株式会社 フォーラムエイト 代表取締役社長
経済産業省 製造産業局 自動車課 ITS・自動走行推進室長
講師プロフィール
講演内容
自動車産業に大きな構造変革を迫る「CASE(コネクテッド化、自動運転、シェアリング・サービス化、電動化)」の概念と自動運転の意義を整理。併せて、自動運転レベルの定義、レベル3・4を中心とする商用車・自家用車それぞれの社会実装の現状と今後、国内外企業のレベル4に向けた技術開発と実証実験について概説。自動運転サービスの実現・普及に向けた技術開発、インフラ・制度の整備および社会受容性向上といった課題、そこでの産官学の連携した取り組みの必要性へと言及。その上で、自動走行ビジネス検討会(2015年設置)での前年度来の検討体制、そこで取りまとめられた無人自動運転サービスの実証実験実施者が留意すべき取り組みの方向性やロードマップ、前年度中に実施されたラストマイル自動走行や高速道路におけるトラックの隊列走行の実証実験について説明。今年度立ち上げた「自動運転レベル4先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト(RoAD to the L4)」で目指す未来に向けた4つのテーマと5年間にわたる具体的な取り組み内容を紹介。さらに、大阪・関西万博(2025年)に向けての期待にも触れます。
総務省総合通信基盤局電波部新世代移動通信システム推進室 室長
講師プロフィール
講演内容
初めに、ITS(高度道路交通システム)の進化イメージ、ITS Connect(760MHz帯利用の車車間・路車間通信による安全運転支援システム)などITSにおける電波利用、自動運転時代に必要となる通信事例、V2X(Vehicle-to-Everything)およびコネクテッドカーの実現イメージを概説。政府のITS推進体制、運転支援システムに関する総務省の施策概要に触れた後、V2Xにおける国際的な周波数状況や周波数再編に向けたアクションプランを説明。その上で、同省施策での技術的検討、SIPを通じた自動運転に必要な通信要件の検討や狭域・中域情報の収集・統合・配信に係る研究開発、V2Xの海外展開、ITU-RにおけるITSに関する標準化活動を紹介。さらに、移動通信システムの進化、5G活用の自動運転サービスがもたらすメリット、5G総合実証試験(トラック隊列走行への5G応用)や課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証(自動運転車両の安全確保支援)など同省の5G推進施策について動画を交えて解説。交通信号を活用した5Gネットワークの構築、交通分野におけるデジタル社会の将来イメージ、「信号5G」とAIが実現する未来社会、サイバー空間とフィジカル空間が一体化するSociety5.0の実現、そこでの同省の役割へと話を展開しました。
国土交通省 道路局 道路交通管理課 高度道路交通システム(ITS) 推進室長
講師プロフィール
講演内容
「官民ITS構想・ロードマップ」(内閣官房IT総合戦略室、2021年)の自動運転サービスに関連する目標とその実現によりもたらされる可能性、その中での自動運転のアプローチと出口戦略(物流/移動サービスとオーナーカーそれぞれ)について概説。そのうち、限定地域(中山間地域の道の駅など拠点)での自動運転サービスの短期・長期実証実験(2017年度以降)やそれを踏まえた社会実装(4拠点)にフォーカスし、それらの内容や現状などを説明。また、実証実験を通じ課題(自動運行補助施設の必要性など)が確認されたのを受けた「自動運転に対応した道路空間に関する検討会」の設置、そこでの中間取りまとめ(案)のポイント、政府目標の早期達成のための今後の方針などを解説。道路法等の一部を改正する法律(2020年)における自動運行補助施設のイメージや関連する支援策にも言及。さらに、高速道路の合流部での情報提供による自動運転の支援(自動運転の実現を支援する道路側からの情報提供の仕組み)についての共同研究や実証実験に触れ、合流支援情報提供サービスに関する東京臨海部実証実験(内閣府SIP)での実験施設や内容、先読み情報提供のイメージについて紹介しました。
国土交通省 自動車局 自動運転戦略室長
講師プロフィール
講演内容
