Support Topics
 サポートトピックス・ UC-win/Road

自転車の走行を設定する

保守・サポートサービス関連情報
    

近年の自転車関係事故の増加傾向にあたり、2025年4月、警察庁による「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」の発表が話題になりました。また、昨年2024年6月には国土交通省と警察庁の合同で「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」が策定され、自転車専用通行空間の整備が推進されており、自治体には自転車ネットワーク計画の策定が促されています。

そこで今回は、UC-win/Roadで自転車走行を設定する方法を紹介します。

飛行ルートを使用した走行ルートの設定

  

自転車走行の表現は、用途によって複数の方法があります。

例えば、デモで見せる、あるいはシナリオのイベントのように、必ずこの時点でこのルートを通ってほしい、といった場合は、自転車をキャラクタモデルで表現し、経路を「飛行ルート」で設定します。その「飛行ルート」の設定も2つの方法があります。


■「道路平面図」で飛行ルートを設定する

走行距離が長い場合や、道路構造や経路がシンプルな場合は、「道路平面図」で飛行ルートを定義します。メインメニュー「編集」-「道路平面図」で道路平面図を開き、「飛行ルートの定義」ボタンで飛行ルートの頂点をクリックしていきます。経路の終点までクリックした後に右クリックして「飛行ルートの定義終了」を選択し、飛行ルートの平面設定を終了します。


図1 道路平面図での飛行ルートの定義

次に、ルートの高さを設定します。飛行ルートの線形(白の細線)を右クリックして「編集」-「飛行ルート“飛行ルートxx”」を選択し、縦断線形画面を開きます。「地上に配置」ボタンを押すと飛行ルートが地形上に配置されます。


図2 飛行ルートの高さを編集

自転車の経路の高さが地形から離れている場合や、事前に[Alt]キー+路面Click などで標高を調べている場合は、ここでルートの高さを設定します。飛行ルートの頂点(縦断変化点)をそれぞれ右クリックして標高を編集します。

高さをある程度設定できたら確定してメイン画面に戻り、「描画オプション」で飛行ルートを表示させます。飛行ルートの頂点をクリックして、位置や高さを調整することができます。配置モデルの移動と同様に、[Ctrl]キー+ドラッグで水平移動、[Alt]キー+ドラッグで上下移動による調整が可能です。調整終了後は、半角スペースキーまたは上空をクリックして選択を解除します。


図3 描画オプション:飛行ルートの表示、 頂点の調整

■メイン画面で飛行ルートを設定する

飛行ルートは、道路平面図を開かずにメイン画面で新規作成することも可能です。距離が短い、経路が複雑、道路平面図では経路がわかりにくい、などの場合はメイン画面で設定します。

手順としては、先に上記の描画オプションで飛行ルートを表示させておきます。メニュー「編集」-「飛行ルートの記録」ボタンを押して飛行ルートの作成を開始します。自転車のルート上で、カメラ位置はなるべく低く路面に近い高さにして、半角モードでスペースキーを押します。


図4 飛行ルートの記録開始

飛行ルートの記録を開始すると「ホーム」のカメラモードが自動で「飛行」になるため、次の位置への移動が高速過ぎて操作が難しい場合は「回転」モードなどに戻します。

位置が記録されると画面下のステータスバーに「1点記録しました」と表示されます。キーボードを全角モードにしているとスペースキーを押しても記録されないため、注意します。

2点目以降は、マウスのホイール回転や矢印キーなどで移動して、経路上をたどりながらところどころでスペースキーを押して進みます。ひととおり経路の通過点を記録し終わったら、再度、メニュー「編集」-「飛行ルートの記録」ボタンを押して飛行ルートの作成を終了します。その後、空中に浮いている各頂点をクリックして選択し、路面上まで下げるなど位置の調整を行います。


キャラクタモデルによる自転車の表現

  

経路設定の前でも後でもよいですが、自転車を表現するキャラクタモデルを用意します。RoadDBからダウンロードできます。メインメニュー「編集」-「ライブラリ」でモデルパネルを開き、モデルパネルの「メニュー」から「ダウンロード」-「MD3モデル(*.pk3)」を選択すると「RoadDB」の画面が開きます。絞込みの欄に「自転車」を入力して「絞込み」ボタンを押すと、自転車のキャラクタモデルが抽出されます。「登録日」の左側にある「↑」ボタンを押すと登録日が新しい順に表示されます。



図5 モデルパネルでダウンロード

図6 RoadDB モデルリスト

使用したいキャラクタモデルの画像をクリックして詳細画面を開きます。「データファイル」名をクリックするとダウンロードしてすぐにデータに取り込むことができます。ダウンロードが終わると「MD3キャラクタの編集」画面が開きます。デフォルト速度が一般的な歩行速度4km/hとなっていますが、自転車の場合はもう少し速度が速いため、10km/h~20km/h程度にしておきます。「確定」するとモデルパネルに表示されます。


図7 MD3キャラクタの編集画面

  

読み込んだMD3キャラクタを飛行ルートに沿って移動させるには、モデルパネルで設定します。モデルパネルで、設定したいキャラクタを右クリックして「ルートの移動」-「飛行ルート」を選択すると「キャラクタインスタンスの編集」画面が開きます。



図8 MD3キャラクタのルート移動

図9 キャラクタインスタンスの編集


  

「キャラクタインスタンスの編集」画面で、走行させたい飛行ルートと速度を指定します。キャラクタの見た目などを変えたい場合はスキンを変更します。「初期位置」を変更すると同じ飛行ルートで複数のキャラクタを移動させることができます。その場合は、速度を同じにしておくとキャラクタ同士が重なることを防げます。

歩行者ネットワークを使用した自転車走行の表現

  

飛行ルートによる自転車設定では規則的に自転車が出現しますが、ランダムに走行してほしい場合は、歩行者ネットワークを使用して走行させることができます。以下の手順で設定します。

先に「描画オプション」で「歩行者ネットワーク」にチェックを入れて、表示します。

次に自転車用の歩行者プロファイルを設定します。メニュー「編集」-「ネットワーク」から「ネットワークリンクの編集」画面を開き、歩行者の「新規追加」を押して「歩行者プロファイルの編集」画面を開きます。モデルに自転車キャラクタを追加して、ランクをクリックすると右上に表示される「…」ボタンから「歩行者カテゴリの編集」画面で自転車用のカテゴリを新規作成します。


図10 自転車用の歩行者プロファイルの設定

自転車用のカテゴリとして、パス選択嗜好性、左右幅、前後幅、水平速度の特性を設定します。左右幅と前後幅は自転車のサイズを入力します。

自転車用プロファイルを確定したら、自転車の走行経路を設定します。「ネットワークリンクの編集」画面に戻り、ネットワークの「新規追加」を押して「ネットワークの編集」画面でパスウェイの「新規追加」-「パスウェイ」を選択します。「パスウェイの編集」画面が開いたらメイン画面で自転車の動線に沿って路面や地面をクリックし、終点までクリックした後「パスの終点」を押して設定終了します。

「パスウェイの編集」では「形状」タブでパスの幅を修正したり、「プロパティ」タブの「流束の方向」で双方向を一方通行に変更したりすることができます。パスウェイの設定ができたら「歩行者の生成」タブでプロファイルを自転車用プロファイルにして、最大個体数と初期個体数を設定します。

メニュー「ホーム」で「交通の開始」ボタンを押すと自転車の流れが表現されます。


図11 MD3キャラクタの編集画面

(Up&Coming '25 盛夏号掲載)

LOADING