ピルビスワーク実践講座

連載 第8回


動けるからだを造るピルビスワーク
「体幹の強さで腰痛を克服しよう!頭蓋骨の動きで体幹を強くする」

profile

立花みどり

一般社団法人日本ピルビスワーク協会特別顧問
1980年代のフィットネス全盛期、多くのエアロビクスインストラクターの育成と、ダンススタジオの委託運営を手掛けた、エクササイズの草分け的存在。その後、『ヒトのカラダは骨盤が支えている』という点に着目し、一般社団法人日本ピルビスワーク協会を設立。以降、骨盤ブームの第一人者として活躍している。40年間に渡る研究と研鑽を重ねた“立花メソッド”は、人々の健康に大きな影響を与える施術というのみならず、その思想、哲学に至るまで洗練された人生論、生き方論であり、ヒトの生き方は姿勢に現れるという信念のもと活動を続けている。フォーラムエイトの健康経営の一環として毎週水曜に開催されているピルビスワークストレッチプログラムの講師も務めている。

 

座りっぱなしの仕事や生活で、足腰の衰えから背中や首肩の痛みに悩まされる方は要注意! 足腰の衰えは頭蓋骨の歪みを起こして、顔を老けさせてしまいます。実は頭蓋骨の動きが体の強さ、特に体幹の安定にすごく影響しているのです。

体の中心軸の働きは、体の中心線の平衡感覚を司っている「小脳虫部」という部分で情報処理されているので、脳に近い頭蓋骨の動きは体幹の筋力にすごく影響を与えています。今回は体幹の安定に効果的な頭蓋骨のマッサージとそのメリットをお伝えします。

近年の小顔ブームで頭蓋骨のマッサージも注目されていますが、実は頭蓋骨のマッサージは体幹や自律神経を安定させていく上ですごく大切な要素なのです。やり方は単純なので、覚えて毎日続けていくことで確実に体幹が強くなって、さらに体や顔立ちの若返りにも役立ちます。

頭蓋骨の成り立ち

頭蓋骨は、たくさんの小さな骨がパッチワークのように合わさってできている骨です。そして、それぞれの骨は縫合関節と呼ばれる殆ど動かない関節で繋がっています。

頭蓋骨の縫合関節は実際に動くのか否かという議論が未だ行われているのですが、縫合関節は呼吸の度に縫合部分が緩んだり締まったりするようなリズムがあると言われています。

頭蓋骨縫合部からマッサージの刺激が頭蓋内の膜に伝わると、様々な生理的変化が起こり、頭痛が改善したり、体幹の筋力が上がったり、何より顔立ちの印象が若くなるなどの良い効果が得られることは事実です。

一番の効果は神経疲れの改善ですが、これは頭蓋骨の顔骨には顔面神経・動眼神経・三叉神経が、延髄からは迷走神経などの多くの神経が集まっているので、縫合関節周囲の動きを良くすることで、脳に最も近い神経の働きを改善する効果が期待できます。

頭蓋骨の中でも矢状縫合関節は、体の中心に最も近いために、体幹の筋肉との繋がりが最も大きいと考えられている箇所です。そして、実際に矢状縫合の可動性が上がる事で体幹の筋力や安定が増すので、腰や下肢にかかる負担が軽減します。

このような方におすすめ

  • 頭痛が良く起きる
  • ヘルメットをかぶる仕事
  • 眼の疲れがひどい
  • 髪の毛を縛っている方
  • 視力が低下している
  • 目が酷使される仕事
  • 体幹を強くしたい
  • 耳に負荷がかかる仕事

頭蓋縫合関節の中でも矢状縫合関節は頭蓋骨のてっぺん。ちょうど真ん中にある関節です。

矢状縫合関節のマッサージ

(実践編)

Check

体幹の安定beforeチェック

両手を前に合わせて、左右にひねってみて下さい。

※ 体幹が不安定な側の動きが鈍い

ストレッチの方法

1 矢状縫合を垂直上から 指腹で軽く圧迫する。

2 顔を左に倒し、頭を前方に倒します。

3 その角度でうなずくように顎を引く動作を5~6回繰り返す。この時さわっている指の下が動くのを感じて下さい。

4 反対側も同じように行う。

詳しくは動画で紹介していますのでぜひご覧ください。

最後に可動域をチェックして、可動域に変化が起こるか確認します。
そして、一連の流れで反対側も同じように行います。
座ったままできるので、仕事の合間に実践し体幹を鍛えて腰痛の改善を目指しましょう。

(Up&Coming '23 盛夏号掲載)



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