Rally Islas Canarias 2025
グラン・カナリア島を旅する

4月24日から27日 WRC第4戦ラリー・イスラス・カナリアスを現地で観戦。ラリーの合間に舞台となった島の風景や暮らしに触れてみた。カナリア諸島は、スペイン本土から南西へ約1,100km、アフリカ大陸のモロッコや西サハラの沖合100~500kmの大西洋上に位置する。マドリッドやバルセロナからは飛行機で約2時間半~3時間半。日本では「スペイン領カナリア諸島」と表記されることもあるが、実際には8つの島からなるスペインの1自治州で、アンダルシアやバレンシアと同様に地方自治体のひとつ。人口約85万3千人。面積は約1,560㎢、周囲約240kmで、ほぼ円形。砂丘やビーチが連なる島南部は観光地として知られ、リゾートホテルが立ち並ぶ。

自然、歴史、観光もしっかり楽しめる、そんな魅力の詰まった島だ。

参考:在スペイン日本国大使館HPより 
https://www.es.emb-japan.go.jp/files/100348827.pdf

ラスパルマス Las Palmas

Catedral de canarias サンタ・アナ大聖堂

Plaza Santa Ana, C. Obispo Codina, 13, 35001 Las Palmas de Gran Canaria, Las Palmas

サンタアナ大聖堂は、カナリア諸島で最も重要な聖堂建築のひとつで、1500年に建設が始まり、19世紀まで段階的に整備された。1819年にテネリフェ島に2つ目の司教座ができるまで、諸島唯一の大聖堂だった。内部は中央に一本太い道、両脇に細い道が並ぶ三身廊構造で、3つの身廊の高さが揃うゴシック様式の特徴を持つ。ルネサンス様式の扉や、新古典主義のファサードなど、時代ごとの建築様式が融合している。多くの芸術家が手がけた歴史と美を伝える壮麗な大聖堂。

セレモニアルスタートはサンタアナ大聖堂前の広場で行われた

Casa de Colón コロンブスの家

C. Colón, 1, 35001 Las Palmas de Gran Canaria, Las Palmas

ラス・パルマス旧市街にあるコロンブスゆかりの館は、かつての総督邸を改装した歴史建築。カナリア諸島と新大陸発見の関わりを伝える博物館で、15~16世紀の絵画や地図、先住文化の展示も充実している。アメリカ大陸史に特化した図書館や研究スペースも併設されており、学術イベントや企画展も行われている。街歩きの途中に立ち寄れるのも魅力。

細かい彫刻が施された木製のバルコニーや、格子付きの窓が印象的

中庭(パティオ)。
やわらかい黄色の壁が日差しによく馴染む

航海図や星座に遠い時代への憧れがかき立てられる

サンタアナ広場

大聖堂前のサンタアナ広場には犬の彫刻がたくさん並んでいる。「カナリア諸島(Islas Canarias)」の「カナリア(Canarias)」は、ラテン語の “Canis(カニス)=犬” に由来しているという説がある。ちなみに、鳥のカナリヤは、カナリア諸島が原産地で、地名から鳥の名前になった。つまり、犬→島→鳥の順番。

Basílica de Nuestra Señora del Pino
バシリカ・デ・ヌエストラ・セニョーラ・デル・ピノ

Plaza Ntra. Sra. del Pino, s/n, 35330 Teror, Las Palmas

テロール(Teror)は、スペイン・グラン・カナリア島の北部内陸に位置する、緑豊かな山間にある小さな町。カナリア諸島で最も重要なマリア信仰の聖地のひとつで、聖母像にまつわる神秘と歴史を持つ教会。1916年に島で初めて「バシリカ」の称号を授けられた。バリシカとは、ローマ教皇(バチカン)から信仰や歴史、建築的・文化的な価値が特に高い教会に与えられる特別な称号。島を訪れるなら必ず訪れるべき場所といわれている。車でラス・パルマスから30分ほどで日帰り旅行にもぴったり。

