能な一般投票(9月7〜17日)が実施されています。
一方、前回と同様、関文夫氏(日本大学)・傘木宏夫氏(NPO法人地域づくり工房)・稲垣竜興氏(道路・舗装技術研究協会)の3氏に審査員を委嘱。前述の事前選考を経たDay1の最終審査では、一般投票70%、当社選考委員30%の重み付けで順位点を集計し、各賞受賞作品が決定されています。Day2(9月19日)には、その結果発表と表彰式が行われました。
「第12回 3D・VRシミュレーションコンテスト・オン・クラウド」の各賞受賞者および作品は次の通りです。
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■審査員によるノミネート予選選考会 |
■ノミネート作品発表の模様
(左から 町田聡氏、傘木宏夫氏、稲垣竜興氏、関文夫氏) |
第12回 3D・VR シミュレーションコンテスト オン・クラウド 受賞作品 |
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グランプリ |
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夜間工事におけるVR交通規制シミュレーション
株式会社岩崎 企画調査部 |
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十勝大橋(北海道)の橋梁補修工事に際し、規制図面や現地調査を基に交差点周辺の交通規制計画をシミュレーション。VRにより規制計画を可視化し、夜間や冬期の視認性や作業手順の検討、交通流の検証等における問題点の事前把握を可能にしました。その成果は施工時のCIM活用事例として土木学会主催「CIMに関する講演会(札幌)」で紹介されています。 |
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株式会社岩崎 企画調査部 |
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準グランプリ
優秀賞 |
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自動車専用運搬船シミュレータのドライバートレーニング&運転診断システム
Qube Ports and Bulk |
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自動車専用運搬船から車両を降ろして埠頭に駐車するドライバーを訓練するため、運搬船と埠頭を含むVRデータを作成。ドライバーはトレーナーにより制御されるさまざまな日照・天候条件下の危険事象に遭遇しながら、船から車両を降ろして埠頭に駐車します。完走後、運転・駐車スキルの診断結果が出力されます。 |
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QUBE Ports and Bulk |
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準グランプリ
優秀賞 |
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津波・避難解析結果を用いたVRシミュレーション
パシフィックコンサルタンツ株式会社 |
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津波対策におけるコンサルティング過程において、動的な波の動きを考慮した津波解析結果、緊急時の車両交通をミクロモデルによりシミュレーションした避難解析結果を総合的に考慮した結果を導出。これらの結果を同一のVR空間内で可視化し、評価することで、従来型のコンサルティング手法と比べ多大な効果を得ることが可能になります。 |
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パシフィックコンサルタンツ
株式会社 |
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アイデア賞 |
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インテリジェントシートVRシミュレータ
テイ・エステック株式会社 |
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コーナー走行時の体の動きを抑える「サイドサポート機能」、ハンドル操作時の肩の動きを補助する「シートバック座面可変機能」により、適切な運転姿勢を保持するとともに、衝突時の乗員拘束性能を高める「プリクラッシュ前突安全機能」を備えた「インテリジェントシート」の体験用シミュレータです。 |
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テイ・エステック株式会社 |
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エッセンス賞 |
JR大阪駅南側の地上・地下約300m四方をモデル化したデータ。ビルや地下通路を精密に再現し、車両や人々の行動をシミュレートすることで、車両信号制御や地下街での群集行動解析、災害時の避難誘導やサイネージによる人流誘導の効果検証など、ICTによる未来社会の最適化を探求する研究への利用が想定されています。 |
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大阪大学大学院 |
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審査員特別賞 デザイン賞 日本大学 理工学部 土木工学科 教授 関 文夫
氏 |
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新型道路構造におけるVRシミュレーションの活用
ソウル大学 |
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往復2車線の道路の間に共有の追い越し車線を組み込むことで、4車線の建設と比べ工費節減が可能な「2+1」。この新しい道路形態の韓国導入を目指し、モデル道路の建設が計画中です。前もってその安全性を理解するため、約13kmの道路をVRで作成。ドライブシミュレータを用いて実験。追い越し区間での運転者の状態や挙動を分析・判定しています。 |
