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本連載は、「システム開発」をテーマとしたコーナーです。フォーラムエイトのシステム開発の実績にもとづいて、毎回さまざまなトピックを紹介していきます。
今回は、総合情報管理システム「ForumSync」についてご紹介します。
総合情報管理システム「ForumSync」の特徴とシステム活用の展望
はじめに
今回は総合情報管理システムである新製品『ForumSync』の特徴、および同製品の連携により実現可能だと考えられる様々なシステム活用の展望についてご紹介します。
ForumSyncの特徴
(1)開発背景
あらゆる業務でデータの電子化が行われクラウド上で管理されていますが、複数の運用システムが連携した横断的なデータの利活用については、既存システムの設計・運用上困難だと考えられます。しかし、実際の問題解決には複数のデータをリアルタイムに状況を確認できるシステムが必要であり、高度なデータハブの構築が求められています。
(2)情報管理における弊社の取り組み
弊社では情報管理に関するシステム開発を長年に渡り行ってきました。事務処理やISO文書管理といった業務における重要なデータをクラウド上で管理するシステム構築の技術サービス「GSSグループウェア・サポートシステム」を2003年に開始しました。また、3DVRソフトウェア「UC-win/Road」と連携し、VRデータをサーバーに転送しでクラウド上で3DVRを操作できるクライアントアプリ「VR-Cloud ®」を2010年にリリースしました。大容量のVRデータをサーバーに転送しクライアント側で利用するために、データ伝送信技術「a3S」を弊社独自で開発しました(特願 2010-290022)。多種多様なデータがクラウド上で扱えるよう開発を行ってきた歴史と実績があり、今回ご紹介するForumSyncの開発に至りました。
(3)ForumSyncの強み
『ForumSync』は総合情報管理システムとして様々なデータをサーバーにアップロードして、横断的なデータの検索・表示・取得ができる弊社の新製品です。弊社製品をはじめ、あらゆるソフトウェアやシステムで作成したデータをクラウド上に保存し、データの利活用が行えます。主な機能は以下のとおりです(図1)。
• データを連携する
各種DB(データベース)や作成したデータを、データ連携ツールによってForumSyncに登録します。データの削除や更新も容易に行えます。また、データを運営するにあたり組織やメンバーの管理、データの承認チェックや校閲機能、データのアクセス制限も備えており、データ漏洩やデータ更新ミスといったリスクを大幅に低減できます。
• データを検索する
登録されたデータは大容量ファイルストレージに保管されますが、DBシステムと連携が可能です。データの検索をキーワードや任意の図形を指定して空間的にも検索可能であり、膨大なデータ量であっても迅速に検索結果を返します。
• データを利用する
検索結果となるデータはUC-win/RoadやメタバニアF8VPSをはじめとした各種システムの利用を想定しています。例えば、浸水区域や気象に関するデータを取得して避難シミュレーション、交通量や道路構造に関するデータを取得して交通シミュレーションなど様々な応用が期待できます。
• 各種APIの提供によるカスタマイズ
データの連携時、利用時に使用できるAPIを備えており、特定のアプリケーションに限らずあらゆるシステムでご利用頂けます。例えば社内独自のデータ管理システムやデータビューワーに『ForumSync』の連携機能をカスタマイズすれば、新規にシステムを構築することなく低コストで連携可能です。
ForumSyncによるシステム活用の展望
『ForumSync』との連携により、あらゆるシステムに活用できると考えられます。以下にシステム活用の展望を紹介します。
(1)MaaS支援システム
様々な交通機関のシステムと連携して複数の交通機関を一括で予約できるMaaSとしてのシステム構築が挙げられます。
3D地図とサイクルポートのデータを連携し、現在地から最寄りのサイクルポートを検索できるシステムの開発を行った実績があります (図2)。今後は『ForumSync』の連携によって、道路データや混雑情報、バスやタクシーの車載GPSによって、現在地周辺の交通機関の状況をリアルタイムで表示。ルート探索を行い、目的地までに必要な交通機関の予約を一括で行えるシステムが期待できます(図3)。
図2 3D地図上でシェアサイクルの予約画面表示
(https://sakaidigitalmap.f8vps.jp/#/)
(2)自動運転支援システム
自動運転に用いる高精度地図情報やLIDARセンサーなど様々なデータを横断的に検索、シミュレーションや社会実験に活用できます。また、実車両に搭載されたGPS情報とリアルタイムのカメラ映像を連携することで、自動運転車両のモニタリングが可能です(図4)。
(3)設計・解析支援システム
『ForumSync』で管理し、成果品のデータベースを構築できると考えられます。また、データには成果品のファイルのみでなく、付加情報として設計条件、付属ファイルとして設計に必要なデータ(現場写真や設計書等)を一括りにしてデータ登録が可能です。成果品データの蓄積により、過去に行った設計成果の検索を設計対象の位置情報や設計日、および設計条件から検索できるようになり、設計・解析業務の効率化が期待されます(図5)。
(4)インフラ管理支援システム
UC-win/Roadによって計測した点群データや地形データから盛土差分形状を抽出し、ガイドラインで定められた調査情報を付加情報として登録したデータを『ForumSync』上に登録します。このデータをメタバニアF8VPS側で取得することで、Web上で盛土データを閲覧できるシステムを開発しました。データ登録作業が効率化されるとともに、調査結果の共有が迅速化し、業務全体の生産性が向上します。また、現場での入力作業が簡略化され、調査員の負担が軽減されます(図6)。
また、地下内の埋設管などのインフラ管理にも有効だと考えられます。公園台帳や工事図面など他部署で個別に管理されていたデータを集約し、メタバニアF8VPSに表示します。さらに、点検記録を登録・編集可能とすることで、仮想空間上で各部署の点検結果を共有。データの連携だけでなく、職員間の業務共有にも大きく役立つと考えられます(図7)。
おわりに
今回は新製品である『ForumSync』の特徴、およびシステム活用の展望としてMaaS、自動運転、設計・解析、インフラ管理の分野にてご紹介しました。単純にデータを保存してクラウド上に保管することは、従来の枠組みでも可能です。しかし、登録したデータを様々な方法で検索し、利用者が欲しい結果を迅速に返す仕組みは今までのデータ管理ツールとは一線を画します。また、データ同士の連携による新たなソリューションの創出も考えられます。『ForumSync』により今までのデータ管理・活用を刷新し、DX時代の強力なツールとして活用できます。今後の開発に、ぜひご期待ください。
(Up&Coming '25 盛夏号掲載)
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