Vol. 34

第5回羽倉賞
受賞作品発表

羽倉賞は、表技協の創設者であり、3D立体映像、ホログラフィ、VRなどの最先端表現技術の研究、普及に多大な功績を残された故羽倉弘之氏の功績を称え、表現技術の質を高めて広い分野への普及に貢献するために、2017年に表技協により創設されました。分野を問わず最先端の表現技術を活用した作品および取り組みを通して社会に貢献した功績を表彰します。 2021年11月18日、FORUM8デザインフェスティバル2021 Day2にて第5回羽倉賞表彰式を実施。応募作品の中から、羽倉賞1作品、フォーラムエイト国土強靭化賞1作品、優秀賞2作品、奨励賞4作品の計8作品が選ばれました。

 
羽倉賞
賞金・副賞
20万円、トロフィー、賞状
 
「Sound Scope Phone」 
国立研究開発法人 理化学研究所革新知能統合研究センター 音楽情報知能チーム

推薦:情報処理学会
ヘッドフォンを装着して、スマートフォン(iPhone)にインストールされたSound Scope Phoneを起動し、再生ボタンを押すと、ヘッドフォンから聞こえる音響空間上に、ユーザの周囲360度を取り囲むように10種の楽器音が出現。Sound Scope Phoneでは、フロントのカメラで得た画像をAIで処理して、iPhoneから見えるユーザの頭部方向を検出する。あたかも周囲を演奏者に取り囲まれたかのような音楽体験が可能。

フォーラムエイト国土強靭化賞
賞金・副賞
15万円、賞状

「Before/After VR」 NHK放送技術研究所 空間表現メディア研究部
早稲田大学 先進理工学部 応用物理学科

推薦:超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム
同じ場所で異なる時期に撮影した2つの360度映像を切り替えながら視聴することで、細かい違いに気づくことができる表現技術。例えば、災害直後の映像と復興中の映像を比較することで、あたかもその場にいるような臨場感を伴いながら、災害の凄惨さや復興の状況を能動的に体験する効果が期待できる。様々な利用者を想定し、VRゴーグル用とタブレット用の2つのアプリを開発した。

優秀賞
賞金・副賞
10万円、賞状
 
「デジタルカメン」 平田 竹川研究室

推薦:情報処理学会
「仮の顔」として好みのCGキャラクターを表示する軽量薄型有機ELディスプレイを搭載し、裏面に装着者の表情の変化を測定する反射型フォトセンサアレイ40個を組込んでいる。表情の変化に伴う皮膚の微小変位を計測し、サポートベクターマシンを用いた表情認識モデルを構築する事で、装着者の表情および口の動きをリアルタイムでアバターの表情へと反映させる。

 「蛍光磁性流体のメディアアートへの応用」 
児玉幸子(アーティスト、電気通信大学)、株式会社フェローテックマテリアルテクノロジーズ

推薦:最先端表現技術利用推進協会
株式会社フェローテックホールディングス、フェローテックマテリアルテクノロジーズ株式会社による「蛍光磁性流体」をメディアアートに応用する取り組みを、これら企業の支援を得て開始した。蛍光磁性流体を、「磁性流体彫刻」の立体造形に応用し、ブラックライト等照明装置の利用と、蛍光磁性流体を立体表面に流動させるための適切な電磁石とコンピュータ制御によって、これまでにない先端的な動く立体造形表現と映像表現へと展開した。

奨励賞
賞金・副賞
5万円、賞状
 
「味わうテレビ TTTV」 明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科

推薦:情報処理学会
食べたい料理名を声に出すと、その映像が表示され、画面を舐めるとその料理の味がします。味センサで取得されたデータに基づき、10種類のスプレーでシートに味が噴霧、それがベルトコンベアのように巻き取られて画面の上にくるという仕組みです。ほぼ全ての料理の再現ができ、基本五味のみならず、渋味・辛味・アルコール味も表現可能です。視聴覚に加え味覚の記録と再現が可能に。

 「Layers of Light/光のレイヤー」 石川将也
推薦:CG-ARTS協会
蛍光材料を含んだ透明スクリーンで構成された層構造のディスプレイにプロジェクションした映像が、蛍光材料の物性である励起・反射により、各層に分離して表示。赤・緑・青を分離することで最大3層の立体表示が可能で、スクリーンを造形したり、動かすことで多様な表現が可能に。単に装置の発明だけでなく、ディスプレイでの表現手法を、映像作家でもある作者が開発し作品化している点が特徴。

 「天空のナイトクルージング 楽しみ方ガイド」プロジェクト みなかみ町観光協会
推薦:最先端表現技術利用推進協会
群馬県みなかみ町 谷川岳天神平で開催された星空鑑賞イベント「天空のナイトクルージング」。谷川岳の山並みにプロジェクションマッピングを投影し集客増の取組となったが、さらにイベントを楽しんでもらう為、公式HP内で「天空のナイトクルージングの楽しみ方ガイド」を開設。会場内のウォークスルー体験や女性2人が会場内を楽しむ様子を撮影した映像、星空タイムラプス映像等を公開。

 「川湯の森 ナイトミュージアム 森の図鑑」 ALAKI株式会社 XR事業部
推薦:都市と建築のブログ 編集委員会
国立公園の自然学習の場にライトアップを利用する日本で初の試みとして、2020年10月に阿寒摩周国立公園で社会実験「川湯の森ナイトミュージアム」が開催。「図鑑の森」地区では、森の中に設置されたQRコードを読み取ると、カメラを通して野生動物の3DCGを表示するAR体験を提供。動物と一緒に写真撮影を行う機能や、ナレーションを再生して動物に関する知識を得る機能も実装した。

>>第7回最先端表技協・最新テクノロジーアートセッションレポート

表技協会員募集中!

当協会では会員を募集しています。業種を横断して、クリエイター、各種団体・企業、教育機関、技術者・研究者など、多様な所属・役割の会員が活動に参加。会員は、有償セミナーや検定料の優待など、お得な特典を利用できます。
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入会案内

■法人会員(年会費120,000円)
■個人会員(年会費18,000円)

表現技術検定「クラウド-AI 」2022年3月8日 初開催!
「まちづくり 応用編」1月28日(金)、「建設ICT」3月24日(木)、「情報処理/データベース」4月14日(木)

日本では「第4次産業革命」と銘打って、国際競争に打ち勝つための方向性が政府より示されています。表技協では協会基本方針である「最先端表現技術に関連する人材育成・社会への貢献」を実現すべく、以下の検定を開催します。今回は、建築・土木・交通・都市開発などに特化した、最新の開発事案等に応用できる「クラウド-AI」が加わりました。

  • 「表現技術検定(建設ICT)」
  • 「表現技術検定(まちづくり 入門編)」
  • 「表現技術検定(情報処理/データベース)」
  • 「表現技術検定(クラウド-AI)」NEW !

講習内容・テキストおよび試験問題は、関連の基礎知識や具体的な事例から専門的な方法論・提案手法までを網羅しております(修了者には認定証を授与)。


表現技術検定
(情報処理/データベース)

講習では、情報に関する基本的な考え方から、最新の技術まで分かりやすく学ぶことができます。更に情報を収集、分析する手法としての統計の基礎について学び、Excelによる実習を行います。





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(Up&Coming '22 新年号掲載)
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