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ソウル大学 |
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審査員特別賞 地域づくり賞 NPO 地域づくり工房 代表 傘木 宏夫
氏 |
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都市計画道路VRシミュレーション
株式会社創造技術 |
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東西に位置する2つの都市計画道路を連結するプロジェクト。そこは通学路にもなるため、安全確保を狙いに歩道や自転車道の設置が計画されています。また、地元住民の走行性を確認するため、跨道橋や人道ボックスなどの計画も反映した3D
VRを作成しています。それについては今後、説明会への活用も視野に入れています。 |
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株式会社創造技術 |
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審査員特別賞 エンジニアリング賞 道路・舗装技術研究協会 理事長 稲垣 竜興
氏 |
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鉄道桁単線区間における架設工法の提案
株式会社ノダエンジニアリング |
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鉄道桁を架設するにあたり、単線部は場所が狭い場合が多く、駅ホーム部や山間部などにおいてクレーン等で架設するためには、場所の確保が問題となりがちです。さらに近年は、集中豪雨などにより橋梁が流されるケースも見られます。そこで、そういった場所でも架設できる工法の提案をVRで表現しています。 |
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株式会社
ノダエンジニアリング |
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ノミネート賞 |
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交通安全実態調査 Korea
Transportation Safety Authority(TS) |
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交通安全の実態調査を遂行した後、危険地域と判断された場所の現状とその改善案をVRデータで作成し、報告資料として活用した。UC-win/Roadは道路を含めた道路周辺の地形だけでなく、周辺の建物を含めた現実世界の精巧な再現が可能で、視覚的にも高品質な映像が提供できるため、これを用いてVRデータを作成し、実際の業務への活用を実現した。 |
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ノミネート賞 |
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成田スマートICにおける安全対策や利用促進等でVRを活用し、業務効率化を実現! 株式会社オリエンタルコンサルタンツ |
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成田空港アクセス道路の渋滞対策として設置された成田SICの事故減少や利用促進のため、業務外でVRを作成し効率的な業務遂行を実現した。特に、安全対策として看板案の視認性検証、また、毎年開催の地元成田の祭りにシミュレータを出展して集客性を高め、広報活動やアンケート回収率向上等に貢献。今後も拡張予定である。 |
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ノミネート賞 |
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自動車運転手のための3D VRトレーニング環境 Virtual Simulation and Training Inc.(VSAT) |
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運転訓練を目的とし、UC-win/Roadの空間上に道路、交差点、ロードコーンを含む難関コースを26平方kmの領域に配置。別画面からシミュレータ・コントロール・ステーション・ソフトを使ってトレーナーがさまざまな天候、環境条件、危険事象、および訓練シナリオを制御し、走行するドライバーを訓練する。 |
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ノミネート賞 |
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車載ADAS分野における危険シーン評価用VRシミュレータ 萩原電気株式会社 |
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車載ADAS(先進運転支援システム)分野における、危険シーンの評価用として利用。さまざまな環境を再現したVRシミュレータをデバイスと組み合わせて評価することにより、VRのメリットを生かした開発環境の構築が可能となっている。 |
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ICTの進展と3D・VR技術の連携を通じ、広がる可能性
ドライビングシミュレータの新たな活用シーン
デザインフェスティバルのDay2は、品川インターシティのホールおよび会議室(1・2および3)全3会場のうちメインとなるホールを使い、午前に「VRコンファランス」オープニングの講演を受け、「第12回 3D・VRシミュレーションコンテスト・オン・クラウド」の各賞発表と表彰式を実施。午後からは「第14回 UC-win/Road協議会」を構成する<ジェネラルセッション>、続いて<ドライビングシムセッション>がそれぞれ開催されました。
