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ユーザー紹介/第131回
株式会社新日本コンサルタント
東京本社首都圏技術部構造橋梁グループ

東京拠点の橋梁設計部門構築から3年、
関東圏でも増す存在感
UC-1各種設計ソフトやESなどの導入とともに
建設ICTマスター養成講座も積極活用

株式会社新日本コンサルタント
URL https://www.shinnihon-cst.co.jp
所在地 東京都台東区
事業内容 : 橋梁予備・詳細設計をはじめとする各種構造物設計

「私たちのグループの規模は大きいものではないので、大手の皆さんに比べれば、専門的な技術はまだまだ深さはないと思うのです。しかし(だからこそ、状況によっては)一人で何でもこなさないといけない、というところはあると思います」

例えば、発注者から様々なリクエストがなされれば、適応する各種ソフトウェアを備えておき、それらを使用してその都度、自ら必要な解を導き出さなければならない。「広く浅く」ということになり得る面は否めないとは言え、メンバー一人ひとりがそうしたソフトウェアを一通り使えるようになることはこの規模故の利点にもなるのでは、と株式会社新日本コンサルタント東京本社首都圏技術部構造橋梁グループの丸山貴弘課長は語ります。

部門設置からまだ歴史の浅い同グループにそのような考え方が醸成されてきた背景には、もともと最新の技術に対し一貫して敏感にアンテナを張ってきた会社のスタンスがあります。その一端として氏は、ナローマルチビーム測深技術やUAV(ドローン)などの測量業務への利用を例示。そこでは独自技術の開発というよりも、むしろ製品化された新しい技術を自社の業務にどう役立てるかの視点にウェートが置かれている、と位置づけます。

今回ご紹介するユーザーは、新日本コンサルタントの東京本社において、橋梁を中心とする各種構造物の設計を担う、首都圏技術部構造橋梁グループです。同グループでは、3年前に遡る部門設置以来、「UC-1シリーズ」の各種設計ソフトウェアや3次元積層プレート・ケーブルの動的非線形解析「Engineer’s Studio®(ES)」を導入。併せて、現在は厚生労働省委託事業に採択されたのを受けフォーラムエイトが開発した教育訓練プログラム「建設ICTマスター養成講座」も利用。そのような中から新たに、当社VR技術の導入を視野に、その活用可能性について検討を進めているところ、と言います。


 富山本社を中心に各地の拠点やグループ企業を通じ、
 次代のニーズに対応

新日本コンサルタントは1979年、富山市安野屋町に建設コンサルタント会社として創設。その後、業容の発展とともに組織や事業所体制の再編・拡充を重ねてきました。現在は、2019年に竣工した新社屋の富山本社(富山市奥田新町)をはじめ、東京本社(東京都台東区)、大阪、金沢および横浜の3支店、富山県内9営業所、北陸エリア7営業所、関東エリア11営業所および関西エリア1営業所を設置。それらに210名超の従業員が展開しています。

同社はまた、自社を中心に建設コンサルタント事業を行う3社(株式会社三喜コンサルタント(茨城県)、株式会社セイコー測量(横浜市)および株式会社技研コンサルタント(神奈川県))、コミュニティディベロップメント事業を行う1社(株式会社Fields都市総合研究所(富山市))、国内発電事業を行う3社(ニックスニューエネルギー株式会社(富山市)、NiX湯涌ハイドロパワー株式会社(金沢市)および平沢川小水力発電所株式会社(金沢市))、海外発電事業を行う4社(PT.NIX Indonesia Consulting(インドネシア)、PT.Lebong Sukses Energi(インドネシア)、PT.Optima Tirta Energy(インドネシア)およびNIX Holdings Singapore Pte.,Ltd(シンガポール))から成る「新日本コンサルタントグループ(NiXグループ)」を形成。グループ企業を合わせた全従業員数は320名超(数字はいずれも2020年4月時点)に上ります。

同社では、1)道路/橋梁、2)インフラ点検・補修/長寿命化計画、3)河川・砂防/農業/海岸・港湾、4)上下水道、5)景観・ランドスケープ、6)都市計画・地域計画、7)測量/補償、8)ICT、9)産学連携事業、10)官民連携事業、11)再生可能エネルギー、および12)海外 ― の各事業分野を基盤に運営。その中で「ストックマネジメント」「防災・減災」「低炭素社会づくり」を新たな社会ニーズを反映した3つの重点事業と位置づけ。併せて、グループ各社や外部との連携では、「エネルギーマネジメント事業」「プロジェクトマネジメント事業」「共同研究事業」の3マネジメント事業を柱とする取り組みが特徴づけられます。

株式会社新日本コンサルタント 東京本社
首都圏技術部 構造橋梁グループ 課長
丸山 貴弘 氏

 構造橋梁グループの業務と 最近の傾向

同社に東京本社が開設されたのは2015年で、今年が5年目。丸山課長が入社したのはそれから2年後の2017年です。

「東京本社にはそれまで橋梁の設計部門はなく、(自身の)入社後に立ち上げられてきた形です」

東京本社は現在、首都圏事業推進部と首都圏技術部が置かれ、そのうち後者は構造橋梁グループと都市配水グループから構成。今回お話を伺った構造橋梁グループでは、道路/橋梁事業分野の構造物設計を担当。具体的にはその、1)橋梁予備・詳細設計をメインに、2)数値解析(2次元FEM、3次元FEM)、3)コンクリートの温度応力解析、4)施工計画、仮設構造物設計、5)地下構造物設計、6)大型水路設計、および7)各種補強土・擁壁設計 ― といった広範な設計業務に携わっています。同氏はその中で、業務全体の進捗状況の確認、およびプロジェクトの進め方の方針確認を主に担っています。

