All about FORUM8 Products. 16th FORUM8 DESIGN FESTIVAL 2022 3DAYS+EVE 11.16WED-18FRI EVE11.15TUE

35年のノウハウ蓄積と技術の先進性で
DX時代の各種ソリューションを実現
デジタルツインやメタバースにも対応、
産業向けCG・VR市場をリード

 フォーラムエイトは2022年11月16〜18日(15日はその前夜祭)、品川インターシティホールおよび同ホワイエで「FORUM8デザインフェスティバル 2022-3Days+Eve」を開催いたしました。当初はそれぞれ個別に実施されていた複数のイベントを2009年、「デザインフェスティバル」として再編。以来、毎年秋に3日間かけて行う現行の方式を踏襲。さらに2015年からは、当社の最新技術を含め最先端表現技術と多彩なアートが競演する「Eve(前夜祭)」を付設。コロナ禍により近年はオンラインにウェートを置くなど制限されてきた中で、今回は3年振りにリアルイベントとして開催されています。今回はその前夜祭を受け、「第7回 自動運転カンファランス」「第23回 UC-win/Road協議会(VRカンファランス)」「第15回 国際VRシンポジウム」「第8回 最先端表技協・最新テクノロジーセッション」および「第16回 デザインカンファランス」の複数講演や発表、「第21回3D・VRシミュレーションコンテスト・オン・クラウド」「第10回 学生クラウドプログラミングワールドカップ(CPWC)」「第12回学生BIM & VRデザインコンテストオンクラウド(VDWC)」「第8回ジュニア・ソフトウェア・セミナー」「第6回羽倉賞」および「第9回ナショナル・レジリエンス・デザインアワード(NaRDA)」の公開審査や表彰式、出版書籍の著者講演などが行われました。

EVE 2022.11.15TUE REPORT

  • 「再会 Reunion」をテーマに久しぶりの会場開催

    今年の前夜祭は「再会 Reunion」をテーマとして、3年ぶりとなるリアルイベントを実施。開催前の時間帯には、過去のオンライン開催分のレビュー動画も配信しました。

    草月流横井紅炎によるライブ華道を皮切りに、marimosphereとDJ ONIのユニットNeiroによる、VRアートとデジタルサウンドをリアルタイムに構築しクリプトアートにして発信するパフォーマンスや、東京2020の振り付けにも関わったMikiとクラシックピアニストJUNKOによるダンス・ピアノのコラボレーションがステージ上に展開。

    会場には、廃棄竹と先端表現を組み合わせて、竹の音・自然の音と調和した立体音響と映像で中に入る人を包みこむ新作「Bamboo Dome」を設置。自然とテクノロジーの調和、先端技術とリユースの調和などをテーマとし、サステナビリティを問う作品として発表しました。

    さらに、今回初の試みとして、Crypto Art展示・ライブパフォーマンスを実施。hasaquiのドローイングとAI・p5jsを利用した作品、marimosphereのAIとブロックチェーンを象徴する抽象化されたパターン表現などを中心に、AIやNFTなど最先端のコンセプトを取り入れた作品を展示し、併せて、Vjyou、Hanahana production、江戸レナによる映像と音楽を組み合わせたパフォーマンスが繰り広げられました。

    ▲前夜祭 ー再会 Reunionー タイムラプス

DAY1 2022.11.16WED REPORT
講演資料・ムービー

  • VR第7回 自動運転カンファランス

    自動運転の新たなパラダイム、「デジタルを活用した交通社会の未来」が描く道筋

     デザインフェスティバルのDay1(2022年11月16日)は、当社代表取締役社長の伊藤裕二によるあいさつを受け、「第7回自動運転カンファランス」が開会。本年はFORUM8 Rally Japan2022の開催を受け、古屋圭司衆議院議員(モータースポーツ振興議員連盟、自動車文化を考える議員連盟会長)に加えて、大岡敏孝衆議院議員(同連盟所属)およびWRC Promoter GmbHFIA世界ラリー選手権 営業部部長のマーク・デュ・ジョン氏の3氏による来賓あいさつを実施しました。古屋氏は、フォーラムエイトがFIA世界ラリー選手権(WRC)最終ラウンド第13戦「ラリー・ジャパン」のメインスポンサーを務めことの意義に触れた後、自動運転レベル4・5への取組、それらに対する自身の着眼点を提示。

    続いて大岡氏が、自動運転への更なる取組とそこでのフォーラムエイトのVR技術活用の有用性、それらを通じた新たな自動車社会づくりへの期待を述べました。最後にジョン氏は、WRCについて映像とともに紹介。「モータースポーツはモビリティ開発にとっても非常に重要。車両効率を追求してエンジン、バッテリーを開発・機能向上につながっている。また、ラリーカーではカーボンニュートラルな燃料の利用やEV走行も行っており、実際の道路を様々な条件で走ることでテクノロジーで様々な障壁を乗り越えられることを実証している」と述べ、ラリー・エストニア(2021年)での初となる完全な自動走行車による走破と観客移送、来年のフォーラムエイト・ラリージャパンへの期待に言及しました。

    「自動車文化を考える議員連盟」会長 衆議院議員 古屋 圭司

    衆議院議員、初代国土強靭化、元防災担当・拉致問題担当大臣。国家公安委員会委員長、衆議院議員運営委員長を歴任。成蹊大学経済学部卒業、大手保険会社を経て衆議院岐阜5区にて当選11回。現在は、自由民主党憲法改正実現本部長を務め、自由民主党「モータースポーツ振興議員連盟」会長、「自動車文化を考える議員連盟」会長をはじめ40を超える議員連盟会長を幅広い分野で活躍。

    著書として「そうだったのか!!『国土強靭化』」(平成26年PHP研究所)/「上を向こう、日本」(平成22年PHP研究所)/「サッチャー改革に学ぶ教育正常化への道」(平成17年PHP研究所)など。MANGA議員連盟の会長も務め、フォーラムエイトパブリッシングより、執筆書籍「MANGAの歴史と未来」(仮)を出版予定。

    「自動車文化を考える議員連盟」所属 衆議院議員 大岡 敏孝

    滋賀県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社スズキ入社、国内外で営業を担当。1999年浜松市議会議員初当選。2007年に静岡県議会議員に初当選し、以降2期を務める。2012年に滋賀県第1区にて衆議院議員選挙に初当選。2015年財務大臣政務官就任。2021年環境副大臣就任。自民党「モータースポーツ振興議員連盟」、「自動車文化を考える議員連盟」所属。

    WRCPromoterGmbHFIA世界ラリー選手権 営業部部長 マーク デュ ジョン

    20シーズン以上にわたってFIA世界ラリー選手権(WRC)の営業部門の一員として、自動車部門(OEMや大手サプライヤーを含む)との商談やビジネス展開を担当。具体的なプロジェクトに、日本とアメリカで開催される新しいラリーイベントや、WRCのインタラクティブなTVゲームなど。

