CG/VRソリューションのさらなる高度化・多機能化
Day2(2020年11月19日)は、まず「Shade3Dの最新機能と目指す今後の展望、スイート千鳥エンジンの活用」と題して、当社担当者によるプレゼンを実施。Shade3Dの最新機能とUC-win/Roadリアルタイム連携を紹介し、国交省ガイドラインに対応したIFC入出力機能、BIM/CIM設計照査ツールについてもデモを行いました。また、スイート千鳥エンジンでは、最新機能としてポストエフェクトライブラリの追加について説明。サンプルを使用したデモに加えて、GIGAスクール準拠のプログラミングPCやパックン出演CMも紹介しました。
多様に活用されるShade3D
スイート千鳥エンジンの新機能を説明
AI技術や最先端表現が生み出す新しい価値に注目
Day2午後の部前半は、「第6回最先端表技協・最新テクノロジーアートセッション」を実施。まず、東京大学大学院情報理工学系研究科 准教授の山崎俊彦氏が、「AIで創出する新しい体験・価値」と題した特別講演を行いました。山崎氏は、画像認識、AI、ディープラーニングなどの技術を使った「魅力工学」をテーマとし、複数のデータを組み合わせて「刺さる」「映える」「響く」といった人の感性・情動に訴えるモノやサービスの研究を進めていることを紹介。この一環として、SNSの「いいね」数を上げるための方法を身近事例として取り上げ、会場の注目を集めました。
続いて、第4回となる羽倉賞発表と表彰式を実施。今年は過去最高数の作品が集まり、羽倉賞1作品/フォーラムエイト賞1作品/奨励賞4作品および、ノミネート賞7作品の、合計13作品が選出されました。
企業賞「フォーラムエイト賞」は、早稲田大学先進理工学部応用物理学科の「1枚画像からのフォトリアリスティックな歌唱およびダンスキャラクタ自動生成」。顔写真から高精細な顔モデル、歌唱音声からリアルな表情を生成し、ダンスのモーションキャプチャ技術を組み合わせて、歌って踊るキャラクター自動生成を実現しました。
羽倉賞は、北陸最先端音響工学研究所による「能登ひばスピーカー」が受賞。初めての「音」のみによる表現の作品となりました。スピーカーユニットを電流駆動し、検知した起電力及び電流信号からボイスコイル速度を高速アナログ信号処理により予測し、フィードバック系を構成する革新的なスピーカー駆動回路技術で、センサレスのため高速応答で、一般的に使用されるスピーカーユニットに適用可能となっています。
山崎俊彦 氏による特別公演
羽倉賞受賞者の皆様
受賞作品詳細は、「表技協活動レポート 」に掲載しています。 |
画像認識をはじめ先進的な技術を活用したUC-win/Road研究が集結
国際VRシンポジウムでは、世界各国・各分野からの大学研究者「W16」が集まって、毎夏場所を変えて実施されるサマーワークショップに参加し、11月のデザインフェスティバルでは、メンバーがそれぞれの研究成果を発表しています。アリゾナ州立大学の小林佳弘氏が代表となって活動を続けており、今回で13回目の開催を迎えました。今年は新型コロナの影響もあり、サマーワークショップと国際VRシンポジウムの両方が、オンライン開催となりました。本シンポジウムでは、毎年UC-win/Roadの先進的な活用を模索するユニークな研究開発が発表されています。
Virtual & Interactive Museums Real Estates Collaborative Design |
ロバートゴードン大学 Amar Bennadji 氏 |
新型コロナ流行を受け、建築設計教育の一環としてWeb上のインタラクティブなバーチャルツアーアプリケーションの活用を提案。将来的には、展示会や住宅展示場、観光等での活用を視野に入れています。 |
Flexible Traffic Lights |
同済大学設計創意学院 Kostas Terzidis 氏 |
AI技術、ニューラルネットワークによる交通制御について研究。順列等の数学的な確率のアプローチから情報を回帰させて認識・判断を行い、どのような形の交通制御がドライバーにとって快適かについて検証しました。 |
Visual Voxel Heatmap Generation |
ヴィクトリア大学 Marc Aurel Schnabel 氏 |
ボクセルヒートマップを用いて3D情報を収集し、フォーカスポイントを絞ることで、空間内での人の行動分析システムを構築。アイトラッキングから、ベクター、時間、ポジションデータにより定量的な分析ができます。 |
GANs and Latent Space |
カリフォルニア大学 Marcos Novac 氏 |
映像などの情報に含まれている要素をディープラーニングにより抽出し、新たな空間を生成するGANについて発表。キャラクターの再生成や景観スタイルを変更するセグメンテーションも使用できます。 |
VR Immersive Experience Engaging Five Senses |
バージニア工科大学 Thomas Tucker 氏 |
3Dモデルから制作した実模型を、VIVEトラッカーセンサーでUC-win/Roadに連携。テクスチャリングを行って紙のモデルを作成し、 建物を増やしてスタックアップしていくことで、実際のまちづくりのような表現を行いました。 |
The colors of point-cloud |
バージニア工科大学 Dongsoo Choi 氏 |
エッチングやシェーダーにより立体感を伴って点群を可視化。色と輝度情報の欠けた点群データを使用し、点群サイズやデータ自体の数値を変えることで分析を行って、ライティングや色等の変更をかけています。 |
Assessing VR toward preventing VR sickness |
