皮膚の病気とこころ
こころと身体は一つであるという考え方は、心身一如として古くから知られていますが、医学的には心身相関という考え方です。心身相関は心身症という病気の状態において重要です(図3)。心理的なストレスで湿疹やにきびが悪化したり、蕁麻疹や円形脱毛症が出現するのは知られています。心理的なストレスから皮膚が病気になるだけでなく、こころとつながりがある皮膚が病気になることで、こころも影響を受けます。皮膚の病気は眼に見える病気であることから、絶えず自分で症状がわかり、他の人の目につくことで不安になります。またアトピー性皮膚炎など原因が解らない皮膚の病気も多く、治らないのではないかという不安も少なくありません。治療はステロイドが中心で、長期間ステロイドを使うことへの不安があります。最近では生物学的製剤が使用されるようになりましたが、まだまだ治療は難しい状況です。そして皮膚の病気の多くが不快な感覚である痒みを伴い、この痒みは自分の意志でコントロールできません。このように皮膚の病気になったことがより心理的ストレスとなり、こころに影響してくるのです。皮膚とこころのつながりを考え、皮膚の治療だけでなく、こころのケア、あるいは心身一如であるこころと身体全体をみる全人的な医療が必要だといえます。
皮膚はこころとつながっています。皮膚を考え、皮膚を思い、皮膚を愛しみ、皮膚を大切にすることは自己を大切にし、他者とのつながり、自然とのつながりを大切にすることにつながると思います。
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図3 |
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図4 |
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