    自動車産業、モータースポーツ、放送の分野でグローバルに経験を積み、WRCをはじめとするモータースポーツの最高峰で、大手ブランドや自動車部品メーカーとのプロジェクトに携わる。2004年から2010年にかけては、モータースポーツにおける持続可能な技術の利用を促進することを目的とした英国政府出資のシンクタンク「Energy Efficient Motorsport」に所属。英語、ドイツ語、フランス語、オランダ語に加え、スペイン語も堪能。また、国際ラリーのコ・ドライバーとしても活躍し、最近ではアルプス地方を5日間かけて走る電気自動車ラリーに挑戦。

     特別講演は、経済産業省製造産業局自動車課ITS・自動走行推進室長 福永茂和氏「経済産業省における自動走行等の実現に向けた取組」からスタート。自動車産業の変革を表す「CASE(コネクテッド、自動運転、シェア&サービス、電動化)」の概念とそれぞれの取組の現状を概説。その上で「自動運転×コネクテッド」や「電動化×自動運転・新サービス」を例に、それらが相互に関連することでもたらされる新たな自動車像、その開発・運用に当たってカギとなるデジタルツインを用いた評価手法や大容量電池などの技術について解説。そこでの産業構造と付加価値を巡る変化、地方を中心とする将来の移動に関わる課題、自動運転の意義へと話を展開。自動運転の定義と(レベル3まで一部実用化が進み、レベル4を目指す)現状、これまでの(レベル3・4に対応する)法整備面での取組を整理。併せて、サービスカー(タクシー事業)やオーナーカーに関する国内外の開発状況、レベル4に向け課題解決を狙いに動き出した「自動運転レベル4先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト(RoAD to the L4)」を構成する4つのプロジェクトについて説明。さらに、シミュレーション環境を利用した安全性評価による国際標準化、自動運転化で不可避な省エネ化に向けグリーンイノベーション基金を用いる技術開発にも言及しました。

     次いで、総務省総合通信基盤局電波部新世代移動通信システム推進室室長 増子喬紀氏「自動運転の実現に向けた情報通信の動向と総務省の取組」と題して特別講演。まず電波を所管する観点からITS(高度道路交通システム)で使われる周波数帯の特性、ITSの進化の流れとそこでの各種通信の関わり、様々なV2X(Vehicle-to-Everything)通信例を整理。自動運転時代のITS Connect(ITS専用の760MHz帯利用の車車間・路車間通信による安全運転支援システム)活用への期待、自動運転の急速な進展・普及に伴う通信ネットワークの負荷増大に向けた対応の重要性に言及。政府のITS推進体制および同省が担う役割、レベル4・5の実現に向けたV2Xの重要性、その世界的な動向と日本の対応、それに関連し電波政策懇談会が作成したロードマップ、それを反映した同省の周波数再編アクションプランへと話を展開。その上で、自動運転に必要な通信要件の検討、様々な通信方式活用のための狭域中域情報の収集・統合・配信に関わる研究開発、V2Xの海外展開、ITU-RにおけるITSに関する標準化活動を紹介。さらに、携帯電話の進化、第5世代移動通信システム(5G)の低遅延などの主要性能、5Gを活用した自動運転サービス、それらを利用する将来像、繋がるクルマ「Connected Car」の実現イメージについて説明しました。

    経済産業省 製造産業局自動車課 ITS・自動走行推進室長 福永 茂和

    2002年に経済産業省に入省。東京大学大学院新領域創成科学研究科修士課程修了。在中国日本国大使館参事官などを経て、2021年7月より現職。

    総務省 総合通信基盤局 電波部 新世代移動通信システム推進室室長 増子 喬紀

    2003年総務省入省。情報通信分野における技術政策、電波政策の企画立案等に携わる。2022年7月より現職。

    国土交通省 道路局 道路交通管理課 高度道路交通システム(ITS)推進室長 和賀 正光

    1997年建設省(現国土交通省)入省。都市局都市政策課都市環境政策室長を経て、2022年4月より現職。

     国土交通省道路局道路交通管理課高度道路交通システム(ITS)推進室長 和賀正光氏「自動運転に関する国土交通省道路局の取組について」と題して特別講演。物流/移動サービスとオーナーカーそれぞれの自動運転のアプローチや出口戦略、それに対する自動運転技術の現状と政府目標(2022年度目途に遠隔監視のみの自動運転サービス実現、2025年度目途に高速道路での自家用車のレベル4自動運転実現)を解説。中山間地域の現状と課題、そのソリューションとして2017年度からの中山間地域における短期・長期の自動運転サービス実証実験、これらを踏まえた社会実装(秋田、滋賀、福岡および島根4県の道の駅を拠点)について映像を交えて紹介。それらの実証実験を通じて浮かび上がった自動運転上の課題に触れた後、道路法等の改正(2020年)を受けた自動運行補助施設や占用物件の設置を巡る変更について説明。併せて、自動運転技術を活用した街づくりを目指す自治体の取組に対する社会資本整備総合交付金、あるいは民間事業者に対する自動運行補助施設設置工事資金貸付金といった支援策に言及。さらに、多様な地域における自動運転サービスの展開として各種「まちなか」の特徴とそれぞれへの対応策を列挙。その具体例として一般道向け路側センサ技術、高速道路の合流部等での情報提供による自動運転の支援、自動運転に対応した区画線の管理水準、道路交通情報の提供手法などに関する官民共同研究へと話を展開しました。

     また、国土交通省自動車局自動運転戦略室長 多田善隆氏「自動運転の実現に向けた取組について」。まず自動運転の意義、自動運転の各レベルの定義、各レベルに応じたオーナーカー/移動サービスそれぞれの自動運転技術の現状(レベル3までの実用化あるいは市販化段階、レベル4に向けた開発段階)、レベル3実現に当たっての課題(信号認識、走行空間認識など)、それに対する国交省の取組(各実装分野の政府目標や実績)について整理。それを受けて自家用車向けでは、運転者に代わりシステムが運転することにも対応する道路運送車両法の改正(2019年)、そこで追加された「自動運行装置」の保安基準、それらを踏まえた世界初の自動運転車(高速道路レベル3)の型式指定(2020年)に言及。その上で同省として今後、国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)を通じたより高度な国際基準策定の検討に貢献していく考えを提示。さらに移動サービスに対しては、全国各地で実施されている自動運転実証実験を挙げ、実証実験に関する道路運送車両法上の基準緩和に向けた各種研究機関での車両性能試験の実施と「ラストマイル自動運転車両システム」ガイドライン整備、それらを通じた永平寺ラストマイル自動運転車(レベル3)の認可へと話を展開。レベル4の法規要件の策定に向けた調査・検討にも触れます。