「UC-win/Road協議会」は、「UC-win/Road」のリリースを受けて2000年に開催をスタート。以来、毎年実施されています。その間、2009年の「VR-Studio®」リリース以降は「VR-Studio®協議会」も兼ねる形となっており、今回、14回目を迎えています。
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■ 第12 回 3D・VR シミュレーションコンテスト
・オン・クラウド ノミネート |
■品川インターシティホール |
CG関連技術の推移、注目される今後のAR活用
VR適用、新たなステージへ
Day2の皮切りとなったのは、元NEC副社長で現在当社顧問を務める川村敏郎氏による特別講演「コンピュータグラフィックス(CG)の発展と今後への期待と課題」。同氏はまず、1960年代初頭に遡るコンピュータ黎明期のハード、ソフト、ネットワークに触れた後、CADにフォーカス。CAD自体の進化、CAD/CAM/CAEからPDM(製品データ管理)やPLM(製品ライフサイクル管理)を経てBIMあるいはCIMに至る流れを辿ります。次いで、1970年代初期に手掛けられたCG、1980年代以降の急速なCG映画の普及、それを可能にしたCG作成環境の進展へと言及。今日広範に及ぶ3D・CADデータやVR、CGの活用の実情として、多様なシミュレーションの可視化、医療分野や企業経営支援に触れます。同氏がとくに注目するのはAR(拡張現実)で、現行のユニークな活用シーンに加え、それによる情報付加や映像識別、物体識別、視点移動可能な画像共有など今後の利用の可能性について解説。一方、CGの特性を踏まえた活用や研究開発上の課題も指摘。最後に、BIMやCIM、画像処理やセンシング、情報DB(データベース)といった観点からフォーラムエイトのVRへの取り組みを紹介しました。
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■元NEC副社長( 株)フォーラムエイト特別顧問 川村 敏郎 氏 |
同講演の後、Day1の最終審査で決定した「第12回 3D・VRシミュレーションコンテスト・オン・クラウド」の各賞受賞者・作品を発表。表彰式はアンビエントメディア代表(プロジェクションマッピング協会アドバイザー)で当社非常勤顧問も務める町田聡氏の司会により進められました(同コンテストおよび各賞の詳細は前述のコーナーをご参照願います)。今回コンテストの講評に当たって日本大学理工学部土木工学科の関文夫教授は審査員を代表し、VRの適用が従来の可視化やシミュレーションとは少し異なるステージへと踏み込み、訓練や教育といった用途への広がりが目立ってきたと述べます。
■ジェネラルセッション
多様な3D表現技術、今後の展開に期待
午後の同ホールで開催された「第14回 UC-win/Road協議会」の<ジェネラルセッション>最初の特別講演は、東京工業大学大学院理工学研究科機械制御システム専攻の奥富正敏教授による「デジタルカメラを用いた即時的かつ柔軟な3次元(3D)復元」。関連する機器として3D入力装置やステレオビジョンの概要に触れた後、(ステレオビジョンを用いて三角測量の原理により3Dの位置を一意に求める)「画像からの3D復元」の考え方と、そこでの課題を概説。その上で、自身らが目指した、1台のカメラを自由に移動して(2D画像から3Dで)復元する仕組み、Structure from Motionの概要、そこでの自身らのアプローチ(Incremental Structure from Motion)とその処理フローに言及します。さらにそこでの課題を踏まえ、同氏らが採用した表題の手法として1)新規画像入力、2)特徴点の抽出とマッチング、3)カメラ位置の推定、4)3次元点の推定、5)ループクロージング、6)全体最適化、7)サーフェス生成 ― といった処理フローについて解説。併せて、そうした手法で復元された3D点群、サーフェスにテクスチャマッピングした例などを紹介しました。
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■東京工業大学 大学院理工学研究科 機械制御システム専攻
教授 奥富 正敏 氏 |
続く「3D・VR・ARの新たな展開」と題する特別講演は、三次元映像のフォーラム代表(デジタルハリウッド大学大学院特任教授)の羽倉弘之氏。同氏は初めに、コンピュータや各種3D映像などへの自身の関わりを中心に説明。次いで、3DからS3D(立体視)、S3DからVR、VRからAR、ARから3DPM(3Dプロジェクションマッピング)あるいは3Dプリンター、4Kから8Kへといった技術的な展開に対し、それぞれの概念について事例を交えて解説。また、自身の体験を基に、立体内視鏡手術(腹腔鏡手術)、VRを応用した腹腔鏡HMD(ヘッドマウントディスプレイ)手術、ダヴィンチ外科手術システムに触れつつ、S3Dでの手術の利点と問題点を整理。さらに、X線CT、磁気共鳴機能画像法(fMRI)、PET、重粒子線がん治療装置(HIMAC)などの医療分野の先端技術にも言及。その上で、最先端の多様な表現技術を使いこなす表現者のための団体として、後に詳述する「最先端表現技術利用推進協会(表技協)」設立の必要性を考えるに至った経緯を述べます。
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■三次元映像のフォーラム 代表/デジタルハリウッド大学 大学院
特任教授 羽倉 弘之 氏 |
協議会前半を構成する<ジェネラルセッション>の区切りとなったのは、クリスティ・デジタル・システムズ日本支社支社長の半澤衛氏による特別講演「3Dプロジェクションマッピング最新事例と今後の展開」。同氏はまず、自社の概要と、同社で提供するシミュレータ用表示システムやプロジェクター、VRシステムインテグレーションなどについて紹介。その上で、同社が国内外で手掛けた、建物壁面を利用する3Dプロジェクションマッピングや2Dプロジェクションマッピング、屋内でのプロジェクションマッピング、特殊な映像演出における多様かつユニークな事例を解説。最新の3DプロジェクションマッピングやNHKの特別番組、海外イベントを例に、それらの具体化プロセスや独自の工夫にも触れます。さらに、今後のプロジェクター技術の動向、レーザープロジェクター活用への期待と課題に言及。多様なプロジェクションマッピングへのニーズが増大する中で、ますますユニークな発想や技術力、魅力あるコンテンツが重要になるとの見方を示しました。
