vol.4

究極のプレゼンテーションは、”量子力学”

株式会社 パーソナルデザイン

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プロフィール

唐澤理恵(からさわ りえ)

お茶の水女子大学被服学科卒業後、株式会社ノエビアに営業として入社。1994年最年少で同社初の女性取締役に就任し、6年間マーケティング部門を担当する。2000年同社取締役を退任し、株式会社パーソナルデザインを設立。イメージコンサルティングの草分けとして、政治家・経営者のヘアスタイル、服装、話し方などの自己表現を指南、その変貌ぶりに定評がある。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科経営学修士(MBA)、学術博士(非言語コミュニケーション論)。

オーラのある人とは?

 初対面の相手に、「オーラのある人だ!」と感じたことはありますか。私は職業柄、人のオーラを観る癖がありますが、一般的には芸能人に対してオーラを感じる人は多いようです。

 『オーラ』とは一体なんでしょうか。

霊的なもの、エネルギー、ただ単に人の雰囲気をさすのでしょうか。存在感、貫禄などの雰囲気をオーラと呼ぶこともあり、カリスマ性があるという場合もあります。

私たちの身体が発するエネルギーこそオーラです。創業以来、私はこのように説いてきました。人間の身体は細胞でできています。その細胞は分子、さらには原子、さらには陽子・電子と細かくなっていきます。プラスとマイナスの放つ微小な動きがあり、それが空気中の窒素や酸素という物質のもつ電子に影響を与え、ある種電磁波を放っていると答えてきました。ちなみに、身に纏う衣装の色も電磁波であり、その波を私たちの視覚が、赤や青と感じるのです。肉体、衣装、身に着けているアクセサリーなども電磁波を放っており、その電磁波と電磁波が重なり調和している場合もあり、不調和の場合もある。調和している場合、それを気持ちよく感じる人が多く、良いオーラと捉えるのではないかと考えています。もちろん科学的な根拠はないままではありますが、それを私独自の法則としてきました。

しかしながら、ここにきて人と人とのコミュニケーションについて、私が主張してきたように物理学の分野として研究が進んでいるのです。

私たちのからだは空っぽ?

私たちのからだは細胞で構成され、90%以上が水分(H2O)ですが、その分子は水素原子(H)2つと、酸素原子(O)1つで構成されています。そして、その原子を拡大してみると、原子核が存在し、その周りを電子が回っています。原子は図1のように、中心にある原子核と、その周辺を高速で回転している電子、あとは空間で構成されています。驚くことに原子核は、原子を東京ドームの大きさに例えると「米一粒」の大きさになります。つまり、原子は99.9999999%以上が空っぽなのです。

ということは、原子の集合体である人間も空っぽだといえます。ところが、人間は硬い物体として存在し、スカスカの透き通った物質ではありません。

例えば、原子を「自転車の車輪」とします。自転車の車輪は空間だらけですが、車輪を高速で回転させると空間は消え、一枚板のように物質化します。石を投げると跳ね返すほどです。

原子もこれと同じで、電子が原子内を超高速で運動しており、この強烈なエネルギーが硬さのある物質を作っているのです。(図2)

図1 原子の構造
図2 (千葉大学 ハドロン宇宙国際研究センターHP)

私たちは素粒子でできている

 岐阜県飛騨市神岡にスーパーカミオカンデという研究施設があります。ニュートリノという言葉を耳にしたことがあるかもしれませんが、まさにこの施設ではニュートリノという素粒子を使い、宇宙の歴史や成り立ちを研究しています。素粒子とはこれ以上分解できないと考えられているごく微小な粒であり、中でもニュートリノはもっとも軽く、もっとも小さく、地球の内側まで通り抜けることなどがわかっています。