伝統的な木製バルコニーが数多く残されている

昔ながらの製法で作られる香水や石鹸、黒い火山溶岩を使った石鹸、100%カナリア産のアロエベラを使ったクリームやジェルなど、自然由来の材料で作られた石鹸がお土産に人気。

ベゲータ〜トリアナ地区

ラス・パルマス旧市街は、「ベゲータ〜トリアナ地区」としてひと続きに楽しめる。サンタ・アナ大聖堂を中心としたベゲータは、石畳と歴史建築が並ぶ静かな街並み。一方、すぐ北に広がるトリアナはショッピング通りやカフェが並ぶにぎやかなエリア。地元の野菜や果物、チーズが並び、ローカルの日常がのぞける「ベゲタ市場」。クジ売り場は午前中から賑わっていた。かつての鉄道跡が整備保存され街の過去を静かに物語る。トリアナ地区のメインストリート沿いにある渦巻き状の大きな彫刻は、グラン・カナリア島出身の彫刻家Martín Chirino(マルティン・チリノ)の作品で、海風が吹き抜ける象徴的なランドマークとなっている。そういえば、WRCのトロフィーも渦巻きだった。

ベゲタ市場 フルーツの種類が豊富

La PEPA 路面電車の線路跡

Basílica de Nuestra Señora del Pino
Biblioteca Pública del Estado en Las Palmas
ラス・パルマス公共図書館

C. Mlle. Las Palmas, s/n, 35003 Las Palmas de Gran Canaria, Las Palmas

ラス・パルマス公共図書館は地元の人だけでなく、ふらっと立ち寄れる居心地のいい場所。館内には、約4万7千冊を収蔵する一般書、コミックや映画・音楽を楽しめるメディアライブラリー、子ども向けのスペースや新聞コーナーがある。カナリア諸島の文学や歴史を旅の延長で楽しめ、ちょっとした発見の場に。この日は地元出身の詩人・作家アロンソ・ケサーダの没後100年を記念したコーナーがあり、たくさんの書籍が紹介されていた。滞在中のひととき、街を深く知る入り口として、気軽に立ち寄れる図書館。団体、学校、グループなどにはガイド付きツアーも実施されている。

カナリアごはんは、米・魚介・オリーブオイルなど、素材の味を活かした料理が多く、重すぎず、辛すぎず日本の感覚に似ていてGOOD !

El Patio De Enmedio(カフェ レストラン)

Espiritu Santo, 31, 35001 Las Palmas de Gran Canaria

店員さんおすすめのタパスセット。パイ生地の餃子?スパイスが効いていてクセになる味

天毎木 AMAKI SUSHI(和食・寿司)

Calle Viera y Clavijo, 8, 35002, Las Palmas de Gran Canaria

期待に反して!とても美味しい寿司。和食レストランは人気が高い

Casa Costiera Triana(イタリアンレストラン)

Calle Triana, 6B, 35002 Las Palmas de Gran Canaria

タコをはじめイカ、エビなど海鮮をつかったメニューが豊富

Restaurante El Encuentro De Teror
(カフェ レストラン)

Plaza Nuestra Señora Del Pino, 7, 35330 Teror

煮込んだ豚肉や鶏肉がサンドされたポルトガルのビファナのような軽食。外はさっくり、中は柔らかいパンで、大きく見えてもかぶりつきやすい

Sabor a España(菓子)

C/ Triana, 01, 35002, Las Palmas

ナッツやヌガーなどスペインの伝統菓子のお店。銅鍋で丁寧に煮詰める飴の甘い香りが通りに漂う

Las Canteras beach ラスカンテラス ビーチ

(晴れていれば)青い海と白い砂浜が広がるビーチ沿いにはたくさんのレストランが立ち並ぶ

(執筆:エンピツ舎 武井佳代)

(Up&Coming '25 盛夏号掲載)




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