Support Topics
 サポートトピックス・CAD/UC-1シリーズ

擁壁の設計・3D配筋のなぜ?解決フォーラム

安定照査毎に載荷荷重の作用範囲を設定できる機能について

保守・サポートサービス関連情報

本製品において、荷重として地表面載荷荷重の考え方に関する多くのお問合せをいただいております。今回はその中で「載荷荷重範囲の安定照査毎指定」機能に関する内容をご紹介いたします。

擁壁設計における載荷荷重について

『道路土工 擁壁工指針(平成24年7月)』では、載荷荷重は擁壁に最も不利となるように載荷することが記載されており、載荷方法の例として次のように示されています。

1.支持に対する安定を照査する場合にはかかと版上の載荷荷重を考慮 (図1)

2.滑動・転倒に対する安定を照査する場合にはかかと版上の載荷荷重を無視 (図2)


図1 支持に対する照査の場合 図2 滑動及び転倒に対する照査の場合

但し、上記はあくまでも例示であり、形状寸法や荷重条件によっては最も不利となる組み合わせとならない場合もあります。そのため、従来はかかと版上の載荷荷重を考慮したパターン、考慮しないパターン両方の荷重組合せケースを設定して検討する必要がありました。


しかし、この設定では、ほとんど同じ荷重ケースの設定が必要であったり、全く同じ条件の検討が別の荷重ケースに含まれたりする場合も多く、計算書の分量や手間が増えることになります。

載荷荷重範囲の安定照査毎指定機能

このような煩雑さを解消するために搭載された機能が、今回ご紹介する「載荷荷重範囲の安定照査毎指定」機能です。


この機能を使えば、1つの荷重組合せケースの中で、照査ごとに載荷荷重の作用範囲(位置)を変更して指定することができます。


設定対象となる範囲は以下の2種類です。
• (a) :竪壁背面より後方(かかと版上あり)
• (b) :仮想背面より後方(かかと版上なし)


本機能には以下の2つの設定モードがあります。


● 自動設定
(a)、(b)の両方の範囲で計算を行い、照査ごとに不利な結果が自動的に採用されます。
本設定を行う事で、照査ごとの入力を省略できます。


● 直接指定
照査(転倒・滑動・支持)ごとに、(a)または(b)の載荷範囲を手動で指定することができます。設計方針に応じた柔軟な設定が可能です。


図3 載荷荷重範囲の直接指定

「自動設定」の場合には、結果詳細計算書で「危険値のみ/両方表示」を選択することができます。


• 危険値のみ
載荷荷重を考慮した計算結果(a)と、考慮していない計算結果(b)のうち危険な計算結果のみ表示します。


• 両方表示
載荷荷重を考慮した計算結果(a)と、考慮していない計算結果(b)の両方を表示します。


図4 計算書出力時の「危険値のみ/両方表示」選択

設定手順

【自動設定の場合】

1.「 初期入力」画面の[考え方]タブで「載荷荷重範囲の安定照査毎指定」を「自動設定」にする

2.「 荷重-載荷荷重」画面で荷重ケースを作成する

3.「 荷重-組み合わせ」画面で、対象ケースにその荷重ケースを設定する


【直接指定の場合】

1. 上記と同様に[考え方]タブで「直接指定」を選択

2. 照査ごとの載荷範囲(aまたはb)を指定した載荷荷重ケースを作成

3. 組み合わせ画面で該当する載荷荷重ケースを選択する


入力時の注意点

この機能を利用する際は、以下の入力制限にご注意ください。


• 同一の載荷荷重ケースを複数の組合せケースで使用できません。(図5)


組合せケース毎に載荷状態が異なる可能性があるため、同一載荷荷重を複数の組合せケースで選択できないようにしています。


図5 同一の載荷荷重ケース例

• 複数の載荷荷重ケースを組み合わせることはできません。(図6)


図6 複数の載荷荷重ケース例

• 複数の水位ケースを組み合わせることはできません。(図7)


図7 複数の水位ケース例

※制限への対応として、組合せケースごとに専用の載荷荷重ケースおよび水位ケースを用意してください。


おわりに

「載荷荷重範囲の安定照査毎指定」は、照査ごとの荷重作用条件を1つのケース内で柔軟に設定できる機能です。


設計指針への対応を保ちつつ、設定作業や出力結果の簡素化を図ることができますので、ぜひご活用ください。


(Up&Coming '25 盛夏号掲載)

LOADING