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■クリスティ・デジタル・システムズ 日本支社
支社長 半澤 衛 氏 |
■ドライビングシムセッション
先進のDS活用、高度化するニーズ
同ホールで午後に開かれた「第14回UC-win/Road協議会」後半の<ドライビングシムセッション>は、愛知県立大学情報科学部小栗宏次教授による特別講演「予防安全情報処理分野におけるシミュレーションの活用」でスタートしました。もともと生体信号処理を専門とする中で、交通事故死者数0を目指す取り組みにそのノウハウを活かせないかと着目。一旦は自らドライビングシミュレータ(DS)を開発するなどした後、UC-win/Roadの導入に至った経緯を振り返ります。DSを使い、ドライバーのさまざまな生体系データを取得。道路状態や車両情報にそれらを合わせ、ドライバーの眠気などドライブ状態を推定する研究に着手。現在はセンサーなどの進展を背景に、ドライバーの見える化、スマートデバイスの開発、ビッグデータの解析を通じ、ドライバーの状態推定や行動予測はもちろん、安全運転支援やアメニティ、社会問題への対応なども視野に入れています。また、同氏は研究室で既に保有する3機に加え、現在UC-win/Roadをベースに開発中の1機を加えたDSの概要やそれらを使った実験について説明。その上で、今後求められるDS像を描出。最後に同氏はドライバー状態の推定、ドライバーアクチベート、ドライバー認知、スマートデバイスフュージョン、高齢者支援といった研究室での研究課題、ドライバー起因の事故を軽減する技術など最新の研究について述べます。
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■愛知県立大学 情報科学部
教授 小栗 宏次 氏 |
続いて、日本ムーグ株式会社アプリケーションエンジニアの増野浩二氏が「高性能モーションを用いたシミュレータ・試験装置事例」と題して特別講演。同氏はまず、自社および主要製品分野の概要を紹介。これを受け、とくに各種シミュレータや試験装置に焦点を当てて説明。次いで、同社が提供するDS向けモーションベースの導入事例として、多様なニーズを反映した各種製品の特徴を映像とともに詳説しました。また、並進装置付きシミュレータにおいて生じ得る問題点を挙げ、それに対するモーションベース側の改善手段について制御の流れを示しつつ解説。それによる影響の低減にも触れます。さらに、コントロールローディング装置の構成や働き、その新しい適用シーンなどにも言及しました。
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■日本ムーグ株式会社 アプリケーション エンジニア
増野 浩二 氏 |
同セッション3番目の特別講演は、慶応義塾大学理工学部管理工学科専任講師の松本修一氏による「ICT技術の進展とシミュレーション活用の今後」。同氏はまず、川崎公害訴訟を受けた国からの交通施策検討依頼を機に始まった同大のシミュレーション活用と、自身のシミュレーション活用について説明。次いで交通シミュレーションに関して、その目指す方向、タイプの分類、海外および日本での開発比較、クリアリングハウスの役割などを整理。一方、もともと同大にはDSがあって研究に用いられてきたものの、高価な故の制約もあったことから、UC-win/Roadに着目。昨年度からUC-win/Roadを基に交通系の教員が誰でも使える研究プラットフォームの開発を目指すことになったと振り返ります。とくに、そのオープンソースで独自にカスタマイズ可能、しかも費用を抑えたシステムで実験環境を構築できる特性を踏まえ、「賢く使ってより良い成果」を得るとのターゲットが描かれました。導入後は、加減速情報の提供と燃費改善への影響に関する実験などに活用。併せて、UC-win/Roadのメリットを確認。これを反映し、他大学とのUC-win/Roadを活用した共同研究もスタート。
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■慶應義塾大学 理工学部 管理工学科
専任講師 松本 修一 氏 |
今後は(大学にとって)費用対効果に優れた簡便なDSで、実験環境を改善し、運転意図データを抽出できるシステムへの展開を図る、との考えを述べます。
これらの講演に続き、当社担当者が「UC-win/Road Ver.9のシミュレーション機能と今後の開発予定」と題してプレゼンテーション。マルチドライバー・マルチウォーカー機能をはじめとするADAS(先進運転支援システム)への取り組み、階段やエスカレータなどのパラメトリックモデル作成によるモデリング強化、3D空間の編集生産性向上、津波プラグインへの機能追加、無料ビューア出力プラグイン、UC-win/Road OHPASSプラグインといったUC-win/Road Ver.9の改善点を説明。次いで、UC-win/Roadの今後の開発予定として、群衆シミュレーションの拡張、鉄道路線作成機能の拡張、並列レンダリングへの対応、CGレンダリングの品質向上も概説。さらに、将来に向けたUC-win/Roadの開発方針としては、シミュレーション計算の並列化、64bitネイティブ対応、Structure from Motionの実装、3Dデータのオンライン化を挙げて解説しました。
同セッションの最後は「最先端表現技術利用推進協会(表技協)発足について」と題し、<ジェネラルセッション>で講演した羽倉弘之氏(表技協では事務局)が司会。表技協の理事長となる当社代表取締役社長の伊藤祐二による表技協発足の経緯説明を受け、会長となる町田聡氏(午前の表彰式で司会)が表技協のコンセプト、想定される表現技術の関連分野、活動の概要、組織などについて紹介しました。
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■最先端表現技術利用推進協会(表技協)発足について |
