連載 【第12回】
腸内細菌と便秘:食事に気をつけよう

profile
関西医科大学卒業、京都大学大学院博士課程修了、医学博士。マウントシナイ医科大学留学、東京慈恵会医科大学、帯津三敬塾
クリニック院長を経て現職。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本心療内科学会上級登録医・評議員、日本心身医学会専門医、日本森田療法学会認定医。日本統合医療学会認定医・理事。日本ホメオパシー医学会専門医・専務理事。日本人初の英国Faculty of Homeopathy専門医(MFHom)。2014年度アリゾナ大学統合医療プログラムAssociate Fellow修了。『国際ホメオパシー医学事典』『女性のためのホメオパシー』訳。『妊娠力 心と体の8つの習慣』監訳。『がんという病と生きる 森田療法による不安からの回復』共著など多数。


新型コロナウイルス感染拡大のなか、テレワークが主体で、運動不足、体重も増え便秘になってはいませんか。日本人の約 30%が便秘であるといわれてます。便秘とは、排便回数の減少、排便困難、硬い便、不完全な排泄や腹痛などの症状がある状態です。便秘の原因はいろいろありますが、最近では腸内細菌とその代謝産物が原因の1 つとして考えられています。今回、腸内細菌を考えることで便秘にならないようにするための食生活を紹介します。

腸内細菌とは

ヒトの消化管には 多い人で1000 種類、合計で 100 兆個以上の腸内細菌が生息して腸内細菌叢(腸内フローラ)を構成しています。その種類や数は生活環境などによって左右されます。また腸内細菌叢を構成する菌種や量は一人ひとり個人差があります。腸内細菌は生後短い間に入った細菌叢でその個人のパターンが固定されますが、加齢によってその構成は少しずつ変化していきます。図1に腸内細菌をあげています。2 割程度の善玉菌、1 割程度の悪玉菌、7-8 割は日和見菌が占めています。

図1 腸内細菌

腸内細菌は摂取した食事の種類によってその構成が変わっていきます。近年では食事脂質や食物繊維などの栄養成分に対する腸内細菌依存的な代謝経路が同定されて食事の重要性がクローズアップされています。

便秘と腸内細菌

日本内科学会では 「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感が ある状態」としています。また日本消化器病学会では 「排便が数日に1回程度に減少し、排便間隔不規則で便の水分含 有量が低下している状態をさすが、明確な定義はない」としています。図2に便秘の分類を示しています。

図2 便秘の分類

慢性便秘の人では、健康な人に比べ腸内細菌の乱れ、明らかに逸脱して腸内細菌の構成が異なった状態(dysbiosis)が報告されています。炎症や感染、食事などの様々な原因でその状態になっていることが考えられています。そのため慢性便秘の治療として、腸内細菌叢の乱れを改善させることが重要だとされています。この目的で、腸内細菌をターゲットとしたプロバイオティクスとプレバイオティクスがあります。プロバイオティクスとは「腸内細菌のバランスを改善することにより、宿主に有益な効果をもたらす生きた微生物」でヨーグルト、乳酸飲料などの食品やサプリメントととして摂取することが可能です。プレバイオティクスは「限られた数の腸内細菌の増殖または活性を選択的に刺激することによって宿主に有益な生理学的な効果をもたらす非消化性物質」で、食物繊維やオリゴ糖など善玉菌のビフィズス菌の増殖促進に働くものです。

食物繊維や乳酸菌、発酵食品を摂りましょう

海藻やキノコ類は1日1回食べる/緑・黄・赤の野菜を毎食入れる/芋類・豆類は1日1品摂るようにしましょう。ただし、便秘と下痢が交互にくる痙攣性便秘の人は、ストレスや自律神経の乱れが原因である可能性が高いので、食物繊維の過剰摂取は、大腸が働きすぎてしまうので避けてください。ヨーグルトなどの乳製品を毎日摂る/納豆、みそ、しょうゆなどの発酵食品を摂る/ぬか漬け、キムチなどの発酵食品を摂るように心がけましょう。水分の摂り方も気にしてください。朝起きた時に一杯の水(飲み物)を飲む /食事中、10時、15時、寝る少し前にコップ1杯の水分をとるようにしましょう。

気を抜いて乱れた生活を送っていると、腸内フローラのバランスは崩れていきます。肉食過多、油脂の取りすぎ、野菜不足、運動不足の生活をしていると悪玉菌が増えます。規則正しい生活、1日3回の食事を心がけ、便秘にならないようこころがけましょう。




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(Up&Coming '21 新年号掲載)
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