未来を可視化する
長谷川章のアート眼 Vol.24
社会の未来を語るキーワード「シンギュラリティ」をテーマに、長谷川章氏のアート眼が捉えるものを連載していきます。人類が生命を超え、加速する未来を可視化する鍵を探ります。
長谷川 章(はせがわ あきら)
中国中央電視台CCTVのステーションロゴを始めNHKのオリンピックオープニング(1996)、ニュースタイトル、TV-CMなど数千本の制作してきた長谷川章が、日本人の持つ無常の精神から空間・環境のアーティスティックなソリューションであるデジタル掛軸を発明し今日のプロジェクションマッピングの創始者となった。
Akira Hasegawa
AIを恐れることなし、始まりはARTから
AIと多数決の問題点
AI技術が進化し、言語を使って自己学習を行うようになる一方で、多数決によってその質が低下する可能性が懸念されています。
データが多く存在するからといって、それが正解なわけではありません。
例えば、現実の社会において、POSシステムなどによる機械的な判断がコンビニエンスストアの大量出店をもたらし、その結果、他の店舗や商品が埋もれて消滅する現象が見られます。
このように、多数決は一見公平に見えますが、多様性を損なう結果を招くことがあるのです。言葉の特性とその影響 言葉は物事を良いか悪いかに二分する道具となりがちです。
また、言葉は嘘をついたり、誇張、批判、否定を行うことが可能です。
そのため、嘘つきや声の大きい人が人気者となり、金儲けができるという現象が生まれます。
これにより、真実や本質が埋もれ、本来の価値が見失われることが懸念されます。
芸術界や音楽界の現状
現在、芸術界や音楽界では、素人アーティストやライブで歌うことのできない、言わばテクノロジーによるスターが増加しています。具体的には、AKBのような素人アーティストや、化粧や整形によって美しく見える人々が注目を浴びています。
これにより、本物の芸術や音楽の価値が薄れ、表面的な魅力が優先されるようになっています。
経済と多数決の影響
経済と多数決の原理によって、貧富の差が広がっています。
富裕層はさらに豊かになり、貧困層はますます貧しくなるという二極化が進行中です。
多数決による選択が、結果として不平等を拡大し、社会全体のバランスを崩すことがあります。
新たなルネッサンスの可能性
しかし、この流れを逆転させ、人間本来の喜びを取り戻す可能性もあります。それは、アーティストによる新たなルネッサンスです。
例えば、嘘の嘘が本当になるように、鑑賞者がアーティストになる逆転劇が現れるかもしれません。このような変化は、芸術と鑑賞の境界を越え、新しい価値観を生み出す可能性があります。
最後に
このような変化を起こすことにより、時間と空間、そして言葉の拘束からの解放が見えてくることでしょう。
この世界は人間が作ったものであり、他には何もありません。
私たちは自身を拡張するために時間、空間、言葉を作り出しましたが、今ではそれらは私たちを閉じ込める檻になっています。私たちはそのことにそろそろ気づかなければなりませんし、それを気づかせるのが真のアーティストだと言えるでしょう。
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