第9回ナショナル・レジリエンス・デザインアワード NaRda

受賞結果

審査員の方々による厳正な審査の結果、グランプリ、準グランプリ及び3つの審査員特別賞が決定いたしました。
2022年11月18日、品川インターシティホールに於いて、表彰式を行いました。

    ▲表彰式の様子
    (2022年11月18日 品川インターシティホールにて開催)

  • ▲受賞作品の紹介動画

  • グランプリ(最優秀賞)

    株式会社KRAY

    複合構造橋脚を有する既設跨線橋のレベル2地震時動的非線形解析-昭和初期に建設された橋梁の最新地震時荷重による耐震検討-
    • 使用プログラム:Engineer's Studio®

      本橋は、昭和初期に建設され、中央の3橋脚は下部をRC構造、上部を7本のラチス柱をトラスで緊結して一枚板とした鋼製トラス脚を有する複合構造として施工された4径間連続鋼鈑桁跨線橋である。建設から80年を経過し、最新の地震時荷重を考慮した場合の耐震性能検証を目的に、レベル2地震時での動的非線形解析を行った。上部構造および鋼製トラス脚部を弾性梁要素、下部構造を非線形梁要素(M-φ要素)とし、柱基部には塑性ヒンジばねを設置してモデル化した。照査の結果、RC部材でのせん断耐力と鋼製トラス脚部材での曲げ圧縮応力度で許容値を超過する部材が見られ、今後の補強検討を行う際の基礎データとして確認された。

  • 準グランプリ(優秀賞)

    株式会社萩原技研

    橋台新設施工時の温度ひび割れに対する事前検討
    -マスコンクリートのひび割れ制御指針に基づいた解析事例及びその対策例-
    使用プログラム:JCMAC3

    単純桁橋の橋台施工時において、橋台の壁厚さが設計より1.95mのマスコンクリートとなる。そのため、現場コンクリート打設時に温度応力によるひび割れの発生が予想される。設計段階から施工段階となった時にひび割れ解析を実施しその対策が必要とされるため、今回は初期の施工計画に対してマスコンクリートの温度応力解析をJCMAC3にてシミュレーションを行った。また、初期の計画案で予想通りひび割れが発生したため、養生期間や打ち込み温度を変更したシミュレーションも行った。

  • 審査員特別賞(吉川弘道氏)
    Structural Performance Evaluation Award

    株式会社地球技研コンサルタント

    既設配水池の現況再解析と補強耐震性能照査
    -常時ケースNG対策と配水機能維持を両立する補強案-
    使用プログラム:Engineer's Studio®、地盤の動的有効応力解析(UWLC)

    既設配水池の耐震性能照査を実施した。現況解析を実施した際、竣工時の設計の荷重の考え方に問題があったため修正して解析したところ、常時でもNGとなるほど照査結果が厳しくなってしまった。また補強においても配水池の機能を妨げないようにすることや、周辺も建物等が隣接し用地が少ないという厳しい制約が生じたが、複数の補強工法を検討してFEM解析を行った結果、制約を満たしつつ耐震性能も満足する補強案を決定することができた。

  • 審査員特別賞(守田優氏)
    Water Supply Resilience Award

    若鈴コンサルタンツ株式会社

    水道管の液状化解析
    -液状化による地盤変形と管路への影響検討-
    使用プログラム:地盤の動的有効応力解析(UWLC)

    本解析では、農業用水道管が地震時に液状化する地盤で、どのような応答するのかを把握する目的として地震応答解析を行った。解析モデルとしては、3断面とした。通常の埋め戻し、コンクリートボックスで周辺を養生する場合、屈曲部に相当するので外力を別途考慮する場合を検討した。検討した結果、液状化は表層近くに限定的であり、大きな変形が発生しないことがわかった。応答波形について波長算出や間引きなどのデータ処理をした。

