DXやテレワークへの対応も視野、VRベースの高度化するソリューション
デザインフェスティバルDay1は、午前から午後の部前半にわたる「第5回自動運転カンファランス」でスタート。来賓あいさつを挟み、関係4省庁の担当者5氏が年々着実な進展を見せる自動運転関連の施策や技術など最新動向について講演。続く「Virtual Reality Design Studio UC-win/Roadプレゼンテーション」では、自動運転に関わる研究開発を支援する当社のVRソリューションについて紹介しました。 午後の部後半は、「第19回 3D・VRシミュレーションコンテスト・オン・クラウド」の各賞発表と表彰式。そこでは事前に応募作品の中から10作品をノミネート。VR-Cloud®を利用した一般投票(11月5日~15日)および本審査会(11月17日)を通じ各賞が決定されています。 各セッション終了後は、フォーラムエイト パブリッシング最新刊3書籍「数値シミュレーションで考える構造解析 増補改訂版」「都市と建築のブログ 総覧」および「表現技術検定、データベース 公式ガイドブック」の各著者・監修者による講演が行われました。 Day2午前の部の皮切りは、「第21回 UC-win/Road協議会」向け「プレゼンテーション」。これを受けた後半は、「第8回CPWC」(応募作品から事前にノミネートされた8作品)および「第10回 VDWC」(同じく9作品)の公開最終審査を実施しました。 午後の部前半は、同表技協会長のあいさつに続き「第6回最先端表技協・最新テクノロジーアートセッション」の特別講演、同表技協による「第4回羽倉賞」(同じく13作品)の各賞発表と表彰式を開催。次いで「第13回 国際VRシンポジウム」では冒頭、「World16」のミッションや活動について紹介した後、オンラインで繋がった世界各地の「World16」メンバー(参加12名)がそれぞれのプロジェクトについてプレゼンテーション。最後にそれらと関連する当社の製品開発に向けた考え方に言及しました。 午後の部後半は、進行役のパトリック・ハーラン氏を交え「第8回CPWC」「第10回 VDWC」および「第6回 ジュニア・ソフトウェア・セミナー」の各賞発表と表彰式を実施しました。 Day3(デザインフェスティバル最終日)は、午前の部から午後の部前半にわたり「第14回 デザインコンファランス IM&VR・i-Constructionセッション」を構成する特別講演とDX関連の当社ソリューションについてプレゼンテーションが行われました。 午後の部後半は、当社のBIM/CIMやFEM解析に関わるソリューションのプレゼンテーションを受け、「第7回 NaRDA」(応募作品から事前にノミネートされた8作品を対象に審査員が11月17日に最終審査)の各賞発表と表彰式を実施しました。 なお、今回デザインフェスティバルでは会場およびオンラインを通じた入場者数(前夜祭を含む)が累計で2千人超に上っています。 自動運転レベル3の世界実現へ、次段階視野に技術・制度の基盤整備も デザインフェスティバルのDay1(2020年11月18日)は、まず当社代表取締役社長の伊藤裕二が開会あいさつ。これを受けた「第5回自動運転カンファランス」のオープニングは、経済産業省製造産業局自動車課ITS・自動走行推進室長の植木健司氏による特別講演「経済産業省における自動走行の実現に向けた取組」。同氏は初めに、自動車産業が直面するトレンド「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング&サービス、電動化)」の概念、その推進に向けた他省庁との連携、CASEに関する研究開発から本格普及へのこれまでの流れと今後の見通し、MaaS(Mobility as a Service)を含むモビリティ社会構築に向けた対応の方向性を概説。その上で、自動運転の意義 1)安全かつ円滑な道路交通、2)快適に移動できる社会、3)産業競争力の向上・関連産業の効率化)、自動運転システム、自動運転レベル(SAEレベル0~5)の定義について整理。併せて、商用車で先行するレベル4の社会実装の取り組み、世界の自動運転(レベル3・4に関する制度整備など)の動向、自動運転実現に必要な取り組み(技術開発、インフラ・制度整備、社会受容性の向上)に言及。さらに、社会実装を推進していく立場から経産省の自動運転に関する取り組み、自動運転サービスの実現・普及に向けロードマップに沿った実証実験の推進状況へと展開。強調領域10分野(地図、通信インフラ、認識技術、判断技術、人間工学、セーフティ、サイバーセキュリティ、ソフトウェア人材、社会受容性、安全性評価)に関する取り組みにも触れます。