自動運転の意義や自動運転のレベル分け、自動運転技術の現状、自動運転レベル3における課題、レベル3の自動運転が可能な条件についてポイントを解説。その上で自動運転に関する同省の重要な役割として基準づくりにフォーカス。まず、自家用車向けにはドライバーがいることを前提とした道路運送車両法をシステムが運転することも想定し、1)保安基準の対象装置に「自動運行装置」を追加、2)無線によるソフトウェアアップデート等に係る許可制度創設、3)自動運行装置の整備等の認可義務付け、4)OBD検査導入のための技術情報の管理 ― の4項目で改正(2019年)。これを受けて整備した自動運行装置の保安基準に触れた後、自動運転に関する今後の国際基準策定に向け国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)などでも主導的に参画していく考えを提示。移動サービス向けでは全国各地で実施されている自動運転実証実験を挙げ、基準づくりのほか、状況に応じた基準緩和や「ラストマイル自動運転車両システム」ガイドライン整備などの支援策にも言及。一方、自動運転車の関わる事故では原因究明が難しいことを想定し、専門家らによる調査委員会を設置。併せて、衝突被害軽減ブレーキ等運転支援装置への過信防止を促す啓発ビデオを公開するなど、国民に周知を図る取組も紹介しました。
警察庁 交通局 交通企画課 自動運転企画室長
講師プロフィール
講演内容
日本の交通事故発生状況、自動運転に期待されるメリット、運転自動化のレベルなどについて要点を整理。「官民ITS構想・ロードマップ」の政府目標に即した道路交通法の見直しや移動サービスへの対応、新たな官民ITS基本構想の検討にも言及。その上で、日本の道路環境に応じた自動運転の早期実用化を目指す警察の取組へと展開。交通ルールの整備に関しては、レベル3自動運転の実用化に伴う道路交通法改正(2019年)における道路運送車両法に規定された自動運行装置の反映、自動運行装置が使用条件外となる様々なケースを想定した交通ルールの運用、自動運行装置の作動状態の記録・保存の義務付けといったポイントを解説。また実証実験環境の整備では、「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン」(2016年策定)、実験内容に応じた道路使用許可基準の明確化や自動配送ロボット等向け実証実験への準用、それらの手順について説明。さらに、自動運転システムの実用化に向けSIPの枠組みで取り組む研究開発(クラウド活用の信号情報提供、GNSS活用の信号制御、交通規制情報のデータ精度向上、東京臨海部におけるネットワーク経由での信号情報提供の実験環境構築)を概説。運転支援技術の過信防止のための注意喚起などの広報啓発にも触れます。
「自動車文化を考える議員連盟」会長 衆議院議員
講師プロフィール
フォーラムエイト執行役員 システム営業マネージャ
講演内容
初めに、自動運転やモビリティ実験など向けに最近利用ニーズが増しているUC-win/Roadのデータ連携オプションにフォーカス。UC-win/Roadを核とするデータ処理の全体フローから、国交省(PLATEAU)や自治体で広がる点群データなどのオープンデータ化を活用したデジタルツイン環境創出と、それを用いたリアルタイム連携の運転シミュレーション手順を動画とともに説明。その後、DX時代のMaaS・自動運転ソリューションとして、UC-win/Roadによる事例、リアルタイム環境システム例、シミュレータのラインナップ、最新の各種ユーザーによる導入事例、UC-win/Road Ver.15の新機能、Shade3D Ver.22、スイート千鳥エンジン、F8VPSなどを紹介しました。
フォーラムエイト執行役員 開発シニアマネージャ
講演内容
最後に、開発部門の視点から「VRシミュレーション最新情報、プラットフォーム拡張と開発ロードマップ」と題し、当社担当者がプレゼンテーション。現行UC-win/Road(Ver.15.0、15.1)の新機能としてC++プログラミングインタフェース、4Dシミュレーション機能拡張、IFCファイル形式対応拡張、グローバルモデルの読込み、複数コントローラ対応、各種交通シミュレーション連携バージョンアップ、車いすシミュレーションについて解説。併せて、UC-win/Roadの開発予定としてCityGMLおよびSmartCityデータ対応の拡張、OpenDrive道路データの入出力、Pythonプログラミングインタフェース、汎用接続インタフェースを挙げ、その一端を概説。さらに、F8VPSの活用事例や各種機能、VR-Next glTF Viewer 2.0の機能に言及。FORUM8プラットフォームの概念やアプリケーション開発プラットフォーム、それらを通じたソリューション全体像の構想にも触れました。
