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 サポートトピックス・CAD/UC-1シリーズ

砂防堰堤の設計・3DCADのなぜ?解決フォーラム

越流水深について

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「砂防堰堤の設計・3DCAD」では、[設計流量]画面と、[荷重組合せ]画面に越流水深の取り扱いに関するスイッチ群があります(図1)。選択肢の項目が同一となっているため、計算への影響箇所を具体的に教えてほしいというお問い合わせを多く頂いております。

今回は、選択した内容が計算結果にどのように影響するかを明確にするため、2つのスイッチ群について詳しく解説します。


図1 越流水深の選択(左:[設計流量]画面、右:[荷重組合せ]画面)

「水通し断面決定時における越流水深の選択」について

[設計流量]画面の「水通し断面決定時における越流水深の選択」は水通しの設計の「設計水深」の決定に用います。

水通しの設計において[形状]画面の[堰堤]-[水通し断面]にて[水通し高さに設計水深を使用する]が選択された場合は、「対象の高さのうち最大値」~「任意の流量に対する越流水深」より選択された条件で「設計水深」を決定し、水通し高さを算出します。ここで決定した越流水深(=設計水深)は安定計算の洪水時にも使用します。

また、各流量に対する越流水深と、選択された設計流量は[計算・結果確認]-[水通しの設計]画面で確認できます(図3)。


図2 水通しの設計

図3 結果表示:水通しの設計

「土石流水深の選択」について

[荷重組合せ]画面の「土石流水深の選択」は設計外力の算出に必要な「土石流の水深(Dd)」の算出に用います。

設計外力とは、安定計算を行う際に用いる外力を指し、想定ケース(平常時、土石流時等)に応じた外力を組み合わせて安定計算を行います。例として不透過型砂防堰堤の越流部の設計外力の組み合わせは表1の通りになります。


表1 不透過型砂防堰堤の安定計算に用いる設計外力(自重を除く)

表1中にて赤色で示した設計外力の算出には「土石流の水深(Dd)」を使用します。そのため、これらの設計外力は「土石流水深の選択」を変更した場合に計算結果へ影響がでます。算出された設計外力は計算書の[安定計算(越流部・非越流部)]-[安定計算]-[作用荷重一覧表]にて、想定ケースごとに確認できます(図4)。

前述の通り想定ケースが「洪水時」の場合、設計外力の算出に用いる「越流水深」は「水通し断面決定時における越流水深の選択」が使用されるため「土石流水深の選択」は計算結果に影響がありません。


図4 土石流時の作用荷重一覧表

まとめ

[設計流量]画面と、[荷重組合せ]画面にある越流水深の取り扱いに関するスイッチ群の違いを大きくまとめると表2のようになります。

表2 結果の違い

特に[荷重組合せ]画面の選択は、想定ケースが「土石流時」のみ影響があるので、入力の際に注意が必要になります。

          

(Up&Coming '24 秋の号掲載)

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