次いで、総務省総合通信基盤局電波部新世代移動通信システム推進室室長の五十嵐大和氏が「自動運転の実現に向けた情報通信の動向と総務省の取組」と題して特別講演。ITS(高度道路交通システム)の総務省的進化イメージ、そこでの電波利用と同省の関わり、運転支援システムに係る同省の施策概要について述べた上で、特にConnected Carの実現イメージ、Connected Car社会の実現に必要な通信要件を整理。車両と様々なモノとの通信を意味するV2Xに言及。また進行中の、次世代V2Xシステムに必要な技術的検討、同システムの既存システムに与える影響の検証、加えて内閣府主導のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)を通じた自動運転に必要な通信要件の検討、自動運転社会の実現に必要な情報通信技術のロードマップの策定、交差点周辺情報のリアルタイム把握や当該情報を必要とする車両に配信する技術の研究開発、日本のITS技術の国際展開について紹介。併せて、移動通信システムの進化とデジタル社会の将来イメージ、それを支える5Gの推進、ローカル5Gの検討、5G総合実証試験、課題解決に向けた開発実証などへと展開。さらに、Beyond 5G/6Gに求められる機能、Beyond 5G推進戦略会議の全体像、Beyond 5G推進戦略のロードマップ、Society 5.0におけるBeyond 5G/6Gの位置付けについて解説しました。
午前の部最後の特別講演は、国土交通省道路局道路交通管理課高度道路交通システム(ITS)推進室長の西川昌宏氏による「自動運転に関する国土交通省道路局の取組について」。去る6月に策定したビジョン「2040、道路の景色が変わる」で提案する持続可能な3つの社会の姿(誰もが自由に移動・交流・参加できる社会、世界の人・モノ・サービスが行き交い活力を生み出す社会、国土の災害脆弱性とインフラ老朽化を克服し安全安心して暮らせる社会)と、それに対応し自動運転の実現を道路インフラ側から支援する施策の方向性について概説。これを受け、山間地域の道の駅を拠点とした自動運転サービス実証実験(短期・長期、全国18箇所で実施)の具体例として、1)秋田県上小阿仁村の道の駅「かみこあに」、2)滋賀県の道の駅「奥永源寺渓流の里」、3)島根県の道の駅「赤来高原」をそれぞれ拠点に行われた実験の概要、それらから浮かび上がった課題と対応策を整理。技術課題とともに、そこでのビジネスモデル構築課題の重要さを強調。また自動運転に対応した道路空間に関する検討会(2019年7月議論着手)が2025年までの政府目標達成に向け提言(同年11月)した中間取りまとめと、それを踏まえた道路法改正について説明。加えて、高速道路インフラ活用の一環としてトラック隊列走行の実現に向けた取り組み、そこでの合流部等での情報提供、先読み情報提供、車線レベルでの道路交通情報の提供といった課題解決策にも言及します。
午後からはまず、古屋圭司衆議院議員(「自動車文化を考える議員連盟」会長ほか)が来賓あいさつ。大の運転好きを自負する氏は少し複雑としつつも、世界で初めて国交省から自動運転レベル3の型式指定を取得した本田技研工業の話題に触れ、自動運転の本格化に向けたモメンタムの一端と位置づけ。そのもたらす経済的・技術的インパクト、さらにメリットとデメリット両面を対比。政治家としての観点から、今後の国際競争も踏まえ、広範な政府組織を挙げていっそう取り組みを強化していくべきとの考えを語ります。
午後最初の特別講演は、「自動運転の実現に向けた取組について」と題し国土交通省自動車局技術政策課自動運転戦略官の多田善隆氏が特別講演。自動運転の意義に触れた後、自動運転レベルのうち特に今後注目されるレベル3・4(限定された走行環境条件での自動運転)の位置付けを解説。その上で、1)自家用車、2)移動サービス、3)物流サービス(トラック隊列走行)、4)物流サービス(自動配送ロボット)それぞれについて政府目標、現状、課題を紹介。また、2020年に実現する自動運転像として、レベル3対応の自家用車の市販化や自動運転移動サービス(限定領域で遠隔監視・操作)の実証実験をはじめ、1)自家用車の高速道路での自動運転に向けた改正道路運送車両法・自動運転車に関する安全基準の施行、2)無人移動サービスに関する主な自動運転実証実験、3)トラック隊列走行(後続有人・無人)の実証と技術開発、4)自動配送ロボットの実証実験開始などを列挙。併せて、国のプロジェクトの実証について目的ごとに検証内容と今後の課題を整理。さらに、道路運送車両法の改正点や自動運行装置の保安基準等(いずれも2020年4月施行)、国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)の自動運転専門分科会(GRVA)を中心とした自動運転技術に係る国際基準検討体制、「ラストマイル自動運転車両システム」ガイドラインの概要について説明。自動運転における損害賠償責任、自動運転車事故の原因究明・調査分析、衝突被害軽減ブレーキ等運転支援装置の過信防止啓発の取り組みにも触れます。