設計・解析、土木、建築分野の最新事例、学生コンペのサポートも
デザインフェスティバルDay3は、「第7回 デザインコンファランス」の全6セッションのうち、会議室1・2で<地盤セッション>、会議室3で<耐震・防災セッション>が行われました。
なお、「デザインコンファランス」のベースにあるのは「UC-win/FRAME(3D)」のリリース(2002年)を受けて2003年10月に設置された「UC-win/FRAME(3D)協議会」。2007年からは「UC-win/UC-1ユーザ協議会」と併催する現行の形となり、今年7回目の開催を数えます。
■地盤セッション
地盤シリーズ高度活用ユーザの事例を中心に紹介
地盤解析セッションは、この度フォーラムエイトパブリッシングより刊行された『新版 地盤解析入門』を執筆された群馬大学大学院工学研究科助教の蔡飛氏による特別講演「地盤FEM解析のためのモデリング技術」で幕を開けました。同氏はまず、近接施工について、また、地盤FEM解析が導入されている設計基準および、地盤FEM解析の流れと誤差について明解に説明。さらに、解析の3つのタイプ(事前解析、事後解析、動態解析)を挙げ、その中で動態解析の一例について、実際問題のモデル化の手法を具体的に解説しました。実例をもとに、地盤FEM解析を行う際の注意点やテクニックなどが豊富に紹介され、非常に貴重な内容のご講演となりました。
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■群馬大学 理工学研究院 環境創生部門
助教 蔡 飛 氏 |
次に、株式会社NOM代表取締役社長 大河内保彦氏による特別講演「UWLC2D、3Dの実務への適用」が行われました。大河内氏は、実際に業務で行った液状化対策工法の開発について、2つの事例を通して紹介を行い、最初の事例では、遠心模型実験とUWLC2D、UWLC3Dによる解析について説明。ALIDとの比較等を行いながら、UWLCによる解析結果の有用性についても触れました。また、2つ目の事例では、UWLC2Dの設計実務への適用手法を、盛土と擁壁の事例を通して紹介しました。
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■株式会社NOM
代表取締役社長 大河内 保彦 氏 |
続く講演は、株式会社ブルドジオテクノ 代表取締役 花田俊弘氏の「擁壁の設計における「GeoFEAS」活用例」。地盤および地盤と構造物の混在モデルにおける変形、応力、安定問題などについてGeoFEASを日常的に利用されている同氏が、その有効活用方法について、「L型擁壁の変位問題」を実例として取り上げながら解説。宅地造成に伴って計画された逆T型擁壁について、擁壁施工前に盛土工を先に施工し地盤変形収束のあとに基礎杭及び擁壁を施工したほうが、安定性の面より有効であることを提案する際に、構造及び施工上の変位についてFEM解析を実施した事例を紹介しました。
特別講演の最後は、UC-1「土石流シミュレーション」でソルバーとして採用されている汎用土石流シミュレータ「Kanako」を開発した、京都大学 農学研究科 森林科学専攻 助教の中谷加奈氏。土石流解析の技術的な解説から、Kanakoを開発した経緯と研究の背景・目的、プログラムの特徴の紹介に加えて、実際に発生した過去の土石流について、数値シミュレーションを用いた災害防止策検討を実施した事例など複数が取り上げられ、非常に有意義な内容の講演となりました。
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■株式会社ブルドジオテクノ 代表取締役
花田 俊弘 氏 |
併せて行われた、フォーラムエイト開発担当者によるプレゼンテーションでは、地盤解析シリーズの最新機能および展望と、UC-win/WCOMDの概要を中心に紹介。さらに、土石流シミュレーション適用事例や、GeoFEAS2Dによる「間隙水圧を考慮したせん断強度低減法による法面安定解析」の事例、UWLCによる「応答震度法と動的解析による大断面ボックスカルバートの耐震性能照査」の事例などについても紹介しました。
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■京都大学大学院 農学研究科 森林科学専攻 山地保全学分野
助教 中谷 加奈 氏 |
■耐震・防災セッション
広く都市防災に係るバラエティに富んだテーマで構成
耐震・防災セッションのトップバッターは、この春、『都市の地震防災』をフォーラムエイトパブリッシングより出版された、東京都市大学
教授 吉川弘道氏。同書籍の内容を拡張する形で、「入門講座『都市の地震防災 −地震・耐震・津波・減災−』」と題した講演が行われました。吉川氏は、「地震災害を多く経験した我が国は、地震工学、耐震工学、減災技術にて世界の最先端技術を有しているが、これらの技術と知見は専門化・細分化が著しく、すべてを網羅した出版物は限られている」と述べ、これまでにない統合的な入門書として同書を紹介。専門家でなくてもわかりやすいと評判の高い書籍の内容と同様の、丁寧で明解なご講演をいただきました。
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■東京都市大学
教授 吉川 弘道 氏 |
吉川氏に続き、『都市の地震防災』共著者でもある東電設計株式会社 防災グループマネージャーの福島
誠一郎氏が、「地震災害は何故起こるか、どのように立ち向かえば良いのか」と題しての講演を行いました。福島氏は、防災と減災を上手く組み合わせて全体の対策を講ずる必要があること、その中で、自助、共助、公助の3つが上手く機能させることが重要であると説明。吉川氏の講演と併せて、同書において地震防災を考える際の4つの分野(地震、耐震、津波、減災)としてまとめられているエッセンスが、わかりやすく紹介されました。
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■東電設計株式会社 防災グループマネージャー
福島 誠一郎 氏 |
