フォーラムエイトは2019年8月9日にSDGsミッションを公開し、ソフトウェア開発を通したSDGs貢献についての方針と活動内容を発表しました。さらに、デジタルツインを展開するWebプラットフォームシステムF8VPS(フォーラムエイト・バーチャルプラットフォームシステム)や完全クラウドのUC-1 Cloud自動設計の開発・提供などに伴い、SDGsミッションの内容を順次更新・拡張しています。

第13回 「コンパクトシティ ~持続可能な都市の構造を実現する~」

「コンパクトシティ」は、日本では1990年代から取り組まれている都市政策の概念の一つで、一般的には、1)高密度で近接した開発形態、2)公共交通機関でつながった市街地、3)地域のサービスや職場までの移動の容易さ、という特徴を有した都市構造のことを示します。コンパクトシティ政策の推進によって、人口減少と少子化・高齢化が進む中であっても、交通・行政サービスの充実化、移動時の負担軽減、経済の活性化、環境問題の改善を図ることができ、SDGsで掲げる多くの目標に直接・間接に貢献します。中でも、目標3「すべての人に健康と福祉を」と目標11「住み続けられるまちづくりを」に対する効果が大きくなります。


■デジタルシティを用いたシミュレーションによる政策有効性の検証等

コンパクトシティ政策の事前検証には、地域の特性に応じた、デジタルシティを用いたバーチャルシミュレーションが有効です。国交省では、コンパクトシティのような集約的都市構造について、都市の立地を考慮して「多極ネットワーク型」「串とだんご型」「あじさい型」という3つの類型を紹介しており、UC-win/Roadでは、これらの異なる特性を持つ都市構造を、地理院タイルやPLATAEUの都市モデルなどのオープンデータを用いて容易に構築できます。

▲多極ネットワーク型(松江市) ▲串とだんご型(富山市) ▲あじさい型(北上市)

UC-win/Roadでは、設計データを用いて正確に道路を構築できるだけでなく、マウス操作によって手軽に道路を作成・修正できるため、簡単に交通環 境を構築して様々な計画を試すことができます。道路編集機能を使った道路構造の検討、VISSIM等の外部交通シミュレーションソフトと連携したリアルタイムのミクロシミュレーションでは、計画道路の交通問題の事前把握だけでなく、その環境下で運転手目線での運転体験も可能です。


▲VISSIM連携ミクロシミュレーション(左)と連携運転(右)


建物などの地物は、マウス操作や座標指定により簡単に配置・移動できるので、街区群を再デザインし、都市環境の改善効果を検討できます。風解析結果の可視化によるビル風の影響や、騒音解析結果の可視化による環境音の評価が可能なほか、街路樹の種類の違い、樹木の成長機能を用いた数年後の景観変化、緑視率の検討も可能です。

その他、事業完了後の達成イメージだけではなく、工事中の交通規制による渋滞の影響シミュレーション、施工の4Dシミュレーションなど、開発事業実施中にも活用できます。

さらに、構築したデータをWebVR・メタバースに展開できるF8VPS(FORUM8バーチャルプラットフォームシステム)で広く共有することによって、官民の様々な関係者間の合意形成、住民説明、広報などに活用できます。


■既存のインフラの活用

新規のインフラに目を奪われがちですが、既存インフラの活用も重要です。老朽化するインフラを、必要なものは維持しつつ、無駄なものは見直しながらインフラを再編していく必要があります。道路橋の老朽化対策では、「橋梁点検支援システム」や「橋梁長寿命化修繕計画策定支援システム」等Engineer's Studio®やFEMLEEGなどのFEM解析が活用できます。見直しで新設するインフラに対しては、各種UC-1設計ソフトやUC-1クラウド自動設計を活用できます。

このようにコンパクトシティに向けた都市政策のあらゆるシーンで、フォーラムエイトの各種製品やサービスをご利用いただけますので、ぜひご活用ください。


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(Up&Coming '23 春の号掲載)
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