同グループでは近年、中日本高速道路株式会社(NEXCO中日本)向け橋梁の耐震補強や床版橋の改良設計など改築に関わる業務が次第に増加。それらのプロジェクトを通じ、良い成績評定を得られるようになってきたことで、プラスの相乗効果も生まれてきています。

そうした一環として最近取り組まれた、高速道路の延長3kmにわたる高架橋の耐震補強設計のプロジェクトでは、交差する道路や歩道、線路、高架橋下の空間利用など多様な要素が多数交錯。そのため、類似した条件の箇所をある程度適正にグループ化して検討するなどの工夫により、作業に要する時間やコストを抑えつつ最善の補強に繋げている、と言います。



 構造設計系業務の拡大、進むUC-1各種設計ソフトやESの利用

「UC-1の各種設計ソフトの導入は、ある意味、働き方改革にも通じるのかなと思います」

つまり、電卓を使い紙に書くなどの手計算も必要に応じて行うとはいえ、専用の設計ソフトを使えばトータル的に作業の大幅な効率化が可能。それで構造計算などでは以前からそれらソフトを用いるアプローチが積極的に取られてきました。実は、東京本社でUC-1の各種設計ソフトが導入され始めるきっかけになったのは、それまでさほど多くなかった構造設計系の業務を戦略的に拡大しようと努めてきたことが大きい、と丸山課長は振り返ります。また、そうした取り組みは、氏を含め関連分野の業務に経験のある人材確保に力が入れられてきた近年の流れとも連動しています。

「Engineer's Studio®(導入の背景)も同様です」

ただ、Engineer's Studio®の場合、それに代えて手計算でというのは無理で、実際の挙動をどう評価するかというのはこのような機械的なものでなければ難しい、と同氏は説明。特に、強度の大きな地震が以前より頻発するようになってきた中で、従来通りの計算により余裕をたっぷり考慮していては過大な補強になりがち。それをより厳密に現実に即した補強にする狙いも意図されました。加えて、耐震補強を比較的しやすい構造物の補強工法が概ね確立されてきたのに対し、対策が待たれているケースは複雑な条件のものが大半。それらを忠実に再現するためにはより複雑なモデルに基づく検討が必要なことなどもあってEngineer's Studio®が多用されてきています。

既設の橋梁に対し、その特徴を踏まえ3次元立体系モデルによる非線形動的解析を行った

そのような具体例として同氏は自ら関わった、1)地震時安定性を橋台固定部に依存する構造のロッキング橋脚を有する橋梁における耐震補強に際し、橋梁の特徴を踏まえ3次元立体モデルの動的非線形解析を行った業務、2)建設から55年経過したランガー補剛形式の水管橋の下部工に対し動的非線形解析で耐震性照査を行った業務、などに触れます。

形式:ランガー補剛形式
橋長:59m
支間長:57m
管径:φ1000
下部工:逆T式橋台2基
基礎形式:杭基礎(鋼管杭φ711.2)
支承形式:右岸側可動、左岸側固定

建設から55年経過した水管橋の下部工に対し、耐震性能照査を行った


 建設ICTマスター講座を通じ、VR活用の可能性に着目

フォーラムエイトの各種ソフトの利用と並行し、同社では現在3名が当社の「建設ICTマスター養成講座」を受講しています。

同講座は、2019年度~2020年度の厚生労働省委託事業「教育訓練プログラム開発事業」に採択され、フォーラムエイトが開発した「CIM技術者育成およびi-Construction推進を目的としたVRコンテンツ活用教育訓練プログラム」を実施するもの。丸山課長は、CIMやi-Constructionなど国土交通省が推進する施策の先行き、あるいは先進のICT(情報通信技術)の最新動向などがどうなっているのか知りたかった、と受講の動機について述べます。

講座自体は現在もなお進行中ですが、同氏はこれまでの講座を通じ、VRの活用可能性を実感。例えば、既設橋の補強で「こういう形のものが橋に付きます」というと、「付いたら橋はどう見えるのか」「信号は見えるのか」「信号が見えにくくなるから信号を移設した方が良いのでは」などといったやり取りが容易に可視化。従来の2次元の紙の図面と違い、設計図面に不慣れであっても完成形をイメージできるため、発注者との話し合いはもちろん、住民説明などでのコミュニケーションツールとしても大きなメリットが窺われる、としています。

さらに丸山氏はフォーラムエイトの3DリアルタイムVR「UC-win/Road」の導入を視野に、全橋架け替えの施工計画に当たり、既設橋を壊して新橋が供用されるまでの間に道路がどう振られ、どのような新設橋梁が出来るのか、といったことを可視化して示せるようなものを作っていきたい、と次なる展開の一端を描きます。

構造橋梁グループの皆さん 同社からは3名の方が建設ICTマスター養成講座
を受講
執筆:池野隆
(Up&Coming '20 秋の号掲載)



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