未来を可視化する
長谷川章のアート眼 Vol.26
社会の未来を語るキーワード「シンギュラリティ」をテーマに、長谷川章氏のアート眼が捉えるものを連載していきます。人類が生命を超え、加速する未来を可視化する鍵を探ります。
長谷川 章(はせがわ あきら)
中国中央電視台CCTVのステーションロゴを始めNHKのオリンピックオープニング(1996)、ニュースタイトル、TV-CMなど数千本の制作してきた長谷川章が、日本人の持つ無常の精神から空間・環境のアーティスティックなソリューションであるデジタル掛軸を発明し今日のプロジェクションマッピングの創始者となった。
Akira Hasegawa
生成AIとデジタル芸術の進化
コンビニの商品選定とプロジェクションマッピングの相似性
はじめに
現在、コンビニ業界では約6万店舗が競い合い、売れ筋商品はPOSシステムなどを使ってビッグデータから選ばれています。この選定プロセスは、生成AIが膨大なデータから新しい画像を作り出す仕組みと似ており、どちらも「多数決」による選ばれる過程であると言えます。本論では、コンビニの商品選定と私が30年前に開発したプロジェクションマッピング技術「デジタル掛軸」に共通する要素を探り、生成AIの進化とその未来について考察します。
コンビニの商品選定と生成AIの相似性
コンビニ業界では、POSシステムを通じて集められた消費者の購買データを元に売れ筋商品が選ばれ、これが「多数決」によって決まります。この仕組みは、生成AIが膨大なデータから新しい画像を作り出す過程と非常に似ています。生成AIはユーザーの入力に基づいて、すでに存在する膨大な画像データから新しい画像を生成します。つまり、どちらも過去のデータに基づき、新しい選択肢を生み出すという点で共通しているのです。
デジタル掛軸と生成AIの概念
私が30年前に開発した「デジタル掛軸」は、プロジェクションマッピングを活用して新しい芸術の形態を創出するものであり、生成AIの概念にも通じる部分があります。デジタル掛軸では、15年間にわたって蓄積した膨大なデジタル画像をシャッフルし、ランダムに新しい映像を生成します。このプロセスは、生成AIがデータを基に新たな成果物を創り出す方法と似ています。デジタル掛軸は、一度きりの「移ろう芸術」を提供するものであり、この点で生成AIの画像生成技術にも似たような「一回性」があります。
生成AIとアートの未来
現在、生成AIはアートやデザインの分野にも進出しており、誰でも簡単に画家やアーティストとして表現できる時代が訪れています。これは、コンビニ商品が消費者の選択を反映して最適化されるのと同じように、AIが「選ばれる」アートを新たに創造する過程といえます。生成AI技術が進化することで、アートや商品選定の未来はますますAIに支配されることになるでしょう。
山中湖デジタル掛軸ミステリーサークル
FORUM8 スポット立体彫刻
結論
本論では、コンビニ業界の商品選定プロセスと生成AI技術の相似性を示し、私が開発した「デジタル掛軸」との関係性を考察しました。どちらも、膨大なデータから新しい成果物を生成するという共通点を持ち、生成AIの進化がアートや消費者行動に新しい可能性をもたらしていることを明らかにしました。今後、AI技術の進化が様々な分野で新たな価値を創出し、私たちの生活や表現方法に革命をもたらすことが期待されます。
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