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2026年4月1日から自転車の交通違反に対して交通反則通告制度(青切符)が導入されるなど、近年は自転車利用者に対して交通事故防止の徹底がより強く求められるようになってきています。今回は、シナリオを利用して自転車や電動キックボードの動きをコントロールする方法について紹介します。意図的な制御を行わない単純な走行の表現については Up&Coming150号 のサポートトピックスで紹介しているので、そちらをご覧ください。 シナリオ設定による自転車のコントロール 自転車の走行を表現する最も単純な方法は、MD3キャラクタの設定で飛行ルートを指定する方法ですが、その場合は一定の速度で走行させるか、動作制御点を使用して特定の地点で速度を変える表現のみ可能です。停止させた場合、再度走行開始させることはできません。 シナリオを使用する場合は、上記の方法では行えない以下の表現が可能となります。 任意のタイミングでの速度の変更 シナリオを使用する場合、イベントのモデル制御設定を使用して任意のタイミングでの速度の変更が可能です。タイミングはイベント遷移条件により指定可能で、時間、衝突判定、距離、キーボード操作等の様々な条件を選択できます。また、速度の変更と同時に動作(アクション)の切り替えも可能で、デフォルト設定では一瞬で切り替わりますが時間を指定して徐々に切り替えていくことも可能です。なお、イベントで制御可能なキャラクタは同一シナリオ内で設定したものに限ります。 一時停止と発進の動作の指定 シナリオを使用せずに自転車のキャラクタの速度をコントロールする場合は動作制御点を使用しますが、特定の地点における速度を指定する形となるため、一度停止させてしまうと発進させることはできません。 シナリオを使用する場合はイベント遷移条件を指定して速度をコントロールするため、イベントのモデル制御で 0km/hを指定して停止させた後に、任意のタイミングで再び速度を指定することで発進させることが可能となります。これにより、交差点での一時停止の表現や、自動車が近づいたタイミングで自転車を発進させるヒヤリハットの再現をシナリオ設定で行うことができます。 信号に従って停止・発進する様子を表現する 標準機能ではMD3キャラクタを信号に従って動作させることはできませんが、シナリオで信号現示の切り替えタイミングとMD3キャラクタの停止・発進タイミングを同時にコントロールすることで、自転車が信号に従って動くイメージを疑似的に表現することが可能となります。それぞれ以下の方法でイベント設定を行います。 (1)シナリオイベントによる信号現示のコントロール (2)自転車の停止と発進のコントロール この方法で自転車をコントロールすることで、単純に信号に合わせて直進する自転車だけでなく、交差点で二段階右折を行う自転車の再現にも応用することができます。 シナリオ設定による電動キックボードの表現 自転車の走行はMD3キャラクタを使用しますが、電動キックボードの走行を表現する場合は自動車と同様に3Dモデルを使用します。RoadDBからダウンロードする場合、3Dモデルの「道路車両」内の「自転車・バイク」のカテゴリに登録されています。 飛行ルート上を走行させる場合 歩道もしくは道路上の任意の場所を走らせたい場合、飛行ルートを引いて電動キックボードの走行設定を行うこととなります。設定の考え方はMD3キャラクタによる自転車の表現と同様で、電動キックボードの場合は「飛行モデル」を指定することでモデルリストから選択でき、速度の設定は自転車の場合と同様となります。 交通流として走行させる場合 例えば路肩を走る電動キックボードが信号に従って赤信号で停止、青信号で発進する様子を表現する場合、交通流として表現することで自動車から車両として認識され、衝突せずに走行させることができます。その場合、道路断面を工夫して路肩部分を車線として設定し、交差点や交通流設定で自動車が路肩の車線を走行しないよう設定する必要があります。 道路断面を編集して路肩を車線として設定した後、電動キックボードを走らせるための交通流設定を行います。まずは交通流プロファイルの設定で、電動キックボードのみが含まれるプロファイルを新規作成します。 次に、電動キックボードを走らせる道路の交通流設定で、路肩として設定した「車線1」のプロファイルを電動キックボードのものに設定し、同じ行の初期速度の欄をクリックして電動キックボードの走行速度を指定します。その他の車線は空欄のままとします(空欄の場合は上の欄外の初期速度で指定されている値が適用されます)。その後、交差点の走行ルートや停止位置の調整を行うことで、路肩を走る電動キックボードを表現することができます。 シナリオによる自転車・電動キックボード表現の活用イメージ こうしたVRシミュレーションに触れることにより、普段キックボードや自転車に乗らない人でも「自分ごと」として考えてもらうための体験が可能となります。自動車を運転する人にとって常識でも、免許を持たない人は意識しないような危険事象や配慮点を可視化することで、幅広い年代や地域全体の安全意識を高めることに活用できます。 自転車・電動キックボードの運転マナー向上 シナリオを活用して模範的な運転を再現し、交差点での優先判断・歩行者への配慮、実は違反となる行為などを視覚的に示します。自治体や学校、購入店舗などでの運転講習、安全教室、インターネットでの配信などが考えられます。 例えば、判断に迷いがちな「自転車を除く」という標識がある一方通行路は逆走が可能といった例や、歩行者天国の道路は通行禁止などの例をわかりやすく紹介することができます。 ヒヤリハットの再現による交通安全啓発 急な飛び出しや信号無視など、事故になり得るシーンを再現し、危険予知形式のクイズ化やワークショップ教材として活用することが考えられます。職場や学校での安全講習や授業での討議素材として、実際の判断プロセスを鍛えることなどに展開できます。 自動車目線での見え方の再現 自動車免許取得前の利用者に向けて、自転車や電動キックボードの運転が自動車目線でどのように見えているかを再現し、死角・速度感覚の違い・夜間視認性などを体感してもらうことができます。これにより、双方の立場で今まで気づかなかった危険な例などを実感して、お互いへの配慮を促す地域啓発に活用していただけます。 |
(Up&Coming '26 新春号掲載)

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