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それが新型コロナ禍を機に、本社・支店間や現場などとのコミュニケーションをいかに円滑化するか、体調管理も含め従業員の管理をどう行っていくかは、全社的に取り組むべき課題へと昇華。2020年には、冒頭で触れたSWPJが設置され、コロナ禍にあってコロナ感染の有無はもちろん、メンタル面を含む従業員個々の健康の一元管理にも対応するバーチャルオフィスを導入する方針が決定。同年後半には、これらの機能を実現するシステムをフォーラムエイトが構築しています。 またちょうどその頃、フォーラムエイトが並行してF8VPSの開発を進めていたこともあり、納品した2Dのバーチャルオフィスとの連携による3D・VR空間(メタバース)とアバターを利用したコミュニケーションなど、更なる拡張機能の可能性を提案。これを受け、将来的に同社の各種既存システムとの重複を極力排除しつつ、ウェビナー(オンラインセミナー)などの機能を新たに追加して合流を目指そうとの構想が描かれた、とSWPJ発足から一貫してバーチャルオフィスの開発に関わってきた髙栁支店長は振り返ります。 既存基幹システムとF8VPSの機能が連携するSakurai Collabo SWPJは2022年、2年間にわたる活動を終え発展的に解散。代わってプロジェクト推進本部に設置されたICT推進室が、F8VPSをベースに同社のニーズを反映して構築した独自のバーチャルオフィス「Sakurai Collabo」の運用を担ってきています。 当初、同社では既に活用していた基幹業務システムにより、請求書や勤怠・給与管理などをすべてペーパーレス化。これに、F8VPSが有するコミュニケーション・ツールを始めとする各種バーチャルオフィス機能が連携。技術会社としていつでも・どこでも・誰とでも必要な情報交換や知識共有が可能な、業務効率化を駆動する環境を整備し、現在の「Sakurai Collabo」となっています。一方、重複する機能の調整や作業に要するクリック数削減を進め、最終的には全社員のポータルとして確立していきたい考え(髙栁支店長)といいます。 そこで、Sakurai Collaboのオープニング画面ではまず、既存基幹システムと連携しタイムカードを打刻できるよう設定。これにより社員一人ひとりが自身の出勤・退勤状況や累積残業時間の確認が可能。「建設業の2024年問題」として知られ4月から法規制が実施される「残業上限規制」にも備える仕組みを考慮しています。 続いて体調入力の画面で良好、絶好調、あるいは不調などの項目を選ぶと、それらに応じてアイコンの表情が変化。体温や脈拍、血圧(上下)などの入力欄、細かな症状についてフリーワードで記述できるコメント欄などを設け、メンタル面を含む日々の体調を確認できるよう意図。出退勤や体調関連の入力を忘れている社員には、毎日定時に当該社員宛てメールで告知する機能も備えています。 また、管理職らが配下社員の出退勤や体調に関する情報を一覧表示できる管理職モードも用意。必要に応じ随時確認することが可能です。 加えて、バーチャルオフィスの画面ではまず、2Dもしくは3Dのモードを選択。例えば2Dの画面では、本店・支店の全社員が所属するオフィスやフロア、部署ごとに一人ひとりのアバターで在席か離席かを表示。設定によっては休憩中もしくは外出中の枠にアバターが移動。そのため、全社員の所在をリアルタイムに確認できます。また会議室の枠に自身のアバターを入れ、会議に参加して欲しい別の社員のアバターを同じ枠に入れるとビデオ会議やチャット機能がスタートします。 さらに3Dの画面では、それらが立体的に表示されるとともに、各地の天候や暑さ指数(WBGT)などの情報も反映されます。 Sakurai Collaboでは日々の運用を通じ、ICT推進室と笠島取締役を中心に、社内の要望を反映した機能の追加や重複の解消、ユーザーインターフェース(UI)など使い勝手の改善を試行錯誤しつつ図る体制が取られている、と髙栁支店長は説明します。
Sakurai Collaboの機能改善・強化へ 基本的には「Sakurai Collabo」を軸とし、その中で使い勝手の良くない機能があれば社内ニーズに即して様々な改善を継続的に図っていく。笠島取締役は今後のスタンスをこう描くとともに、そこでの、難題に対し常に積極的にフォローするフォーラムエイトへの期待を述べます。 これに関連し、小川本部長は業務効率化・生産性向上へと会社全体の意識が変わってきているところが大きい、と位置づけ。そのような中で、Sakurai Collaboを全従業員がスタート画面として用い、そこから各種の入力作業を行いつつ、コミュニケーション・ツールとして高頻度で利用することを踏まえ、クリック数削減の必要性にも言及します。 「仮想空間をいろいろなことに活用し、そこで物事が行われる流れはもっと進んでいくのだろうと思います」。特に社員第一主義を掲げる同社管理部門の観点から、小川氏は省力化とともに従業員の健康を支える機能強化に力を入れていく考えを示します。 一方、髙栁支店長はSakurai Collaboのコミュニケーション・ツールとしての機能もさることながら、ショールームや展示会、ウェビナーなどによる可能性の広がりに注目。併せて、これまでの同システム構築を通じて得た、他社ソフトとの連携や機能のカスタマイズにおける当社対応の柔軟さへの実感にも触れます。
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執筆:池野隆 (Up&Coming '24 新年号掲載) |
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