大阪大学大学院 福田 知弘 氏 |
VR酔い低減のため動画用のシェーダーを拡張。動画データからヒートマップを加速度、絶対速度などから作成でき、高速でリアルタイム生成することが可能です。シェーダーによるブラ―効果なども紹介しました。 |
Artistic Filters on Point Clouds in UC-win/Road |
シェンカル工科デザイン大学 Rebeka Vital 氏 |
シェーダーをカスタマイズし点群にフィルタをかける機能を開発し、パーティクルをヘキサ、ブラッシングストローク、クリスタルや渦巻などにリアルタイム変換。それぞれ異なる表現が可能となりました。 |
Car accident Simulation & Visualization The advantage of VR and UC-win/Road |
マイアミ・スクール・オブ・アーキテクチャ大学 Ruth Ron 氏 |
車やバイクの衝突時の衝撃を物理シミュレーションで可視化。霧や雨など視界不良時の走行シミュレーションも可能です。今後も降雪時など、さらに検証を重ねる予定です。 |
5D Development system UC-win/Road Sustainable Planning and Design |
ピサ大学 Paolo Fiamma 氏 |
UC-win/Roadを持続可能な街づくりに生かすための研究。IFCデータにより、インフラ整備に必要な重機、道路、ランプ、樹木などの数から時間やコストを計算し、データを提案します。 |
World16代表の小林 佳弘 氏の司会で進行した
自動運転関連技術やセンサモデル連携など完成度の高いシステムが多数
今年で第8回となったCPWCは、UC-win/Road、VR-Cloud®およびスイート千鳥エンジンの開発キットによるプログラミングを競う国際学生コンペ。世界各国から27チームのエントリーがあり、最終的には7作品がノミネートされ、海外からの参加チーム中心にオンライン中継による最終審査と表彰式を実施しました。
審査員(左から)福田 知弘 氏、ペンクレアシュ・ヨアン 氏、佐藤 誠 氏、楢原 太郎 氏
受賞者の皆様
各ノミネートチームのプレゼンでは、福田知弘審査委員長の「コロナ影響下でありながら非常に質が高い作品が多く、プレゼンの完成度も高かった」という言葉に象徴されるように、すべての審査員から高評価のコメントがありました。技術的には、自動運転、AIとセンサの技術を組み合わせたものが目立ち、将来的な実用化の可能性も高い取り組みが多く集まりました。
グランプリを受賞したKaAI(韓国・国民大学校)の「DrEyeVer: Detecting Objects on Driver’s Focus of Attention for Intelligent Vehicle」は、UC-win/Roadを搭載したドライビングシミュレータと、ウェアラブル型のアイトラッカーから取得したドライバーの視線情報を組み合わせており、ドライバーが周囲の車両の存在を認識できていない場合に警告が発せられるシステムとなっています。「ドライバーの視界データやアイトラックを活用したことや、インテグレーションの技術などに、総合的な完成度の高さを感じた」(福田審査委員長)。
ハイブリッドでプレゼンテーションが行われた
(上:会場/下:オンライン)
表彰の様子(上:オンライン/下:会場)
世界中から参加チームがオンラインで集結し賑やかな表彰式に
第10回VDWCのテーマは「インドネシア新首都カリマンタン「フォレストシティ」の未来モビリティ生活」。実行委員長の池田靖史氏は最終審査のプレゼンにあたって、交通渋滞の解消など先端的なモビリティの実現や、自然とデジタルを融合したエンタテインメントなど将来都市など、次世代のための持続可能な提案について言及。作品中に見られたパンデミックに臨む姿勢も高く評価しました。
審査員(左から)池田 靖史 氏、皆川 勝 氏、C・デイビット・ツェン 氏、コスタス・テルジディス 氏
グランプリを受賞したFutureForestCity FamilyLab(日本・金沢大学)は、スマートで持続可能な、環境に優しい都市をデザインし、特別に設計されたドローンAbeeとその他の飛行車両が街中を移動するためのユビキタスワイヤレス充電がメインコンセプトになっています。Abeeとホログラフィックプロジェクションテクノロジーが、没入型の拡張現実(AR)環境を構築して住民の日常生活をアシストする仕組みや、太陽エネルギー、バイオエネルギー、風力エネルギーなどの再生可能エネルギーなどのアイデアが統合されている点が、高く評価されました。
今回はオンラインで世界中の受賞者をつないでプレゼン・最終審査と表彰式を行うという初の試みとなりましたが、優秀賞を受賞した台湾の国立高雄大学Animal CrossingRainforest Veinでは、多数の仲間たちが駆け付けて出場チームを応援している様子が画面上でも中継され、会場に熱気を届けていました。
グランプリ表彰
受賞者の皆様
自由で楽しいVR表現が次々と誕生
司会の多田 カルティダ 氏(左)とプレゼンターのパトリック・ハーラン 氏が進行を務めた
毎年の冬休み・春休み・夏休みに、小中学生向けのワークショップとして開催されている「ジュニア・ソフトウェア・セミナー」では、参加者1年間で作り上げたVR作品をデザインフェスティバルで紹介し、表彰しています。会場とオンラインそれぞれから参加者の皆さんが集まり、今年もお馴染みのパックンがコメンテーターとして参加。ゴールドプライズ12作品、シルバープライズ10作品、ブロンズプライズ3作品と、過去最高の合計25作品が表彰されました。
賞状授与とインタビューの様子