『都市の地震防災』の執筆に携わった吉川氏、福島氏の講演を受ける形で行われたのは、フォーラムエイト開発担当者による「3次元VRを核とした震災・防災対策ソリューション」をテーマとしたプレゼンテーション。同書でもテーマとして取り上げられている「津波」における「減災」をトピックとして、バーチャルリアリティで考える「津波対策」「避難対策」「学校建物への津波波力」「ES耐震解析」の4つの項目および、フォーラムエイトが展開する「震災・防災対策ソリューション」について紹介されました。
セコム株式会社 IS研究所 空間エンジニアリンググループ 足達嘉信氏は、防災・耐震というテーマを「空間情報とシミュレーション技術による安全・安心への挑戦」という切り口で解説。BIMによる建築物・構造物の情報、建物以外の周辺情報としてのGISという、2つの枠組みを挙げ、両者の情報連携強化によりダイナミックなシミュレーションが可能になると述べました。また、建物の維持管理に防災の考え方を導入する必要があること、土木と建築分野の統合シミュレーションが可能性を広げることなど、示唆に富んだ内容の講演となりました。
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■セコム株式会社 IS 研究所 空間エンジニアリンググループ
足達 嘉信 氏 |
続いては、BCP(事業継続計画)の側面から防災を捉える内容となった、株式会社ヒルベット・ソリューション 代表取締役 小山 隆氏の特別講演「BCP策定の必要性と基本的な考え方について」。被災シナリオの分類には、大きく分けてインフルエンザ型と地震型のシナリオがあり、後者は夜バージョンと昼バージョンが必要であることなど、具体的な説明を行いました。また、社内にある資産を正確に把握し、その資産がどのような被害に対して機能しなくなるかを常に検討しておく必要があることなど、BCP策定の基本的な考え方やポイントについても触れました。
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■株式会社ヒルベット・ソリューション
代表取締役 小山 隆 氏 |
小山氏の講演に続き、フォーラムエイトのISO22301(事業継続計画システム)認証取得に至るBCMS活動と今後の展開について、担当者がプレゼンテーションを実施。防災・避難/震災対策ソリューションとして展開中の「BCP作成支援ツール」や「BCP策定・BCMS構築支援サービス」についても、紹介を行いました。
デザインフェスティバルDay3は、「第7回 デザインコンファランス」の残る4セッション(全6セッション)のうち、品川インターシティのホールでは午前および午後の部前半に<設計解析セッション>、午後の部後半に<土木・CIMセッション>を開催。また、午後からは会議室1・2で<建築・BIMセッション>、会議室3で<VDWC/CPWCセッション>もそれぞれ並行して行われました。
■設計解析セッション
国内外の多様な解析シーンを紹介
<設計解析セッション>午前の部は、東京大学大学院工学系研究科の前川宏一教授による特別講演「コンクリート構造工学と水 ―短期・長期性能評価― 」で幕を明けました。同氏は冒頭、コンクリートが水の挙動の影響を受けやすい構造であることを概説。その上で、幅広いスケールに応じたコンクリートへの水の及ぼす影響の違いを整理。そこでの水とコンクリート構造とのリンクを踏まえたマルチスケール解析の概要を説明。ミクロな世界の挙動解析に際しての「Thinking Machineの進化」への注目や、留意すべきポイントを挙げます。次いで、既存RC床版の疲労寿命解析と維持管理に関連し、非線形疲労応答解析に基づくコンクリート系橋梁床版の余寿命推定システムなどについて解説。また、大型PC橋梁の長期過剰たわみとそれに対する設計や制御、あるいは浅地中RCカルバートの長期過剰ひび割れ、乾燥収縮と中層RC建物の地震応答解析について多彩な具体例や解析データなどを示しつつ、それぞれのポイントを詳細に語っています。
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■東京大学大学院 工学系研究科
教授 前川 宏一 氏 |
続くプレゼンテーションは、当社担当者による「Engineer's StudioR最新バージョン」。まず、2009年の初版リリース以来の改訂の経緯を振り返った後、現行のEngineer's
StudioRの主要な特徴を紹介。その上で、荷重から質量を生成する機能、平板要素やケーブル要素、減衰要素などに関する機能に加え、道路橋示方書(H24)や限界状態設計に対応した新機能などを解説。さらに、一部H24道示関連や多点入力などの機能をはじめとする今後の開発予定にも触れます。
午前の部の最後は、当社担当者が「解析支援サービス最新解析事例」と題してプレゼンテーション。初めに解析支援サービスの概要とともに、業務分野ごとの見積り例を提示。さらに、Engineer's
StudioRやUC-win/FRAME(3D)の解析事例として、既設橋梁の耐震性能照査、水門や樋門など河川構造物の解析、水道施設(池状構造物)の解析における問題や具体的な対応手順について、その成果や解析シーンの一端を示しつつ説明。今後の解析支援サービスに向けた考え方にも言及しました。
午後からは、グラナダ大学地震工学グループのJesus Donaire Avila氏による特別講演「Engineer's
StudioRによる数値シミュレーションとケーススタディ」で再開しました。同氏はまず、スペインにおいて一般的な建築構造形式(「ワッフル・フラットプレート構造(WFPS)」)に対する、履歴型ダンパーなどの先進技術を通じた耐震性向上に関する自身らの研究を紹介。その上で、WFPSについてその構成要素、進化、特徴、耐震挙動といった各観点から解説。併せて、2011年のロルカ地震による影響にも触れます。次いで、Engineer's
StudioRを活用して取り組んだ、WFPSの内部柱スラブ接合部の数値モデルやWFPSの内部・外部柱スラブ接合部のマクロモデルについて、それぞれ適用した事例を使い詳説。さらに、数値シミュレーションを検証するために行われた、WFPSの試験体を用いた振動台実験についても説明しました。
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■グラナダ大学 地震工学グループ
Jesus Donaire Avila 氏 |
