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 サポートトピックス・CAD/UC-1シリーズ

ラーメン橋脚の設計・3D配筋(部分係数法・H29道示対応)のなぜ? 解決フォーラム

乾燥収縮の影響について

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永続/変動照査時の断面力が想定した値と大きく異なることで、お問合せを受けることがあります。よくある原因として乾燥収縮が挙げられます。ここでは、ラーメン橋脚の乾燥収縮による断面力の傾向についてご説明いたします。

乾燥収縮荷重

ラーメン橋脚は不静定構造物ですので、断面力は骨組解析により求めています。H29道示Ⅰの「8.6 コンクリートの乾燥収縮の影響」(P.114)では乾燥収縮度を15×10-5とすることが記載されていますが、骨組解析ではコンクリートの線膨張係数を1.0×10-5として、温度荷重を与えることで乾燥収縮をモデル化しています。

温度荷重は荷重を載荷する集中荷重や分布荷重と異なり、部材が収縮または膨張します。片持ち梁であれば温度荷重は部材長が変化するだけで断面力は発生しませんが、ラーメン構造の部材のように両端が支持されて、収縮や膨張に対して抵抗を受ける場合は断面力が発生します。

なお、乾燥収縮は入力画面「永続/変動照査|計算条件」のタブ「荷重条件」の「乾燥収縮」で温度を指定し、その初期値を-15.0度としています。計算時は荷重組合せ係数γpと荷重係数γqを考慮します。

二柱式ラーメン橋脚

二柱式ラーメン橋脚の場合、梁部材が収縮することで梁の支間部に引張軸力が発生します。引張軸力は、柱の剛度が大きい場合や柱高が低い場合に大きくなります。

例えば、製品のサンプルデータ「Rahmen_1.PFY」の死荷重時の梁の支間部の軸力は-120kN(負の軸力は引張軸力です。)程度ですが、入力画面「橋脚形状」のタブ「形状」で左側と右側の「柱高」を「7.300」から「1.000」(m)に変更すると、-4449kNになります。

このモデルに対して、入力画面「永続/変動照査|計算条件」のタブ「荷重条件」の「乾燥収縮」を「-15.0」から「0.0」(度)に変更すると、軸力は+158kNになりますので、引張軸力に乾燥収縮が大きく影響していることがわかります。


図1 Rahmen_1.PFY(柱高1m)の死荷重時支間部軸力

乾燥収縮による引張軸力が大きくなる要因として、フーチングが剛体であることと、柱の水平方向の変形しにくさが挙げられます。剛体のフーチングは変形しないので柱基部は固定されています。また、柱の剛度が大きい場合や柱高が低い場合、柱は水平方向に変形しにくくなりますので、梁の収縮に対して大きな力で抵抗します。このため、梁の支間部に大きな引張軸力が発生します。


図2 収縮による梁の引張軸力のイメージ

三柱式ラーメン橋脚

三柱式ラーメン橋脚の場合、乾燥収縮により二柱式と同じように梁の支間部に引張軸力が発生しますが、それに加えて中央の柱の圧縮軸力が大きくなる傾向があります。

例えば、製品のサンプルデータ「Rahmen_5.PFY」の入力画面「永続/変動照査|基本荷重ケース」で「死荷重D」の支承荷重を全て0.000kNにして上部工荷重の影響を除いた状態の死荷重時の柱上端の軸力は、左柱、右柱が+725kN、中柱が+2412kNです。

このモデルについて、入力画面「永続/変動照査|計算条件」のタブ「荷重条件」の「乾燥収縮」を「-15.0」から「0.0」(度)に変更すると、柱上端の軸力は、左柱、右柱が+1234kN、中柱が+1394kNになりますので、乾燥収縮により中柱の圧縮軸力が大きくなることがわかります。

この要因として、乾燥収縮により両端の柱が内側に変形することが挙げられます。柱が内側に変形して隅角部の格点に内側の回転変位が発生することで、梁支間部は下にたわむような変形をしますが、中柱がそれを支えるような形になり、中柱の圧縮軸力が大きくなったと考えられます。


図3 梁のたわみを支える中柱のイメージ

(Up&Coming '23 新年号掲載)

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