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 サポートトピックス・CAD/UC-1シリーズ

擁壁の設計・3D 配筋のなぜ? 解決フォーラム

擁壁に関する基準類で示されない設計方法について

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擁壁の設計・3D配筋は様々な基準類に対応しており、柔軟な設計を行うことが可能です。擁壁の基準類では明確にされていない、橋梁下部工などの構造物で採用されている設計方法を採用することも可能です。今回は、これらの設計方法の中でも特に問い合せの多い地震時保有水平耐力法の考え方について解説いたします。また、平成29年道路橋示方書(部分係数法)の扱いについてもご案内いたします。


地震時保有水平耐力法

平成24年の道路土工 擁壁工指針改定により、大規模地震動がレベル2地震動という表記に変更されましたが、照査内容については従来通り震度法のままでした。しかしながら、地震時保有水平耐力法(以下、保耐法)での照査は今後増えていくものと考えられ、実際に問い合せも寄せられています。そのため、本プログラムでは「河川構造物の耐震性能照査指針」や「道路橋示方書」等々を参考にして保耐法での照査に対応しました。


図1 保耐法によるレベル2照査選択

保耐法に関する問い合わせの中でも特に多く寄せられているのが、保耐法による竪壁照査に関するものです。擁壁には上部工が存在しないためトップヘビーな構造とはなりません。この場合、慣性力の作用位置を一点に集約することが困難な構造となり、道路橋示方書IV等に記載されている単柱橋脚等の構造物と同様の照査を行うことができません。そのため、考え方や照査内容に関する問い合わせが多くなっています。

本プログラムでは、「土木研究所資料 地震時保有水平耐力法に基づく水門・堰の耐震性照査に関する計算例」を参考にしています。この計算例の方法は、道路橋示方書Ⅴの単柱橋脚の計算方法が上部構造慣性力だけを考慮しているのに対し、躯体の慣性力も考慮しています。躯体の慣性力を考慮しているのは、道路橋の橋脚の場合、上部構造の重量が大部分を占めるトップヘビーな構造であるため、慣性力を上部構造位置1点の集中荷重に集約して考える事ができるのに対し、河川構造物では、上部構造に相当する部分の重量は小さく、慣性力を1点に集約できないと考えるものです。この考え方であれば擁壁にも採用することができます。

なお、『河川構造物の耐震性能照査指針・解説-Ⅳ.水門・樋門及び堰編-令和2年2月』に準拠して、終局変位δuの算出にあたっては、平成14年版の道路橋示方書の計算方法で算出しています。


図2 保耐法による竪壁照査結果

平成29年道路橋示方書(部分係数法)

平成29年道路橋示方書(以下、H29道示)への対応予定のお問い合せを頂くことがございますが、H29道示が発刊されてから現在までの間に擁壁工指針の改定が行われていないため、本プログラムでもH29道示への対応は行っていません。擁壁工指針の中でも、参考にする道路橋示方書は平成24年版とされています。今後、擁壁工指針の改定が行われ、H29道示や部分係数法への言及が追加されれば対応を行う予定です。

また、本プログラムでは杭基礎プログラムとの連動機能を有していますが、上記理由から「基礎の設計・3D配筋(部分係数法・H29道示対 応)」との連動を行うことはできません。連動機能を利用する場合は、「基礎の設計・3D配筋(旧基準)」や「基礎の設計計算,杭基礎の設計」 をご利用いただくことになります。

尚、土地改良事業計画設計基準及び運用・解説 設計「水路工」(平成 26年)に掲載されている限界状態設計法での照査には対応しております。


(Up&Coming '22 秋の号掲載)

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