  • 審査員特別賞(若井明彦氏)
    Multi-stage Process Analysis Award

    株式会社エスケイエンジニアリング

    推進管立坑近接施工影響検討
    -鉄道軌道に近接して掘削する立坑施工影響解析-
    使用プログラム:Geo Engineer's Studio

    既設の鉄道の直下を横断するように推進管を通すため、発進立坑を計画した。掘削幅は8.0m、掘削深さは7.5m、奥行き幅5.6mの大きさとし鋼矢板Ⅳ型で土留めを行い、奥行き方向に2段切梁、掘削幅方向に2段でH400, H500の2本組の腹起しを計画した。掘削中心から軌道面まで20.46mの距離があり、立坑掘削時に影響が懸念された。本対象は地盤改良を掘削領域周囲に施したモデルとし、土留め、腹起しで剛な仮設工が施されているため、梁部材の剛性を奥行き幅1mに換算し2次元FEM解析を実施した。

  • ノミネート賞

    ナレッジフュージョン株式会社

    リカレントニューラルネットワークで予測した地震動による橋梁の動的解析-防災分野におけるAI技術の適用事例-
    使用プログラム:
    Engineer's Studio®

    我が国では南海トラフ地震や首都直下地震などの大規模地震発生の切迫性が指摘されている。このような未曾有の大地震からインフラを守るには、建設地点で将来発生する地震動を今まで以上に精度良く予測することが重要である。近年、ディープラーニング等のAI技術が目覚ましい発展を遂げており、防災分野にも利用され始めている。そこで、AI技術のうち時系列データを扱えるリカレントニューラルネットワーク(RNN)を用いて将来発生する地震動の予測を試みた。また予測した地震動と従来の設計地震動による橋梁の応答を比較検討した。その結果、従来の設計地震動では耐震性能を満足するとされた橋梁でも、RNNで予測した地震動では耐震性能を満足しないことを確認した。本作品は、防災分野においてAI技術を適用した一例を示すものである。
  • ノミネート賞

    株式会社屋部土建

    ケーソン基礎温度応力解析によるひび割れ検討及び対策工
    -パイプクーリングによるひび割れ対策検討事例-
    使用プログラム:JCMAC3

    対象構造物は河川内に築造する新設の橋脚ケーソン基礎である。計画ではケーソン基礎躯体部現場打コンクリートの壁厚が1.5m~1.8mのマスコンクリートであり、温度応力によるひび割れの発生が懸念される。そのため、ひび割れが発生する箇所を把握し適切な対応を講じる必要があった。本解析はJCMAC3を使用した対策工なしの逐次弾性温度応力解析及び、ひび割れ発生防止対策工としてパイプクーリングを考慮した同解析を実施し、その効果を検討した事例である。
  • ノミネート賞

    宇部興産コンサルタント株式会社

    アーチ水路橋の耐震性能照査
    -フレーム要素+平板要素を用いた無筋コンクリート橋の解析-
    使用プログラム:
    Engineer's Studio®

    通潤橋に代表されるようなアーチ水路橋は農業用水路として建造されたものであるが、現在では景観的価値、土木遺産的価値も高い。本橋は無筋のアーチ水路橋であり、主構造として下部工(柱)とアーチ部と水路部から構成されるが、アーチ部と水路部の間には間詰めコンクリートが存在する。解析モデルとして、間詰めコンクリート部を剛体としてモデル化する方法も考えられるが、できるだけ実構造に近づけるため、フレーム要素および平板要素を用いて無筋アーチ水路橋全体をモデル化し、静的解析および動的解析を行い、レベル2地震動に対する耐震性能照査を実施した。
  • ノミネート賞

    富士コンサルタンツ株式会社

    昭和30年代に造られた鋼単純トラス橋の耐震性能照査
    -大規模地震時に効果を実感できる先人たちの知恵-
    使用プログラム:
    Engineer's Studio®

    本橋は、上路式の鋼単純トラス橋である。昭和34年竣工という古い橋梁であることや、重量のある床版がトラス構造の上方にある、いわゆるトップヘビーと言われる構造であることから、大規模地震時に降伏点を超過する箇所が多数出現し、多くの補強を施す必要があることが予想されたが、”先人たちの知恵”によって最小限に抑えられている。ここでは、動的解析によるレベル2地震時の耐震性能照査や検証解析の結果より、”先人たちの知恵”に思いを巡らせることとする。
  • ノミネート賞

