ACCS HP https://www2.accsjp.or.jp/
ACCS(一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会)
一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会は、デジタル著作物の権利保護や著作権に関する啓発・普及活動を通じて、コンピュータ社会における文化の発展に寄与しています。オービックビジネスコンサルタント(業務ソフトウェア開発・販売)の創業者・代表取締役社長 和田成史氏が理事長を務め、多数のソフトウェア開発企業が会員として所属。フォーラムエイトも、同協会の活動に賛同して2022年に入会し、ソフトウェアの地位向上のため活動を継続しています。
2025年2月5日、ACCS会員企業が著作権を持つ建築用CADソフトの海賊版を作成して販売した男性が、福井県警に著作権法違反の疑いで再逮捕され、同日、当協会からニュースリリースを行いました。
コンピュータソフトウェアは著作権で保護されており、海賊版を作成することや、販売したりすることは著作権侵害行為であり、犯罪にもなります。
これまで、当協会が会員企業とともに海賊版作成者、販売者に対する刑事責任の追及や、企業などの組織内におけるソフトウェアの不正使用に対する損害賠償請求、ソフトウェア管理の啓発活動など、様々な対策を進めてきた結果、日本国内においてはビジネスソフトの海賊版の流通や組織内における不正使用は大幅に減少しましたが、少ないとはいえ依然として違法行為が行われている実態があります。その中には知識不足のために、うっかり不正使用してしまった事例もあります。
そこで今回は、会社などの組織内において、コンピュータソフトウェアを適切に使用するために知っておいていただきたい3つのルールについて解説いたします。
証拠品写真・福井県警提供
コンピュータソフトウェアは著作権で保護されており、著作権を持っているソフトウェアメーカーの許可なくソフトウェアを複製したり、販売したり、インターネットにアップロードしたりすることはできませんし、業務用のPCにインストールすることもできません。
海賊版ソフトウェアを業務用のPCにインストールすることは著作権侵害です。意図的に行った場合には犯罪となり、10年以下の懲役、または、1,000万円以下の罰金、またはその両方という刑罰が科される恐れがありますし、会社ぐるみで行った場合、会社は3億円以下の罰金を科せれるおそれがあります。また、以前解説いたしましたとおり、ソフトウェアメーカーから損害賠償請求を受けたり、海賊版ソフトウェアの消去を求められたりするリスクもあります。
さらに、海賊版ソフトウェアを海賊版と知りながら業務で使用する行為も犯罪となりますので、「海賊版ソフトは買わない、持ち込まない、使わない」ことを徹底してください。
コンピュータソフトウェアをインストール・使用する際に、使用者である私たちは、ソフトウェアメーカーとの間で「使用許諾契約」を締結しています。①に関わるインストールの許可を含めて、使用許諾契約を通じて、「ライセンス」(≒ソフトウェアの使用権)が与えられることが一般的です。
使用許諾契約の締結方法は、パッケージソフトウェアなどの場合はインストール時に画面に使用許諾条項が表示され、同意ボタンをクリックする方法(クリックオン契約)や、契約書を作成する方法などがあります。
ライセンスには、インストールの台数や使用者、同時起動可能な台数など、どのようにそのソフトを使用することができるか、どのような使い方をしてはならないのかなどが定められています。また、同一のコンピュータソフトウェアであっても、複数の種類のライセンスが用意されている場合がありますので、購入したライセンスの内容を把握し、その範囲内で使用することが求められます。
会社で購入したソフトウェアについては、全てのライセンスを把握し、インストール台数が限定されたライセンスならばインストールの状況、使用者が限定されたライセンスならば使用者の状況を把握し、ライセンスの範囲内の使用であることを定期的にチェックする体制を構築する必要があります。
購入したライセンス状況を把握し、コンピュータソフトウェアのインストール状況、使用状況を管理することは、主にソフトウェア管理を担当する部署の業務となりますが、ソフトウェア管理を成功させるためには、全社員の協力が不可欠です。そのため、ソフトウェアの導入、使用、廃棄に関する社内規定を定め、運用することが肝要です。
既に多くの企業では何らかの名称で社内規定が定められているはずです。管理者以外の全ての社員は、実はこの社内規定を守るだけで、社内でのコンピュータソフトウェアの不正使用を防ぐことができます。ですので、3つのルールのうち、実はこれだけを理解して守れば大丈夫なのです。ぜひ協力してください
もし、企業規模などの理由で社内規定がない場合には、まずは②のライセンスの範囲内で使っていることが証明できるような体制づくりをお願いします。
全ての社員に社内規定を守ってもらうためには「なぜそのルールが定められているのか」を理解しないと真剣に守ろうとは思ってもらえないでしょう。ですので、社員教育の際にはコンピュータソフトウェアは3つのルールで守られている(適切に使うためには3つのルールを守る)ことをぜひお話していただければと思います。
(Up&Coming '25 春の号掲載)
LOADING