同セッション最後の特別講演は、パシフィックコンサルタンツ株式会社の矢部博康氏と株式会社解析技術センター代表取締役の石合雄志氏による「3次元(3D)FEMモデルを用いた配水池の耐震構造解析の有効性と耐震性能評価について」。矢部氏は初めに、水道施設の耐震化動向や近年の地震による被害などを概説。その後、水道施設耐震工法指針における性能規定型設計、そこでの耐震性能や設計地震動、照査基準などに対する考え方を整理。また、同氏らはフラットスラブ構造の配水池を2D
FEMモデルと3D FEMモデルでの評価を行っており、その解析モデルの違いによる耐震性能評価と補強工法の経済比較について解説。さらに、動的解析の実施手順と解析事例に基づく有効性についての検討の概要やその成果にも言及。これらを通じ、1)水道施設では3D解析が経済設計に有効、2)水道施設では水密性が要求されることから、非線形解析によりひび割れ幅やひび割れ長さから漏水量を算定して適切な強度を有する構造物を設計する必要がある
― などとしています。
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■パシフィックコンサルタンツ株式会社
矢部 博康 氏 |
■土木・CIM セッション
施工CIMへの最新の取り組み、多様なソリューションの可能性
ホール午後の部後半の<土木・CIMセッション>のオープニングは、株式会社大林組土木本部本部長室情報企画課の杉浦伸哉氏が「CIMの現状と実現に向けた取り組み」と題する特別講演を行いました。同氏はまず、自身が参加するCIM技術検討会の組織概要や活動、CIM制度検討会との関わりなどを概説。その初年度(昨年度)の活動成果から、CIMにより期待される効果、CIMの概念、昨年度実施された試行業務と効果の検証、今年度以降の試行事業のポイント、今年度の重点検討項目などを整理して紹介。また、施工CIMの確立に向け「Simple & Easy」を合言葉に自身が関わった試行事業として、トンネル事業や橋梁事業、造成事業を例示。業務分析を経て複数情報の統合モデルを施工管理に利用するなどしたCIMモデルの利用シーン、CIMモデル作成上のポイント、維持管理や合意形成など現場におけるCIM活用効果、施工CIMのカギとなる考え方について、実際に使用した画像などを交えて解説しました。その上で、当社製品と3Dモデルの先進的なコラボの可能性にも触れています。
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■株式会社大林組 土木本部本部長室情報企画課
JACIC、CIM技術検討会委員 杉浦 伸哉 氏 |
続く特別講演は、一般社団法人道路・舗装技術研究会理事長の稲垣竜興氏による「道路・橋梁・トンネル・舗装技術の過去〜現在〜未来、CIMの導入への対応」。同氏は、道路や橋梁をはじめ社会資本をめぐる近年のさまざまな事故や災害、それらとも関連する社会資本老朽化の問題を列挙。そしてこれに対応した道路法改正のポイント、社会資本の老朽化対策会議で検討されている維持管理・更新に関する課題、そこで議論されている施設情報を把握するためのプラットフォーム構築に向けた道路メンテナンス技術小委員会の取り組みについて紹介。一方、従来取り組まれてきたCALS/ECや道路管理データベース(MICHI)の概要や現状を振り返るとともに、前述の問題を視野に先進のICT活用やCIM導入に向けての期待へと展開。併せて、UC-win/Roadで作成した多様なシミュレーションなどを例示。さらに、CIM制度検討会の報告書に記述された中でとくに防災・減災への注目を述べつつ、CIM成功のための提言やCIM導入上の課題にも言及。最後に、CIM浸透に向けて組織的教育の必要を説きます。
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■道路・舗装技術研究会
理事長 稲垣 竜興 氏 |
これらの講演を受けて、当社担当者が「フォーラムエイト3DCAD StudioTMの開発」と題してプレゼンテーション。初めに、汎用CAD(UC-Draw)や土木自動製図(UC-Drawツールズ)、UC-1シリーズのCAD機能など当社の従来からの各種CADソリューションを紹介。併せて、その間のCALS/EC対応、CIMにも繋がる3Dデータへのフォーカス、3D
CADエンジン開発プロジェクトへの参加、同プロジェクトの成果を利用した独自のCADアプリケーション開発に着手した経緯などを振り返ります。次いで、開発中の「3DCAD
StudioTM」におけるモデリングや測定、レイヤー、ファイル入出力などの機能を作成可能なモデル例や作成作業のデモを交えて概説。さらに、今後の開発予定、将来に向けた当社製品間の連携やクラウドへの対応などにも触れました。
続く当社担当者によるプレゼンテーションは「UC-1エンジニア・スイートとCIM機能、自動設計機能、クラウド機能」。当社の設計CADソフト「UC-1シリーズ」の各製品セット版の総称「UC-1エンジニア・スイート」は、8カテゴリから構成され、それぞれ今年4月から順次リリースされてきました。そこで、各単独製品の最新機能とは別に、同スイートでとくに強化された機能のうちCIM機能、クラウド機能および自動設計機能について、それぞれ作成作業の具体例とともに解説。鋼橋の自動設計、鋼橋設計ツール、部分係数法に関する今後の開発予定も紹介しています。
同セッションの最後は「CIM& VRのデータ連携と3D・VRエンジニアリングサービス」と題し、当社担当者がプレゼンテーション。まず、当社のBIM/CIMによる統合ソリューションの連携の現状と展望を概説。これを受けて、実際にVR上でさまざまな設計・解析データが連携するデモを紹介。さらにそこで利用可能なサービスとして、3D配筋CAD for SaaS、3D・VRエンジニアリングサービス、3D図面オプション、報告書・図面トータルサービス、騒音測定シミュレーションサービス、3Dレーザスキャン・モデリングサービス、3D模型サービス、3Dスキャン出来形管理VRモデリングにも言及しました。
■建築・BIMセッション
BIM分野の最新情報を提供
