ちょっと教えたいお話 JC-STAR
  • インターネットに接続する様々なIoT機器のセキュリティ機能を評価し、基準を満たした製品に★1から★4まで4段階の認証マークを付与する制度。経済産業省が主導し、IPAが認証機関として運用している。

セキュリティラベリング制度「JC-STAR」の概要とメリット

IPA(情報処理推進機構)は、2025年3月より「セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度(JC-STAR)」の申請受付を開始し、同年5月には最初の「★1適合ラベル」取得製品リストを公開しました。この制度は、IoT機器のセキュリティ機能を評価し、その安全性を「見える化」することで、利用者と供給者双方にメリットをもたらすことを目的としています。

JC-STARとは

制度ロゴ

JC-STARは、インターネットに接続する様々なIoT機器のセキュリティ機能を評価し、基準を満たした製品に認証マークを付与する制度です。認証マークは★1から★4までの4段階があり、★1と★2はベンダーによる自己宣言、★3と★4は第三者評価機関の評価を経て認証される仕組みです。この制度は経済産業省が主導し、IPAが認証機関として運用しています。

IPA(情報処理機構)HP 「IoT製品のセキュリティ確保に向けて」より
https://www.ipa.go.jp/security/jc-star/begoj9000000gg60-att/JC-STARsetumeikai_1.pdf
制度導入の背景

IoT機器は、Wi-Fiルーターから産業用機器まで、私たちの生活や社会インフラに深く普及しています。しかし、PCやスマートフォンに比べセキュリティ対策が不十分な製品も多く、サイバー攻撃の標的となっています。これにより、IoT機器が乗っ取られ(ボットネット化)、DDoS攻撃や個人情報窃取、重要インフラへの侵入といった被害が多発しています。

消費者がIoT機器のセキュリティ性能を技術的に評価するのは困難で、安全な製品を選びにくい状況でした。また、セキュリティ侵害時でも、ファームウェアアップデートなどが難しい機器も存在します。こうした状況を改善するため、世界的なIoTセキュリティ強化の動きに追随し、日本の国際競争力を維持・向上させる必要があったのです。

JC-STARによるメリット

ベンダー(供給者)側のメリット

・ 信頼性向上と差別化
国のお墨付きを得ることで、製品のセキュリティレベルが高く評価され、市場での信頼性や競争優位性が向上します。特に法人向け市場や政府調達で、製品選定の重要な要素となります。

・ 効率的な開発
認証プロセスを通じて、セキュリティ開発や管理体制が体系化され、効率的な対策と脆弱性の作り込み防止に繋がります。

・ 企業イメージ向上
消費者の安全・安心に貢献する企業として、社会的な評価やブランドイメージ、企業価値が高まります。

・ セキュリティリスク軽減
認証プロセスで潜在リスクを洗い出し対策を講じることで、製品リリース後の重大なインシデント発生リスクを低減できます。

消費者(利用者)側のメリット

・ 安全な製品選択の容易化
認証マークがあることで、専門知識がなくても、一定のセキュリティ基準を満たした安全で信頼できるIoT機器を簡単に選べます。

・ プライバシー保護の強化
認証基準には個人情報保護の要件が含まれ、利用者のプライバシーがより確実に守られます。

・ サイバー攻撃被害の軽減
認証済みのIoT機器はセキュリティ対策が施されており、不正アクセスやデータ改ざん、情報漏洩、マルウェア感染などのサイバー攻撃被害のリスクを大幅に減らせます。

おわりに

現時点では★1適合ラベルの交付が始まったばかりですが、来年以降は★2以上のレベルの申請・交付も予定されています。安全で安心なネットワーク環境を構築するための有効なツールとして活用していくことが期待されます。

参考/出典

セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度(JC-STAR):https://www.ipa.go.jp/security/jc-star/index.html

適合ラベル取得製品リスト:https://www.ipa.go.jp/security/jc-star/list/jc-star-product-list/index.html

IoT製品のセキュリティ確保に向けて:https://www.ipa.go.jp/security/jc-star/begoj9000000gg60-att/JC-STARsetumeikai_1.pdf


 

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