今回は、杭基礎の設計においてお問い合わせをいただくことの多い安定計算時に使用する杭軸直角方向ばね定数K1~K4の算出方法について解説いたします。
本製品の杭基礎における安定計算は変位法により行っており、H29道路橋示方書Ⅳ(以下道示Ⅳ)参考資料の(参6.1),(参6.2)に記載されているように3元連立方程式を作成して、基礎の原点変位を算出しています。
(参6.1),(参6.2)の式においてK1~K4が用いられており、これらの算出方法は道示Ⅳ表-参-6.1にも記載されていますが、これは地盤を単一層と仮定できる場合にのみ適用できる考え方です。本製品では常に弾性床上はりの微分方程式を用いて解析しており、常に杭先端条件および多層地盤を考慮した厳密な計算を行っているため、道示Ⅳに記載の算出式で計算したK1~K4とは一致しません。
そこで、「FRAMEマネージャ」を用いてK1~K4の値を検証する方法について以下に説明します。
図1 基礎の設計 杭軸直角方向ばね定数K1~K4
K1~K4の検証方法について
製品付属サンプルデータ(Pile_4.PFJ)の杭1本をピックアップして、EQ無しケースのK1~K4(H29道示Ⅳ 参考資料6 変位法2.~ (P.551))を弊社「FRAMEマネージャ」を用いて検証する方法をご紹介します。
FRAMEマネージャによるモデル化の方法
(1)格点・部材:杭長(杭頭から杭先端)をモデル化します。
(2)材質:杭の諸元 ヤング係数E=2.000000E+008を設定します。
(3)断面:面積AとIzに杭部材と同諸元を設定します。
(4)支点:杭頭と杭先端の格点にばね支点を設定します。
杭頭:水平、回転固定(Kx=-1,Km=-1,他=0)
杭先端:水平、鉛直固定(Kx=-1,Ky=-1,他=0)
※杭先端ヒンジの場合
図2 FRAMEマネージャ支点
(5)分布ばね:杭全部材に対し水平方向ばね定数(kN/m3)×杭径(m)を設定します。
(6)荷重:強制変位を杭頭に設定します。
上記のように設定した骨組みモデルに対して、以下のようにK1~K4を確認することができます。
・水平変位1mの強制変位を与えたケース(図3)の、杭頭部の支点の水平反力がK1,回転反力がK3(図5)
・回転変位1radの強制変位を与えたケース(図4)の、杭頭部の支点の水平反力がK2,回転反力がK4(図6)
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図3 FRAMEマネージャ強制変位(水平変位1m)載荷 |
図4 FRAMEマネージャ強制変位(回転変位1rad)載荷 |
図5 FRAMEマネージャ 水平反力=K1、回転反力=K3 |
図6 FRAMEマネージャ 水平反力=K2、回転反力=K4 |