同カンファランス最後の特別講演は、警察庁交通局交通企画課自動運転企画室長の畠山雅英氏による「自動運転の実現に向けた警察の取組について」。交通弱者の被害が際立つ日本の交通事故状況の特徴を説いた後、自動運転レベルの概要、2020年目途に自家用車の高速道路でのレベル3実現、2025年目途に自家用車の高速道路でのレベル4実現などを掲げる自動運転実現に向けたロードマップ、同庁の調査検討委員会の活動について解説。その上で、1)レベル3実用化に向けて自動運行装置の規定、同装置を使用する場合としない場合の運転者の義務、作動状態の記録・保存義務などを含む道路交通法改正(2020年4月施行)、2)レベル4実用化に向けた交通ルールの課題に関する調査検討の概要を説明。さらに今後一層ウェートの増す実証実験を視野に、1)特段の許可や届け出なしに実施可能な公道実証実験の対象を明確化した「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン」(2016年策定)、2)ガイドラインの方法によらない実証実験や特別な形状の自動車を用いた実証実験を安全かつ円滑に行うための(遠隔型自動運転システムや特別装置自動車に関する)道路使用許可基準の明確化、3)自動配送ロボットについての公道実証実験の手順と同庁の支援策、4)第2期SIPの自動運転関連同庁施策のうち2020年度に取り組む路側インフラを通じた信号情報の提供、クラウド等を活用した信号情報の提供、GNSS(位置情報)等を活用した信号制御について、具体的に紹介しました。
これら特別講演を受けた午後の部前半の締めくくりは、「Virtual Reality Design Studio UC-win/Roadプレゼンテーション」。初めに当社担当者が「UC-win/Road安全運転シミュレータ~国家公安委員会型式認定~、VR適用事例」と題し、UC-win/Roadを核とするデータ処理の全体フローに触れつつ、オープンな点群データを活用したリアルタイム運転シミュレーションについて動画を交えて解説。次いで、国家公安委員会の運転シミュレータ型式認定を取得したUC-win/Road安全運転シミュレータ、放送中の「FORUM8×パックン」新CM、AUTOSARに対応した自動車ECU向け組込み開発の新サービス、最近の特徴的なユーザ事例、視線計測プラグイン、オブジェクト検出プラグイン、シミュレーションリアルタイム連携プラグインオプション、シェーダカスタマイズ、VISSIM連携プラグイン、VR-NEXT®、Shade3D Ver.21、ARソリューション、バーチャルショールームなどを紹介しました。 最後に「VR世界のランドスケープとFORUM8製品開発の進化」と題して当社開発担当者がプレゼンテーション。現行UC-win/Roadの新機能として運転・天候・音声の各シミュレーションや3D編集機能の改良点、FBXファイル出力や4Dシミュレーションへの対応を列挙。次いで開発中のUC-win/Road Ver.15(2021年2月リリース予定)の新機能としてC++APIやBIM/CIMへの対応、4D→nD(多次元)シミュレーション、レンダリング速度アップなどの性能改善に言及。さらに、VRソリューションの開発環境やビジョンと併せ、glTF Viewer(VR-Next®)やバーチャル展示システム、今後の開発キーワードなどにも触れます。
