ACCS(一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会)

一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会は、デジタル著作物の権利保護や著作権に関する啓発・普及活動を通じて、コンピュータ社会における文化の発展に寄与しています。オービックビジネスコンサルタント(業務ソフトウェア開発・販売)の創業者・代表取締役社長 和田成史氏が理事長を務め、多数のソフトウェア開発企業が会員として所属。フォーラムエイトも、同協会の活動に賛同して2022年に入会し、ソフトウェアの地位向上のため活動を継続しています。

コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)のご紹介

一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会は、前身となる「ソフトウェア法的保護監視機構」を含めると約40年にわたり、ビジネスソフト、ゲームソフトを中心とするコンピュータソフトウェアの法的保護と、著作権を中心とした知的財産権に関する啓発・普及活動を行ってきました。国内外のソフトメーカーを中心に約130社が加盟しています。一昨年フォーラムエイトさんにも加盟いただき、私どもの活動にご協力いただいております。

ソフトウェアの違法コピーとの戦い

1985年の著作権法改正において、著作物の例示として「プログラムの著作物」が明記されたことで、コンピュータソフトウェアは著作権で保護されることが明確になりました。ただ、当時はまだ意識が低く、ソフトウェアの違法コピーが日本国内で蔓延し、企業でも違法にコピーされたビジネスソフトが多く使用されていました。

そんな中、日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会(現一般社団法人ソフトウェア協会)内の「ソフトウェア法的保護監視機構」が独立し、1990年に名称を変更したのがACCSです。

ソフトウェアの著作権侵害は、1980年代には店舗販売や違法レンタル、1990年代はパソコン通信、企業・団体などの組織内、2000年代以降は、インターネットや露天商、さらにWinMXやWinnyなどのファイル共有ソフトと、侵害の「場」が広がってきました。ACCSは、それぞれの時代で、侵害の「場」に応じた刑事手続、民事手続の支援を行ってきました。

また、加盟する会員企業の広まりから、支援するコンテンツも、ソフトウェアから映像などに広がり、近年では違法漫画リーディングサイト「漫画村」を通じた出版コンテンツの無断アップロード事案のサポートも行いました。

なお、捜査機関による摘発が行われたときには、ACCSから報道機関にその内容を発表し、世の中に広く警鐘を鳴らしています。

デジタルであるコンピュータソフトウェアは、当初より宿命的に違法コピーとの戦いで始まり、新しい技術、サービスが登場するたびに、それらを悪用した著作権侵害が継続しています。現在も、権利者であるソフトメーカーはデジタル情報であるコンテンツ・ソフトウェアを守り、活用させるために侵害対策を継続し続けなければなりません。

「法」と「電子技術」と「教育」のバランスが大切

ACCSでは、著作権・著作隣接権によって保護される情報の価値が尊重される社会の実現のためには、「法」と「電子技術」と「教育」をバランス良く行うことが重要だと考え、さまざまな活動を行ってきました。

まず「法」については、著作権侵害行為に対する刑事摘発、民事責任の追及だけでなく、現在の法律ではカバーできない行為に対して、侵害実態を調査し、必要に応じて法律の改正を要請する活動も行っています。

「技術」は主に会員企業の活動に負うところが大きいですが、コピーガード等の対策を行うことで、海賊版が作られない、海賊版が作られたとしても実行できない、気軽に著作権侵害が行えない環境を作ることになります。ただ、現在は、技術的対策により違法コピー等がほぼ無くなったソフトウェアもある一方で、アカウントの不正使用という新たな問題も生じています。

著作権が尊重される社会を実現する3つの要素のうち、「教育」は、最も効果的な対策であると考えています。ACCSでは、企業や教育機関等からの要請を受けて著作権等に関する講演会に職員を講師として派遣しているほか、ソフトウェアの管理や著作権に関するセミナーを開催してきました。また、著作権に関するテキストや小冊子等を作成し公開するなどの普及活動を行っています。

今後は、ChatGPTやイラストなどの生成AIと著作権に関してビジネスでの活用につき検討し、会員に情報提供するほか、セミナーの開催も検討しております。また、eスポーツの振興にも著作権の分野で協力をしていきます。

禁止教育から活用教育へ、著作権教育のすすめ

ACCSが行ってきた著作権教育は、広く著作権についての意識が高まり、企業においてはコンプライアンスの徹底が常識となってきた頃から、当初の「やってはいけない」禁止教育から「自分たちで生み出した著作物をどう活かすか」という活用教育にテーマがシフトしています。

コンテンツ系でない企業においても、社内では日々さまざまな著作物が生まれています。それらをどう守り、どう活用していくのかと考えるとき、キモになるのは著作権です。

意図せず他人の著作権を侵害しないために、そして自社の著作物を活かすために、社員への著作権教育を定期的に実施していただければと思います。ACCSは実施の協力をいたします。教育の成果をはかるために、ACCSが後援しているビジネス著作権検定の活用もお勧めします。

著作権が尊重される社会を目指して

ACCSが設立された当時と比べると、日本における著作権の意識はとても高まりました。しかしながら、インターネットには違法にアップロードされた動画や漫画がまだ多く、企業でも一部の業界においては依然として違法コピーソフトを使用している実態があります。ACCSは今後とも、会員企業と協力して、著作権が尊重される社会を目指して活動して参ります、ぜひ我々の活動をご理解いただき、ご参画いただけると幸いです。

(Up&Coming '24 春の号掲載)



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