    国土交通省 自動車局 自動運転戦略室長 多田 善隆

    平成10年に運輸省(現 国土交通省)に入省。自動車局リコール監理室長等を経て令和2年7月より現職。

    警察庁 交通局交通企画課 自動運転企画室長 伊藤 健一

    平成2年4月警察庁入庁。愛知県警交通指導課長、警察庁交通企画課課長補佐(ITS高速担当)、警察庁会計課理事官等を経て、令和3年8月現職

    デジタル庁 国民向けサービスグループ モビリティ班・企画官 鈴木 崇弘

    1998年運輸省(現 国土交通省)入省。交通行政、地域振興、国際協力などに携わる。2021年9月、デジタル庁設立に伴い現職。

     続いて、「自動運転の実現に向けた警察の取組について」と題し警察庁交通局交通企画課自動運転企画室長 伊藤健一氏が特別講演。初めに日本の交通事故発生状況、自動運転に期待される主な効果、運転自動化のレベルについて概説。警察庁の法制度の整備に当たっては、政府目標「デジタルを活用した交通社会の未来2022」(2022年8月から「官民ITS構想・ロードマップ2020」を継承)や技術開発を踏まえつつ自動運転の実現に向けて検討し、継続的に取り組んできていると言及。その上で、自動運転に関わる警察の取組として交通ルールの整備、実証実験環境の整備、広報啓発、研究開発を列挙。そのうち交通ルールの整備では、まず道路運送車両法の自動運行装置の定義に触れた後、道路交通法の改正を通じた、1)レベル3の自動運転の実用化に伴う制度整備(2019年)、2)レベル4の自動運転の許可制度の基本的な考え方、それに基づく特定自動運行に係る許可制度の創設(2022年)、同制度の関係者の関わりと運用イメージについて解説。実証実験環境の整備では、基本的に「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン」(2016年策定)に基づくと位置づけ。併せて、遠隔型自動運転システムや特別装置自動車の公道実証実験における道路使用許可取得の手順、「特定自動配送ロボット等の公道実証実験に係る道路使用許可基準」(2021年策定)について説明。運転支援技術の過信防止を促す広報啓発の必要性も説きます。

     同カンファランス最後の特別講演は、今回初の参加となったデジタル庁国民向けサービスグループ モビリティ班 企画官 鈴木崇弘氏「デジタル庁におけるモビリティ分野の取組について」。自動運転やMaaS(Mobilityas a Service)に関わる関係府省庁の役割、そこでの、基本方針の企画立案や総合調整を担うデジタル庁(2021年9月設立、旧内閣官房IT総合戦略室を継承)の位置付けを整理。2014年〜2021年にわたり毎年策定されてきた「官民ITS構想・ロードマップ」、その中で示された直近のキーとなる実現目標、これまでの自動運転実用化に向けた取組の成果、を概説。その上で同ロードマップを発展的に引き継いだ「デジタルを活用した交通社会の未来」の方向性、そこに込められた背景や問題意識(人口減少局面の大きな変化など)に言及。またこの間、同庁に設置された「デジタル交通社会のありかたに関する研究会」の構成、そこでの暮らし目線を重視したサービスの検討、「共助」をキーワードとするデジタル基盤整備の考え方などを説明。最後に、デジタル田園都市国家構想も視野にこれらを反映した今後の取組の進め方、「デジタルを活用した交通社会の未来2022」における自動運転・運転支援、道路空間・MaaS、ドローン・空飛ぶクルマ、モビリティ分野の協調領域(モビリティ分野のデータ連携や3次元空間情報基盤など)といった各カテゴリでの新規アプローチを中心に紹介しました。

     これらの講演を受けた同カンファランスのクロージング前半は、当社担当者が「DXで加速する自動運転・MaaSソリューション 〜デジタルツインを実現する3DVRソフトウェア〜」と題しプレゼンテーション。自動運転とMaaSに対するデジタルツイン(DT)の環境構築とその活用、Webブラウザで実行できるWebVRによるソリューションにフォーカス。初めにUC-win/Road Ver.16を用い構築したDT上を走行するドライバーの視点からシミュレーションの様々な基本機能を紹介。併せて、PLATEAU(国交省主導の3D都市モデル整備・活用・オープンデータ化プロジェクト)や自治体で整備が進む点群データそれぞれの利用性、それらのUC-win/Roadとの連携による広域なDT構築の容易化や拡張の可能性を説明。UC-win/Roadと交通シミュレーションシステム「VISSIM」のリアルタイム連携機能、映像から時刻歴の車両軌跡を生成する環境を使った新しいモビリティ介入のもたらす影響把握にも言及。さらに、UC-win/Roadを核とする各種システムの構築可能性や組込み対応、自動運転制御システムとの連携によるVRDTの実験環境構築とその適用例、F8VPSによるWebVR化へと話を展開。UC-win/Roadの自動運転・ADASパッケージ、各種ドライビングシミュレータ、Shade3Dやスイート千鳥エンジンの最新機能、F8VPSによるメタバース「VirtualFORUM8 Rally Japan 2022」の取組にも触れました。

     最後に、当社開発担当の視点から「フォーラムエイトのVRソリューション最新情報 〜VRシミュレーションのニューノーマルを刻む〜」と題してプレゼンテーション。まず、UC-win/Road Ver.16(2022年5月リリース)の新機能としてASAM OpenDrive対応、CityGML都市モデルのインポート、マルチユーザシナリオ機能の追加、VISSI M連携機能の強化、道路モデリング機能の拡張、各種性能の改善について解説。併せて、開発中のUC-win/Road Ver.17(2023年3月リリース予定)におけるモデリングやシミュレーションの各種機能の強化にも言及。さらに、F8VPSの開発コンセプトや機能、その活用事例、その一環として2022年に挑戦したXR技術利用の次世代コミュニケーションプラットフォーム、今回DF用に構築したデザインフェスティバルメタバース、前出のFORUM8Rally JapanのVRサイトを紹介。今後の開発に向けた考え方も示しました。

    プレゼンテーション1「DXで加速する自動運転・MaaSソリューション~デジタルツインを実現する3DVRソフトウェア~」

    フォーラムエイト執行役員 システム営業マネージャ
    松田 克巳

    プレゼンテーション2「フォーラムエイトのVRソリューション最新情報~VRシミュレーションのニューノーマルを刻む~」

    フォーラムエイト 執行役員 開発シニアマネージャ
    ペンクレアシュ・ヨアン

  • VR第21回 3D・VRシミュレーションコンテスト・オン・クラウド 表彰式

    デジタルツイン活用に注目、今回「VRシステムオブザイヤー」も新設

     Day1午後の部後半は、UC-win/Roadをはじめフォーラムエイトの各種VRソリューションを駆使して作成したVR作品を競う「第21回 3D・VRシミュレーションコンテスト・オン・クラウド」の表彰式が行われました。10月17日までに応募のあった多数の作品の中から10月26日の予選選考会を経て12作品をノミネート。これらを対象に11月7日~13日にわたり、VR-Cloud®を使い一般投票を実施。そのスコアも加味しながら11月15日に審査委員長の関文夫・日本大学理工学部土木工学科教授、審査員の傘木宏夫・NPO地域づくり工房代表および原口哲之理・名古屋大学未来社会創造機構客員教授の3氏から構成される本審査会(フォーラムエイト東京本社)で各賞が決定しています。

