開発中製品情報

UC-win/Road Ver.18

●リリース予定 2024年9月

道路編集機能の改良

現在、道路設計図面を参照して道路モデリングを行う場合、図面によってはランプを本線と接続する部分である程度経験と時間が必要です。これはランプ部分の緩和曲線が関係しており、緩和曲線が本線の車線分岐部から始まっていることが起因しています。また別の課題として、ランプへの分岐は車線左側しか対応していないことがありました。これを受けて、以下2個の機能を開発しています。

1. 道路の開始終了位置の設定機能

道路線形の始点IP・終点IPとは別に始点側に道路開始位置・終点側に道路終了位置を設定することでカーブの緩和曲線部分から始まり緩和曲線の途中までの道路を定義することができます。この線形をランプに用いることで設計図どおりの滑らかな道路を作成できます(図1)。

図1 ランプ線形入力

2. 右側ランプ分岐機能

車線分岐の擦り付けを設定することで車線から右側へ分岐してランプへ接続することができます。例えば、首都高速などでみられる車線右側から分岐して高速道路に接続する道路を作成できます(図2)。

図2 首都高速1号 羽田線 海岸3丁目付近の状況
出典:国土地理院ウェブサイト (https://maps.gsi.go.jp)

点群モデリング機能の強化

点群モデリングプラグインを拡張して、点群を参照して道路線形と道路断面を作成する機能を提供します。従来、点群を用いて道路線形作成を支援する機能がありましたが、特定の並びを点群データに限定しており使用する機会が少なかったと思います。今回の機能では点群種類の制限撤廃と緩和曲線を含む線形変換の実装で、より多く活用できるようになります。

入力の流れは上のようになっており特徴をあげると、

道路中心点入力

点群から点をピックして道路中心の点列を入力します。道路中心付近の点が計測されていないことを考慮して、道路縁石もしくは白線をピックしてその中点で入力する等の入力手段を用意します。

道路線形変換

入力された道路中心の点列から道路線形を算出します。現在もポリラインから線形に変換する機能の精度を向上させる予定です。

断面データ生成

断面定義位置付近の点群を収集して、点群形状や色から断面形状をある程度自動で生成します。縁石・白線等が認識不可能な場合は、簡単な車線情報を入力して生成します。そのほか断面形状の要素について点群の色からテクスチャを割り当てる機能も予定しています。

これらの機能で道路作成を支援することで、プロジェクトデータの作成コスト削減できると期待しています。

描画性能向上

UC-win/Roadではきめ細かなモデルを豊富に大規模の3D空間の中で表現することができ、一般的なCADやモデリングソフトウエアとは異なる形で3D描画機能を最適化してきました。UC-win/Road Ver.18では描画している様々な要素に対してさらに最適化を行い、より多くのモデルを円滑に描画できるように改善いたします。以前対応した道路モデルの描画性能を改善した手法を活かし、地形や一般3Dモデルに適用する予定です。また、車や歩行者、重機等動的なオブジェクトにも適用できるよう検討しシミュレーション全体の性能向上を目指します。考え方としては、3D空間全体にあるオブジェクトを個別に最適化するのではなく、GPUがまとめて処理できるようにデータを描画用に再構成し最適化を行う手法を採用する予定です(図3)。

図3 描画処理最適化コンセプト

他には描画の前処理の改善を行い、GPUへの命令がより遅延なく行えるように改善を行う予定です。今回は描画速度性能の改善を行いますが、次世代レンダリング技術の導入を準備し、次は映像品質の向上を計画しています。

ハプティックデバイス連携

現在Forum8では、弊社製品に触覚デバイスを統合することに取り組んでいます。触覚と温度の感覚を追加することで、仮想現実環境内での没入体験を拡張することです。ユーザーはXRオブジェクトに触れたり摘んだりするときに反力を感じますが、その質感や表面温度も感じることができるようになります。WEART社が開発した触覚グローブの「TouchDIVER」(図4)を、グローブのC++SDKを利用するインターフェースアプリケーションを開発することで、Forum8のUC-win/RoadやF8VPSに統合する予定です。インターフェースはユーザーの指を追跡し、触覚(力、質感、温度)を生成し、TCPソケットを介してUC-win/Roadで、またはWebSocketを介してF8VPSでそれを行うことができるようになります。予想されるシステムアーキテクチャを図5に示します。

 

図4 WEART社のTouchDIVER触覚グローブ

 

図5 システムアーキテクチャ


(Up&Coming '24 新年号掲載)




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