Day1午後の部後半は、UC-win/Roadで作成したVRデータ作品を競う「第20回 3D・VRシミュレーションコンテスト・オン・クラウド」の各賞発表と表彰式が行われました。これに先駆け10月15日までに応募のあった多数の作品の中から10月26日の予選選考会で13作品をノミネート。11月5日~14日にわたり、それら作品を対象にVR-Cloud®を用いた一般投票を実施。その結果も加味する形で11月16日、審査委員長の関文夫・日本大学理工学部土木工学科教授、審査員の傘木宏夫・NPO地域づくり工房代表および原口哲之理・名古屋大学未来社会創造機構客員教授の3氏から成る本審査会(フォーラムエイト東京本社)にて各賞が決定しています。
その結果、グランプリ(最優秀賞)を受賞したのは国家災害防救科技センター(台湾)の「VRによる災害シーン作成及び洪水シミュレーションの解析データ表示」。これは、既存の災害情報サイトの洪水演習プラットフォームにVRを導入。洪水シミュレーションを可視化し、防災訓練の効果向上を図るもの。災害シミュレーションの例はこれまでも数ある中で、新たに生成した3D地形モデルに現地の情報や浸水解析データなどを連携。起こり得る過程を緻密に再現しており、住民にダイレクトに届く説得力がある(関氏)と評価されました。
準グランプリ(優秀賞)は今回、2作品が受賞。その一つは、前田建設工業株式会社の「交通シミュレーション解析による土砂運搬計画」。建設現場での最適な配車計画を策定するため、実際の走行道路と交通状況をVR上に再現。運搬土量やその積込、タイヤ洗浄なども考慮した運行サイクルを4Dシミュレーションで検証する仕組みを構築。VRの使い方の一つの指針になるのでは(原口氏)と位置づけられました。
もう一つは、中日本高速道路株式会社による「高速道路梯団除雪訓練センター」。除雪車両オペレータの育成を目的に訓練シミュレータを開発。実車両に近い感覚で訓練できるよう、高速道路環境の再現を重視し、走行位置の正確性や車間距離などの診断が可能。複数台で行う梯団除雪訓練用に3台のシミュレータ連携にも対応。高速道路上の雪も丁寧に再現し、難しいとされる技術継承に有効な訓練ツールとなるのでは(傘木氏)と評されました。
フォーラムエイトが広げるBIM/CIMワールド 増補改訂版
Shade3D 公式ガイドブック 2022
フォーラムエイト パブリッシングでは、今回のデザインフェスティバル開催に合わせて2書籍を刊行しています。そこでDay1の最後は、それぞれの執筆者・監修者による講演を構成しました。
最初は、「フォーラムエイトが広げるBIM/CIMワールド 増補改訂版」の監修者で建設ITジャーナリストの家入龍太氏による同書の紹介。CIMの実践書として2016年に発行された書籍をリニューアルし、i-ConstructionやVRプラットフォーム、DXなどの新項目を加えた建設ICT指南書について、同氏はフォーラムエイトがソフト、ハード、人脈を軸にBIM/CIMの世界を広げてきたとし、デジタルツイン、スイート建設会計、ガントチャートに紐付けたBIM、浸水シミュレーション、コロナ禍による現場のテレワーク、DX(デジタルトランスフォーメーション)など本書の新たな内容に触れます。そして今後はDXを意識し、デジタルツインとしてまずバーチャルを作ってから実物を作るため関係者が移動せずコラボレーションできるといったBIM/CIMワールドがますます広がるのでは、と期待を示します。
次いで、「Shade3D公式ガイドブック 2022 for ビギナーズ」の著者、フォーラムエイトShade3D開発グループの担当者が同書を紹介。2020年発売の「Shade3D公式ガイドブック2020」が初級・中級ユーザを対象としたテクニックの解説中心だったのに対し、本書は初心者向けの入門書として構成。形状を作成しながら操作を学べるチュートリアルや、操作の説明とともにインターフェイスを説明するコンテンツを掲載。Shade3Dで使用するテクニックや機能についても、フォーラムエイトのナレッジベースから50項目を厳選。どの機能をどんなときに利用できるかが分かり、基本がしっかり身につく。1〜5章はテクニック集の解説、6章はチュートリアル、7章はShade3Dのユーザ事例を掲載。最後にDay2の「Shade3Dの 最新機能とBIM/CIMへの取り組み」と題する特別講演を案内しました。