    株式会社キタコン

    ボックス構造を有する河川橋梁の耐震性能照査
    -函体と杭を一体とした静的非線形解析-
    使用プログラム:
    Engineer's Studio®

    本業務は河川橋の掛替えのため、3連ボックスカルバート構造として設計したものである。旧橋は橋梁構造だったが、橋梁構造では桁下余裕高を確保できないことや、交差点の存在により施工ヤードの確保や用地買収が困難だったため本形式が採用された。3連ボックスカルバートで杭基礎構造となること等の条件から、カルバート工指針が対象とする「従来型ボックスカルバート」の適用範囲を超えるため、道路橋示方書、水門・堰の計算例などを参考に函体と杭を一体構造とした骨組みによる、静的非線形解析を用いて耐震設計を行った。
  • ノミネート賞

    株式会社山栄設計事務所

    下水道施設近接施工影響検討
    -本体工事を組み入れた掘削による影響軽減検討-
    使用プログラム:
    Geo Engineer's Studio

    本地点は、河口部に位置し地盤は地表面から約30mの軟弱層が堆積している。近くに既存の鉄道が走り軌道面から28.5mの位置から掘削深6m、掘削幅27.2mを土留め掘削を計画した。FEM解析では、土留め工の鋼矢板Ⅲ型を21.5mまで打設しても、切梁や中間杭がないオープンな掘削では軌道面に影響が大きいことが判明した。そのため、剛性の高い土留め工として鋼管矢板、地盤改良など種々の検討を経て、部分掘削と本体工事を同時施工することで、本体構造物をカウンターウェイトとして利用することで所要の変位量内に収めることが可能と結論づけた。
ノミネート作品審査会の様子
  • フォーラムエイト東京本社セミナールームにて
    ノミネート作品審査会を実施

  • ノミネート作品審査中の様子

  • 審査員 左から吉川弘道氏(審査委員長)、守田優氏、若井明彦氏

概要

災害に負けない社会の構築に貢献したいという強い思いから、国土強靭化に資する取り組みを顕彰する目的で2014年に創設しました。構造解析から地盤、水工、防災に至る分野を対象とし、国土強靭化に繋がる具体的な事例と成果を一堂に集め、情報提供および技術研鑽の貴重な場として開催しています。

募集対象作品

設計/解析に限らず、減災への提言、合理的な設計法提案、BCP、リスクマネジメントなど、直接的・間接的に国土強靭化に資する内容である作品

応募方法/スケジュール
提出物条件

必須要件
1.作品タイトル・サブタイトル:20~40字程度
2.作品概要:150~200字程度
3.ポスター:A1横(画像等を用い目的/内容が簡潔に表現されているもの)
>>ポスターテンプレート(Word、111KB)
4.報告書(目的、手法、結果、考察など):全体で2ページ以上10ページ以内
>>報告書仕様(Word、58KB)
5.入力データ(結果ファイル)
6.使用製品名

任意要件
1.アニメーション、動画
2.PPTなどのスライド

言語
日本語または英語

送付先

①下記メールアドレス宛てにFORUM8ファイル転送サービス等でデータを送信してください。
E-mail : narda@forum8.co.jp

②CD-ROM、DVD等のメディアに保存して送付する場合は、以下宛先にお送りください。
〒108-6021 東京都港区港南2-15-1 品川インターシティA棟21F
(株)フォーラムエイト システム営業グループ
第9回ナショナル・レジリエンス・デザインアワード受付係 宛

スケジュール
  • 2022年10月17日(月)
  • 作品募集締切
  • 2022年10月25日(火)
  • ノミネート作品審査会
  • 2022年11月18日(金)