さきほど説明した原子核の周りを高速で飛び回る電子も素粒子です。原子核をつくる陽子と中性子は、クォークと呼ばれる素粒子が3つ集まってできています。

ちなみにニュートリノは、宇宙が誕生した時や、太陽や星の中、星が爆発を起こしたとき、宇通から飛んできた粒子が地球の大気中の物質とぶつかったとき、さらにはバナナからも放出されているといいます。つまり、この宇宙全体は、ニュートリノのほか素粒子で満ち満ちているということです。私たち人間だけでなく、ほかの生物、身の回りにある机やパソコン、水も空気も、星も宇宙も、すべての物質は素粒子でできています。つまり、万物は素粒子の塊であり、素粒子の性質を知ることが私たち自身を知ることに繋がるといえるでしょう。

素粒子はエネルギーであり、共振しあう!

ニュートリノと同じく第二次世界大戦前に素粒子として加わったフォトン(光子)こそ、私が独自にオーラの説明につかっていた電磁波をつくっている波、あるいは粒子です。物質は光(電磁波)をエネルギーの塊として吸収し、あるいは放出しています。エネルギー塊の大きさは電磁波の振動数で決まり、その光のエネルギーと運動量がフォトンです。

つまり、素粒子=エネルギー。万物は「物質」というよりも「エネルギー」といった方が正しいのです。エネルギーが、私たちにあらゆる物質を見せているだけ。

人間、動物、植物、海、山、水、空気、宇宙はもちろん、目に見えない光、音、色、匂い・・・この世の全てはエネルギーであり、私たち人間もエネルギー体だということです。

さて、エネルギー体ということは、自分自身が発するエネルギーは周囲の空気に伝わり、空気を通して自分の周囲にいる人に伝わり、さらには相手からもエネルギーを吸収していることになります。嫌いと思って接するエネルギーと好きと思って接するエネルギー、まったく違います。波長が合うという言葉がありますが、まさにエネルギーの波が合うかどうかでしょう。ちなみに食事をするときも、食べ物からエネルギーをいただき、自分の発するエネルギーも食べ物に伝わるでしょう。美味しいと思って食すエネルギーと、こんなまずいものと思って食すエネルギーとは当然違うはず。それによって胃腸の放つエネルギーも影響を受け、消化の具合も変わるかもしれません。そう考えると、私たちがもつ「意識」もエネルギーであり、まさに量子力学の性質をもつと思われます。

究極のプレゼンテーションを実現するために

素粒子の塊であり、エネルギーの塊である私たち自身が行うプレゼンテーションは、まさに場全体のエネルギーに影響を及ぼします。「できる!」という自信にみなぎって行うプレゼンテーションと、不安を抱えて臨むプレゼンテーションとでは結果はまったく違うことはいうまでもありません。しかしながら、顕在意識で「できる」と唱えても、潜在意識で「やだな~」などと一瞬でも思うと、私たちのからだをつくる素粒子は潜在的な「やだな~」に引っ張られてしまいます。潜在的に「できる」と確信するためには下記3点を実践することにつきます。

・万全な事前準備(言語レベル&非言語レベル)
・イメージトレーニング (文字ではなく、映像でプレゼンの流れをつかむ)
・プレゼンそのものをワクワク楽しむ

さらに、そこに存在する机やいす、会場の壁、床、装飾すべてが素粒子でできています。色はフォトン(光子)として、机は木材か鉄製かによってもエネルギーは違うはずです。そのために会場選び、会場設営も大切な要素です。事前に下見をして、机の配置を考え、ごみやほこりなどの汚れがないかもチェックしましょう。

エネルギーは共振しあうことを念頭に、聴衆をいかに巻き込み、会場全体のエネルギーを高めていくかが成功の鍵です。自分もエネルギーを放ち、聴衆にエネルギーを放っていただ、そのエネルギーを双方で吸収する。そんなスパイラルな場ができたらプレゼンテーションは成功間違いなし。

とにもかくにも、この宇宙は素粒子でできています。すべてがつながっていると思えば、宇宙と繋がることのできるプレゼンテーションを大いに楽しもうではありませんか。

(Up&Coming '23 春の号掲載)



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