建築・BIMセッションの最初は、BIM関連の研究でも著名な建築家、池田靖史氏(慶應義塾大学教授)が、AIAC国際建築設計スタジオ開催中のフランス・パリから会場にネット中継での講演を行いました。池田氏は、「グローバルな視点を持つ建築・都市デザインとデータコミュニケーション」というテーマのもと、AIAC国際建築設計スタジオや、その他のさまざまなコンペティション・プロジェクトにおける取り組みの紹介を通して、設計情報のコミュニケーションメディアとしてのBIMについて説明。デジタルデザイン技術の進歩、ネットワーク技術進化によるオープンソースデザイン環境の整備、SNSの普及による公共的デザインへの市民参加の事例と展望について触れ、このような背景においてVR-CloudRに期待される役割について述べました。
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■慶應義塾大学 教授
池田 靖史 氏 |
続くプレゼンテーションでは、フォーラムエイト担当者がBIM&VRソリューションの概要を紹介。道路最適線形探索システム
OHPASSの計算結果をUC-win/Roadと連携可能なOHPASSプラグインや、EXODUSによる避難解析と可視化の事例、3DVRエンジニアリングサービスなど、最新の製品とサービスについて説明しました。
「DesignBuilder、EnergyPlusによる建物空調エネルギー解析」と題した講演を行った、アズビル株式会社 技術開発本部 基幹技術開発部の近田智洋氏は、まず、病院、大学、工場などを中心とした建造物を対象として同社の展開するビルディングオートメーション事業について紹介。震災後、2011年夏期緊急節電対策として実施した、アズビル藤沢テクノセンターのピーク電力削減施策を事例として取り上げ、DesignBuilder、EnergyPlusによるシミュレーションでその効果・影響を予測を行った内容について、詳細に説明しました。同氏は、データの標準化が進み、BIMデータが整備されて簡単に活用できるようになることで、こういった取り組みの可能性が広がるとして、今後の展望について述べました。
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■アズビル株式会社 技術開発本部 基幹技術開発部
近田 智洋 氏 |
東京電機大学 未来科学部 建築学科 教授 朝山秀一氏の講演は、「MultiframeのAutomation機能を利用した構造形態の解析」として、Delphiを使ったMultiframeのオートメーション機能の活用について紹介。節点データ、断面、荷重の設定から解析の実行、曲げモーメントの抽出方法まで、一連の基本的な流れのプログラミング手法を、簡素化したサンプル例のソースコードを用いて解説を行いました。「自動設計で柱のスパンを長くしたり短くすることは可能か」など、聴講者からは具体的な質問もあり、同氏は「プログラムをカスタマイズすることで可能であり、節点情報の変更によりMultiframeが自動計算を実行する」と返答。また、実際にオートメーション機能を活用した事例として、海洋波を用いた波形構造のデザイン等も紹介しました。
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■東京電機大学 未来科学部 建築学科
教授 朝山 秀一 氏 |
続いて、グレイテック社でアジア太平洋地域統括ディレクターを務めるPascal Bergougnou氏。「BIMソリューションAdvance Steel/Concrete2013の最新機能、事例、データ連携性」というテーマで、グレイテック社の概要と事業、BIMへの取り組みをはじめとして、Advance Steel/Concreteの新機能として、他ソフトとの連携拡張、部材の自動設計、修正履歴の明瞭化、配筋図自動生成などを説明。併せて、多数の各国事例についても紹介を行いました。
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■グレイテック社 アジア太平洋地域統括ディレクター
Pascal Bergougnou 氏 |
建築・BIMセッションの最後は、「BIMソリューション、3D・VRエンジニアリングサービス」と題し、当社担当者がプレゼンテーションを実施。フォーラムエイトのBIM&VRソリューションとして、3Dスキャン・モデリングサービス、近年注目を集める3Dプリンタによる模型出力サービスや、これを活用したプロジェクションマッピング投影シミュレーションなど、最新のソリューションをデモンストレーションを交えて紹介しました。
■VDWC/CPWCセッション
2020オリンピックも踏まえた未来の「まちづくり」
国際学生コンペティション、Virtual Design World Cup/Cloud Programming World Cupの作品応募期間を前に、応募予定のチーム・学生を対象としたサポートコーナーや、広く一般の参加者も対象としたプレゼンテーションと関連の展示が行われました。このセッション内で行われた、VDWCワークショップ講師でもある傘木宏夫氏(NPO地域づくり工房代表)によるアドバイスコーナー「VRまちづくりシステム」プレゼンテーションでは、まちづくりにおけるファシリテーションおよびVR活用の意義についての解説に加えて、2020オリンピックを踏まえた安全・安心な先進都市の創造についても触れられました。「災害に対する危険性を認識し、対策を検証し、そしてそれらを確たる数値で提示することには価値があり、国際的な信頼を勝ち得ることができる。これこそ「おもてなし」と考えます」と、同氏は、今後のまちづくりのあるべき姿を具体的に説明されていました。
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■NPO地域づくり工房 代表 傘木宏夫氏による
「VRまちづくりシステム」プレゼンテーション |
FORUM8 Design Festival 2014-3Days 開催! 会場:品川インターシティホール
●Day1 2014年11月19日(水) |
第13回 3D・VRシミュレーションコンテスト・オン・クラウド審査会 |
●Day2 2014年11月20日(木) |
第13回 3D・VRシミュレーションコンテスト・オン・クラウド表彰式
第15回 UC-win/Road協議会 第8回 デザインコンファレンス |
●Day3 2014年11月21日(金) |
第8回 デザインコンファレンス |
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