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 サポートトピックス・CAD/UC-1シリーズ

建築杭基礎の設計計算のなぜ?解決フォーラム

水平力検討における地盤のモデルについて

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建築杭基礎では、選択や計算方法に応じて地盤のモデル化の方法が複数あります。今回は、質問の多い地盤のモデル化の違いやその使い分けについて、ご案内いたします。

本プロダクトで使用されている地盤モデルについて、水平地盤反力係数の算定式および「水平地盤反力度」と「杭と地盤の相対変位(以下、相対変位)」の関係図を示します。図の横軸は相対変位ȳ(cm)、縦軸は水平地盤反力度P(kN/m2)を示します。相対変位は、無次元化水平変位ȳ(cm)を用います。

なお、②線形モデルおよび③線形範囲を指定する方法は、建築基礎構造設計指針(以下、指針)に記載されているものではありません。線形モデルについては、建築基礎構造設計例集の設計例(P.128)を参考に、また、線形範囲の指定は多くのご要望を頂き対応した方法です。

ここに、
kh:地盤反力係数
kh0:基準地盤反力係数(基準水平変位0.01(m)=1cmに対応した水平地盤反力係数)
ȳ:無次元化水平変位
ȳ=y/y0
y:水平変位(m)
y0:基準水平変位=0.01(m)
なお、地盤の変位を考慮しない解析においては、「相対変位」を「杭水平変位」と置き換えてお考え下さい。


① 基本非線形モデル

指針(2019年版P.270)に掲載される基本となるモデルです。杭と地盤の相対変位により、地盤反力係数が低減されていく非線形で示されます。相対変位が0.1(cm)までの範囲を線形とします。


図1 水平地盤反力度と相対変位の関係(基本モデル)

② 線形モデル

簡易的な地盤モデルで相対変位が1(cm)以内に収まるような場合に適用できます。相対変位の値によらず基準地盤反力係数を使用します。相対変位が1(cm)を超えるようなケースでは、過剰に地盤剛性を評価することとなり、適切ではありません。相対変位が1(cm)を超える場合は、結果画面に警告が表示されます。


図2 水平地盤反力度と相対変位の関係(線形モデル)

③ 指定変位まで線形モデル、指定変位を超えたら非線形モデル

指定変位までを線形モデルとして、指定変位を超えたら非線形とします。線形範囲とする変位は指定可能ですが、相対変位が1(cm)以下を線形、1(cm)を超えた場合に非線形とするケースが多く用いられています。


図3 水平地盤反力度と相対変位の関係(線形範囲の指定)

④ 非線形モデル(近似テトラリニアモデル)

群杭フレームモデルによる解析時に使用するモデルです。①または③と同じ非線形モデルですが、近似のテトラリニアモデルを使用します。

第1点の変位:線形範囲が指定されている場合は、その変位。線形範囲の指定がない場合は、0.1(cm)。

第4点の変位:杭と地盤の最大相対変位として指定されている変位。

第1点と第4点の間を3分割して、第2点、第3点を定義します。

杭と地盤の最大相対変位で指定された値を超えるような相対変位が生じる場合は、地盤のモデルが適切ではありませんので、結果画面に警告が表示されます。最大値の設定を変更して、再計算を行って下さい。


図4 水平地盤反力度と相対変位の関係(近似テトラリニア)

(Up&Coming '23 新年号掲載)

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