動脈硬化とコレステロール
コレステロール値が高いと動脈硬化が進む、というコレステロール仮説は1950年代から始まり、1990年代には悪玉LDL-C/善玉HDL-C 仮説となり最近まで続いています。
サプリメント「紅麹コレステヘルプ」による健康被害の背後にはコレステロールは下げないといけない、LDLコレステロールは悪玉コレステロールであるという常識があるのではないでしょうか。
最近では、動脈硬化は病理学的観察からマクロファージが主体の慢性炎症であるとされています。炎症を惹起するメカニズムとして無菌性炎症が注目され、コレステロールやカルシウムの結晶による インフラマソーム(自然免疫系に関与し、炎症応答の活性化する多タンパク質オリゴマー)活性化が動脈硬化進展メカニズムと示唆されています。このような慢性炎症を起こす因子としてLDLコレステロールの増加や高血圧、高血糖、肥満、喫煙、アルコールの過剰摂取などがあります。血清コレステロール値を下げるためにスタチン製剤の内服を始める前に、慢性炎症に着目した予防が大切だと言えます。
実際欧米では、食事や運動のプログラムでは下げることができない場合に、コレステロールを下げる薬での対応になります。慢性炎症の予防に役立つ統合医療から見た対応を図1で示しています。以前取り上げた抗炎症食や「疲労」への対応を参考にしてください。
|
図1 |
|