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板要素を使用する際の注意点、再び

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以前、本誌136号、137号にて板(プレート)要素を使用した場合の注意点について紹介いたしました。今回、Ver.14で追加された機能と、次バージョンのVer.15で追加予定の機能を用いて、再度、板要素の使用における注意事項を紹介いたします。


3次元折れ板モデル

  

本誌136号で、板要素の法線方向(構成節点回り)を揃えておかないと誤った結果評価を行うことになること説明いたしました。板要素の要素成分(応力・歪)は、要素座標系u軸の0面、1面それぞれに出力されるので、法線方向=要素の表裏が揃っていないと表裏が混在した値を見ることになってしまいます。


図1 法線方向が異なると評価する場所が異なる

本誌137号では法線方向を揃えていてもモデルが3次元構造の場合はさらに注意が必要となる場合があることも説明いたしました。今回は折れ板構造のモデルを考えてみます。


図2 折れ板モデル

    

以前は法線方向での裏表の確認を行いましたが、Ver.14のOpenGL版には面画描画に2D表裏というパラメータが追加されています。これは視点位置から見えているu軸0の面と1の面を色分けで描画する機能になります。下図では茶色が0面、水色が1面を示しています。

  

図3 法線方向の描画と2D表裏色分け描画

線画の法線方向の矢印描画に比べて、特に3次元構造の板モデルでは、表裏をすぐに判断できます。図3で水色を外側、茶色を内側とすると、モデル側面と底面の色が揃っていないことが一目でわかります。

板単位の要素で法線方向が揃っていても、構造物としての表裏が揃っていないと、外側内側が混在した値を見ることになります。

[変更]-[構成節点]-[回り]で「処理タイプ:2次元要素反転」を指定して側面、底面の向きを反転させ、表裏(外内)を統一します。

  
図4 表裏(外内)が揃った図

スライス面の自動選択機能(Ver.15で追加予定)

濃淡図等で要素成分の結果を表示する際、0面/1面のどちらの面の結果を描画するか、あらかじめ[選択]-[スライス面]-[選択]で指定をしておく必要があります。

  
図5 スライス面1の最大主応力濃淡図

図5はスライス面1(外側)の結果を描画しています。このとき、構造物内側に描画されている結果もスライス面1の結果になっています。

構造的には内側なのに、描画は外側の結果が表示されているため注意が必要になります。内側の結果を描画するにはスライス面0を指定しますが、今度は外側の描画が内側の結果になります。

次バージョンのVer.15では「板表裏自動(スライス面)選択」という機能が追加されます。この機能は視点位置から見える板要素のスライス面0/1を自動的に選択するという機能になります。この機能により、スライス面の切り替えを省略でき、見ている面の結果が描画されることになります。

  
図6 板表裏自動選択による最大主応力濃淡図

ただし、この機能においても大前提として前述してきました要素の面が揃っている必要があります。

(Up&Coming '25 盛夏号掲載)

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