     その結果、グランプリ(最優秀賞)に輝いたのは、大成建設株式会社の「ダム建設工事における重機3Dリアルタイムデジタルツインシステム」。自動建機群の協調制御システムとUC-win/Roadを連携し、ダム建設現場におけるリアルタイム3Dモニタリング及び接近時の緊急停止システムを構築。GNSSの位置情報を用いUC-win/Road上で自動建機や作業員の位置を可視化、接近を検知。状況に応じて自動建機の監視者に対する警告や協調制御システムへの停止命令を出す仕組み。刻々と変わる現場で異なる重機やダンプ、作業員をリアルタイムに統括し安全管理する、デジタルツインの優れた活用例(関氏)と高く評価されました。

     準グランプリ(優秀賞)は、日鉄エンジニアリング株式会社による「免制震デバイス効果体験地震シミュレーション」。これは、地震時の建物被害を軽減する免制震デバイスの効果を体験するもの。倉庫やマンション、オフィスなどの空間を再現し、モノの転倒や落下などの物理シミュレーション、効果音で臨場感を演出。HMDを介したVRとモーションシートにより耐震・免震・制震構造の違いも体感可能。揺れをよりリアルに再現するため、実際の揺れの波形に基づくなどUC-win/Roadの枠組みを広げる使い方(原口氏)と評されました。

     また今回から、VRを活用しDX推進に資するシステムにフォーカスする「VRシステムオブザイヤー」を新設。VRを利用したプラットフォームの整備・提供に加え、自治体等との連携による様々な産業分野での活用を推進する(一財)VR推進協議会により審査されています。その第1回目の受賞となったのは、国土交通省の「施工DXチャレンジ(遠隔施工等実演会)デジタルツインシステム」。「VR国総研」(F8VPSで構築)内のDX実験フィールドを更新し、そこに遠隔施工等実演会のバーチャル会場を構築。実演会の会場レイアウトや実際の現場で動く重機などをVR空間に再現するのと併せ、現場の映像もライブ配信。重機センサーの情報を取得し、現場と同期した重機の動作シミュレーションも可能なデジタルツインプラットフォームとして展開。VRの適用によりDXを推進するシステムの官民の活用(同協議会の伊藤裕二理事長)への期待が評価されました。

    広報誌U&Coming 140号「ユーザ製品体験レポート」にてグランプリ作品の詳細をご紹介しています。ぜひご覧ください。

DAY2 2022.11.17THU REPORT
講演資料・ムービー

  • VR第23回 UC-win/Road協議会

    「Shade3Dの新機能の紹介 メタバースへの適用、スイート千鳥エンジンの活用」

    フォーラムエイトShade3D開発グループ
    御厨 啓補

    UC-win/Road、F8VPSの進化と、AI活用やメタバース展開に注目

     Day2(2022年11月17日)は、当社代表取締役社長の伊藤裕二による開会あいさつに続いて、当社担当者によるプレゼンテーション「Shade3Dの新機能の紹介 メタバースへの適用、スイート千鳥エンジンの活用」を実施。国産CGソフト「Shade3D」の基本機能および、最新版Ver.23の道路線形、メタバースにも対応したモーフターゲット・マルチタイムライン対応によるアニメーション強化などの新機能について説明しました。また、用途に応じて利用できるShade3Dの開発ツールとして、教育分野で利用されているブロックUIプログラミングツールとアニメーションブロックの新機能や、C++言語での高度なプラグイン開発に対応したShade3D SDKも併せて紹介しました。メタバースへの展望としては、F8VPSでオープンプラットフォーム化を強力に推進していることと、Shade3Dで作成したglTF・FBXの3Dモデルをメタバース空間で活用可能であることを説明。実用3Dデータ集やCG入力支援サービスなど、データ作成をサポートする製品・サービスを紹介しました。

     最後に、Shade3Dのデータ活用が可能な国産クロスプラットフォーム3Dゲームエンジン「スイート千鳥エンジン」の新機能やゲーム事例を紹介しました。

    実際にShade3Dを操作しながら、新機能の説明を行った

    Shade3Dで作成したモデルがメタバース対応

    スイート千鳥エンジンの新機能とサンプルゲームを紹介

  •  スペシャルセッション

    「デザインを本質から変えるための思考法」

    東北大学名誉教授
    川添 良幸氏

    持続可能を求める社会において重要な本質をとらえたデザインの力

     Day2午後の部前半は、東北大学名誉教授の川添良幸氏による「デザインを本質から変えるための思考法」と題した特別講演でスタート。現在主流となってきているEV・太陽光発電・SDGsなどについてその背景を探り、豊かな社会のための本質的な変化について考えることの重要性を説きました。計算機・スパコンの処理速度の変化を挙げて、量ではなく質の追求が大切であること、質の高い成果には経済的・金銭的な付加価値があることを説明。質の追求のためには見ること・考えることが必要だが、人間の脳や目には錯覚や盲点があることを、シルエット錯視やプリズム分光の事例を用いて示しました。
    また、日本ではSDGsのような欧米からの概念をそのまま受け入れがちだが、縄文時代の1万年以上にわたる持続可能社会の概念が現在の日本にも引き継がれていることを自覚し、自らの文明の特性を生かして新しい価値を生み出していくことの重要性を述べました。

    東北大学 名誉教授 川添 良幸

    東北大学名誉教授、タイ国スラナリ工科大学卓越教授、アジア計算材料学コンソーシアム創設者、名誉教授ドットコム(株)代表取締役

  • VR第15回 国際VRシンポジウム

    各国研究者による先進的なVR技術活用の提案が集結

     「第15回国際VRシンポジウム」では、最初に、進行役を務めるWorld16代表の小林佳弘氏(アリゾナ州立大学)が、各国の建築・土木、都市計画などの分野でVRを活用する大学研究者によって構成されるWorld16のプロジェクトの概要を紹介。毎年開催されてきたサマー・ワークショップと本シンポジウムのこれまでの歩みを振り返り、続いて、World16の各メンバーが、直近で取り組んできた研究成果を発表しました。


