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専門領域とともに人間性教育に力 専門学校岡山情報ビジネス学院(OIC)は1985年、日本カバヤ・オハヨーホールディングス株式会社(本社岡山市)を核とするグループ企業の一つ、学校法人三友学園により設立。翌1986年に「私塾 岡山情報ビジネス学院」として開校し、同年に岡山県より専門学校として認可されたのを受け、現行名に改称しています。 OICは、先行き不透明な時代を生き抜くために、専門知識や技術だけではなく、それを活かすための「人間力」の両方を養うことで、卒業後、社会に居場所を持ち自立して人生を歩んでいける社会人へと成長することを目指しています。 開校以来、専門学校として“学生の幸せ”を第一に考え、教育と誠実に向き合ってきました。卒業生の総数は12,000名を超え、幅広い分野の最前線で活躍しており、多くの事業所様から高い評価をいただいています。同学院は現在、1)医療福祉事務学科、2)診療情報管理士学科、3)ホテル・ブライダル学科、4)経営アシスト学科、5)公務員学科、6)公務員速習学科、7)保育学科、8)情報スペシャリスト学科、9)情報システム学科、10)ゲームクリエイター学科、11)ゲームプログラマー学科、12)データマーケター学科、13)ネット・動画クリエイター学科、14)CGデザイン学科 ― の14学科、および留学生を対象とする15)国際ITシステム学科から構成。岡山駅に隣接する校舎(2006年完成)には、全学科合わせて約1,100名に及ぶ学生が在籍しています。 Shade3Dを採用した情報系2学科 冒頭でも触れたように、OICのカリキュラムにおけるShade3D採用を具体化してきた伊藤先生は、学院運営の側面から複数学科の支援に関わるとともに、学科長として2つの学科を主導しています。 その一つ「情報スペシャリスト学科」は、3年課程でIT(情報技術)の基礎からAI(人工知能)、VR、クラウドなどSociety 5.0を見据えた高度な専門技術を学習。そこでは単に知識のみならず実務能力を養う狙いから、1)基本情報技術者試験や応用情報技術者試験をはじめとする資格取得に加え、2)アプリケーションの開発に欠かせないフロントエンド、サーバサイド、インフラなどの技術を広く、深く学習、3)プロジェクト型学習(PBL)により実社会や学校内における業務上の課題に対し学生が課題解決方法を考え実践 ― という3つを柱にカリキュラムを構成しています。 一方、「情報システム学科」は2年課程の限られた期間で即戦力となる人材を養成するため、まずITの基礎を学習。その上で、1)システム開発や国家資格の取得を目指す「システム開発専攻」、2)自らのアイディアを形にするためモバイル系の言語でアプリを開発する「モバイルアプリ専攻」、3)実際に工場で動く機械やロボットを制御するためのプログラミングを学習する「コンピュータ制御専攻」 ― の3つの専攻に分かれ、それぞれに特化した専門知識の修得を目指します。 両学科に共通するのが、学生の主体性を活かした学びを実現することです。確かなIT技術に立脚し、自ら考える力を身に付けて実践する力を身に付けることで即戦力となるエンジニアを育成する狙い、といいます。 現在、情報スペシャリスト学科1年生は約50名、情報システム学科1年生は約80名の学生が在籍。それぞれ4名の常勤講師に加え、VRなど最先端の授業では随時非常勤の講師を招聘する体制が取られています。 当社のVRソリューションに注目、Shade3D利用の特別講義・授業の設置へ 2020年冬、一般社団法人全国専門学校教育研究会(全専研)の加盟校で催されたフォーラムエイトの講演を当時のOICの常務理事と教務課長が聴講。そこで、VRをゲーム的な要素としてではなく、職業教育や実習などの業務分野で活用している側面に注目し、そのような当社の各種VRソリューションを学院の授業に取り入れてはどうか、という話が伊藤先生にもたらされます。 伊藤先生は改めて、業務上で使用されるVRに新たな可能性を感じ、様々な製品ラインナップの中から検討。フロントエンド分野のカリキュラムとして学習しているJavaScriptを発展させ、JavaScriptのフレームワークbabylon.jsを用いて、ブラウザ上に3Dシーンを作成し、Shade3Dで作成した3Dモデルを動かす経験が出来るよう意図されました。
この特別講義を受け、2021年度の通常カリキュラムの中にVRの授業を取り入れることとし、情報スペシャリスト学科3年生(約40名)向け前期授業(4~7月)として「VR開発」を設置。講師のフォーラムエイト・スタッフと学生は皆、オンラインで参加する形が取られました。授業では最初の3カ月間にShade3Dの基本的な使い方やモデリングの方法、JavaScriptを用いたモデルの操作方法などの技術演習を実施。最後の1カ月間はチーム開発の手法により設定したテーマに沿った作品作りからプレゼンテーションまでを行いました。 これらの実績を背景に、「VRの体験を学生たちに引き続きさせたい」との思いがあり、2022年2~3月も前年度と同じような構成で特別講義を実施。情報スペシャリスト学科の新3年生(約50名)と情報システム学科の新2年生(約60名)が参加しています。 学生にとって初めて使うモデリングツールだったにもかかわらず、短期間のレクチャーを受けただけでスピード感や操作性の良さが窺われた、と伊藤先生はShade3Dの印象を述べます。 VRの可能性を視野、手段としての技術の活用へ 昨今、メタバースをはじめVRのエンターテインメント的な利用の側面が主に脚光を浴びる傾向が窺われるとしつつ、伊藤先生はその、担当学科がターゲットとする顧客の業務上の課題解決や新しい価値提供の手段としての可能性に言及します。 伊藤先生はもともと、フォーラムエイトの各種VRソリューションの中で、特に3DVRで構築された空間にアバターなどのコミュニケーションツールを用い、Webベースでバーチャルショールームや作業訓練、テレワークなど様々な適用が可能な「F8VPS」に注目。例えば、自身ら情報系学科で3DVRのプラットフォームを構築し、それをホテル・ブライダル学科の接客訓練など学院内の他学科に利用してもらうような形でコラボレーション。それにより情報系学生らの研究開発力の向上はもちろん、学内に幅広く相乗効果をもたらし得るのでは、との構想が描かれました。Shade3Dはいわば、バーチャルプラットフォームを作る際の基盤的なツールとして学生が早期に使えるようにしておくことが重要になる、との観点から導入された経緯があります。 「学生に対して日頃から言っているのは、手段としての技術をどう活かすかということです」 VRをはじめとする新しい技術が近年急速に発展・普及してくる中で、「その技術を使う目的は何か」「誰のために使うのか」を学生が意識し、利用者の目線に立って物事を考える力を養って欲しい。今回、Shade3Dを用いた授業の中で学生はアイディアを形にするプロセスを体験したことから、「それを見た顧客がどう感じるか」「これが顧客の課題解決に繋がっているか」をきちんと考え、それを実現する手段としていろいろな「引き出し」を持てるエンジニアに育てていきたい。その意味では、今回の授業や特別講義を通じ、学生たちの知識や問題解決への対応の幅は確かに広がってきているはず、と伊藤先生は述べます。 「(こうしたことを踏まえ)学生には好奇心を持って、これからの新しい技術に積極的に取り組んでいって欲しいと思います」
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執筆:池野隆 (Up&Coming '22 盛夏号掲載) |
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