豊田市×フォーラムエイト連携協定締結1周年記念
持続可能な都市の実現に向けたデジタルツインセミナー

日時:2024年3月15日 会場:名鉄トヨタホテル(7階 金扇の間)

フォーラムエイトは2023年3月に豊田市と「デジタルツインによる持続可能な都市の実現に向けた連携協定」を締結。同市が抱える様々な課題を解決するため、デジタルツインでのシミュレーション等を活用する取り組みを行っています。協定締結1周年を記念し、相互連携によるこの間の取り組み事例と成果、今後の展望についてのご報告を兼ねてセミナーを開催いたしました。

特別講演「都市のデジタルツイン構築におけるVRの有用性」
嶋田喜昭 教授
(大同大学)

嶋田教授はまず、建設業界・インフラ分野におけるICT技術活用の流れを概観。「CALS/ES」「i-construction」「BIM/CIM」そして「インフラDX」といった取り組みの歴史を振り返り、それぞれの基本的な定義や考え方を解説しました。

次に、「まちを再生する交通インフラのデザイン」をテーマにした嶋田教授自身の研究について言及。道路空間の変更や整備といった「再配分」を最適に行うため、3次元リアルタイムVRソフトUC-win/Roadを活用した整備手法の検討や合意形成の方法を研究しています。講演では実際に行われた3つのプロジェクトを例に、具体的なVRの活用法が紹介されました。

UC-win/Roadユーザ、という観点から嶋田教授は、様々なアルゴリズム(交通解析、避難解析、流水解析など)が適用可能で、ドライビングシミュレータにも連携可能であることがUC-win/Roadの大きなメリットであると評価します。

最後に、都市のデジタルツインの課題として「GIS、CAD、VRの統合、一元化」を挙げ、「データプラットフォームの管理と更新も課題として考えられる」とまとめました。

講演「豊田市のデジタルツイン、インフラDXの取り組み」
川戸貞幸 氏
(豊田市建設部 建設企画課 副主幹)
岩月恭介 氏(豊田市建設部 建設企画課 主査)

2024年問題による残業規制、建設業における人件費・労務単価の向上、建設業界に人を集めるための「新担い手三法」の推進など、建設業全体をめぐる現状には様々な課題がある、と川戸氏は述べます。特に現状の土木事業では、計画や設計の変更が現場段階で生じやすく、現場へのしわ寄せ」が問題となっています。その対策として、測量から施工までの各段階において3Dデータを活用するDX展開が有効であり、フロントローディング(価値向上、時間短縮)にも貢献するといい、フォーラムエイト×豊田市の具体的な取り組みとして、デジタルツイン施策の立案やVRを活用したDX人材育成が挙げられました。

続いて、実際に行われたVR活用の事例を岩月氏が紹介。道路パトロールカーに3次元レーザースキャナ(車載型MMS)を搭載し、走行しながら取得した点群データから建築限界、街路樹、標識、街灯の位置を確認するというもので、建築限界を侵していると見られる箇所については現地での検証を実施し、十分な精度で測量できていることを確認しています。1日あたり90箇所の問題箇所を検知でき、2回目の測量では1回目との比較で変位も求めることができたとのことです。

(Up&Coming '24 盛夏号掲載)
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