    アリゾナ州立大学 小林 佳弘 氏

     トップバッターは福田知弘氏(大阪大学)の「AIによる自動3次元化の可能性」で、1枚の画像から深度情報を自動生成できるように学習したAIを利用して、将来的なVR建築・都市の3Dデータ自動生成の可能性を紹介。ニューラルネットワーク利用した3次元モデルの復元や、ディフィジョンモデルを使用したデザインコンセプトの作成に触れつつ、生成モデルによる自動作成の技術が、メタバースのより容易な構築や、位置合わせのための3次元仮想環境モデル作成に活用できる可能性について触れました。

    大阪大学大学院 工学研究科 福田 知弘氏

     続いて、レベッカ・バイタル氏(イスラエル・シェンカー芸術大学)は、「VR空間配光シミュレーションツール開発」として、照明機器で利用されるIESファイル(配光データ)をVR空間に読み込み、道路面や建物がどのように照明を受けるかを、科学的データとして出力できるツールを紹介。照明度の数値化によりIESファイルを作成してUC-win/Roadに連携させ、その度合いを色分けすることで、スポット毎の状況がわかるようになったことを説明しました。

     マーク・アウエル・シュナベル氏(ニュージーランド・ビクトリア大学 ウェリントン校 建築学部)とトーマス・タッカー氏(バージニア工科大学)は、VRコンテンツをNFTマーケットで提供するためのツール開発について発表。フォーラムエイトが公式パートナーを務めるWRC用ラリーカーのためのデザイン作成テンプレートを作成し、誰でも簡単に自分のデザインした3DモデルをNFTのマーケットに提供できるようなシステムを提案しました。WRCラリーカーの3Dモデリングを行い、部品のテクスチャやカラーリングの変更を変数で設定。これを実際にNFTとして作成し、ダウンロードしてメタバースでの使用や3Dプリンタでの出力、モデルをゲームエンジンに出力してアニメーション化するなどの取り組みを紹介し、また、WebVRプラットフォームF8VPSでの将来的なNFTコンテンツ利用対応についても提案を行いました。

    シェンカー芸術大学 Rebeka Vital氏

    ビクトリア大学 Marc Aurel Sclnabel 氏
    バージニア工科大学 Thomas Tucker 氏

     マシュー・スウォーツ氏(ジョージア工科大学 航空宇宙交通研究部)は、熟練した技術を必要とする大型トレーラーの運転学習および、シミュレーションを行えるシステムとデバイスの開発について発表。理想的な走行を検出して、ハンドル、アクセル、ブレーキ、速度などをフィードバック・数値化する運転評価シミュレーションシステムについて、UC-win/RoadのAPIでログ情報から数値化し点数を表示できることを説明しました。

     コスタス・テルジディス氏(同斎大学 設計同意学院)は、「AI For Kids」と題して発表。同斎大学で子供にAIを教えるクラスを担当した経験をもとに、AIの利用により、運転している画像をリアルタイムに画像変換できるような子供向けの開発ツールの作成について紹介。後部座席の子供が自分の作ったクリエイティブな仮想空間を移動しているようなツールの提案を行い、このように新しいテクノロジーを使って自分の想像の世界を作りその中で歩き回ることが、仮想の幸せを得ることであり、人々を幸せにできることを述べました。

    ジョージア工科大学 Matthew Swarts 氏

    同済大学設計創意学院 Kostas Terzidis 氏

     サスティナブルスマートシティ、CO2削減のための総合的なデザインアプローチを研究し、ピサ市と連携したプロジェクトを進めているパオロ・フィアマ氏(ピサ大学)は、フォーラムエイトのBIM/CIMツール(UC-1)、設計データや施工プロセスの検証として利用するVRツール(UC-win/Road)、3Dのデータ作成をするためのCGツール(Shade3D)の連携について発表しました。

     欧州における新しいモビリティ像として自転車利用を進める活動があることについて、自転車用道路を作りどのように活用するかを、デザインで可視化し現状把握することの必要性を説明。現状の道路の脇に自転車専用道路を作った場合のシミュレーションを実施した結果、自転車道の作成がCO2削減につながらないことや、バランスを取る必要があることが判明しています。


    ピサ大学 Paolo Fiamma 氏

     楢原太郎氏(ニュージャージー工科大学)は、「F8VPSを用いた複数参加型デザインツールの開発」について発表。クラウド環境において複数の参加者が同時にVRデータを編集できるようシステムを実装すると同時に、ターン制モジュール配置システムや、リアルタイム群集シミュレーションへの利用を検討しています。

    ニュージャージー工科大学 楢原 太郎 氏

     マルコス・ノヴァック氏(カリフォルニア大学 サンタバーバラ校)は、OSC(オープン・サウンド・コントロール)を利用し、クラウド上のVR空間を様々な外部ツールやデバイスで自由にコントロールできる環境の構築について発表した。気持ちの状態を機械が検出してリアクションすること、UC-win/Roadにソフトを連携させ、スマートフォンから日照コントロールなどが可能であることを説明。現在、ソフトはAIへとシフトしており、車が自律走行になれば窓がディスプレイになり、ユーザーの心理状態を受け取ってその状態を表したグラフィックが表示されるようになる可能性などについて述べた。

     ルース・ロン氏(マイアミ大学)は、マングローブを利用した水上都市構想を、VRツールを利用して評価・検証するプロジェクト「マングローブ型招待都市デザイン」について発表。F8VPSを利用した建築・都市計画のデザイン教育の可能性を示しました。
    VR空間内においてカヌーでパドリングを行いながらマングローブの生態系について説明したり、また、マイアミが冠水した想定でマングローブの木の活用やマングローブからインスピレーションした都市の再構築を検討し、それを詳細にモデリングしてF8VPSで組み立てました。

    カリフォルニア大学 Marcos Novak 氏

    マイアミ大学 Ruth Ron 氏

    ハンゼ応用科学大学 Amar Bennadji 氏

     アマル・ベナージ氏(オランダ・ハンゼ応用科学大学)は、複数の参加者が同時にいろいろな側面から検討するような環境デザイン分野において、WebVRプラットフォームF8VPSの利用方法を提案。参加型のオペレーションを行う場合に、F8VPSを活用してそのプロセスをデジタル化することで、VR上で意見交換をしながら相互にモデル修正が可能となり、別の拠点から入ってきた人達も協力できることを説明しました。

     World16各メンバーによる発表後、フォーラムエイト執行役員開発シニアマネージャのペンクレアシュ・ヨアンが、各プロジェクトをどのようにフォーラムエイトの製品開発に繋げていくか、具体的な見通しと今後の展望について説明。最後に、小林佳弘氏による総括を経て、国際VRシンポジウムは閉幕しました。

