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 サポートトピックス・ UC-win/Road

GISのデータを利用したVR空間の作成

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UC-win/Roadは3DVRのプラットフォームとして様々なデータを読み込み、活用することができます。構造モデルや交通シミュレーション、各種解析データなどを可視化し、用途に合わせて有効利用することが可能です。

また、最新のVer.15では、地形、道路線形、建物等の生成にオープンデータを利用することができ、作業の簡略化や作業時間の短縮を図ることが可能です。今回は、それらのデータの中でも主にGISに関連するデータを利用したVR空間の作成について紹介します。

VRデジタルプラットフォームの構成

UC-win/RoadでインポートできるGISデータとしては、国土地理院が公開している地理院タイル、基盤地図情報の各種データ、OpenStreetMapによる建物・道路情報、その他に各種点群データ等多岐にわたります。ファイル形式としては、Shapefile、LandXML、DWG、DXF、IFC、FBXなどの多様なデータ形式を利用可能で、これら各種のGISデータを利用してVR空間を構築し、さらにVR空間からも関連ソフトへデータを出力することで、様々なソフトやシステムをつなぐプラットフォームとして活用することができます。


図1 UC-win/RoadをプラットフォームとしたGISデータ連携イメージ

地理院タイルによる地形生成

UC-win/Roadで新たに地形を生成する際に、国土地理院が公開している地理院タイルを利用することができます。地図上から任意の範囲を指定することができ、航空写真や地図画像とセットで読み込むことでVR空間を構成するベースとして利用することが可能です。地理院タイルから生成された地形は平面直角座標と経緯度の座標情報を持っているため、地形上に他のGISデータを読み込んだ場合でも正確な位置に素材を配置、生成することができます。


図2 地理院タイルから生成した品川駅周辺の地形

また、地理院タイル以外にも、SRTM等の地形情報がオープンデータとして多く公開されており、GeoTIFFに代表される形式の標高データファイルを読み込むことで、日本を含む全世界の任意の場所の地形を生成できます。


3D都市モデルの読み込み

■PLATEAUオープンデータモデルの読み込み

産業技術総合研究所が公開している“3DDB Viewer*1”や国土交通省が公開している“PLATEAU*2”等の3Dモデルを利用して、都市の景観を1つのモデルとして再現することができます。エリア別に建物や地形、植栽や路上の施設などが3Dモデルとしてまとめられ、FBX等の汎用3Dモデルフォーマットを介してUC-win/Roadに読み込むことができます。PLATEAUでは全国の主要都市における建物モデルの整備が進行していて、建物形状だけでなく階数や用途など様々な属性情報とセットで公開されています。UC-win/RoadではPLATEAUからの属性情報を含めた読み込みにも近々対応する予定です。


図3 PLATEAUの3D都市モデルの読み込み

■ゼンリン3D地図データの読み込み

オープンデータだけでなく、有償サービスによる3D都市モデルも同様に利用することができます。株式会社ゼンリンがサービスを行っている“ゼンリン3D地図データオンライン提供サービス”では、建物の他に道路、標識、電柱、街路樹といった都市の景観を構成するあらゆる要素を含めた3Dモデルが提供され、FBXや3DS等様々な形式を指定して広大な範囲のモデルデータをダウンロードし、UC-win/Roadへ読み込むことができます。


図4 ゼンリン3D地図データの3Dモデル読み込み

PLATEAUやゼンリン3D地図データの都市モデルでは、3Dモデル自体が平面直角座標を基準とした世界測地系の座標値を持っているため、UC-win/Road上で配置後、X-Y座標(グローバル座標)の入力値を0,0にすることで、空間上の正しい位置に配置されます。

ただ、オープンデータが正確な座標情報を持っているとは限りません。正確な座標情報を持っていない場合、FBXモデルの編集画面で3Dモデルの原点位置を確認し、国土地理院の地図情報等で原点位置の座標や経緯度を確認することで位置を合わせることができます。あまり正確性を要求されない場合は、航空写真に合わせて位置を調整する方法もあります。


