「2022年新作映画ベスト5!&映画総括!」

2022 年は配信含め107 本の新作映画を鑑賞!2022年の新作映画ベスト5、映画総括について語ります!

2022年映画ベスト5

5位「ハケンアニメ!」

同じクールにTVアニメーションを任されることになった2人の監督が時代を象徴する伝説のアニメ=ハケンアニメを作るべく争う。中村倫也演じる天才アニメ監督に、吉岡里帆演じる新人監督が挑みます。

アニメは1日にしてならず、1人にしてならず。非常に多くのスタッフを巻き込んだアニメ制作現場を描くお仕事映画です。無理難題に挑む吉岡里帆はじめスタッフの熱い仕事に、社会人であれば勇気と元気を貰えるでしょう。

また、こちらの作品は東映が配給しており、グループ会社である東映アニメーションがアニメ部分を監修しています。常に覇権を争っている超大手ですが、東宝擁する新海誠作品などライバルもいます。そうです。これは単なるフィクションではなく、東映のプライドを掛けた戦いでもあるのです!

「ハケンアニメ!」 日本映画上映時間:128分
監督:吉野耕平(「水曜日が消えた」「エンドローラーズ」)
出演:吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子ほか

2019年4月2日発売『ハケンアニメ!』
(C)2022 映画「ハケンアニメ!」制作委員会 / 2022年 5月 20日 公開


4位「LOVE LIFE」

住宅団地に住む、ごくごく普通の3人家族に舞い込んだ凄惨な事故から始まる人間ドラマ。カンヌ国際映画祭の常連である深田晃司が監督しています。会話シーンがメインで派手さは無いものの、わずかな視線の切り替えや会話のボタンの掛け違いによってキャラクターの心情を説明する、最小限の演出で最大限の効果を見せている巧みな映画です。

突然飛び交う手話や主題が見えないようにも感じますが、今作のテーマはごく単純で、「とある2人が目線を合わせること」。しかし、これがいかに難しいことか、人間の本能を抉る素晴らしいドラマになっています。

「LOVE LIFE」 日本映画 上映時間:123分
監督:深田晃司(「淵に立つ」「本気のしるし」)
出演:木村文乃、永山絢斗、山崎紘菜ほか

3位「THE FIRST SLAM DUNK」

90年代バスケットブームの火付け役となった伝説の漫画が20年余の時を経て映画化。原作者自らが監督を勤めたのですが、今まで見たことのないスラムダンクの世界が広がっていました。誰が相手でどんな試合をするのかはネタバレ出来ませんが、注目すべきは映像表現です。モーションキャプチャを取り付け実際のバスケの動きをCGに反映、漫画の絵をテクスチャにすることにより、井上先生の描いた漫画が本物の人間のようにナチュラルに動くのです。未だかつて見たことのないアニメーション表現に度肝抜くことでしょう。令和になってもスラムダンクは私のバイブルです。

「THE FIRST SLAM DUNK」 日本映画 上映時間:124分
監督:井上雄彦(漫画原作者) 出演:仲村宗悟、木村昴ほか

2位「トップガン マーヴェリック」

中年男性の心に燦然と輝き続ける名作「トップガン」(1986)の続編にして、最高傑作。前作よりも戦闘シーンの過激さがアップし、CG無しの命がけの撮影には空いた口が塞がりません。戦闘機に乗るのはスタントでなく実際の役者を起用し、トム自ら教官となって若手役者を鍛えました。なお、トムは役柄でも海軍の教官であり、どんな時でも教官の役が抜けませんでした。極限まで鍛え上げられた機体と肉体は、我々の期待を遥かに上回るクオリティに仕上がりました。半年以上にも及ぶロングランヒットも頷ける大傑作でした。

「トップガン マーヴェリック」 アメリカ映画 上映時間:131分
監督:ジョセフ・コジンスキー(「オブリビオン」「オンリー・ザ・ブレイブ」
出演:トム・クルーズ、マイルズ・テラーほか

1位「アンビュランス」

アンビュランスを直訳すると救急車ですが、その意味通り救急車がスクリーンを駆ける異色のカーアクション映画です。銀行強盗を企てた犯人が救急車を乗っ取り警察とマフィアの手から逃れようとするのですが、逃げる姿があまりにも劇的でカッコよくて他の追随を許しません。ただの救急車をここまで魅力的に見せる監督の腕力は伊達じゃありません。CMディレクターからキャリアをスタートさせたマイケル・ベイ監督だからこそ、救急車がレーシングカーにもダンプトラックにも見えるのです。最初から最後までドローンによる撮影を敢行し、躍動感ノンストップで走り続けます!何かにこだわること、貫くことの大切さを感じる一作です!今作に関しては1位という選択肢しかありませんでした。

「アンビュランス」 アメリカ映画 上映時間:136分
監督:マイケル・ベイ(「アルマゲドン」「トランスフォーマー」シリーズ)
出演:ジェイク・ギレンホール、エイザ・ゴンザレスほか

2022年の映画は、アニメがハケンを競う年に

2016年「君の名は」、そして2020年の「鬼滅の刃 無限列車編」などアニメ映画が特大ヒットする傾向は前からありましたが、2022年は完全にアニメが映画界を席巻しました。12/4時点で、1年間に興行収入100億円を叩き出した作品は3本。そのうちの2つはアニメ作品です(ONE PIECE、呪術廻戦)。実写で唯一の100億円超えはトップガン マーヴェリック」で、邦画実写は完全なる敗北を喫しました。ベスト5でご紹介した「ハケンアニメ!」のように、アニメ同士がハケン映画を競いあっている状態なのです。

その中でもトップに君臨するのは、東映の「ONE PIECEFILM RED」です。12月4日時点で興行収入180億円を突破し、実写も含めて国内年間興行収入で1位の状態。まさしくハケンを獲った作品なのです。私も鑑賞しましたが、世界で最も愛される歌姫ウタによる圧倒的なライブパフォーマンスは完全に劇場案件!どの形態でも良いですが、個人的にはドルビーシネマやIMAXなど音響設備が優れた環境で鑑賞して頂きたいです!

なお東映は、2022年6月に公開された「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」がアメリカの興行収入(8/19-8/21)で首位を勝ち取り、12月3日に公開された「THE FIRST SLAM DUNK」も大ヒットで100億円超の可能性も。2022年は東映がハケンを握る形になったのではないでしょうか。2023年はどこがハケンを握るのか、今から楽しみです!


『ONE PIECE FILM RED』
(C)尾田栄一郎 /2022「ワンピース」制作委員会 / 2022 年 8月 6日 公開





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(Up&Coming '23 新年号掲載)
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