  • VR第10回 学生クラウドプログラミングワールドカップ
    公開プレゼン・表彰式

    機械学習のアルゴリズムなど先端的なテクノロジーを用いたハイレベルなプロジェクト

    「第10回 学生クラウドプログラミングワールドカップ(CPWC)」は、Day2の午前中に公開最終審査を実施し、午後にパックンことパトリック・ハーラン氏をプレゼンターとして受賞結果発表と表彰式が行われました。CPWCは、開発キットによるクラウドアプリのプログラミング技術を競う国際コンペ。4月から6月にかけてアジアを中心とする国内外から多数のチームがエントリーし、7月12日の予選選考会で全審査員がフォーラムエイト東京本社に集まって協議を行った結果、24チームが予選通過となりました。10月に提出された作品の中から審査により8作品をノミネート。11月17日の最終審査で行われた各チームのプレゼンテーションに基づいて、審査員の福田知弘氏(審査委員長/大阪大学大学院工学研究科准教授)、佐藤誠氏(東京工業大学名誉教授)、楢原太郎氏(ニュージャージー工科大学建築デザイン学部准教授)、ペンクレアシュ・ヨアン(フォーラムエイト執行役員開発シニアマネージャ)による公開最終審査が実施されました。

    審査員(右から)福田 知弘 氏、佐藤 誠 氏、楢原 太郎 氏、ペンクレアシュ・ヨアン 氏

     今回のグランプリはKAAD(国民大学校:韓国)による「TAP(Traffic Accident Prediction)」が受賞。事故防止やドライバーの安全運転を支援するための異常検知モデルを構築することを目的とした作品で、UC-win/Roadからオブジェクトの位置、オプティカルフローを抽出し、PyTorch環境下で異常検知モデルに入力するものです。教師なし学習により正常なデータを用いて異常検知モデルを学習させ、異常スコアを導出。アイトラッカーでドライバーの視線位置を確認し、必要に応じて警告を送ります。「実装についても素晴らしく、視線計測システムとつなげたという点も今年の「人を繋げる」というテーマにマッチし、技術的レベルは目を見張るものがあった」(審査委員長 福田氏)。

     査員特別賞(福田氏選考)はSOS-Team(上海大学:中国)の「EXTREMELY FAST RESCUE」が、審査員特別賞(佐藤氏選考)はMT Girls(椙山女学園大学:日本)の「Mobility-Support Robot for Relaxation」が、審査員特別賞(楢原氏選考)はTimer(北京航空航天大学:中国)の「Research on pedestrian crossing and vehicle behavior decision under automatic driving environment」が、審査員特別賞(ヨアン氏選考)はNijigaku(ヴィン大学:ベトナム)の「Nijigaku Traffic Radio」がそれぞれ受賞しています。

     弊社広報誌Up&Coming 140号「アカデミーユーザ紹介」に今回のグランプリとなった国民大学校を掲載しています。

    グランプリ表彰の様子

  • VR第12回 学生BIM&VRデザインコンテスト オン クラウド
    公開プレゼン・表彰式

    若いZ世代/X世代がUC-win/Roadを活用し高いクオリティの作品を提示

    「第12回 学生BIM & VRデザインコンテスト オンクラウド(VDWC)」はCPWCに続き公開最終審査と表彰式をそれぞれ実施。先進の建築・土木デザインをクラウドで競うVDWCは、「人間とスマート・モビリティが共生する都市 ―西シドニー 空港ターミナル隣接地区」を課題として、CPWCと同様にエントリー(31チーム)、予選選考会、ノミネート審査を経て、7作品がノミネート。Day2のプレゼンテーションを経て、審査委員長の池田靖史氏(東京大学 特任教授 建築情報学研究室)、審査員のコスタス・テルジディス氏(同済大学設計創意学院教授)、C・デイビッド・ツェン氏(台湾国立陽明交通大学 教授)、長倉威彦氏(マサチューセッツ工科大学 准教授)の4氏による公開最終審査が行われました。
     グランプリのワールドカップ賞を受賞したのは、Team DaVinci(慶応義塾大学:日本)の「String」で、西シドニー空港において、従来のターミナルビルの機能とは異なるインテリジェント交通システムの設計を行うものです。乗客がスマートフォンを通じて要求すると、交通・歩行者行動分析システムが移動状況を予測し、乗客に多様な移動の選択肢を提供します。「空港は人が集まる所だが、集まる必要がなくなるという背景がすばらしい。輸送というものが今後どう変わっていくのか、人間の行動がどう変わっていくのかという点が大きな決めてになった」(池田氏)。

    審査員(右から)池田 靖史 氏、コスタス・テルジディス 氏、C・デイビット・ツェン 、長倉 威彦 氏

     優秀賞は、Cloudy(国立高雄大学:台湾)の「Laputa」。Metaverseの概念に基づいたインテリジェントな交通統合システムとして、人間とスマートモビリティの共存を目指す作品でした。

     審査員特別賞(池田氏選考)はGo Waka(ヴィクトリア大学ウェリントン:ニュージーランド)の「HaloO City」が、審査員特別賞(テルジディス氏選考)はNTEAM AURORA(フモウビ工科大学:ミャンマー)の「HEXAGON AEROTROPOLIS CITY」が、審査員特別賞(ツェン氏選考)はTeam CST(日本大学)の「AMT -AIR MOBILITY TERMINAL-」が、審査員特別賞(長倉氏選考)はUnicorns on Top(ベトナム国家大学ハノイ校工科大学)の「Ethereal Happiness」が、それぞれ受賞しました。

    グランプリ表彰の様子

  • VR第8回 ジュニア・ソフトウェア・セミナー 表彰式

    こどもたちならではのアイデアをUC-win/Roadならではの機能で大胆に表現

     Day2の最後は、「第8回 ジュニア・ソフトウェア・セミナー」の表彰式が開催されました。これは、小・中学生を対象として冬休み・春休み・夏休みに実施されている「ジュニア・ソフトウェア・セミナー」の参加者が作成したVR作品を紹介・表彰するものです。

     2022年はゴールドプライズ6作品、シルバープライズ12作品、ブロンズプライズ11作品が決定。パックンと多田カルディダ氏の2人による軽快な司会進行で、会場参加者とオンライン参加者をつないでの作品紹介と表彰・インタビューが実施されました。走行する巨大なイカの群れに遭遇しながら海上を走る長いジェットコースターや、水没都市の世界に敷かれた鉄道、春・夏・秋・冬が混ざり合った世界など、こどもたちの大胆でユニークな発想がUC-win/Roadの機能により思う存分に表現された力作が揃っています。

    賞状授与と記念撮影の様子

DAY3 2022.11.18FRI REPORT
講演資料・ムービー

  • VR第8回 最先端表技協・最新テクノロジーアートセッション
    第6回 羽倉賞発表

    映像や音の最先端表現に取り組むユニークな作品が多数発表

    会長挨拶

    最先端表現技術利用推進協会 会長
    長谷川 章 氏

     今回8回目を迎える「最先端表技協・最新テクノロジーアートセッション」は、最先端表現技術利用推進協会(表技協)会長の長谷川章氏による挨拶でスタート。また、プレゼンテーションでは、フォーラムエイト協賛のデジタル掛け軸プロジェクトであるDKFORUM8ど、新たな「クラウド-AI」をはじめとする表現技術検定などの活動が紹介されました。

