最先端表現技術利用推進協会レポート
Vol.48
第8回羽倉賞受賞記念講演会レポート
日時:5月13日(火)14:00~17:30
会場:フォーラムエイト東京本社セミナールーム、オンライン
2024年のデザインフェスティバルにて授賞式が行われた「第8回羽倉賞」の受賞者の皆様に、それぞれ受賞された各作品の最先端技術についてご後援いただき、その後ネットワークパーティも併せて開催しました。
羽倉賞
「Spot Shadow: インタラクティブな空間デザインに向けた影の操作を可能にするシステム」
東京都立大学 阪口 紗季
影の位置や大きさ、濃さを手元のコントローラで操作可能です。また、受賞後図形描画ツールのように影を配置できるユーザインターフェースも実装されたとのことで、最新の取り組みについても教えていただきました。今後も空間デザインにおける影の有効性の検証を続けていきたいとの展望が語られました。
YouTube : https://youtu.be/c4SnlLNO7Rc
フォーラムエイトDKFORUM賞
「デジタル能舞 in 高台寺2024」
株式会社Droots 土井 大輔
デジタル掛け軸を背景に、3Dホログラムで能舞を等身大で再現し、その後に本物の能舞と見比べられる演出構成にしたことで伝統の価値がより際立つような空間演出が施されています。今後も新たな技術を活用し、歴史的遺産や伝統芸能を演出に取り入れることで、観光動線の創出や普及啓発につなげていきたいと将来の展望を語られました。
YouTube : https://youtu.be/tnP4pqZQs84
YouTube : https://youtu.be/h5sIK9Iq94c
優秀賞
「光源アレーを用いた3次元ディスプレー」
NHK放送技術研究所 空間表現メディア研究部
レンズを使用せずにインテグラル3D映像の表示が可能な他、視線追従技術で視域を広げることができます。また、3Dと2Dの切り替え表示だけでなく、同時表示も可能です。これらの技術を活用し、文字は2D、生き物は3Dで同時に表示することで、生き物の様子がより生き生きと伝わる「未来の生き物図鑑」を作成されました。
「体積走査型ディスプレイ brightvox 3Dによる
情報コミュニケーションの発展」
株式会社ブライトヴォックス
3D映像情報を、肉眼で全方位から鑑賞できるディスプレイ。デジタルアート、文化財の復元表示、立体コミュニケーションツールなど、様々な応用用途での展開に着手しており、将来的には、教育・医療・建築など立体構造の情報伝達を支援するデバイスとして発展を見据えておられるそうです。
YouTube : https://youtu.be/dNMixDPzUXw
奨励賞
「Mosion:Gaze Guidance with Motion-triggered Visual Cues by Mosaic Patterns」
東京科学大学 小池研究室・宮藤研究室
モザイクを使った高速表示によって視線誘導を行うという研究で、ユーザーの動きの検知にセンサーが不要であることや、複数人が同時に現象を近く可能であることから、公共広告や標識への応用の可能性についてもご説明頂きました。
「Chronospoon: 時を操る調味食器」
明治大学 総合数理学部 宮下 芳明
味の調整や時間変化を操る3種のスプーンが紹介されました。味の変化でアレルギーや病気による減塩生活中の方の助けとなったり、フードロス削減による供給安定や、物価高・飢餓の緩和への可能性が、使用者の声やビジョンと共に紹介され、社会実装による貢献を重視した研究であることが語られました。
YouTube : https://youtu.be/hRdnsSfXe_k
YouTube : https://youtu.be/HSGi6DzwBjk
「360度映像による新感覚コンサート」
エール管弦楽団 音楽監督 鯵坂 圭司
結末が2種類ある白鳥の湖をデジタル掛け軸とオーケストラの演奏で表現し、結末を観客の判断にゆだねるという講演会を行われました。講演会のアンケートではデジタル掛け軸に関する老若男女の感想が様々であることを紹介。この感じ方の違いこそがデジタル掛け軸と音楽を組み合わせる最大の面白さであると語られました。
「AIアバターによる次世代遠隔医療システム」
株式会社YS MEDIA AGENCY
現代社会に不可欠なSNSの重要性やビジネスアカウント運用における課題をAIでどう解決していくかについてお話しいただきました。今後、AIという手段を通じてSNSの利便性を追い求めるだけでなく、人の感情とテクノロジーが調和しながら誰もが心地よく参加できる社会を作れるよう、テクノロジーの面から支えていきたいと熱く語られました。
YouTube : https://youtu.be/Fuho3stYnfs
「リアルな影と光沢を再現する人物全身画像の再照明」
筑波大学 計算幾何学とグラフィックス研究室 田島 大地, 金森 由博, 遠藤 結城
着衣の人物全身画像のための、全周波の影を考慮した写実的で高速な再照明を実現することを目的とした手法です。新たな照明表現を採用し、物理則に基づく低・高周波の影を高速に実現する研究について詳しくご説明頂きました。今後の課題として、より写実的な再照明のために複雑な照明効果のモデル化をあげられていました。
YouTube : https://youtu.be/SyuRaMSBG10
(Up&Coming '25 盛夏号掲載)
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