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一般財団法人 VR推進協議会は、様々な産業分野での活用と発展のため、メーカー・大学などの研究者・エンジニアに開放するVRを利用したバーチャルなプラットフォームを提供することを目指し、各種活動を展開します。
日時:2022年6月29日(水)14:00~ 会場:フォーラムエイト東京本社セミナールーム >>開催概要
VR推進協議会では、VRデータのオープン化や共通基盤作りの体制を官民挙げて推進することを目的として、オープンセミナーを主催しています。第1回は2018年6月に北海道で、第2回は2019年4月に秋田で、いずれも法人会員であるフォーラムエイトの協賛により催しました。
第4回となる今回のオープンセミナーは、本年で設立35周年を迎えたフォーラムエイトが、記念事業の一環として協賛し、2022年6月29日に東京で開催いたしました。
国土強靱化と危機管理 -DXへの期待
一般社団法人レジリエンス協会 副会長
芝浦工業大学 システム理工学部 環境システム学科 教授 増田 幸宏 氏
現在、社会は先を見通すことが難しい「VUCAの時代」と呼ばれています。不確実性を乗り越えて成長・発展していくためには、情報の見える化や共有が重要になります。何が起こるか予測不可能な事象において、予防策や対応策を動的に対応できるシステムによるレジリエンスが求められます。
災害に勝つことは難しくても「負けない」組織・社会を目指すための対応策を考える必要があります。
BCM/BCPの目的は、サービスや製品の供給責任を果たすことです。
災害に対する現代社会の課題としては、情報がないことによる二次災害/長期戦になること/場当たり的な対応になること/資源の枯渇などがあります。これに対する対応策としては、重要業務を特定し目標を明確にすること/依存しているリソースが制限された場合の対応を考えること/災害発生後の対応能力を高めること/実効性を検証することが挙げられます。この意味で、フォーラムエイトの製品・技術による災害シミュレーションは非常に有効だといえます。
「デジタルツイン、VRシミュレーション技術の活用とその効果」
日本大学 理工学部土木工学科 教授 関 文夫 氏
デジタルツインのメリットを、自身の富士スピードウェイのプロジェクトを原点として紹介。完全3D化で細かく作り込むことにより、設計だけでなく、看板の販売、広報戦略、未来のイベント運営シミュレーションにおけるリスク分析など様々な目的で活用できます。
また、CGシュミレーションを用いることでアイデアの可視化が容易に実現するようになり、プロジェクトの参画者が意見を出しやすい環境を構築するのにも役立ちます。
このようにデジタルツインはビジネス成功の鍵となることがわかります。また、維持管理については、将来的な不安に対するデータの蓄積や、管理台帳と点検簿の共有、記録やアーカイブとしての資産といった効果が挙げられます。
ものづくりにおいては、生産ラインまでデジタル化してプラットフォーム化することで、広く関係者を巻き込んで様々な議論の場を創り出すことができたり、制作の過程で問題となる点を事前に明らかにすることができます。今まで関係がないと考えられていた分野がデジタルツインを活用することで、様々な分野に参画しやすくなり、以前では考えられなかったような効果を生むことにも期待ができます。
また、F8VPSによるバーチャル講義について、教師と学生間以上に希薄になりがちな学生同士のコミュニケーションという課題について、学生同士が共有できる廊下の空間の構築といった拡張展開を紹介。
今後、制作、演出、広報などの様々な分野でデジタルツイン・デジタルプラットフォームを活用したビジネス的、文化的側面の発展が望まれるのではないかと展望しました。
「テレプレゼンス&テレアブセンス;VRの未来」”TelePresence & TeleAbsence: The Future of VR”
MITメディアラボ副所長 石井 裕 氏
デジタルツインがすでに成功を収めていることははっきりしていますが、今後、現実とデジタルの狭間をどのようにデザインしていくかが課題になります。
ガラス面を通して海水の中を見ることができる水族館は、自分自身はフィジカルな空間にいながら、同じ環境で存在できない魚を眺めることができる、という点でモニター越しにVRを見ている状態のメタファーであるとしました。
現在のSNSなどで、人がフィジカルな世界から離れ、アバターなどを介し別人格を演じている状況について、二元市民権という概念で表現。このような状況が浸透したことで、職業やエンタメの表現方法が多様化したといえます。
しかし、デジタル空間は便利な反面、黙しやすいという一面もあります。フィジカルな空間でのコミュニケーションには相手と目を合わせられるなど、対面であることの重要性もあります。また、相手が周囲のどこを見ているかという視点・視線が分かることも、ノンバーバルな情報として重要になります。
このようにアナログでフィジカルなものには、デジタルで置き換えられない部分があり、今後フィジカルな部分とデジタルな部分をよりシームレスにつなぐという考え方が必要になってくるのではないでしょうか。また、人間にとって孤独は強烈なものであり、愛着のある人やもの、場所を忘れられない/忘れられたくないという欲求を持っています。そこで、遠くにいる人や現実世界にいない人とコミュニケートする「TeleAbsence」という概念が鍵になるとしました。
特別対談 石井 裕 氏 × 関 文夫 氏
石井氏の講演を受け、データと同様に感性や感動も大事であるということ、プレゼンでは写真より絵の方が効果的な場合もあるという話題が上がりました。プレゼンなどの際に写真より絵の方が記憶に残るのは、絵には重層的な思い出があるためであると石井氏は語りました。
現在のメタバースは、エモーショナルな感覚の優先順位は低く、物流や人がただ歩いているだけの空間になっています。情景や匂いなどの詩的な感覚が得られないところに課題があるものの、メタバースを作る目的を明確にしてそれぞれ使い分けることが、今後メタバースの表現の幅を広げるのに最も重要になるといえます。文化的で豊かな生活をしなければ本当のDXは実現しないとし、対談は締めくくられました。
当協会の会員である株式会社フォーラムエイトが開催する「第21回3D・VRシミュレーションコンテスト」に応募された作品の中から、最も優れたVRシステムを表彰する「VRシステムオブザイヤー」の審査を当協会が行います。受賞作品は、株式会社フォーラムエイトのデザインフェスティバル2022において発表いたします。
賞品
トロフィー/賞状/通販ギフト券(30万円分)
日程
10/17(月) 作品応募締切
11/4(金)~11/13(日) クラウド一般投票
11/15(火) 受賞作品本審査会
11/16(水) 各賞発表・表彰式 会場:品川インターシティホール
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(Up&Coming '22 秋の号掲載) |
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