     併せて、第6回となる羽倉賞の表彰式を実施。今回も数多くの作品応募があり、審査員の方々により10月に開催された厳正な審査の結果、羽倉賞、企業賞(フォーラムエイトDKFORUM賞)、2つの優秀賞、3つの奨励賞が選出されています。

     羽倉賞は、慶應義塾大学理工学部情報工学科 藤代一成研究室の「アナモルフォーシスに基づく個人用裸眼立体視システム」(推薦:情報処理学会)に決定。特定視点からのみ正しい投影像が得られる古典的な錯視技法である「アナモルフォーシス」を利用し、2枚のディスプレイモニタにWebカメラ越しに見る者の視点を追跡、リアルタイム再計算・提示することで、手軽に運動視差を誘発する立体視システムを設計しました。総合的なビジュアルコンピューティングの実現には人間側の視覚情報を熟慮することが非常に重要であり、性能向上の著しいCPU、GPUに加えてHPU(Human Processing Unit)を巧く組み合わせていくという象徴的な事例となっています。

     フォーラムエイトDKFORUM賞を受賞した株式会社ユウプラスの「D-K AMP」(推薦:最先端表現技術利用推進協会)は、デジタル掛け軸をミラーの反射により増幅し、球体を形成した画像を空間に浮かび上がらせる作品。イメージ生成装置として各種イベント等で利用できるプロジェクトとして制作されています。

     その他、優秀賞の「超高臨場感通信技術Kirari!」(NTT株式会社 人間情報研究所/推薦:超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム)、「音が飛び出すピタゴラスイッチ」(NHK放送技術研究所 テレビ方式研究部/推薦:超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム)など、映像や音の最先端表現に取り組むユニークな作品が多数発表されました。

    長谷川章氏による挨拶では、デジタル掛け軸をはじめとする表技協の活動を紹介

    羽倉賞受賞者の皆様

  • VR第16回 デザインカンファランス IM&VR・i-Constructionセッション

    「RC構造の崩壊過程の数値解析と環境作用 ―崩壊過程と砂利化、火災高温履歴―」

    横浜国立大学 都市イノベーション研究院
    前川 宏一 氏

    コンクリート構造の砂利化を巡る多様なアプローチ、3次元非線形解析の活用

     Day3午後の部前半は、「第16回デザインカンファランス」の皮切りとなる横浜国立大学都市イノベーション研究院の前川宏一教授による特別講演「RC構造の崩壊過程の数値解析と環境作用 ―崩壊過程と砂利化、火災高温履歴―」でスタート。コンクリート構造物の「砂利化」への対応が今後のインフラ分野で課題になるとしつつ、砂利化には功罪両面があるとも指摘。それをうまくコントロールするのが「工学」であり、そのためには構造物の3次元的な状態を正しくベースに持つ必要があると説きます。
    そこで講演のイントロとして、近年の3次元非線形解析技術の長足な進歩に触れた後、1)LNG地下タンクの設計におけるRC非線形解析技術の高度利用と、それによるコスト低減効果の分析、2)鉄道システムにおける異高型断面を含むトンネル区間の、耐震性能の評価を通じた構造的な弱点の解明、3)既存の新幹線や駅に近接し地中深くに建設されるリニア中央新幹線地下駅の設計施工における解析的検討、4)「ひび割れ直交方向の変形が最も大きい面が全体の非線形を支配(active crack)、それ以外は休眠する(dormant crack)」ことに対する2000年と2021年の実験検証の比較を通じた最新技術のブレークスルー ― など自身がこの1~2年で注目した3次元非線形解析の様々な設計への適用事例について解説。
    これを受けてまず、コンクリート構造の崩壊の一つの姿である床版の砂利化・土砂化、そこでの水による加速と条件による違い、滞留水の床版寿命への影響とそれに基づく寿命推定アプローチ、実際の床版の管理データに基づく数理モデルの検証について説明。続いて、せん断伝達機構の崩壊過程におけるコンクリート強度とせん断力、拘束力、セメント硬化体、砂利化との関係へと話を展開。その中で「高い拘束力がある時には砂利化してしまったコンクリートの方が強い」ということを評価するため3次元で、またコンクリートのモデルと砂・砂利のモデルがあればそれらを一緒に考えることで、崩壊過程を精度よく求めることが出来るのでは、との観点を提示。
    さらに、摩擦面の劣化と砂利の集合への遷移、耐力以後の軟化と崩壊過程、レンガ積み構造への拡張と砂利化モデルの検証、断層や破砕帯と地下構造との相互作用に関する砂利化モデルの応用、地下構造の維持管理における可能性、火災を受けたコンクリート構造の残存性能評価や早期復旧、などを例に実験や解析の結果を交えて詳説。最後に、統計の世界(統計データや過去の経験、履歴など)とデジタルの世界(数値科学的方法による寿命や強度などの評価)それぞれでは見えないことも、両者を重ねると見えるものが深まってくる、との考えを述べました。

    横浜国立大学 都市科学部 教授 前川 宏一 氏

  • VR第9回 ナショナル・レジリエンス・デザインアワード 受賞作品

    作品レベルの確実な進展、新分野へのチャレンジも

     Day3午後の部後半は、「第9回 ナショナル・レジリエンス・デザインアワード(NaRDA)」の各賞発表と表彰式が行われました。構造解析、地盤、水工および防災分野を対象とし国土強靭化に資する取り組みを顕彰するNaRDA。今回は、10月17日までに応募された作品の中から10月25日に11作品をノミネート。さらに11月15日、それらを基に審査委員長の吉川弘道・東京都市大学名誉教授、審査員の守田優・芝浦工業大学名誉教授および若井明彦・群馬大学大学院理工学府教授の3氏により構成される最終審査会(フォーラムエイト東京本社)にて各賞が決定しています。

    審査員(左から)吉川 弘道 氏、守田 優 氏、若井 明彦 氏

    進行を務めた家入 龍太 氏

     その結果、グランプリ(最優秀賞)に輝いたのは、株式会社KRAYの「複合構造橋脚を有する既設跨線橋のレベル2地震時動的非線形解析 ―昭和初期に建設された橋梁の最新地震時荷重による耐震検討―」。橋脚の下部・上部を複合構造として80年前に施工された4径間連続鋼鈑桁跨線橋の耐震性能を検証。上部構造および鋼製トラス脚部を弾性梁要素、下部(RC)構造を非線形梁要素(M-φ要素)とし、柱基部には塑性ヒンジばねを設置しモデル化して照査。橋脚に一部ラチス構造があるのに加え、構造や材料のデータがない中、オーソドックスなものを分かりやすくコンパクトに表現した(吉川氏)ことが高い評価に繋がりました。

