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はじめに 下部工基礎スイートの製品に関係する指針として、令和2年9月に杭基礎設計便覧(以降、R2杭基礎便覧)が発刊されました。これは、平成29年道路橋示方書(以降、H29道示)の限界状態設計法や部分係数法に対応したものです。杭基礎設計便覧は、従来から道路橋示方書の杭基礎に対して補完する役割を果たしてきました。H29道示では、杭頭部の照査方法についての具体的な記述が無く、弊社製品では杭頭接合部について一部を除いて未対応としていましたが、本便覧が発刊されたことで漸く対応することができるようになりました。本稿では、対応内容について、R2杭基礎便覧の記載内容を交えながらご紹介いたします。 杭とフーチングの接合部の設計 照査内容は、表1の通りです。[1]は仮想鉄筋コンクリート断面による照査、[2]は水平押抜きせん断照査、[3]は鉛直押抜きせん断照査と、照査項目は平成27年杭基礎設計便覧(以降、H27杭基礎便覧)と変わりません。仮想鉄筋コンクリート断面による照査は、曲げモーメント及び軸方向力に対して、疲労に対する耐久性能照査(杭頭補強鉄筋の引張応力度≦引張応力度の制限値)、永続・変動作用支配状況の限界状態1(曲げモーメント≦降伏曲げモーメントの制限値)を行います。 なお本照査は、場所打ち杭の場合は、H27杭基礎便覧と同様に照査の対象にはなっていません。水平押抜きせん断照査は、式(1)~(3)で行います。杭頭水平力が杭頭接合部のフーチングの押抜きせん断力の制限値Ppud'を超えないことを照査します。フーチング下面鉄筋を考慮する場合についての言及もありますが、具体的な算定方法については記載はありません。鉛直押抜きせん断照査についての具体的な記載はありませんが、押抜きせん断耐力の特性値Ppuの式として、式(3)の代わりに、平成19年杭基礎設計便覧 Ⅲ.6.2による式(4)を用います(端部の杭の場合の式)。 なお、標準的な縁端距離を確保するなど条件を満足する場合は、水平押抜きせん断照査と鉛直押抜きせん断照査は省略できるとあります。
※[1]については限界状態1を満足すれば、限界状態3を満足するとあります。
その他の対応 H29道示に記載が無い項目としては、「杭頭をカットオフする場合のPHC杭の照査」があります(R2杭基礎便覧 P.274~)。 R2杭基礎便覧では、杭頭をカットオフする場合の照査として、永続・変動作用支配状況について耐荷性能照査の前提の照査、耐荷性能照査(軸力及び曲げモーメントに対して限界状態1・限界状態3、せん断力に対しては限界状態3)及び耐久性能照査(疲労・内部鋼材の腐食)を行うように規定されています。 H27杭基礎便覧との違いとして、中詰めコンクリートを無視した円環断面を使う、カットオフの影響を考慮しない場合と考慮する場合で断面力を求めて、それぞれで照査を行うというものがあります。 |
(Up&Coming '21 新年号掲載) | ||
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