OpenStreetMapを利用した道路生成

OpenStreetMapは閲覧している地図上の地理情報をオープンデータとしてダウンロードすることができ、ダウンロードしたosmファイルを読み込んで道路線形を自動的に生成することが可能です。作成しているデータの地形が国土地理院の50mメッシュ地形や地理院タイルなどの正確な座標情報を基に生成されたものであれば、座標の調整はせずに正しい位置に生成されます。

また、直接生成するだけでなくLandXML形式に変換して利用することもできるので、正確な座標を持たない地形に対してもオフセットを設定することで線形情報を読み込むことが可能です。


OpenStreetMapやShapeファイルを利用した建物生成

「ゾーン編集」の「地物のダウンロード」機能を利用することで、OpenStreetMapの建物情報を読み込むことができ、広範囲の建物形状を自動的に生成することが可能です。生成範囲はUC-win/Roadの空間上で任意に指定でき、建物の高さ情報も反映されるため、面倒な操作は不要です。

また、主要な建物には自動的に建物名称が入力されます。前述のPLATEAU等の3D都市モデルとは異なり、建物自体は単色で生成されますが、建物を個別に選択してテクスチャを貼るなどの編集も可能です。RoadDBの建物を配置した場合と比べて、形状がシンプルなため広範囲に生成しても動作パフォーマンスに及ぼす影響も小さく抑えられます。


図5 OpenStreetMapによる道路と建物の生成

OpenStreetMapの建物情報が無いエリアの場合でも、国土地理院の基盤地図情報を利用して建物を生成することができます。基盤地図情報ビューアを使用して建物の外形情報をShapeファイルに変換することで、UC-win/Roadに読み込むことが可能です。Shapeファイルから建物を生成する場合は、生成時の設定で側面や上面に一律のテクスチャを貼ることもできます。


Shapeファイル、IFCファイルによる地形合成

建物の生成と同様に、基盤地図情報から地形情報をShapeファイルに書き出し、作成済みの地形に合成することができます。基盤地図情報では5mメッシュや10mメッシュの地形情報が公開されているので、例えば50mメッシュで生成した地形に対して部分的に地形の精度を上げたい場合は、基盤地図情報から必要な範囲を変換して利用することが可能です。また、IFCファイルでも同様の対応が可能で、設計に使用している地形などを反映させることができます。


図6 Shapeファイルによる詳細地形合成

点群データの読み込み

MMSや3Dレーザスキャナで計測した点群データを読み込むことで、点群による景観表現や点群をベースとした道路構造の作成ができるほか、点群を地形パッチに変換することで、地表面の起伏を詳細に再現するという用途でも使用可能です。点群のフォーマットにはasc、csv、dat、lasといった汎用フォーマットを利用でき、点群データが持っている色情報も含めて読み込まれます。色情報を持たない場合でも、航空写真を利用して後から色付け処理が可能です。最近は自治体などが点群ファイルをオープンデータとして公開する事例が増えてきています。

例えば、“国土交通データプラットフォーム*3”や“静岡県ポイントクラウドデータベース*4”では、道路や施設など様々な点群データを閲覧、ダウンロードすることができ、UC-win/Roadで利用することが可能です。

図7 点群をベースとした道路線形入力

licenseCC BY 4.0 出典:静岡県ポイントクラウドデータベース termshttps://pointcloud.pref.shizuoka.jp/terms


*1 3DDB Viewer https://www.airc.aist.go.jp/gsrt/3ddb-viewer.html

*2 PLATEAU https://www.mlit.go.jp/plateau/

*3 国土交通データプラットフォーム https://www.mlit-data.jp/platform/

*4 静岡県ポイントクラウドデータベース https://pointcloud.pref.shizuoka.jp/


(Up&Coming '21 盛夏号掲載)
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