  • 各賞発表・表彰式
    会場:品川インターシティホール
応募作品の著作権等

受賞作品の著作権は、応募者に帰属するものとします。
提出されたデータの配布は行いませんが、フォーラムエイトは、著作者が制作したデータ、作品および成果物について、出力画像・動画等の編集・加工を行い、対外発表、研究発表、営業活動、広報活動として、HP、広報誌、書籍、雑誌、新聞等媒体における掲載・紹介など、二次使用許諾権利を持つものとします。あらかじめご了承ください。

応募に関する
お問い合わせ先

TEL:03-6894-1888 FAX:03-6894-3888
E-mail:forum8@forum8.co.jp

各賞・賞品
  • グランプリ(最優秀賞)

    raytrek高性能ノートPC、図書カード(5万円)、トロフィー、賞状

  • 準グランプリ(優秀賞)

    GALLERIAノートPC、図書カード(2万円)、賞状

  • 審査員特別賞

    Shade3D・ゲームプログラミングPC、図書カード(1万円)、賞状

  • ノミネート賞

    図書カード(5千円)、表彰盾

審査員
  • 審査委員長

    吉川 弘道 氏

    東京都市大学 名誉教授

    早稲田大学理工学部卒業、技術士(建設部門)、工学博士。専門は耐震設計、地震リスク、鉄筋コンクリート。土木学会論文賞、土木学会吉田賞他受賞。著書に『都市の地震防災』など7冊を上梓。

  • 守田 優 氏

    芝浦工業大学 名誉教授

    芝浦工業大学名誉教授。専門は都市水文学、地下水水文学、洪水リスクマネジメント。著書に『地下水は語る-見えない資源の危機』(岩波新書)。

  • 若井 明彦 氏

    群馬大学大学院
    理工学府 教授

    群馬大学大学院環境創生理工学科教授。専門は地盤防災、地盤と構造物との相互作用等。コンピュータによる現象予測、極端気象時/巨大地震時のメカニズム解明と減災対策等の研究に取り組む。

過去の受賞作品

例年、構造解析(土木・建築)・地盤工学・水工学・防災など、多様な分野における作品が発表されています。合理的な独自の技術提案が集積し、更なる裾野の広がりに期待が高まっています。

  • 第8回 グランプリ(最優秀賞)

    株式会社新日本コンサルタント

    既設鋼管アーチ水管橋の耐震検討
    使用プログラム:Engineer's Studio®
    本業務は水道施設耐震工法指針に準じて、橋長59mのランガー補剛形式の水管橋の耐震診断調査を実施したものである。耐震補強基本設計では、非線形動的解析にて耐震性を照査し、耐力が不足する箇所ついて補強工法の比較検討を行った。比較検討の結果、橋脚の補強について、可動側は背面側の増厚工法、固定側は炭素繊維巻立ておよびフーチング増し厚工法を採用した。仮設工法としては、河川阻害率等の河川条件を整理して締切り工法を採用した。耐震診断調査では、管厚測定、中性化試験、圧縮強度試験等の詳細調査を実施し、耐震性照査を実施して補強工法を提案した。
  • 第8回 準グランプリ(優秀賞)

    有限会社エフテック

    土木施設と建築施設を一体化した耐震性能照査
    使用プログラム:Engineer's Studio®
    地下の大型貯水槽、地上の多層階の建築施設(上屋)が一体となった大規模な排水機場においては、これまで土木施設、建築施設として別々に耐震性能照査を実施してきた。しかし、構造上も機能上の1つの施設であるにもかかわらず、異なる準拠基準、異なる解析手法、異なる評価指標で照査を行うことに矛盾を感じるとともに、地震時の実際の挙動、被害発生の過程が十分に再現されておらず、対策の方法、規模についても最適化が図れていないのではないかという疑問を持ってきた。そこで、地下土木施設と地上建築施設を一体化した解析モデルを構築し、外力として実際の地震動波形を与える動的解析で、大規模な排水機場の耐震性能を照査する手法を提案した。
過去受賞作品PickUp
過去コンテスト作品紹介
過去コンテスト表彰式の様子(第8回ナショナル・レジリエンス・デザインアワード/2021年11月)