     準グランプリ(優秀賞)は、株式会社萩原技研の「橋台新設施工時の温度ひび割れに対する事前検討 ―マスコンクリートのひび割れ制御指針に基づいた解析事例及びその対策例―」。単純桁橋の橋台施工にあたり、コンクリート打設時に温度応力によるひび割れの発生を想定。施工計画に対してJCMAC3でマスコンクリートの温度応力を解析し、養生期間や打ち込み温度を変更したシミュレーションも実施。全体の解析が緻密で、かつ計算条件を明示するなど、温度ひび割れ解析における同ソフトの有効性を示した(守田氏)と評されました。

     審査員特別賞(吉川氏選考)は株式会社地球技研コンサルタントの「既設配水池の現況再解析と補強耐震性能照査 ―常時ケースNG対策と配水機能維持を両立する補強案―」が、審査員特別賞(守田氏選考)は若鈴コンサルタンツ株式会社の「水道管の液状化解析 ―液状化による地盤変形と管路への影響検討―」が、審査員特別賞(若井氏選考)は株式会社エスケイエンジニアリングの「推進管立坑近接施工影響検討 ―鉄道軌道に近接して掘削する立坑施工影響解析―」がそれぞれ受賞。各審査員により各賞が発表・授与された後、吉川審査委員長が総括。応募作品のレベルが年々高くなってきており、今回は採点に苦労したうえ僅差での各賞決定だったと述懐。また今回初めてマスコンクリートに関する作品があった一方、その対象は広範に及ぶことから、更なる新分野への取組を歓迎する考えに言及。併せて、要点をコンパクトに分かりやすく、パラメトリックに表現することの重要性に触れ、次回NaRDAに向けてより多くのエンジニアからの応募に期待を示しました。

    講評の様子

    受賞者の皆様

    プレゼンテーション1
    「デジタル田園都市構想を支援するVRCGソフトとF8VPS、スイートERP」

    フォーラムエイト執行役員 システム営業マネージャ
    松田 克巳

     最後に、NaRDA表彰式を受けてフォーラムエイトによるプレゼンテーションを実施。「デジタル田園都市構想を支援するVRCGソフトとF8VPS、スイートERP」では、UC-win/Roadで渋谷のデータを使ったリアルタイムシミュレーションのデモにより、CityGMLのインポートから道路線形/交差点作成、走行、交通流生成の機能を説明。交通渋滞の検討、外部システムとの接続でモビリティシステムの実験環境としても活用可能な点を紹介しました。また、デジタル田園都市国家構想実現へのアプローチとして、7つの類型の関連事例を紹介。最新の活用事例として、宇都宮市Uスマート推進協議会「スマートシティの実現に向けた取り組み」、まえばし暮らしテック推進事業「デジタルツイン あんぜん運転スコアリング」サービスなどを紹介し、UC-win/Roadの関連機能として、4Dシミュレーション機能、IFCファイルフォーマット対応、PLATEAUデータ対応等を説明しました。

    プレゼンテーション2
    「UC-1 Cloud 自動設計シリーズ/UC-1 BIM/CIMツール 最新機能とBIM/CIMへの取組」

    フォーラムエイト執行役員 UC-1開発マネージャ
    中原 史郎

     開発担当者による「UC-1 Cloud 自動設計シリーズ/UC-1 BIM/CIMツール 最新機能とBIM/CIMへの取組」では、UC-1シリーズの各製品および製品間の連動や、クラウドによる自動設計シリーズのラインナップ・機能を紹介。さらに、BIM/CIMへの取り組みとして、3D配筋、3Dアノテーション・アトリビューション、IFCファイル出力機能に加えて、短時間で容易に構造物の3Dモデル生成が可能な3Dパラメトリックツール、3D統合モデルが作成可能なUC-1 BIM/CIMツールについて説明しました。また、UC-1シリーズの今後の展開として、3DCAD・3D配筋対応製品、クラウドシリーズのさらなるラインナップ拡充と、維持管理関連製品・設計成果支援システムの強化が示されました。

    プレゼンテーション3
    「FEM解析ソリューション/構造解析・地盤解析プログラム 最新情報」

    フォーラムエイト 解析支援グループ長
    柳 正吉

     「FEM解析ソリューション/構造解析・地盤解析プログラム 最新情報」では、FEM解析ソリューションについて、製品の最新機能および開発状況、解析事例を紹介。水道施設耐震工法指針解説2022年度版の対応例を挙げた他、現在開発中のEngineer’s Studio®Ver.11の新機能として、平板要素リメッシュ機能についてデモを行いました。また、GeoEngineer’s Studioについても、開発中のVer.3における圧密連成解析への対応予定(修正カムクレイモデル、関口太田モデル構成則の追加など)を紹介しました。

  •  出版書籍講演

    解析支援のプロによるEngineer’s Studio®初の公式ガイドブック

     DF Day3の掉尾を飾ったのは、出版書籍講演。フォーラムエイト パブリッシングでは毎年、DFに合わせて新たな出版物を刊行。DF期間中、その新刊に焦点を当て執筆者が自ら紹介するコーナーを設けています。

    本書の特徴の一つとして、Engineer's Studio®を起動した際に現れる作成(モデルの設定)画面を巻頭に見開きで挿入。また、コンテンツは大きく5章により構成。第1章はシステム設定からインターフェースまで基本的な操作の手順を、第2章は目的別に各種モデルの作成方法を実例を交えて、第3章は解析や照査の結果の取得・確認手順、レポート出力のための基本操作を、第4章は地震時保有水平耐力照査や平板要素の損傷評価を例に応用テクニックと高度解析機能について、第5章はユースケースとして過去に行った解析事例を出来るだけ多く網羅することを目的に各種橋梁14件と河川構造物4件、その他4件などのモデルを挙げて解説。

    各章を通じ、よく使う機能やテクニックに関する情報を紹介するTipsも多数取り入れるなど、Engineer’s Studio®初の公式ガイドブックとして凝らされた工夫にも言及しました。

    ■ 目次
    1章 基本操作・インターフェース
    2章 目的別モデル作成
    3章 解析/照査結果確認とレポート作成
    4章 応用テクニックと高度解析機能
    5章 ユースケース紹介

    ■ 著者:FORUM8 解析支援グループ
    ■ 発行:2022年11月
    ■ 価格:¥2,970(税抜¥2,700)
    ■ 出版社:フォーラムエイト パブリッシング

    書籍のご購入はフォーラムエイト公式サイトまたはamazon.co.jp、rakuten.co.jp、yahoo.co.jp にてお買い求め頂けます

ARCHIVE

過去の開催レポート