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 サポートトピックス・CAD/UC-1シリーズ

マンホールの設計・3D配筋のなぜ?解決フォーラム

マンホールが基盤層に入る場合の考え方について

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(公社)日本下水道協会の基準に準じたマンホールの耐震設計では、応答変位法により計算を行います。この計算では表層地盤の地震動による変位振幅を算出し、マンホール躯体が地盤の変位に追随して変形するものとして躯体に発生する断面力を算出します。

ここでは、マンホール躯体が基盤層に入る場合の計算の考え方について説明します。

表層地盤の変位振幅

地震動による地盤の変位振幅は以下の式で算出します。



ここに、
 Uh(z): 地表面から深さz(m)における水平方向の変位幅 (m)
 Sv : 設計応答速度 (m/s)
 Ts: 表層地盤の固有周期 (s)
 z : 地表面からの深さ (m)
 H : 表層地盤の厚さ (m)


(式1)からわかるように、地盤の変位振幅Uh(z)は地表面からの深さz=Hのときに0mとなり、zが0に近づくほど大きくなります。つまり、表層地盤の下端(基盤面)を起点として地表面に近づくほど地盤の変位振幅が大きくなります。よって、マンホールの下端が基盤層より上にある場合は、図1のような状態になります。


図1 表層地盤の変位振幅

基盤層地盤の変位振幅

「下水道施設の耐震対策指針と解説」(日本下水道協会)においては、マンホールが基盤層に入る場合の考え方については特に記載されておらず、基盤層内は地盤の変位振幅を考慮せずに計算しても問題ないと考えることもできます。ただし、「下水道施設耐震構造指針(管路施設偏)」(東京都下水道サービス(株))においては、「部分的に工学的基盤面以深に入る管きょ・人孔」に関する記述があり、図2のように表層地盤と基盤層の地盤変位を重ね合わせる考え方が記載されています。

基盤層地盤の変位振幅も式(1)により算出されますが、式中のTsは基盤層地盤の固有周期となり、そのTsから算出された応答速度Svを用いて基盤層地盤における水平方向の変位幅Uh2(z2)を算出します。地盤変位を重ね合わせる場合は、表層地盤の各深度における変位振幅Uh(z1)に、基盤層上面の変位振幅Uh(z2)を加算します。


図2 表層地盤と基盤層地盤の変位の重ね合わせ

地盤の変位振幅を重ね合わせるときの設定方法

「マンホールの設計・3D配筋」において地盤データを入力すると、基盤面の位置はN値により自動判定されます。(基盤層を直接指定することも可能です)また、マンホールの躯体形状を入力すると、基盤面がマンホール躯体の途中に存在するかどうかをチェックし、「考え方-地震時」画面において「計算上の基盤層の位置を指定する」の入力が有効になります。チェックしない場合は基盤層の地盤変位は考慮せず、チェックを入れると地盤変位の重ね合わせを考慮した計算を行います。また、チェック時には「マンホール底面からの深さ」の指定も有効になり、指定した位置が基盤層地盤の変位振幅を計算する際の基盤面の位置となります。0(m)のとき基盤面の位置がマンホール底面となり、0(m)より大きな値を入力すると計算上の基盤面の位置をマンホール底面より深くすることができます。


図3 「考え方-地震時」画面

(Up&Coming '26 新年号掲載)

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