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ちょっと教えたいお

次世代の耐震設計法  地震リスクを考える 武蔵工業大学 都市工学科 吉川 弘道 教授

■"リスク(Risk)"って何だ?

 "リスク"とは、将来における不確かな損失あるいは不利益"と定義できる。これを工学的/定量的に記述すると、"被害の発生確率とそのときの被害規模との合積"と表される。このような地震リスクを表1のように整理することができ、まずはその勘所を確認されたい。


表1 確率論的評価とリスク解析
従来の確率論:
'M5以上の地震が発生する確率'、'この建物が倒壊する確率'、etc.
リスク解析:
'○△地域における、今後30年間において2500戸が半壊する確率は2.5%'
'△□橋梁は、単年度で120万円の損傷が見込まれる' 、etc.
地震リスクの定義:
地震リスク=地震の発生する確率p×そのときの損失の規模D/
 ただし、



■フラジリティ曲線と地震ロス関数

 地震リスク解析には、信頼性理論に基づく数学的な処理を必要とするが、ここでは、脆弱性を表すフラジリティ曲線Seismic Fragility Curve (以下SFC)、ならびに損害額を記述する地震ロス関数(Damage Function ,以下DF)を例示したい。図1に、SFCとDFを模式的に示したが、まずは両図とも、地震動の規模(ここでは入力加速度α)を横軸とすることが特徴的である。

 まず、図1上のSFCは、対象構造物の損害規模(ここでは、小破と大破との2種)を工学的に定義し、各々の発生確率を示すものである。いずれも右上がりの単調増加関数となり、小破の方が大破より、大きい確率となる。一方、図1下の地震ロス関数DFは、地震動規模に対する構造物全体の損傷程度を対応させたものである。ここでは、縦軸の損傷レベルを損失率(再調達価格が使われれることもある)にて例示しているが、DFによって「どのくらいの地震が発生(加速度が入力)したら、どれくらいの損害を被るか」を端的に説明してくれる。

 なお、SFCにより求められた被害モードの損傷確率とその損害額あるいは損失率からDFを求めることができるが、図2に数値が例示しているので、確認されたい。

▲図1 上:フラジリティ曲線(Seismic Fragility Curve)
     下:地震ロス関数(Seismic Damage Function)



▲図2 地震リスク曲線(Seismic Risk Curve)
■地震リスク解析の成果:地震リスク曲線

 そして、地震動規模を消去して、地震損傷レベル(損失率、再調達価格etc.)の超過確率を求め、これを地震リスク曲線(Seismic Risk Curve)と呼ぶ。

 図3では、リスクカーブを模式的に表したものであるが、例えば、損失額100万円⇒1.5%、損失額1000万円⇒0.1%、となっている。このようにして、地震による損失レベルが確率的に求まることが特徴である。地震リスク曲線には、もはや、入力加速度に代表される地震規模は直接現れないので、例えば、他の災害ハザード(洪水、地滑り、津波)と同等に比較し、また対象構造物が同じであれば合算できる。

 リスクは、"発生確率は極めて小さいが、一旦被災すると大きな損傷を受け、かつ社会的な影響が大きい"ことを言外にほのめかしている。現行の耐震設計は、"これだけの地震に耐えられる"ことを照査するものであり、地震リスクは、"これだけ、壊れるかもしれない"ことを算出するものと説明できる。地震リスクは、リスクの定量化(Risk Quantification)であるとともに、合理的な次世代の耐震設計法として期待できる。


参考文献
1. 遠藤昭彦、吉川弘道 : 鉄筋コンクリート橋脚に対する地震リスク評価手法の適用、構造工学論文集、Vol.49A, pp.435-446, 2003年3月
2. 地震リスクマネジメントの考え方、電子サイバー講座、『もっと知りたいコンクリート講座』  http://c-pc8.civil.musashi-tech.ac.jp/RC/
3. 吉川弘道・中村孝明:土木/建築施設の地震リスク評価とコンクリート構造物への適用、テクニカルノート、コンクリート工学 Vol.45, No.4,、2007年4月, 日本コンクリート工学協会

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