建設工事の緻密な再現や災害復旧工事の訓練を通じ、VRを社会に実装 Day1午後の部後半は「第19回 3D・VRシミュレーションコンテスト・オン・クラウド」の表彰式が開催されました。 これに先立ち10月16日までに応募いただいた多数の作品の中から、10月23日の予選選考会で10作品をノミネート。これら作品を対象に11月5日~15日、VR-Cloud®を利用して行われた一般投票の結果も加味。11月17日に審査委員長の関文夫・日本大学理工学部土木工学科教授、審査員の傘木宏夫・NPO地域づくり工房代表および原口哲之理・名古屋大学未来社会創造機構客員教授から成る本審査会(フォーラムエイト東京本社)で各賞が決定されています。 その結果、グランプリ(最優秀賞)に輝いたのは、ショーボンド建設株式会社の「橋梁補修時の施工VRシミュレーション」。これは、工事を行う前に点群データを採取するとともに、設計図面から正確に部材をモデル化。施工現場状況と想定する工事内容をVRで表現し、施工性を事前に検討したもの。シナリオ設定により個々の施工シミュレーションをアニメーションで確認可能。維持管理の複雑な工程をはじめ、建設重機や足場なども含む「ザ・建設工事」と言える世界をそのまま緻密かつリアルに再現した、と評価(関氏)されました。 準グランプリ(優秀賞)は、国土交通省九州地方整備局九州技術事務所による「遠隔操縦操作訓練用シミュレータ」。熊本地震(2016年)により崩落した阿蘇大橋周辺を再現したVRデータを用い、実際の遠隔操作用コントローラを接続して災害時の初動対応を目的とする分解組立型バックホウの遠隔操作訓練シミュレータを構築。災害現場を模した空間で実際の機材を使用した訓練のイメージを体験することが可能。日頃から災害復旧の場面を経験しておくことは大事で、VRの世界を社会に実装していく好例(原口氏)と位置づけられました。 構造解析やDBの入門書、3Dデジタルシティとリンクした都市紹介書籍化への狙い 今回のデザインフェスティバル開催に合わせ、フォーラムエイト パブリッシングは3書籍を刊行しました。そこでDay1の最後に、各著者による講演を実施しています。 初めに「数値シミュレーションで考える構造解析 増補改訂版」の著者、吉川弘道・東京都市大学名誉教授が初版から10年振りの、「ソフトで学ぶ非線形解析と応答解析」の副題を冠する本書の位置づけを紹介。自らその特徴を、1)シミュレーションや事例で構造解析を示す狙いから事例解析、数値シミュレーションおよびパラメトリック解析を列挙、2)「エンジニアは絵が命」との信念を反映し分かりやすい図表や写真を多数収容、3)設計や解析に必要なポイントを整理し、特に「解析は数値実験」との観点から関連する解析を精力的に提示した、と振り返ります。その上で、1)独立した構成で必要な箇所から読み始められる、2)具体的なモデル化、解析結果の見方/判断等を涵養でき、定性的・定量的判断の理解に有用、3)設計/建設エンジニアの入門書、あるいは高専/大学などの教育教材としての使い勝手を意図した、と解説。本書で入門・涵養し、NaRDAをゴールにという流れを描きます。 続いて、「都市と建築のブログ 総覧 -50+Notes on Captivating Destinations-」の著者、福田知弘・大阪大学大学院教授は当社季刊誌「Up & Coming」で2009年秋から担当する同名コーナーに言及。自身が学界やプロジェクトへの参加、街づくりや環境活動を行っている地域への取材などを通じ執筆を続けてきた同コーナーが連載50回を迎えたのを機に、内容をブラッシュアップするとともに再編した、と今回書籍化の経緯を語ります。そこでは、教授が参加し、地域を核とする産官学の複数共同研究プロジェクトの取り組みも併せて紹介。また、コーナーは当初、単に氏が各都市を紹介するという企画でスタート。その後、氏が「紹介する都市をフォーラムエイトで3Dデジタルシティにしては」と提案したのを受け、その構築も並行して進展。今回出版に合わせ、やはりブラッシュアップされた3Dデジタルシティにネット上でアクセスできるよう整備されている、と動画を交えて説明しました。 出版書籍講演のクロージングは、「表現技術検定 データベース 公式ガイドブック」の著者で、フォーラムエイト常勤監査役 兼 大同大学情報学部非常勤講師の石河和喜氏がまず、同書は前年刊行された(情報処理)編(著者同)に続くシリーズ第2弾と位置づけ。その上で、最先端表現技術利用推進協会が主催する表現技術検定の受験者向けガイドブックという同書の役割を踏まえ、データベースの基本的な知識を身に着けてもらおうとの狙いを説きます。そのため、初めにデータベースの仕組みを概説。次いで、事物・事象からデータ、情報、知識、知恵へと至る情報ピラミッドを例にデータと情報の概念を解説。さらに、同書でウェートを置いて扱うリレーショナルデータベースの構造について詳述。最後に、データベースを「知識発見の礎」との考え方を示し、データマイニングやAIの話題にも触れながら、日ごろ利用している割にその中身についてはあまり意識されていないデータベースのことをこの機会に知っていただければ、との思いを語りました。 |
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